著者
吉澤 壮 大屋 裕二 烏谷 隆 渡辺 公彦 三井 哲夫 玉島 正裕
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.221-226, 2012

新興国の著しい経済発展による、国際的な物流量の増大が地球環境に影響を与えるのではないかと懸念されている。そういった観点から、船舶の環境への負荷を減らすため、より高効率な船舶が模索されている。その一つとして、風圧抵抗を減らし、高効率化を図るため船首が半球状に改良された自動車運搬船(Pure Car Carrier:以下PCC)がある。その模型と現行のPCCの模型を風洞内で回転させ、抗力、横力、回頭モーメントを測定した。風圧抵抗を比較し、その減少を定量的に把握した。また、その改良型のPCCにセールを兼ねた翼形状のファンネルを搭載し、同様に風洞実験を行った。ファンネルも船体とは独立して回転可能になっており、船体とファンネルに対する風向が船体の風圧抵抗に与える影響を調べた。その結果、抗力、横力、回頭モーメントともにファンネルの有無によって特定の角度で影響を及ぼしていることが分かった。
著者
鉄矢 悦朗 中井 初実 小林 健一郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.B11, 2007

本稿は、東京学芸大学の学生有志(美術・美術教育を学ぶ学生)が、後輩へ参加の機会を引き継ぎながら200km 以上離れた場所で開催されている「掛川ひかりのオブジェ展」とその関連の「工作教室」に参画してきた3年間の活動の中から、デザイントレーニングの可能性を考察したものである。 掛川ひかりのオブジェ展は、静岡県の掛川駅北口から掛川城に延びる道路(歩車道境界の植栽枡などを使って)両側を会場に開催される。期間は、おおむね12 月1週目から1月の3週目程度の2ヶ月弱である。参加者は年々増えていると聞く。主催は、好きです!かけがわのまち実行委員会。掛川おかみさん会、掛川市役所、NPOスローライフ掛川など多様な顔ぶれで構成。作品は、すべて出品者が搬入し、撤収していく。来訪者の人気投票で大賞は決まる。出品者は、個人、親子、小学校のクラス、中・高校の美術部、静岡芸術文化大学のサークル、地元建築家のグループ、地元企業の有志など様々である。
著者
小町谷 尚子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要. 英語英米文学 (ISSN:09117180)
巻号頁・発行日
no.71, pp.55-74, 2019-03

In the twentieth century Bakhtinian reading, Jack Cade in Shakespeare's Henry VI, Part 2 was regarded as a trickster because he disobeys the ruling class and brings an inversion of values to the world of the play. However, unlike other Shakespearean villains, Cade displays the anarchic nature inherent in heroes of the picaresque narrative which started to spread across Europe contemporaneously with Shakespeare's writing career. Ever a picaro, Cade is consistently a carefree rascal who uses satire to expose society's flaws. The plot revolves around the innocent but willful character of Cade, who claims to be a legitimate successor to the throne, and not a mere puppet of York. Rather than functioning as a subversive character slotted into a story about Henry VI's weak kingship over his nobles, Cade provides an autonomous side story about how a rebel's revolt was stirred up and contained. This paper examines Cade's language and anamorphic discourse to show how Shakespeare created him as an emerging picaresque hero. It then goes on to propose that Shakespeare's use of Cade not as a clownish anti-hero but as a prototype picaro anticipates his later creation of the rogue Autolycus in The Winter's Tale.
著者
森本 壮
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

研究代表者は、網膜神経節細胞(RGC)に対して電気刺激が神経保護作用を有することを初めて見出した。以来、RGCが障害される難治性視神経症に対する新しい治療法として電気刺激治療の確立を目指してこれまで研究を継続してきた。難治性視神経症は眼科疾患のうち未だ治療法が確立されていない疾患の一つで中途失明原因の上位を占める。本研究ではこれまでの研究をさらに発展させ電気刺激治療の確立を目指した。 本研究の結果、電気刺激によって網膜の血流に変化が生じた。また実際に多くの患者に対し電気刺激治療を行い、視力や視野が改善することを見出した。この成果は、難治性視神経症に対する電気刺激治療の確立につながると考える。
著者
楢村 友隆 佐藤 和弘 堀内 賢一 吉田 周理 井出 孝夫
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.85-90, 2009-01-28
参考文献数
17
被引用文献数
1

透析液の製造工程管理において,細菌の汚染状態を把握し対策を講じることが,透析患者への悪影響を防ぐために重要である.細菌検出の手段として,高感度に細菌の汚染状態を把握するためにはメンブレンフィルター法(以下,MF法)を用いて検査することが必要である.今回われわれは,MF法製品である日本ポール社製37mmクオリティモニターおよびマイクロファンネルを,R2A/TGE寒天および液体培地使用下にて用いた.標準菌2菌種(<I>Pseudomonas fluorescence, Methylobacterium extorquens</I>)と臨床現場の透析液中から単離された1菌種(Wild type)のそれぞれを透析液中に播種した試験液を用いて,各種MF法における細菌の測定精度を,細菌コロニー数の計測結果を基にして,平板塗抹法(R2A寒天培地)と比較した.その結果,今回用いたMF法製品と培養方法との組み合わせの全てが,基準となるR2A寒天培地上のコロニー数(<I>Pseudomonas fluorescence</I>(59.3cfu/枚),<I>Methylobacterium extorquens</I>(62.5cfu/枚),Wild type(38.6cfu/枚))に対して,細菌回収率に必要な70%以上を上回っており,良好な回収率を得ることが可能であった.今回評価したMF法製品は,各工程の細菌管理に有効なツールとして十分に活用できるものと考えられた.
著者
杉山 亮
出版者
首都大学東京法学部
雑誌
法学会雑誌 (ISSN:18807615)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.233-263, 2019-07
著者
國井 哲義 Tetsuyoshi Kunii 千里金蘭大学 生活科学部 食物栄養学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.23-34, 2009

フィジーには、先住フィジー人とインド人の深刻な民族対立の問題がある。その対立を背景に、1987年から現在まで4回のクーデターと1回の軍の反乱があり、09年の現在も軍事暫定政権が権力を掌握したままである。対立の第一の原因と考えられるのが、マタンガリ・システムと呼ばれる土地所有制度である。本稿は現地でのフィールドワークをもとに、入手できたさまざまな資料を用いて、土地問題と民族対立の歴史と現状、さらに今後の展望を論じたものである。
著者
宇都木 昭 キム ミンス 神長 伸幸
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

韓国語(朝鮮語)は日本の多くの大学で第二外国語科目となっており,多くの学習者によって学ばれている。韓国語学習の特徴の一つは,「ハングル」という新たな文字を学ぶ点にある。韓国語教員の視点からみると,経験的にいってハングルの習得には個人差がある。しかし,どのような個人差があるのか,なぜ個人差が生じるのか,習得の困難さが他の能力と関係しているのか,といった点は明らかにされていない。本研究課題では,これらの疑問に挑む。

1 0 0 0 OA 4. 栄養

著者
長澤 康行 長井 美穂
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.763-767, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
6
著者
百瀬 公人 三和 真人 赤塚 清矢 伊橋 光二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0067, 2007

【目的】正常歩行中の遊脚相における膝関節屈曲は、積極的なハムストリングスの筋活動によるものではないと言われている。正常歩行中には遊脚相の後半でハムストリングスの筋活動が認められるが前半には見られない。遊脚相の膝関節屈曲は、下肢全体が伸展している時に大腿部の屈曲が生じることにより下腿が二重振り子状態となりその結果屈曲すると報告されている。片麻痺患者ではハムストリングスの単独収縮が困難なことや大腿四頭筋の筋緊張の亢進もあり、歩行中の膝関節屈曲は困難である。しかし、片麻痺患者でも二重振り子の作用を用いれば積極的なハムストリングスの筋収縮を必要とせず、大腿四頭筋の筋緊張の調整を学習することで、遊脚相の膝屈曲が可能となることが示唆される。正常歩行中にはハムストリングスの筋活動が遊脚相前半では見られないが、歩行速度が遅くなると二重振り子の働きが弱くなり、下腿を筋力で保持しなければならないと思われる。二重振り子の作用が有効に働く歩行速度以上であれば、片麻痺患者でもハムストリングスの筋収縮を必要とせず下腿を屈曲することができ、遊脚時のクリアランスは十分にあることになると思われる。そこで今回の研究の目的は、健常者において歩行速度を変化させ、遊脚相のハムストリングスの筋収縮状態から二重振り子を利用し始める歩行速度を明らかにすることである。<BR>【方法】被験者は健常な男性7名で、平均年齢20.0±0.5歳、平均身長170.7±2.7、平均体重642.4±6.2kgであった。歩行の計測には3次元動作解析装置と床反力計、表面電極による動作筋電図を用いた。3次元動作解析で得られたデータはコンピュータにて解析し、関節角度などを算出した。筋電図は内側広筋、大腿二頭筋長頭等より導出しバンドパス処理後、全波正流し、最大収縮時の積分値をもとに歩行時の筋活動を積分値の百分率として求めた。歩行はメトロノームにてケイデンスを規定し、ゆっくりとした歩行から速い歩行までを計測した。<BR>【結果】ハムストリングスの筋活動はゆっくりとした歩行から速い歩行まで計測された全ての歩行で筋活動が見られ、筋活動がほとんど無い二重振り子の作用が明らかとなる歩行速度は求めることができなかった。<BR>【考察】いわゆる正常歩行ではハムストリングスは遊脚相の後半で筋活動が認められる。今回の結果では、ハムストリングスの筋活動は歩行速度に影響を受けなかった。歩行速度をケイデンスで規定しようとしたため、メトロノームに合わせることが歩行時のハムストリングスの筋活動に影響したと考えられる。今後は歩行速度を厳格に規定しない方法での研究が必要であると思われた。<BR>【まとめ】歩行速度がハムストリングスの筋活動に与える効果について、3次元動作解析と筋電図を用いて解析した。ケイデンスを規定するとハムストリングスの活動は速度による影響をあまり受けなかった。
著者
渥美 紀寿 桑原 寛明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.4_50-4_66, 2016-10-25 (Released:2017-01-14)

ソースコードの品質を向上させることを目的とし,様々な静的検査ツールが開発されている.静的検査ツールを利用する際は,繰り返し検査を実行して報告される警告を確認し,必要に応じて対処することが重要である.しかし,静的検査ツールが報告する警告にはfalse-positiveが含まれており,それらはソースコードを改変後も繰り返し警告として報告される.この問題を解決するために,本稿では,ソースコードの静的検査において得られる警告に関して,開発者が修正の必要性の有無を記録し,その情報を管理するツールを提案する.本ツールでは,ソースコードの版管理ツールを利用して,記録された警告の対象コードの変更前後の対応箇所を追跡し,既に記録された修正の必要のない警告を非表示にする.これにより,何度も同じ違反を確認する必要がなくなる.
著者
竹村 和朗
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.32-51, 2020-12-15 (Released:2021-01-07)
参考文献数
11

本稿は,エジプトの最高憲法裁判所が2008年に言い渡した,1952年法律第180号の第3条に関する違憲判決を解題し,その全文翻訳を提示するものである。同法は,一般に「家族ワクフ」と呼ばれていた寄進財制度を廃止し,その財産を関係者に分配することを定めた。これは,相続の取り分に関わるため,広汎な社会層に争いを生み出し,そのうちのひとつが最高憲法裁判所にまで至ったのである。同法が制定されてから半世紀以上の時間が経過した後に,なぜこのような展開が生じたのだろうか。判決の影響力はどこまで及ぶのだろうか。本稿の解題部では,判決の資料的側面(第Ⅰ節),判決文から読み取られる家族ワクフをめぐる争いの実相(第Ⅱ節),そして違憲の判断を下した裁判官の論理(第Ⅲ節)を明らかにする。本稿の資料部では,同判決の内容を原形式のまま全訳し,解題部の議論が実際の判決文でどのように表現されているかを確認できるようにした。
著者
岩﨑 葉子
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.2-26, 2019-12-15 (Released:2019-12-24)
参考文献数
32

イランの同業者組合制度は,行政府の側がばらばらに活動する国内の事業者を積極的に束ね,みずから組織化することを義務付けているという点で,競争法を通じて事業者団体による競争制限的な行為を禁止し,市場の公正性を担保しようとする今日の世界的趨勢においてきわめて例外的な事例である。こうした制度が敷かれている背景には,企業間関係が希薄であるがゆえに,相対的に大きな企業による寡占はおろか,事業者による集団的な競争制限行為も生まれにくいというイラン独自の産業組織のあり方が大きく関連している。この意味では同業者組合制度はむしろ,営業活動上における事業者間の非協調的傾向から生じる市場の非効率や混乱を改善する働きが期待できるものである。