著者
牛島 一成 渡辺 裕晃 志村 正子
出版者
Japan Society of Human Growth and Development
雑誌
発育発達研究 (ISSN:13408682)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.72, pp.19-30, 2016 (Released:2016-10-18)
参考文献数
42
被引用文献数
1

[Objective] The Objective of this study was to clarify the relationships among physical fitness, academic achievements, psychological stress scale scores and lifestyles (eating breakfast, sleeping time, time spent for watching television and game). It was done for the subjects of 175 junior high school students in 2014.[Methods] We used the following statistical analyses:the Pearson product-moment correlation coefficient, the one-way analysis of variance, the Bonferroni's method for performing multiple comparisons, the chi-square test by cross tabulation and the logistic regression analysis.[Results] the primary results were as indicated below.1) Academic achievements of boys with higher physical fitness were a little high, and their stress degree was low. They could also perform well on different physical activities such as sit up and standing jump.2) Academic achievements of those who have breakfast everyday were also high, and the stress degree was low. The stress degree of those whose sleeping time a day is less than 6 hours was relatively high.3) According to the logistic regression analysis, among the factors that influenced academic achievements, physical fitness and breakfast showed large influences.As a result, it seems that it is preferable to develop the class of the health education and physical education that considers the physical strength improvement and the breakfast intake.
著者
朝長 正徳
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.545-550, 1979-11-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
12
被引用文献数
6 8

青斑核は, 脳幹におけるメラニン含有神経細胞よりなる核であり, 呼吸調節, 排尿反射, 循環調節, 睡眠覚醒の調節, 情動, 記憶などと関連した機能が考えられている. 本報告では, 老人脳につき, 青斑核の加齢に伴う変化を検討し, 種々な老年期変性神経疾患の際の青斑核の病変とその意義について考察を加えた. 対象は東京都養育院附属病院連続剖検脳より抽出し, 光顕・電顕的に検索した.1) 神経細胞数の変化: 変性神経疾患を有しない60歳より105歳までの老人脳60例について, 青斑核のほぼ中心部での横断面でみられた神経細胞数を計測し, 60歳未満の12例のそれと比較した結果, 60歳以上, 神経細胞数は漸減し, 80歳以上では54%の減少を示した.2) 神経原線維変化および Lewy 小体: 神経原線維変化は, 60~90歳代では10~20%にみられ, 100歳以上では100%にみられた. 電顕的には, 大脳皮質にみられるものと同じ twisted tubule 構造を示した. Lewy 小体は, 90歳以上で33%にみとめられた. Lewy 小体出現例では, 神経細胞数の減少の著しいものが多かった.3) 変性神経疾患における変化: パーキンソン病, 多系統変性症 (OPCA, SND), 老年痴呆で著明な神経細胞数減少がみられた. 神経原線維変化の多発する進行性核上性麻痺の2例では減数はみられなかった.4) 高血圧, 脳出血との関係: 神経細胞数と高血圧, 脳出血の有無との間に関連はみとめられなかった. Lewy 小体出現例では, 高血圧, 脳出血のないものが多かった.以上より, 老年者では青斑核の変化は著しく, また, 老年期の変性疾患で障害されることが多い. これらの事実は, 老年者および老年期変性疾患における, 睡眠異常を含めて, 種々の自律神経症状に関連して来るものと考えられる.
著者
吉田 暁史 Satoshi YOSHIDA
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 = Otemae journal of humanities (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.A113-A134, 2006-03-31

ネットワーク環境における主題検索研究に関しては、あまり顕著な進展はない。その中で、FASTという主題検索システムが登場した。LC件名標目表の豊富な語彙をほぼそのまま借用し、統語論的結合については簡略化したシステムである。LC件名標目表は、意味論的側面、統語論的側面の両方で、大きな問題を抱えている。本論ではLC件名標目表において、名辞の形、意味論的関係性、統語論的結号の各側面について検討する。次にFASTがどのような目的で、どのような経緯で出現したかを論じる。さらに上記それぞれの側面で、LC件名標目表をどのように継承し、LC件名標目表とどのように異なるかを調べる。最後にネットワーク情報資源の検索にとってあるべき姿を論じる。結論としては、(1)もはや事前結合索引にこだわるべきではなく、事後結合索引の方向に向かうべきである、(2)件名典拠ファイルは、語彙管理の部分と統語論的結合部分とに分離し、FASTはそのうちの語彙管理部分をLC件名標目表と共有すべきである、と指摘する。
著者
安田 貢 前田 剛 小林 三善
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.17-29, 2015

KKR高松病院人間ドックセンターでは, 平成25年度より, 任意型検診である人間ドックの胃がん検診において, 受診者全員の血清<I>H.pylori</I>(Hp)抗体価, pepsinogen(PG)値を測定し, 問診内容も参考の上で, 総合的に個々のHp感染状態(現感染・既感染・未感染)を判定している。これをgold standardとした際の, 胃X線(1,535名)の背景胃粘膜読影によるHp感染状態の正診率は91.4%であったが, 現感染と既感染を区別しなければ96.5%と良好であった。今後は未感染者増加への対応が課題と考えられた。この読影方法は胃X線検査のみ実施する対策型検診においても適用可能である。Hp感染が疑われる受診者は, 精検不要であっても感染診断後, 除菌治療が考慮されるべきであろう。胃がんの早期撲滅のためには, 今後すべての胃がん検診システムが「Hp感染胃炎」という新基軸をもとに再構築されていく必要があると考えられた。
出版者
日本エイズ学会
雑誌
日本エイズ学会誌 (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.374, 2004

HIV感染症を疑うべきなのに見落としていませんか?<BR>対応が遅れてしまったりしていませんか?<BR>初診にスポットをあてて、現在のHIV診療の問題、今後の不安について考えていこうと思います。<BR>…時間切れにならないために。<BR>過激な題となりましたが、決して冗談ではありません。<BR>HIV抗体検査をするきっかけ、陽性告知、受診する医療機関、医師やスタッフとの関係、社会制度、そして本人をとりまく環境。今後のさらなる感染者増加を考えれば、将来のHIV診療には多くの問題があります。<BR>「今さら考えても遅い」というような事にならないため、今回はまず初診に関連した問題から話し合っていきましょう。<BR>なお今回は、初診時に便利な資料を作成し、当日の参加者へ配布できるように準備をすすめています。いっしょに参加して、みんなで今後の医療について考えましょう。
著者
深見 聡
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>わが国における観光産業は、2010年代の急速な訪日外国人の増加、過疎地域における交流人口・関係人口の拡大、団体と個人・小グループといった形態の選択肢の多様化など、21世紀の基幹産業としての成長が期待されてきた。そのようななかで、2019年末に中国武漢市での報告に端を発する新型コロナウィルス感染症は、2020年3月にWHOはパンデミック相当との見解を表明した。本稿提出の同年7月末現在、わが国でも経済活動の停滞をはじめ「新たな生活様式」の登場など、その渦中にある。</p><p></p><p> 2020年4月、政府は新型コロナウィルス感染症緊急経済対策の一種として、「Go Toトラベル」キャンペーン事業を打ち出し、7月22日より東京都を対象から外して開始された。星野佳路氏の造語であるマイクロツーリズム、すなわちスモールツーリズムの伸長や、持続可能な観光への後押し効果を期待する論調もある(古田,2020)。また、自治体首長などからは、経済活動の回復への理解や、感染拡大を懸念する声といった賛否両論の声も挙がっている。</p><p></p><p> そこで、本報告は、観光産業への依存度が高い島嶼部に焦点をあて、「Go to トラベル」がもたらす効果と課題を、奄美群島の与論島を事例として予察的な検討を加えていくことを目的とする。</p>
著者
片岡 弘明 田中 聡 北山 奈緒美 村尾 敏
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.350-356, 2013 (Released:2013-07-09)
参考文献数
31

2型糖尿病患者の骨格筋量の低下に影響を及ぼす因子を検討した.対象は2型糖尿病患者111名(男性58名,女性53名)で生体電気インピーダンス方式体組成計を用いて上下肢筋量を測定し,糖尿病に関連する因子との関係について男女別に検討した.上肢筋量および下肢筋量を従属変数としたステップワイズ重回帰分析の結果,男性の上肢ではHbA1c,下肢筋量では糖尿病神経障害とHbA1c,女性の下肢筋量では,糖尿病神経障害,LDLコレステロール/HDLコレステロール(L/H)比が有意な独立変数として選択された.本研究の結果から2型糖尿病患者の骨格筋量の低下には,男性では糖尿病神経障害とHbA1c,女性では糖尿病神経障害とL/H比が関与していた.2型糖尿病患者の骨格筋量低下に関連する因子は複数存在しており,さらにこれには性差が存在していることが明らかとなった.
著者
柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.811-816, 2007

トリインフルエンザA(H5N1)の感染はアジアからヨーロッパまで拡がり,2007年1月には宮崎県にまで達している.このようなトリインフルエンザの拡がりは,ヒトからヒトへと感染するウイルスへと変化する機会が多くなると考えられる.現在のA(H5N1)のヒトに対する死亡率がパンデミックの際にも同様と考えるときわめて大きな被害となるものと考えられる.これに対しては,抗ウイルス薬の備蓄,パンデミックへの進展の阻止,ワクチン技術の開発など種々の対策が必要であろう.新型ウイルスが登場した場合は,1918年のスペインかぜの事例から学ぶことも多い.幸い,1918年のウイルスの感染実験もなされるようになり,その成績が待たれる.<br>
著者
宮川 俊夫 白井 靖男 津田 元久 一色 真幸 西村 英之 遠藤 正治 長嶋 正春
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.205-213, 1993-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

This paper is the first one of scientific reports on Tsui-shu (wooden, urushi lacquered and engraved) cameras. These were made and used in the last days of the Tokugawa shogunate. It was considered that three sets of this kind of cameras were in existence. But today, we can see only two. The authors show X-ray computed tomograms of the camera kept in Fukui Municipal Museum of History. Coating layer on the outer surface of the wooden camera body was estimated at 6 mm thickness in maximum. Hg and Fe were detected by means of fluorescent X-ray spectroscopic analysis, as metal element components contained in the layer. It was observed that the painted crust composed of a thin coated reddish pigment-urushi lacquer layer on a heavy coated and reliefed clay-urushi layer, by means of soft X-ray photography and low magnification micrography. Computed tomograms also showed that the optical system of this camera was composed of only two pieces of single lenses and had about 17 cm of focal length. The F-number was estimated at about 7. The first lens was almost a flat plate and the second was in plano-convex type. UV-visible spectrogram showed that the former was made of glass, not quartz. It was considered that the Tsui-shu Camera was made in Japan, not in China, because of following reasons: 1) an imitative “tsui-shu” and Japanese style wooden craft, 2) the optical system, and its cloisonne wared lens cap and the outer cylider were prepared in Owari area of this country.
著者
柴田 知親 伊東 栄典
出版者
電子情報通信学会 データ工学研究専門委員会
巻号頁・発行日
2018-03-05

近年,ネットワークおよびモバイル端末の普及に伴い,Youtube やニコニコ動画といった,利用者投稿型動画共有サービスが人気である.動画以外にも,小説家になろう,pixiv,comico などに代表される,小説やイラスト,漫画などの投稿サイトも人気である.これらのサイトは,CGM(Consumer Generated Media)とも呼ばれる.我々は,CGM の一つであるニコニコ動画を対象に,動画のランキングや推薦を研究してきた.他のCGM と同様に,ニコニコ動画では極少数の動画は大量に再生されるのに対し,ほとんどの動画は再生回数が少ないというロングテールの分布をする.利用者が何らかの選択基準により動画選択した結果が再生回数に現れていると考えられる.そこで,CGM における利用者のコンテンツ選択モデルを確立したいと考えている.本研究では,コンテンツ選択モデル確立のために,動画の再生回数を回帰分析で推定する.最初に線形回帰分析で再生回数の推定した.その結果,多様な動画が含まれていると推定精度が低くなった.次にDeep Learning を適用し,Multi Layer Perceptron による再生回数の非線型回帰分析を行った.対象の動画集合の多様性を減らすため,クラスタリングで動画集合を分割した.分割した動画集合について,Deep Learning で再生回数を推定した.これらの手法および結果について報告する.
著者
須藤 賢司
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.137-144, 2009-07-10 (Released:2015-06-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

放牧営農に際しては飼養頭数、放牧方法、自給飼料の栽培面積等について最適な組み合わせを考える必要があり、実際、放牧酪農経営は多様性に富んでいる。この点を踏まえ、循環型酪農における放牧の役割について考察した。放牧導入には牛舎周辺への草地の集積が前提となるが、ここで生産される放牧草を短い草丈で利用すれば、貯蔵飼料よりも栄養価を高く維持でき、輸入濃厚飼料の給与量を減らせる。放牧では、牛にできることは牛にやらせることが基本であり、粗飼料の収穫調製と牛舎での給与ならびに糞尿処理作業に関わる労力・機械費・燃料が軽減され、従事者のゆとりが増す。北海道十勝地域で実測した値等をもとに行った試算では、放牧草採食量を13-15kg(乾物)確保し、舎飼期も粗飼料を活用する飼養体系を採った場合、以下の点が明らかになった。①圃場面積は経産牛1頭あたり約70aを要すること、②これらの値は環境保全を考慮して算定された経産牛1頭あたりに確保すべき糞尿還元面積とほぼ一致し、物質循環性は保たれること、③輸入飼料価格高騰の影響を緩和でき、持続的農業生産の観点からも有利なこと。放牧地面積が充分でなくとも、放牧時間を短縮することにより放牧導入は可能である。ただし、過放牧や牧区内の不均一な利用による糞尿成分の系外への流出防止に配慮する必要がある。環境保全が重視される点は放牧酪農でも変わりはなく、単位面積あたり放牧頭数と放牧時間の設定に留意すべきである。今後は、放牧の環境への影響をモニタリングし、定量化する技術の研究が望まれよう。
著者
堤 広之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.8, pp.925-931, 2012-08-01 (Released:2012-08-01)
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

Two crystals of a complex of (−)-gallocatechin-3-O-gallate (GCg) with caffeine and crystals of the complexes of (+)-catechin (CA) and (−)-catechin-3-O-gallate (Cg) with caffeine were prepared, and their stereochemical structures and intermolecular interactions were determined in X-ray crystallographic analysis. GCg formed 1:2 and 2:2 complexes with caffeine, and π-π interactions formed between the aromatic rings of GCg and caffeine in both complexes. In addition, CA of nongalloylated catechins formed a 1:1 complex with caffeine through intermolecular hydrogen bonds, whereas Cg of galloylated catechins formed a 1:2 complex with caffeine, which was formed by face-to-face and offset π-π interactions and intermolecular hydrogen bonds.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1898, pp.32-34, 2017-07-03

異形の経営者が作り上げた日本最大の「ユニコーン」(時価総額10億ドル=約1100億円以上の非上場企業)──。こう称されるDMM.com(東京都港区)の社長として今年1月、社外から招聘されてきた人物がいる。2007年に立ち上げたイラスト投稿サイト「pixiv」を、世界的…