著者
藤居 良夫 渥美 浩和
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.61-70, 2008-02-25
参考文献数
7
被引用文献数
2

冬季五輪開催都市である長野市を対象にして, 市街化区域外である都市縁辺部において農振除外, 農地転用, 開発許可の動向を調べ, 開発許可と関係性のある要因の抽出と開発許可の空間的特性を把握し, 土地利用の規制における問題点と課題を検討した. その結果, 土地利用の変化は, 冬季五輪の開催に伴う施設の建設や交通網整備の影響を強く受けており, とくに行政主体で行われた農振除外と公的転用が長野市におけるスプロール化を促進させたこと, 農振除外や農地転用は地域全体の土地利用の計画性を考慮することなく行われ, その後の土地利用の規制に対しても不備であること, したがって, 市域全体にわたる包括的な土地利用制度が必要であることなどがわかった.
著者
平 博司 福島 伸一 大澤 幸生 伊庭 斉志 石塚 満
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 = Transactions of the Japanese Society for Artificial Intelligence : AI (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.268-275, 2002-11-01
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

Information on the World Wide Web(WWW) is increasing day by day because of its open characteristics. It becomes difficult for users to find useful information in this huge WWW information space. Even if a user can fortunately find useful pages, it is difficult for him/her to acquire all the aspects or a structured knowledge view regarding his/her query.       In this paper, we describe a system called “AreaView2001”, which presents an overall structured view of the queried area together with a set of useful Web pages explaining the area and its subareas. The style of the presentation is similar to book style, consisiting of chapters and sections. When extracting important keywords of the area from collected Web pages, the system employs the method of KeyGraph which can extract keywords of the main topics and underlying basis knowledge of a text document.       AreaView2001 is particularly useful for those users that want to know unfamiliar areas, such as academic areas, since the area knowledge available in the WWW will be presented as a collection of useful Web pages sorted out according to the overall structure of the area. Although the area knowledge to be presented by the system is not so well structured as book chapters because of the full-automatic structuring, it can provide a variety of vivid knowledge not available in books. Some experimental evaluations are given to illustrate the effectiveness of the sysytem.
著者
本間 覚
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.3368-3378, 2012 (Released:2013-12-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

医学の急速な進歩と強力化は,医療における安全管理・危機管理・品質管理の導入を不可欠にした.各医療施設には医療の危険(リスク)に対する管理体制および教育体制を構築して実施することが求められている.その中で,インシデントやアクシデント(医療事故)報告は,医療安全を学ぶ教材であるばかりでなく,組織が迅速に危機管理するための情報源でもある.さらにインシデント等を品質の"はずれ値"と捉え,経験深い熟練者(管理者)によって医療品質の向上に活用させることが本質的に重要である.

1 0 0 0 IR 命名の法理

著者
田中 実
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.1-19, 1964-10

一 問題の所在二 命名の法的規制三 個人を特定する手段としての名四 命名行為と命名権論説
著者
山崎 孝史
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2008年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.412, 2008 (Released:2008-12-25)

地政学の「魅力」と地政言説 言葉による表現が、特定の空間や場所をめぐる想像や表象を意味し、歴史的・政治的な文脈の中である種の真実性を持つものとして扱われることがある。その政治的に重要な例が「地政言説」である。オトゥーホール(O' Tuathail)によれば、地政学は「国家間の競争と権力の地理的な側面を強調した世界政治に関する言説」である。オトゥーホールは、現代において地政学がジャーナリスト、政治家、戦略思想家などにとって魅力であるという。ジャーナリストや政治家は地政学をとおして、混沌とした日常的な出来事を超えた、本質化された差異にもとづく永続的な対立や根源的な闘争を見出そうとする。そこで地政学を言説としてとらえるならば、特定の政治家や戦略思想家が「現実」として示す世界が、実は特定の時間と空間の文脈から描き出されていることや、多様で複雑な現実を特定の視点から単純化されていることに気づくことができる。 地政言説の構成と物質的基礎 言説は単に書かれたものとして主体の位置、実生活、あるいは社会の諸制度から遊離しているわけではなく、それらの中に埋め込まれている。地政言説を例にとれば、世界政治の表象は特定の国家の物質的な要素(人口・資源・産業・資本など)と無関係ではなく、それを基礎としてつくり出される。オトゥーホールは地政学の概念的構成を図解している。図の上部におかれるのが三つのタイプの地政言説とその具体的な形態であり、これらの言説は地政的想像力によってつくり出される特定の地政的伝統から派生している。地政的伝統とは、特定の国家の構造を基礎としている。こうした図式は国際関係の分野での言説構成の理解には有効であるが、それ以外のスケールではどうだろうか。 スケールと言説 政治地理学的にみると、地理的スケールは重要な政治的意味を持つ。個人または集団による政治行動は特定の場所において展開し、一定の空間的広がりを持つ。スミス(Smith)が分類する身体からグローバルにいたる7つのスケールは、政治行動が展開される空間的広がりの程度を示している。特定の政治問題や政治行動は特定のスケールを基盤に発生・展開し、またそのスケールの操作をめぐって政治的な駆け引きが起こる。これを「スケールの政治」と呼ぶが、問題のスケールが重層的な場合「スケールのジャンプ」と呼ばれる現象が起こる。こうしたスケールの政治にも地政言説が関係する。それを「スケール言説」と呼び、政治行動の理念的部分において重要な役割を果たす。政治問題や政治運動は単一のスケールで展開するものではなく、多様なスケールの間を往復する。故にスケール言説の分析についてもマルチスケールの視角が求められる。 言説分析の方法 では言説はどのように分析されるのであろうか。社会運動における主体と場所や空間との関係とを明らかにするために、フレーム分析の手法を用いることができる。フレーム分析は、社会運動を「枠づける=フレーミング」言説に着目する。社会運動は特定の信念、価値観、あるいは世界観のもとに組織され、運動組織は自らの活動を正当化し、敵対する立場や組織の考え方を否定する。フレーミングとは、そうした運動の理念を言語的に表現する行為である。フレーミングに着目することで、特定の組織の活動理念の形成過程のみならず、組織内あるいは組織間での異なった理念の同調や対立を検討することができる。こうしたフレーミングは複雑な現実を言説的に単純化することで人々の支持を得ようとする。この点では地政言説と同様の働きをもっている。 地政言説から政治を読む 地政言説と政治との関係を理解することは、地理学という観点から政治を分析する上で有効となる。また、特定の個人や集団が空間や場所を表象する行為から政治的な意図や権力関係を読み取ることは、政治という営みに対する感受性や批判的思考力を高めることにもつながる。そして、私たちがより賢明な市民や有権者であるためには、地政言説の作用に敏感であるばかりでなく、そうした言説の基礎をなすもっと複雑で錯綜した世界や社会の物質的構成(人口・権力・その他資源の配分、すなわち地理そのもの)を理解せねばなるまい。
著者
真山 仁 深田 武志
出版者
日経BP社 ; 1985-
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.413, pp.20-23, 2016-11

──日本の宇宙技術がテーマのスパイ小説『売国』(2014年)がドラマ化されます。真山さんにとってどんな位置付けの作品ですか。 『売国』は東京地検特捜部の検事を主人公にした小説なのですが、それを通じて「政治」のチャンネルを強くしていきたいという意…

1 0 0 0 OA 家長選挙制論

著者
磯野 誠一
出版者
日本法社会学会
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.7-8, pp.235-264, 1956-07-20 (Released:2009-04-03)
参考文献数
55
著者
立川 敬二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-7, 2001-01-15

情報処理学会はコンピュータが日本に入ってから間もない時期に設立されたと伺いますが,今や隆盛のコンピュータの世界を思いますとき,皆様は先見の明をお持ちでいらしたと申し上げられます.このコンピュータパワーを我々,移動通信の方でも大いに活用させていただこうと思っておりますし,現実に最近はもっぱらコンピュータ関連のビジネスが盛んになっているといえると思います.
著者
越智 敦彦 直井 牧人 江夏 徳寿 藤崎 明 船田 哲 鈴木 康一郎 志賀 直樹 太田 智則 久慈 弘士 細川 直登 岩田 健太郎
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.644-648, 2011 (Released:2012-08-09)
参考文献数
7

連鎖球菌感染の内,特にA群溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎は短時間に敗血症性ショック,多臓器不全から死に至る可能性がある重症感染疾患であり,救命には早期かつ適切な治療(壊死組織のデブリードマンと抗菌薬加療)が要求される.デブリードマンされた組織の鏡検にて連鎖球菌を認めた場合,それがA群溶血性連鎖球菌であるかどうかは,培養結果を待つことなく咽頭用の迅速A群溶血性連鎖球菌抗原検出キット(ストレップA)を用いることで予想することができる. 今回我々は,この検査キットを使用することで早期にA群溶血性連鎖球菌感染症と判断し得た,61歳男性の陰部に発症した壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)の1例を経験した.その起炎菌の早期同定が,適切な外科的処置と抗菌薬の選択を可能とし,救命に繋がったと考えられたため報告する.
著者
横尾 英史
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.30-38, 2018

<p>廃棄物とリサイクルの経済学は植田和弘先生の初期の研究課題であり,それをまとめたものが植田(1992)である.本稿は植田(1992)を簡潔に解説し,その後の四半世紀のこの分野の進展と今後の展望を論じる.これから望まれる研究としては,第一に発展途上国の廃棄物問題とそれに対する政策を課題とすることである.第二に行動経済学の理論に基づいて廃棄物管理・リサイクル政策の手法を研究することである.第三に開発された政策の評価を経済学的なフィールド実験を用いて行うことである.本稿を通じて,植田先生の先見の明が確かめられ,取り組まれるべき課題が整理される.</p>
著者
宮内 久光
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>本研究では,座間味島を対象地域として,観光事業所,特にマリンレジャー事業所の経営形態や事業状況を調査し,それらの結果を1997年調査以降の島を取り巻く環境の変化や経営者の現状評価や経営方針などと関連付けながら検討することを目的とする。2015年9月現在,座間味村公式HPには,座間味島にあるマリンレジャー事業者として39店が掲載されていた。このうち,調査時に営業をしていた34店の事業者に対して,アンケート調査を実施した(2015年9月〜10月)。回収したアンケート調査票は32店(有効回答率94.1%)であった。アンケート調査は全体集計とその考察のほかに,事業所設立年代別や,提供するマリンレジャーの種類別に集計を行い,グループ間の比較を行った。</p><p> 1997年調査時に座間味島には21店のダイビングサービスが立地していた。2015年調査ではそのうち19店が存続しており,事業の持続性は高い。また、1997年調査では,全事業所がスキューバダイビングのガイドサービスをしていたが,その後に開設された事業所の中には,ダイビングのガイドサービスをしない店が5店ある。2000年代以降,座間味島のマリンレジャー産業は,それまでのダイビングガイドサービス一辺倒から,SUPやカヤックなど新しいマリンレジャーを取り込んで,提供サービスの多様化が進んできている,といえる。 </p><p> 2010年代は島の観光を取り巻く社会的条件に恵まれて観光客は増加している。しかし,マリンレジャー事業者の中には,スキューバダイビング以外のマリンレジャーを楽しむ層が増えただけ,と認識している人もいる。また,一般旅行客が増えたために,船舶や宿泊施設の予約が取りにくくなり,ダイビングのリピーター客の中には,行きたい時に中々チケットがとれない座間味島を敬遠する動きが出ている,と経営者たちはみている。</p><p> マリンレジャー経営者は日本人の若年層の個人客を顧客のターゲットとして捉えており,外国人や団体客を重視していない傾向がみられた。</p>
著者
金 彦志 矢野 夏樹 梅田 真理 韓 昌完
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.484-493, 2020

限局性学習症(Specific Learning Disorder : SLD)の児童生徒において早期発見と学習支援についての関心が高まっている。SLDの児童生徒を評価するためには学習困難に影響を与えている要因を明らかにし,その要因を教育的対応によって取り除いた上で彼らの学習を改めて評価する必要がある。本研究では児童生徒の教育的ニーズを評価するための尺度であるInclusive Needs Child Record(ICR)の評価データを分析することで,SLDの可能性のある児童生徒の学習に影響を与える要因を明らかにすることを目的とする。研究の結果,ICRにおけるSLDモデルとして読む,書く,計算する,推論するの4領域を含むモデルにおいて良好な適合度が検証された。また,そのモデルに影響を与える要因として,身体の状態,姿勢・運動・動作,不注意,自己肯定感が明らかになった。
著者
星野 高徳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.31, 2020

<p>戦前の東京市、大阪市、名古屋市では、近世以来の農村還元処分が重要な役割を果たしていたが、市営汲取、下水処理化については、異なる対応がとられ、汚物掃除費の水準に相違が見られた。東京市は部分的に屎尿の下水処理化が試みたものの、主に従来の農村還元処分を拡大することによって、屎尿問題の緩和を図っていたため、汚物掃除費は高い水準で推移した。それに対して、大阪市は汲取処理は根本的な解決策にならないと考えたため、下水道、下水処理場による処理を目指し、汚物掃除費ではなく、下水道整備に対する費用を充実させていた。名古屋市は下水処理と農村還元処分を併用することにより、衛生面と財政面の双方の問題に配慮しており、汚物掃除費は大阪市より高い水準で推移した。3市の政策に相違が見られた要因としては、①下水道の敷設、屎尿の運搬に関係する地勢の違い、②大阪市の関一のようなリーダーシップを持った市長の存在が挙げられる。</p>
著者
上里 迅 真栄田 裕行 金城 秀俊 安慶名 信也 平川 仁 鈴木 幹男
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.233-238, 2020

肺癌患者において開胸下の右上葉切除術と,頸部アプローチによる巨大な腺腫様甲状腺腫(AG)摘出術の同時施行例を経験したので報告する。患者は頸部圧迫感を主訴とする70歳の男性。精査の結果,右肺上葉S2区の肺癌と同時に上縦隔におよぶ右甲状腺腫瘤が発見された。甲状腺腫瘤は気道を圧排し,頸部圧迫感の主因であると考えられたため,肺癌と同時に甲状腺腫瘤摘出が計画された。AGは頸部操作のみで摘出可能であった。術後の経過は極めて順調であったが,縦隔炎や膿胸,胸骨骨髄炎など合併症の発症リスクを抑えるため,気管切開を併施せず,気管内挿管による気道管理を選択したことが理由として考えられた。