著者
森 玲奈
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.49-58, 2014-03-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
28

本稿では,日本におけるワークショップの展開とその特質に関し,ワークショップ実践史を整理する。その上で,これまでワークショップ実践史の源流にあるとされてきたデューイの教育思想を手がかりとし,実践者育成のための方法を検討することを目的とする。本研究では,以下の作業を通じ,日本のワークショップの系譜とその背景にある思想を明らかにする。第一に,アメリカを中心とした海外のワークショップ実践の背景を整理し,その背景にあった社会状況を明らかにする。第二に,日本におけるワークショップ実践史を,海外から方法の移入した状況や契機,実践者同士の交流と相互作用に着眼し記述,整理する。第三に,海外におけるワークショップの系譜と,日本におけるワークショップの系譜との差異について確認し,日本におけるワークショップの系譜が独自の展開を遂げてきたことを示す。これらを通じ,(1)海外では各領域における問題解決のための「新しい方法」としてワークショップが生み出されており,その時期は領域によって差があること,(2)日本では,1970~80年代にその契機があり,個々の領域において領域に特化された手法として別個に導入されたため,実践者育成が領域の中の細分化された集団で行われることが多かったこと,(3)ワークショップをプラグマティズムという思想潮流の中で捉えることにより実践者の育成に貢献できること,を論じる。
著者
伊藤穣
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.84(2004-MUS-056), pp.89-94, 2004-08-03

近年,日本の伝統的な音楽が見直されつつあり,2002年度より義務教育に導入された.日本の伝統音楽では,独特の記譜法が用いられており,その読み方を学ぶための有効な教材の開発が求められている.そこで本研究では,箏譜に親しみながら,体験的にその読み方を学習することができる楽譜処理システム「箏譜エディター」を開発し,(1)縦書きの箏譜を作成できる,(2)作成した楽譜を演奏できる,(3)MIDIファイルを作成できる,などの機能を実現した.そして,このシステムを実際に教育現場にも導入し,その運用方法について考察した.本研究は,IT技術を用いて日本の伝統的な音楽の教育を支援する上での,ひとつの方法論を示すものであると考える.

1 0 0 0 OA 3)A,E型肝炎

著者
岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.433-438, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
10
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.342, pp.136-141, 2001-05-21

大手プロバイダ約20社と提携して,インターネット上の動画配信用インフラを全国展開するJストリーム。テレビ局やラジオ局を含む多数の企業が動画配信サービスに利用している。5月7日からは,広域負荷分散システムを稼働させて,"途切れない"動画配信の提供を始めた。
著者
蓮井 宣宏 長尾 玄 鶴見 賢直
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.113-119, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
54

症例は80歳,女性。自殺企図のため強酸性洗剤を300 ml内服し,腐食性食道炎および化学性肺炎の診断で緊急入院した。急性期は集中治療を行い,全身状態は改善した。しかし高度の食道狭窄をきたし,内視鏡的バルーン拡張術を複数回試みたが改善を認めず,第129病日に外科治療を行った。術式は高齢,肺癌併存状態を考慮し,食道切除は行わず細径胃管,胸骨後経路,頚部吻合によるバイパス術に留めた。術後は縫合不全を認めたが保存的に改善し術後34日(受傷後163日)に独歩退院した。吻合部狭窄に対して複数回の内視鏡的バルーン拡張術を要したが食道癌の発生もなく,2年の経過を経た。今回我々は腐食性食道炎を経験し,良好な経過を得たので本邦の報告例とともに文献的考察を交えて報告する。
著者
野瀬 善勝
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.253-271, 1972 (Released:2011-10-21)
参考文献数
78

The author has observed the suicide rate and homicide rate of the past 60 years (1900-'60) not only in Japan but also in many foreign countries from the standpoint of epidemiological statistics and has synthetically studies the relationship of specific qualities of its biological (sex, age), geographical (distribution) and time (yearly trend, seasonal variation) phenomena, with life-environment (chemicophysical, biological, social), and an epidemiological study clears it out that soil aggregation may be found both in suicide rate and in homicide rate. The outstanding features are as follows. 1) The geographical distribution of suicide rate has keen connection with the chemical constituents of river water. Where pH-value is in neutral or alkalic and Ca/K ratio is also large, and Na+K/Ca+Mg ratio is high, suicide rate is high. 2) The geographical distribution of homicide rate has keen connection with the chemical constituents of river water. Where pH-value is slightly acidic, and Ca/K ratio is also small, and Na+K/Ca+Mg ratio is high, homicide rate is high. 3) Therefore, geographical distribution of suicide rate and homiside rate is in reverse order fundamentally. 4) In short, how electrelytic balance with K and Ca as their central figure may be suposed greately to have relation with postnatal disposition that apt to go to suicide or formation of postnatal disposition that apt to go to homicide.
著者
谷川 力 沢辺 京子 山内 雅充 石原 新市 富岡 康浩 木村 悟朗 田中 和之 鈴木 悟 駒形 修 津田 良夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.31-33, 2015
被引用文献数
5

国内で感染したと推定されるデング熱患者が千葉市で2014年9月8日に確認された.翌日,患者宅周辺を対象としてヒトスジシマカの成虫防除を実施した.防除対策の対象範囲は,航空写真を利用して住宅地周囲の植栽や蚊成虫の潜伏場所を検討し,患者の家を中心とする半径100メートルの円内および近隣の公園とした.殺虫剤の散布前に6カ所で8分間の人を囮にしたスイーピング法によってヒトスジシマカ成虫の密度を調べたところ平均2.8頭であった.密に茂った藪や生け垣など大きな成虫潜伏場所に対する殺虫剤散布には動力噴霧機を使用し,7%エトフェンプロックス水性乳剤を50倍希釈し,500 ml/m<sup>2</sup>で散布した.狭い空間や物陰,小さい植栽への散布にはハンドスプレイヤーを利用し,フェノトリンを50倍希釈し,50 ml/m<sup>2</sup>で散布した.さらに,公園周辺の排水溝にはフェノトリン含有の液化炭酸ガス製剤を1 g/m<sup>2</sup>で散布した.その結果,散布直後にはヒトスジシマカの密度は平均1.2頭に減少していた.