著者
松井 貴子
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.7-21,178-177, 1996

<p> Modern Japanese literature is closely related to the visual arts. This fact is especially apparent in the literary theory of the Meiji poet and essayist Masaoka Shiki (1867 -1902). Shiki's theory of <i>shasei</i> ("drawing from life"), an ideal which has exercised immense influence on modern Japanese literature, first emerged from his indirect encounter with the art theory of Italian painter Antonio Fontanesi (1818 - 1882). Arriving in Japan in 1876, Fontanesi taught painting and art theory for two years at Tokyo's Kōbu Bijutsu Gakkō. Among his students were Koyama Shōtarō (1857? 1916) and Asai Chū (1854 - 1907), two painters who in turn later were to become the teachers of Nakamura Fusetsu (1866- 1943), Shiki's friend and chief source of information about Western art theory. Through his exchanges with Fusetsu, Shiki gained an entirely new insight into literature, and a new literary vocabulary as well.</p><p> This essay makes a detailed study of the influence which Fontanesi and Western art theory had on Shiki, and how this influence is reflected in Shiki's various crtical and literary wrtings. In particular I focus on the following six points:(1) Fontanesi's reception in Meiji Japan, (2) Fontanesi's expansion of the field of subjects considered appropriate for artistic representation to encompass all phenomena, however apparently trivial or mundane, (3) Fontanesi's teachings regarding compositional principles, especially the deliberate selection of elements for representation..., (4) Making the central theme of the work stand out..., (5) Arranging individual elements into an aesthetically satisfying whole, (6) The influence of Fontanesi's ideas as reflected in Shiki's own creative work.</p><p> Shiki was able to apply the theory and vocabulary of the visual arts to his study of <i>literature</i> because he recognized the points in common to both. This insight in effect allowed him to forge a new theory of literature from the <i>art</i> theory which Fontanesi had taught, skillfully adapting the principles of the latter, primarily visual genre, to the very different problems of language and literature. Thus, Shiki's literary theory, which exerted considerable influence on later novelists as well as on tanka and haiku poets, in turn was strongly influenced by Western art theory. The emphasis that Shiki places on reinforcing literary "practice" with a well-constructed aesthetic theory —— borrowing widely across cultures and genres —— serves as evidence of his strong desire to recast native Japanese literary genres into forms viable for the modern world.</p><p> Although the influence of Western art theory on Shiki has been recognized among scholars for several decades, the exact process by which Shiki came to know of and assimilate Fontanesi's ideas has remained unexplored. This paper seeks to redress this oversight, providing a glimpse into the way Western aesthetic theory infiltrated Japanese literature and art during the Meiji period.</p>
著者
粟村 倫久
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.62, pp.29-80, 2009

【目的と方法】本研究の目的は,Elfreda A. Chatman の研究視点が情報利用研究に持つ意義を明らかにすることである。本研究は,理論形成期と理論提示期に分けて,Chatman の研究を理解することを試みる。まず,理論形成期の彼女の研究の論点整理を行う。その理解に基づいて,提示された理論の統合的解釈を行う。そのうえで,彼女の研究視点の展開の方向性を考察する。【結果】理論形成期のChatman は,貧困者たちが周囲の対人関係を無制限に利用するのではなく,むしろその関係の維持を常に気にしながら情報探索・利用を行っているという発見に,最終的に到達した。この発見は,情報貧困,そして貧困者の情報探索・利用に対する彼女の視点を,転換に導いた。Chatmanは,理論の中で,彼女の新たな情報探索・利用理解を提示した。この理解は,それ以前の情報利用研究とは異なり,「当たり前の,問題のない生活」の維持の一部としての情報探索・利用に焦点を当てる,という独自のものであった。この理解は,相互主観性,そして情報探索・利用と社会の間の相互反映性を扱えるという意味で,情報利用研究に理論的貢献をなした。このことが,彼女の研究視点の一つの意義である。理論以外のChatman の研究視点の意義として,三つの今後の研究の展開の方向性を導くことができる。一つ目の方向性は,特に組織体の情報探索・利用を扱う形で,分析対象を拡大することである。二つ目の方向性は,知識の維持・利用を描くにとどまった彼女の研究を超えて,知識の作成・修正プロセスを探究することである。三つ目の方向性は,状況と情報探索・利用の相互関係のより詳細な探究である。原著論文
著者
門間 美千子 齋藤 昌義 千国 幸一 斎尾 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.938-942, 2000-12-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

米胚乳部の主要な貯蔵タンパク質であるプロラミンは層状の堅固な構造をもつ難消化性のプロテインボディに蓄積される.本研究では,胚乳に含まれる貯蔵タンパク質の組成や,そのうちのプロラミンのポリペプチド組成がPB-Iの構造に与える影響を検討するために,貯蔵タンパク質組成の異なる変異体米の胚乳組織の微細構造を透過型電子顕微鏡で観察した.プロラミン組成の変異体のうち,esp-1(13kd-b減少変異体)の組織構造およびPB-Iの構造は,これまでに報告した通常の米とほぼ同様であった.しかし,esp-3(13kd-a,10kd減少変異体)では,PB-Iの層状構造の密度が低く,輪郭が不明瞭であり,Esp-4(10kd,16kdプロラミン増加変異体)では,高密度の層状構造をもったPB-Iが数多く観察された.これらPB-I構造の差異は,プロラミン構成ポリペプチドに含まれるシステイン含量の変動によると推定された.一方,グルテリン増加変異体の胚乳細胞では,PB-Iと見られる顆粒は,小型で層状構造もほとんど観察されず,グルテリンの増加が,PB-Iの形成に影響を与えることが示唆された.
著者
大家 千恵子
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
no.19, pp.161-166, 2010-03
被引用文献数
1

筆者は、食育の題材「おこめ だいすき」を考案した。指導計画は全3時間で行った。紙芝居「おこめ だいすき」を使った授業では、全ての児童が4点の米の良さをまとめることができた。感想の中には、「これからご飯をしっかり食べてがんばりたいと思っている」という意見があり、米の良さを再認識できた児童がいた。紙芝居「おこめ だいへんしん」を使った授業では、米から作られる食べ物を料理法と一緒に学習した。児童は、米から作られる食べ物の多さに驚いていた。同時に、米を大切にすることの必要性を感じた児童もいた。調理実習「おにぎりパーティ」では、児童は自分で作ったおにぎりのおいしさに感動し、また自分で作ってみたいという気持ちを持った。事前、事後のアンケートを比較すると、明らかに米に良い印象を持つ児童が増え、米に関する知識の向上が確認できた。つまり、題材「おこめ だいすき」の教育的効果が認められた。
著者
友枝 明保 小野 隼 杉原 厚吉
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.3-9, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
18

クレーター錯視やホロウマスク錯視は,知覚する立体の凹凸が反転して見える錯視として有名である.クレーター錯視では,照明がもたらす陰影によって凹凸が反転すること,ホロウマスク錯視では,凹凸の反転に加えて,観察者の視点位置の変化に伴った立体の回転運動が錯視として観察されることが知られている.「矢印の幻惑」(友枝・杉原,2012)は,計算によって得られたくぼんだ構造を持つ矢印型の新しい錯視立体であり,クレーター錯視やホロウマスク錯視と同様の錯視現象が観察される.さらに,「陰影付き矢印の幻惑」(友枝・小野・杉原,2013)は,適切な陰影を与えることで,平面に描かれた矢印と錯視立体を同一のデザインとして見せることに成功している.本稿では,これらの作品を創作する数理的な方法として,くぼみ構造を持つ矢印型の錯視立体を構成する幾何計算,および,凹凸復元の手がかりとなる各面の陰影を計算する方法について解説する.
著者
仲 真紀子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.303-313, 2012 (Released:2013-01-01)
参考文献数
43
被引用文献数
12 8

We investigated how different ways of interviewing, i.e., free recall (FR), free recall with context reinstatement (CR), asking misleading questions (Q), or interviewing with open-ended questions (O) affect children's eyewitness reports and their subsequent memory of a viewed event. Participants were 249 eight and ten year-old children. Children were shown a video, and then were interviewed using either FR, CR, Q, or O, followed by an immediate recognition test, and a delayed recall and recognition tests several days later about the event. Results showed that O interviews elicited a greater amount of accurate information than FR, CR, and Q interviews. For older children, CR interviews elicited more accurate information than FR and Q interviews without eliciting inaccurate information. However, for younger children, the subsequent recognition memory for the event was more accurate for children who were interviewed using FR and O. These results suggest that O is the most effective way of conducting investigative interviews with children not only to elicit accurate information but also to keep their memories relatively intact.

1 0 0 0 耳袋

著者
根岸鎮衛著 鈴木棠三編注
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
1972

1 0 0 0 耳袋

著者
根岸鎮衛著 鈴木棠三編注
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
2000

1 0 0 0 OA 独唱:荒城の月

著者
土井 晩翠[作詞]
出版者
コロムビア
巻号頁・発行日
1950-06
著者
有家 尚志
出版者
日本徒手理学療法学会
雑誌
徒手理学療法 (ISSN:13469223)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.49-53, 2020 (Released:2020-10-27)
参考文献数
6

英国では,理学療法士の卒後教育としてのプログラムが充実している。なかでも,大学院教育は体系だった形として存在し,海外の学生も柔軟に受け入れている。医療専門職として卒後も継続的に成長していくことが,免許の更新や,職場での昇進にも反映される仕組みがとられている。筆者は,英国での就労を前提とした留学計画を立てて進学した。そこで今回,英国の大学院および免許登録に関する概要について述べる。
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
1957
著者
藤原 章雄 斎藤 馨
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.601-604, 1998-03-30
参考文献数
6
被引用文献数
4 7

映像を記録収集, デジタル化し, さらにネットワークで共有するための映像情報処理は, ランドスケープ情報を共有するための有効な技術であり, これらは, 新しい情報処理技術の応用により実現される.実際に森林環境情報の定点映像による基盤整備に関して行ったこれらの技術の応用例を取り上げて評価し, 現時点での課題を明らかにした. 森林映像情報の記録のために森林映像記録ロボットを開発し実用化した. 記録した映像はデジタル化し, インターネットによる共有, 表示を可能にした. 森林内に設置することからカメラの設置方法とフレームの決定に問題が生じることが明らかになった. 電源の簡素化, 制御システムの汎用化が今後の課題である.
著者
大西 治夫 伊藤 千尋 鈴木 和男 仁保 健 下良 実 山口 和夫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.139-144, 1981 (Released:2007-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

tofisopam の嗅球摘出ラットにおける拘束ストレス潰瘍,水浸拘束ストレス下における腸管輸送能およびウサギ視床下部電気刺激による自律神経反応に及ぼす影響について検討した.嗅球摘出ラットに拘束ストレスを負荷することにより,胃潰瘍の発現率および潰瘍指数の上昇が認められた.tofisopam は嗅球摘出ラットにおける拘束ストレス潰瘍を著明に抑制した.ラットに水浸拘束ストレスを負荷したところ,明らかに腸管輸送能の亢進が認められたが,tofisopam はこの腸管輸送能の亢進を抑制した.ウサギの視床下部(内側視索前野)を電気刺激したところ,耳介細動脈および細静脈の収縮,耳朶温の低下,瞳孔径の増大などの変化が認められた.tofisopam 1mg/kg 静注により,視床下部の電気刺激による耳介細動脈および細静脈の収縮ならびに瞳孔径の増大に対する抑制が認められた.また,tofisopam 0.1mg/kg の脳脊髄内投与によっても,視床下部の電気刺激による耳介細動脈の収縮,耳朶温の低下および瞳孔径の増大に対する抑制が認められた.これらの結果は,tofisopam が各種ストレス負荷時にみられる自律神経系の異常を改善し,さらに,自律神経系の高位中枢である視床下部に対しても作用を有することを示すものと思われた。
著者
澤田 彩音 佐野 百香 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.309-314, 2020-10-20 (Released:2020-10-27)
参考文献数
12

筆はさまざまなメイクアッププロセスで使用される。しかし,メイクがなされる際の動きや力の入れ具合について定量的な解析はほとんどされておらず,メイクのしやすさや仕上がりの上手下手を支配する因子についてはほとんどわかっていない。われわれは,サンプル台に置かれたネイルチップに筆で線を描くプロセスを高速カメラで観察しながら,チップに加わる垂直力と摩擦力をセンシングするシステムを開発した。さらに,このシステムを用いて20名の被験者がチップ上に市販のネイルエナメルを用いて1本の線を描いたときの運動と仕上がりの関係を解析した。その結果,塗布開始直後に垂直力を徐々に強めながら,目的に合った線を引くための力の入れ具合や筆の角度の調整が行われると,幅が均一で真っ直ぐな線を引くことが可能になることが示唆された。本研究の成果は,メイクの仕上がりの支配因子を明らかにするうえで有用である。
著者
杉崎 隆一
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.213-224, 1989-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
29