著者
松島 英介
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.18-26, 2015-01-15 (Released:2018-02-22)
参考文献数
25
被引用文献数
1

せん妄の病態を解明するために,せん妄患者の生理学的基盤を検討した研究を概観した。頭部CTや頭部MRIなどの脳形態画像を用いての検討では,大脳皮質の萎縮や白質の高信号域,基底核病変などの所見が認められた。頭部SPECTを用いた脳機能画像による検討では,脳血流が前頭前野で減少,線条体・内側側頭葉で増加あるいは視床・基底核で減少などの所見が認められた。脳波では,後頭部の背景律動の徐波化や全般性の徐波成分の混入などの所見が認められた。脳波と眼球運動を組み合わせると,過活動型せん妄では脳波は低振幅・徐波化し,遅い眼球運動の上に速い眼球運動が重なるRSタイプの出現が特徴的にみられた。これらはがん患者の術後のせん妄や抗コリン薬によるせん妄でもみられることがわかった。これまでのせん妄についての生理学的基盤を基に,がん患者で多くみられる低活動型せん妄について生理学的に検討することは,せん妄全体の発現機構を解明するうえで重要であると考えられた。
著者
熊倉 真理 馬場 隆行 堂園 浩一朗 苅安 誠
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.165-173, 2011-08-31 (Released:2020-06-25)
参考文献数
16

【目的】舌位置の咽頭期嚥下に対する関与を知るため,健常成人で舌位置変化による舌骨・喉頭運動と食道入口部PES 開大の違いを調べた.【方法】健常男性13 名に,① いつものように,② 舌尖を上顎前歯口蓋側面に押しあて(上方固定),③ 下顎前歯舌側面に押しあて,④ どこにもあてずに,トロミ水を嚥下させた.透視側面像をもとに舌骨・喉頭変位量(直線・水平垂直距離)とPES 開大距離・持続時間を測定した.【結果】舌骨変位量は,舌位置が上方固定2 条件のほうが非上方2 条件より大きく,非上方 2 条件で10 cc のほうが3 cc より大きかった.喉頭変位量は,舌位置と摂取量にかかわらず同程度であった.PES 開大距離は,上方固定2 条件のほうが他の2 条件よりも大きく,10 cc のほうが3 cc よりも大きかった.舌の上方固定では,PES 開大距離と舌骨・喉頭の水平変位量との間に中等度の正の相関があった.【結論】舌の上方固定で舌骨変位量は大きくなり,PES 開大も促進される.
著者
朴 賛益
出版者
中央大学理工学部事務室
巻号頁・発行日
2019-03-24

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第2項【論文審査委員主査】鹿島 茂 (中央大学理工学部教授)【論文審査委員副査】谷下 雅義(中央大学理工学部教授)、志々目 友博(中央大学理工学部教授)、渡邉 則生(中央大学理工学部教授)、兵藤 哲朗(東京海洋大学海洋工学部教授)
著者
下出 眞知子 吉永 充代 林 縝治 鈴木 はる江 雑賀 保至
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.101-107, 2015 (Released:2015-02-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1

維持透析患者のたんぱく摂取基準量は1.0~1.2g/kg/日 (2007年度基準) であるが, たんぱく摂取量が増えると血清リンが上昇する問題が生じる. 本研究は外来通院透析患者77例の標準化蛋白異化率nPCRの1年間平均をたんぱく摂取量とし, 0.6~0.8未満 (L群), 0.8~1.0未満 (M群), 1.0以上 (H群) の3群で血液データ, 栄養状態, 精神的負担度を比較し, 透析患者のたんぱく摂取量を心身健康科学の視点から検討した. 結果, 血清アルブミン, BMI, エネルギー摂取量および精神的負担度の不安尺度と健康生成志向尺度は3群間に差はなかった. 血清リン, カリウム, 尿素窒素はnPCRの低い群ほど有意に低く, KDQOL-SFでは社会生活機能, 心の健康, 腎疾患の日常生活への影響, 腎疾患による負担においてL群で有意に良好であった. nPCR 1.0未満は, 栄養状態を損なわず, かつ精神的負担が少なく, 血清リンを抑えられるたんぱく摂取量と考えられた.
著者
内藤 周幸 川村 光信 橋本 佳明
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.239-250, 1983-06-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
15
被引用文献数
5

We have studied the effects of polyunsaturated fatty acids on platelet aggregation, mainly by means of the in vitro experiments. The results of the studies are as follows.1) It seemed that arachidonic acid aggregated platelets as well irrespective of prostaglandin pathways.2) Eicosapentaenoic acid (EPA) inhibited platelet aggregation caused by various aggregating agents, such as ADP, collagen, and arachidonic acid, when platelet-rich plasma was used. However, EPA itself aggregated platelets when washed platelets were used.3) On the other hand, such a low concentration of EPA as not to induce platelet aggregation by itself, inhibited platelet aggregation caused by arachidonic acid, even when washed platelets were used.4) From these results it was thought that the inhibitory effect of EPA on platelet aggregation was not active and direct one but indirect due to reducing the use of arachidonic acid in the platelets.5) It was suggested that the ratio of EPA to arachidonic acid in phospholipid fatty acids of platelets needed to be more than 0.14, in order that EPA had an inhibitory effect on platelet aggregation.6) It is considered that the optimum balance between ω-3 species of fatty acids and ω-6 ones in phosphlipid fatty acids of platelets is necessary for platelets to function normally.
著者
大矢 幸弘
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.280-287, 2017

<p> アレルゲンの曝露回避はアレルギー疾患治療の基本と思われるが, 発症前の予防効果に関しては実証されていない. 特にアトピー性皮膚炎のように皮膚に炎症のある乳児では, 経口摂取を控えることで免疫寛容が誘導されず意に反して食物アレルギー発症のリスクが高まる. それは経皮感作という現象があるためである. 健常な皮膚は表皮のバリアを形成して外部からアレルゲンなどの異物の侵入を防いでいる. 表皮は下から基底層・有棘層・顆粒層・角層からなり, 角層の天然保湿因子や細胞間脂質そして角化細胞をつなぐコルネオデスモゾームや顆粒層のタイトジャンクションなどが複数のバリア機能を構成しているが, アトピー性皮膚炎の患者ではこうしたバリア機能の低下が認められる. 特に湿疹の重症度が高いほどバリア機能は低下しアレルゲンの感作を受けやすくなる. 健常な皮膚の抗原提示細胞は免疫寛容を誘導するが炎症のある皮膚では逆に感作を促進するため, アトピー性皮膚炎の予防や早期治療がアレルギーマーチの予防には重要と思われる.</p>
著者
石黒 久仁子
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日本企業における女性の活躍に対する政策とインプリケーションを得ることを目的に、デンマーク、ノルウエー等北欧諸国を中心とした国々のジェンダー平等と女性のキャリア形成の事例を分析・比較した。調査から、北欧諸国において女性は1900代初頭から男女平等の権利を有していたことに加え、経済成長に伴う労働力不足を補う女性の労働力化促進のために出産・育児に対するサポート政策を積極的に推進し、現在では政府・企業・個人そして社会間でジェンダー平等のコンセンサスが形成され、男女共にワーク・ライフ・バランスを実現できる社会づくりの基礎となり、女性が企業の重要な戦力として活躍していることが明らかになった。

1 0 0 0 日本の詩歌

出版者
中央公論社
巻号頁・発行日
vol.第11 (釈迢空,会津八一,窪田空穂,土岐善麿), 1969
著者
宇根 有美
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.103-109, 2011-09-30 (Released:2018-07-26)
参考文献数
10

日本には生きた哺乳類,鳥類および爬虫類が年間約100万頭輸入されており,これらの動物のほとんどがペットとして流通している。ペットは,人と同一の居住空間で飼育されることが多く,幼児や老人など免疫システムが未発達な人との接触も少なくない。このため,これらの動物を原因とする人獣共通感染症の正確な知識を持つ必要がある。さらに,ペットを含むさまざまな動物に接する機会のある専門家は,自らの健康を損なわないためにも,最新かつ適切な感染症に関する情報を知っておく必要がある。 ここでは,最近,国内で確認された輸入動物の人獣共通感染症を主体に実例を紹介する。

1 0 0 0 OA 象山全集

著者
佐久間象山 著
出版者
信濃毎日新聞
巻号頁・発行日
vol.巻2, 1935