著者
常見 祐介 河内 毅
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.789-793, 2020 (Released:2020-08-28)
参考文献数
8

自動車車体において軽量化と剛性の両立が一つの課題である。しかし、剛性対策を行うべき場所を特定することは容易ではない。そこで、新たに空間のひずみに着目した 剛性対策箇所探索手法を開発した。本手法を自動車車体のCAEモデルに適用し、対策箇所の同定と車体剛性の向上を確認した.
著者
菱川 優介 桂 重仁 須長 正治
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.141-144, 2017

色覚異常を持つ人の日常生活におけるトラブルとして,焼肉の焼け具合がわからないという報告がされている.このことから,色覚異常を持つ人は,一人で焼肉を行うことが難しいと言える.本研究では,2色覚の一人焼肉を補助すべく,焼肉が焼けたかどうかを知らせるアプリを作成した.実験では,肉の表面を測色すると同時に,3色覚と2色覚に焼肉の見た目の焼け具合を評価してもらった.焼肉の色変化の過程は,錐体刺激値LM平面にて特徴が現れていた.この変化過程は,2色覚に対してL軸またはM軸への射影となる.その結果,生肉の色が,肉が焼けていく過程の色変化のなかに埋もれてしまい,2色覚は色変化からでは焼け具合がわかりにくいことが示された.また評価結果をもとに,LM平面上にアプリによる焼け具合判断の閾値を設定した.作成したアプリと3色覚の判断がどれくらい一致するかを調べた.焼けた肉と焼けていない肉を,アプリが正しく判断する確率はそれぞれ63%と94%であった.また,焼けた肉,焼けていない肉に対して誤った判断をする確率はそれぞれ37%,6%であった.以上のことから,おおよそ正しく肉の焼け具合を判断するアプリを作成した.
著者
齊藤 史哲
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.39-48, 2015

サプライチェーン上で生じる様々な問題の原因の一つとしてブルウィップ効果が挙げられる.ブルウィップ効果とは,サプライチェーンにおける需要変動が上流に上るにつれて増大するという現象の総称である.サプライチェーンを構成する全企業で最終需要の情報を共有することで,この現象を抑制できることが知られている.しかし,全企業で最終需要に関する情報を共有することや,複数の商品や複数の取引相手に対するその情報を適切に扱うことは困難であり,全体で情報を共有するモデルの適用は現実的ではない.そこで,本研究では各企業が直接の取引相手とのコミュニケーションを通じて知識を共有することにより,ブルウィップ効果を抑制する方法を提案する.本提案では上流側の企業は一段階前で協業する取引相手に関する在庫や発注量のデータ(情報)を共有し,そのデータと発注量との関連性に関するモデル(知識)を構築することで,取引相手との知識共有を実現する.これにより,各段階での需要量と発注量のズレを縮小させることができるため,ブルウィップ効果の抑制が期待できる.提案法の有効性を検証するために,計算機実験を通じて評価を行った.
著者
青木 巖
出版者
三田哲學會
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
no.1, pp.139-188, 1926-10

序1. プラトーンと美学2. 美に就て3. 芸術に就て
著者
衣畑 智秀 Tomohide KINUHATA
出版者
国立国語研究所
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
vol.17, pp.47-64, 2005-04

大阪大学大学院日本語の「逆接」の研究においては,個々の形式がどのように対立しているかを捉えるための,理論的枠組みについての考察が十分ではなかった。本稿では,関連性理論を援用し,話し手の知識や対話における情報の処理についての理論的考察を行い,これを踏まえることで,ノニ,ケド,テモといった「逆接」の接続助詞が適切に記述できることを示した。一般に「逆接」では,何らかの含意関係が否定されていると言えるが,この含意関係が,ノニは,話し手の「知識」という特殊なものであり,ケド,テモは,「文脈」という発話解釈に一般的な情報である。主節の制約やニュアンスなどのノニの特殊性は,この否定される含意関係の特殊さから説明することができる。一方,ケドとテモは,「文脈」が否定される中で,前者が前件と後件がそれぞれ独立した情報として扱われているのに対し,後者は前件と後件が合わさって一つの情報として処理される,という対立を成している。
著者
松永 典子
出版者
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科
雑誌
人間文化論叢 (ISSN:13448013)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.95-102, 2005

The diplomatic essays of Harold Nicolson (1886-1968) have been considered classics in the field of International Relations, while his biographical essays and fictions have largely been neglected by English literary critics. In a similar vein, poetry and fiction have dominated as subjects for analysis among the critics of modernism while autobiography and biography have been much less studied. Although the present literary studies largely disregard modernist biography and Nicolson, they were widely discussed and read among their contemporary biographers. For instance Virginia Woolf introduced Some People (1927) as a modern biography for the modern world, and appraised the new method that Nicolson created. This article attempts to reexamine modernism in terms of auto/biography, focusing on the new phase of biography Nicolson introduced. His auto/biography, which articulates war experiences as a postwar writing, is here analysed in diplomatic as well as biographical terms. In conclusion, I propose that he reproduce the new imperial citizenship through his new writing. Furthermore this essay also investigates the polit\ical unconscious of this period by the examination of biographical essays of Woolf and Sydney Lee as well as of Nicolson.
著者
木村 幸 巨島 文子 植田 秀貴 今田 智美 倉智 雅子
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.S202-S206, 2010

前舌保持嚥下法 (Tongue-Hold Swallow : 以下 THS) は1996 年に Fujiu らによって嚥下咽頭期の嚥下圧生成源となる舌根部と咽頭後壁の接触不全に対し、咽頭後壁隆起を増大させる訓練法として提唱されたが、実際の訓練効果に関してはほとんど報告がない。今回われわれは、検査所見上、嚥下障害の問題の一つが咽頭期における舌根部と咽頭壁の接触不全による嚥下圧 (咽頭圧) 生成不足と考える症例に対して、THS のみを 3 カ月間施行した。訓練前後に嚥下造影検査を実施し、咽頭期における舌根部と咽頭壁の運動幅を測定した結果、舌根部と咽頭壁の接触不全が軽減された。THS は咽頭壁のみならず舌根部の後退運動を増大させる可能性が示唆された。
著者
川角 博
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.116-123, 2016 (Released:2016-12-26)
参考文献数
1
被引用文献数
1

気柱にできている定常波は,眼には見えない。この定常波の存在を,実験と論理から生徒に確信させることを目指した教育実習の指導を紹介する。まず波動の導入から気柱の定常波までの授業の流れとそこでのねらいを示す。続いて,弦にできる定常波の特徴との類推から気柱の定常波の存在を推測し,その腹や節の位置を探す。さらに,管の端での音の反射について,議論をしながら実験を通して明らかにしていく。このようにして,生徒・教育実習生が,物理的な見方・考え方を学ぶ授業の実践例を報告する。