著者
大澤 啓志
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.337-340, 2015-12-30 (Released:2016-12-30)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3
著者
田辺 光男 高須 景子 小野 秀樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.6, pp.299-303, 2009 (Released:2009-12-14)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

抗てんかん薬ガバペンチンは,欧米において神経因性疼痛治療薬としての地位を確立しているが,その作用メカニズムについては未解明な部分が多い.我々はその作用部位として上位中枢に焦点を当てた研究を行い,脳室内投与したガバペンチンが神経損傷(マウス坐骨神経部分結紮モデル)後の疼痛症状(熱痛覚過敏および機械アロディニア)に対し障害依存的な鎮痛作用を発揮することを示し,ガバペンチン全身投与後の鎮痛作用において,上位中枢を介する効果が大きく寄与することを見出した.ガバペンチンの全身投与あるいは脳室内投与によって引き起こされる鎮痛効果は,脳幹から脊髄へ下行するノルアドレナリン(NA)神経を消失させると大幅に減弱し,また,α2-アドレナリン受容体アンタゴニストヨヒンビンの全身投与や脊髄内投与によって同様に減弱した.脳室内投与したガバペンチンが脊髄腰部膨大部のNA代謝回転を神経障害依存的に促進させたことからも,上位中枢に作用したガバペンチンが下行性NA神経を介して脊髄内においてNA遊離を増加させ,α2-アドレナリン受容体を介した鎮痛効果を発揮すると考えられる.さらに,坐骨神経部分結紮による神経障害後に作製したマウス脳幹スライスの青斑核ニューロンにおいて,ガバペンチンはGABA性の抑制性シナプス伝達をシナプス前性に抑制することを明らかにした.Sham手術マウス由来のスライスではガバペンチンはこの抑制性シナプス伝達抑制作用を示さず,また,神経障害後でも興奮性シナプス伝達に対しては影響を及ぼさなかった.これらの研究結果より,ガバペンチンは青斑核においてGABA性の抑制性入力を抑制することによって青斑核ニューロンを脱抑制し,下行性NA疼痛抑制経路を活性化させて神経因性疼痛を緩解することが示唆された.
著者
國方 弘子 茅原 路代 大森 和子 神宝 貴子 岡田 ゆみ
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1_37-1_44, 2006-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
21

地域生活をしながら精神科デイケアまたは作業所に通所している統合失調症患者の生活への思いとその影響要因を明らかにすることを目的として,グラウンデッド・セオリー法による質的帰納的研究を行った。結果,《充実感がある》,《病気が安定している》,《自分をこれでいいと思える(自尊心)》,『折り合いをつける』,《自分を受けとめてくれる》,《居場所がある》,《心のよりどころがある》の7個のカテゴリーが抽出された。彼らは《充実感がある》生活を送っていることが見いだされ,『折り合いをつける』ことと《自分をこれでいいと思える(自尊心)》ことは,《充実感がある》生活に至るには必要であり,《病気が安定している》ことは《充実感がある》生活の基盤となっていた。本結果は,在宅生活をする統合失調症患者の生活の質を維持・向上するための看護支援のあり方に寄与できることが示唆された。
著者
向 友代 森岡 郁晴
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.2019-018-B, (Released:2020-02-08)
被引用文献数
1

目的:近年がん患者の治療と仕事の両立の問題が注目されている.がん患者の離職は特に診断初期に多いことが問題視されている.本研究は,がん患者の診断初期における就労継続の要因を,事業場・疾病・医療の側面から検討を行うことを目的とした.対象と方法:20~64歳のがん患者で,確定診断後2年以内の被雇用者68名のうち研究の趣旨を説明し同意を得た61名を対象に,面接者の研究目的に沿って決められたデータを収集する構成的面接を行った.調査内容は,属性,業種,会社規模,雇用形態,休暇制度,診断初期の相談相手とその内容,がんの部位と病期,今まで受けた治療方法,身体症状,全身状態の評価指標であるEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Status(以下,PS),就労継続に必要な診断初期の情報,医療者への就労に関した相談の経験と相談内容,就労に影響した支援の状況であった.休業中を含む就労していなかったものを非継続群,就労を継続していたものを継続群とし,2群間における各要因の出現状況の比較にはχ2検定およびFisherの直接確率法を用いた.統計的有意水準は5%とした.結果:61名中60名(98.4%)が就労継続を希望していた.60名のうち非継続群は15名(25.0%)であり,継続群は45名(85.0%)であった.属性,業種,会社規模,雇用形態は,2群間に有意な差はなかった.診断初期の相談内容についてみると,「病気・治療・症状のこと」は継続群に多く,2群間に有意な差があった.また,「医療費や生活費など経済面のこと」は継続群に少なく,有意な差があった.同僚に病名を伝えている人は継続群に多く,有意な差があった.「試し(慣らし)勤務制度」の希望,がん患者が働くことへの偏見や誤解は継続群に少なく,有意な差があった.継続群に,がんの病期Ⅰ以下が多く,今まで受けた治療として手術が多く,全身状態が良好であるPS0・1が多く,有意な差があった.就労に影響した支援においては,「上司・同僚の理解,配慮や励まし」「診断直後は仕事のことを考えられない」という回答を得た.考察と結論:がんの診断初期の就労には,がんの病期や全身状態,手術の有無が関連していた.事業場では,「上司・同僚の理解,配慮や励まし」が職務継続の後押しとなっていた.診断初期は「仕事のことを考えられない」ことがあり,医療者はこの危機的状況を支え,患者自身が就労に関して納得した選択ができるような支援が必要である.
著者
岡 靖哲
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.994-996, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10

認知症患者では睡眠障害が高頻度にみられる.睡眠覚醒調節機構の障害に加え,感覚器からの入力低下,社会的活動の減少も加わり,概日リズム睡眠障害を生じやすい.加齢にともなって増加する睡眠障害や,中枢神経病変にともなうレム睡眠行動異常症も共にみられる.概日リズムと深く関連するメラトニンは,認知症患者においては分泌ピークが偏移し,振幅も低下しており,体内時計機構に即したアプローチが求められる.光環境を調節し,日中の活動性を高めることが治療の基本となるが,メラトニンも夜間の睡眠に改善に有効である.認知症患者の睡眠の改善は,認知症のマネジメントの上でも重要であり,対処可能な睡眠障害を的確に治療することが望ましい.
著者
松本 剛 山口 元太朗 秦 大介 坂野 喜一 利倉 悠介 田上 友香理 上野 隆司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CcOF2079, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 肩関節後面筋のトレーニングは上腕骨の回旋運動を用いてトレーニングされることが多い。しかし、肩関節後面にある回旋筋の棘下筋、小円筋の走行を考えると、側臥位で肩関節屈曲位からの水平外転運動もトレーニングの方法として適切なものと考えられる。そこで今回水平内転方向の負荷をあたえ、側臥位にて肩関節屈曲角度を変えた状態で肩後面筋の筋活動を計測し、その筋活動を肩関節下垂位での外旋運動(以下1st外旋)と比較することで回旋運動を伴わない状態での肩関節後面の筋活動を明らかにすることを目的とした。【対象および方法】 対象は肩関節に愁訴のない男性18名(年齢24.4±3.9歳、身長173.6±5.8cm、体重67.6±11.1kg)で運動特性のない非利き手(全例右利き)を計測に用いた。測定肢位は側臥位にて仙骨部と足部を壁に接地し、体幹は20°屈曲位とし頚部と体幹の側屈、回旋はおこさないよう指示した。計測肢位は1st外旋位、肩関節60°屈曲位、90°屈曲位、120°屈曲位、150°屈曲位で前腕遠位部に重垂1kgを把持させ、それぞれ8秒間の等尺性収縮を計測した。被検筋は三角筋後部線維(DP)、小円筋(TM)、棘下筋(ISP)とし、得られた波形は2秒間の平均振幅を求め各筋の最大収縮時の値で正規化(%MVC)した。筋電計はMYOSYSTEM1400を用い解析にはMyoresearchを用いた。統計学的分析には二元配置分散分析および多重比較検定を用い有意水準5%未満とした。【説明と同意】本研究の対象者には研究前に主旨と方法を口述にて説明し書面にて同意を得た。【結果】 %MVCは各筋DP、TM、ISPの順に1st外旋位では、2.06±1.33%、3.67±1.55%、3.32±1.45%、60°屈曲位で11.35±6.46%、6.43±2.67%、4.36±1.74%、90°屈曲位で9.91±5.22%、7.40±3.73%、5.53±2.44%、120°屈曲位で、6.03±3.05%、7.86±6.06%、5.70±2.43%、150°屈曲位で7.58±4.15%、8.96±5.29%、5.78±2.47%であった。DPでは1st外旋位とすべての肢位、60°屈曲位と120°屈曲位150°屈曲位、90°屈曲位と120°屈曲位150°屈曲位において有意差を認めた(P<0.05)。TMでは1st外旋とすべての肢位、60°屈曲位と150屈曲位°に有意差を認めた(P<0.05)。ISPにおいては有意な差は認められなかった。DPは60°、90°屈曲位において活動量が増加し、1st外旋位は有意に活動量が減少していた。TMは120°、150°屈曲位で筋活動量が増加し、1st外旋で有意に減少していた。ISPは1st外旋と屈曲位との活動量に有意差はないが肩関節の屈曲角度の増加に伴い筋活動の増加が認められた。【考察】 DPは1st外旋位と比較すると他の全ての肢位に有意な活動量の増加がみとめられた。Reinoldらは側臥位での1st外旋は三角筋の活動を抑制した状態で棘下筋、小円筋を選択的に活動することができると報告している。今回の結果はこの報告の通り1st外旋位でのDPの活動は他の全ての肢位と比較すると活動量は減少していた。逆にTMは報告とは異なり1st外旋位での活動量が他の全ての肢位よりも増加した。またTMは60°屈曲位と比較すると150°屈曲位で有意に活動量が増加していた。TMは肩甲骨外側に起始部をもち上腕骨大結節外側部に停止部をもつ筋である。肩関節が挙上位になるとその距離は離れ筋の長さは長くなる。これによって仕事量が増加しTMの活動量が増加したと考えられる。DPは他に60°、90°屈曲位では120°、150°屈曲位と比較すると有意に活動量が増加していた。これはDPが起始部を肩甲棘、停止部を三角筋疎面にもち肩関節60°、90°屈曲位での水平内転方向への負荷は起始部と停止部が直線上にあり、筋の走行に対して垂直方向に負荷がかかるため活動量が増加したと考える。120°、150°屈曲位で活動量が減少した理由は上腕骨が挙上するにつれて肩甲棘に起始部をもつDPは起始部と停止部が近く、筋の走行が一直線にならず水平方向へ参加する筋線維の量が減少したためと考えられる。ISPは肩関節が挙上するに伴い活動量も増加傾向をしめしたが、有意な差はなかった。これはISPが起始部を肩甲骨棘下窩という広範囲にもつこととKuechle、Kuhlmanらは中部繊維や下部繊維の大きさは外転により顕著な差が生じず、上肢挙上に伴い筋の発揮する力は小さいことから、肢位に関わらず最も強力な外旋筋であると報告していることから肩関節屈曲角度の増加に伴い筋の長さが長くなり増加傾向をしめしたが、有意な差がみとめられなかった一因と考える。【理学療法学研究としての意義】 臨床場面において肩関節屈曲方向の可動域獲得ができれば回旋運動を伴わずとも肩後面の筋活動を高めることができる。等尺性の筋力トレーニングでは負荷量だけでなく起始停止の位置つまり、筋の走行を考慮した様々な角度、肢位で実施することが重要である。
著者
藤野 健
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.31, pp.88, 2015

【はじめに】四足姿勢のサルは掌を接地させるが、何故にまた如何にして、指背を接地させるに至ったのか、ナックルウォーキング(= KW)成立に関する論考が等閑視されて来た。今回、類人猿以外にKWを示すとされるアリクイ(anteater = AE)を採り上げ、形態と行動的特徴を基にその実態を検討する。【材料と方法】静岡市立日本平動物園にて飼育されるオオアリクイ(Giant anteater, <i>Myrmecophaga tridactyla</i>)(= GA)雌成体1頭の動画記録を解析し、固定標本雌成体1頭の手の外観を観察した。併せてミナミコアリクイ(Northern tamandua)(= NT)冷凍解凍標本雌1頭並びにwebから得られたGAの交連骨格像も比較の為に供した。【結果】GAの第2,3指及びその爪は弯曲して強大だが、第1,4指のものはずっと小さく第5指は退化的である。歩行時には手を尺側に傾け、第2,3指を、大きく発達したボール様の掌球の橈側に沿う様に配置する。厚い掌球をあたかも地面に判を押すかの様に歩くが、これら2指の指背並びに爪は歩行時に幾らか接地する。NTの手の構造もGAに類似していた。【考察】GAは通常四足歩行するが、蟻塚を前にして後肢で立ち上がりこれを爪で破壊しながらシロアリを採食する。即ち巨大な、弯曲した爪と手指はそれに適応的である。歩行時の体重は掌球を介して主に中手骨及び手根で支え、指と爪は破壊道具へと明瞭に機能分化させている。斯くして指骨が主たる体重支持者でない故に類人猿のKWとは性質を異にする。GAの交連骨格像はKWの手を持つとしばしば示説展示されるが正確ではない。AEの手は-NTは手の爪を利用しての木登りも得意とするが-過去に四足歩行性から離れるまでの特殊化は経ておらず、四足歩行と採食活動を共に可能とする漸進的且つ折衷的な進化形態像を示すものと考えた。

1 0 0 0 OA 福岡県史資料

著者
福岡県 編
出版者
福岡県
巻号頁・発行日
vol.第1輯, 1935

1 0 0 0 OA 全国農産表

出版者
農商務省農務局
巻号頁・発行日
vol.明治11年, 1884
著者
中村 好則
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.71-83, 2013-03-10

高校数学科において,今年度(平成24年度)より学年進行で先行実施されている新しい学習指導要領では,数学的活動を生かした指導を一層充実させるために,必履修科目や多くの生徒の選択が見込まれる科目(数学Iと数学A) に課題学習が位置付けられた(文部科学省2009)。そこでは,生徒の関心や意欲を高める課題を設け,生徒の主体的な学習を促し,数学のよさを認識できるようにすることが期待されている。しかし,高校における数学の指導は,教師から生徒に問題の解法を一方的に説明する知識伝達的な授業になりがちで,課題学習の趣旨を生かした授業を行うには課題も多い。課題学習は,平成元年の学習指導要領改訂で中学校に設けられた。当時は中学校の第2,3学年において実施されてきた。しかし,平成10年12月の学習指導要領改訂では,第1学年も含めた中学校全学年で実施することとなった(文部省1999)。このように先行して実施された中学校の課題学習では多くの実践事例がある(例えば,筑波大学附属中学校数学教育研究会1991など)。しかし,高校数学の指導内容は中学校よりも抽象的・論理的であり,中学校の課題学習の教材は参考にはなるがそのまま活用することは難しい。また,高校において対象となる生徒は,中学生のときにすでに課題学習を経験しており,そのことにも配慮する必要がある。高校の課題学習で活用できる教材の検討は喫緊の課題である。筆者は,今まで高校の課題学習で活用できる教材として,水ロケットやフィルムケースロケット等の飛行実験を行い,数学を活用してそれらの飛行特性等を探究する教材を開発しその効果を検討してきた(中村2011a,2011b)。その結果,それらを活用した課題学習では,具体的な事象と数学との関連付けができること,生徒の主体的な学習活動が構成できること,数学のよさを感得できることなどの効果が示唆された。しかし,それらの教材を活用した指導では,実験準備や実験に多くの時間がかかるなどの課題があった。また,課題学習の教材として,具体的な事象と関連のある教材だけでなく,具体的な事象と関連はなくとも,生徒の興味・関心を引き,数学のよさを感得できる教材を開発することが課題であった。そこで,本研究では,問題の意外性が生徒の興味や探究心を促進し,高校数学の内容とも関連が多くあると考えられる円分割問題を教材として取り上げ,高校数学科における課題学習での活用の可能性を考察する。そのために,2つの円分割問題とその発展開題(平面分割問題,空間分割問題)を取り上げ,それらの解決過程の検討を通して,円分割問題の課題学習での活用の可能性を検討する。
著者
若月 英三
出版者
東京歯科大学学会
雑誌
歯科学報 (ISSN:00373710)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.p788-791, 1975-05
著者
瀬口 昌久
出版者
名古屋工業大学技術倫理研究会
雑誌
技術倫理研究 (ISSN:13494805)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-30, 2017

「研究活動の不正行為への対応等に関するガイドライン」を受けて,多くの大学では研究資料の10年間保存を決めている。本論文では,研究資料10年間の保存という設定の妥当性を検討し,次にデータの保存に関して過去の研究不正と企業におけるデータ改ざん事件を概観したうえで,名古屋工業大学で行った「研究情報の適正な取り扱いを促す研究倫理教育を推進するプロジェクト」をもとに,電子化された研究資料の適正な保管の課題について論じる。