著者
濱田 麻友子 BOSCH C. G. Thomas
出版者
沖縄科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究ではクロレラを体内に共生させているグリーンヒドラをモデルとして、動物―藻類共生システムにおける相互作用の実態とその共生ゲノム進化を明らかにした。共生クロレラが光合成によって糖を分泌すると、ヒドラでは窒素代謝やリン酸輸送に関わる遺伝子が発現上昇することから、ヒドラ―クロレラ間の協調的な相互作用によって、栄養供給が遺伝子レベルで調節されていることが示唆された。また、共生クロレラのゲノム解読を行ったところ、硝酸同化遺伝子群の一部とそのクラスター構造がゲノムから失われていた。このことから、共生クロレラは窒素源をヒドラに依存した結果、ゲノムからは硝酸同化システムが失われたと考えられる。
著者
伊藤 益 Ito Susumu
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.69, pp.102-105, 2005-03

二〇〇一年九月二四日、ひとりの友を喪った。淑徳大学教授阿内正弘、享年四二.どこ(どの地)で亡くなったのか、厳密にはわからない。上越線の電車に乗ったまま亡くなり、死亡時刻も特定できないからである。死亡原因は、心臓疾患によるものとされた。だが、心臓のどの部分に病魔が生じたのか、それもまた定かではい。 ...
著者
奈良 雅俊
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.202-206, 2013-03-30 (Released:2016-12-01)

The Belmont Report stated the ethical principles and guidelines for the protection of human subjects of biomedical and behavioral research. It has been pointed out that Japanese psychologists introduced the IRB review system without thoroughly understanding the principles. In applying new research instruments, they will face ethical issues related to the privacy and dignity of the subject. They will be asked to deal with the problem of incidental findings that arise from the use of fMRI and the human genome sequencer. They are expected to make a framework for the protection of subjects by understanding the principles of the Belmont Report.
著者
野池 賢二 池淵 隆 片寄 晴弘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.33, pp.1-6, 2013-08-24

MIDI メッセージのパラメータの精度を拡張する MIDI 上位互換仕様がふたつある.ひとつは MIDI Manufacturers Association によって承認された The high-resolution MIDI 仕様であり,もうひとつは YAMAHA による eXtended Precision MIDI(XP MIDI) 仕様である.これらは,いままで未使用であったコントロールチェンジ番号を使用して,たとえば Note On ベロシティの精度を 128 段階から 16256 段階に拡張できる手軽で便利な仕様である.しかし,現状ではいくつかの製品で採用されてはいるものの,まだあまり普及していない.本稿では,これらの仕様の詳細について紹介し,研究分野での利用における有用性について述べる.
著者
森田 恵美子 横山 久代 竹田 良祐 山科 吉弘 河合 英理子 福村 智恵
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.317-325, 2020-08-01 (Released:2020-07-15)
参考文献数
49

We examined the relationship between masticatory ability and bone mineral density (BMD) and the role of muscle strength in those relationships in 156 female university students. Masticatory ability was assessed using a color-changeable chewing gum method. The BMD of the calcaneus was measured using quantitative ultrasonography and represented by a T-score, the standard deviation (SD) from the mean BMD of young adults. Body composition, grip strength, physical activity level, and daily nutrient intake were also assessed. Osteopenia, defined as the T-score < ‒1.0 SD, was present in 43 participants (27.6%). There was no significant relationship between masticatory ability (ΔE) and T-score in all participants. In participants with normal BMD (T-score ≧ ‒1.0 SD: the normal BMD group), masticatory ability significantly correlated to BMD (r = 0.289, p = 0.002). There was significant correlation between ΔE and grip strength neither in all participants nor in either group, although the grip strength in the normal BMD group was greater than that in the participants with osteopenia (the low BMD group) (p = 0.039). Physical activity level was positively correlated to the total daily energy intake (r = 0.193, p = 0.041) only in the normal BMD group. The present results suggest that masticatory ability is associated with BMD in young females with normal BMD, but the role of muscle strength in those relationships remains unclear. Meanwhile, there was no relationship between masticatory ability and BMD in young individuals with lower BMD.
著者
曲亭馬琴 作
出版者
鶴屋喜右衛門
巻号頁・発行日
vol.上, 1804
著者
小川 竜平 真鍋 厚史 中山 貞男 小口 勝司
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.118-127, 1994-04-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
18

カルシウム (Ca) とリン (P) の吸収, 排泄ならびに実験的骨粗鬆症の骨代謝に対するシュウ酸 (OA) , 酒石酸 (TA) の影響をWistar系雌性ラットを用いて検討した.1または3%のOAあるいはTAを含む飲料水を1~3週間自由に摂取させCa, Pの糞中, 尿中排泄量を測定した.OAおよびTAともCaの糞中排泄をいずれの摂取期間においても明らかに増加させた.Pの糞中排泄もOAおよびTA摂取により増加あるいは増加傾向を示した.一方, CaおよびPの尿中排泄には明らかな変化は認められなかった.すなわちOAおよびTAはCa, Pの腸管からの吸収阻害により糞中排泄を増加させたと考えられる.卵巣摘出 (OVX) による実験的骨粗鬆症に対する影響は, 1%OA (OVX・OA) , 1%TA (OVX・TA) を6カ月間自由摂取させ検討した.大腿骨と脛骨の灰分重量と乾燥重量の比は灰分重量の減少によってShamに比較しOVX, OVX・OA, OVX・TAにおいても低下したが, 3群問に差は認められなかった.大腿骨, 脛骨のCaはOVXで減少を示し, OVX・OAとOVX・TAではこの減少が著明に促進された.骨中PはOVXで有意な減少を示さなかったが, OVX・OAとOVX・TAではSham, OVXに比べて減少を示した.組織学的にはOVX・OA, OVX・TAで脛骨骨幹端部の骨梁の減少および単位骨量の減少を認めた.以上の結果より, OAとTAは腸管からのCaとPの吸収を阻害し骨粗鬆症を悪化させる可能性が示唆された.
著者
成田 雅美
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.391-399, 2020-08-05 (Released:2020-08-20)
参考文献数
38

即時型食物アレルギーの発症予防には,食物抗原への感作予防と経口免疫寛容の誘導という2つの戦略がある.乳児アトピー性皮膚炎患者では皮膚バリア機能が低下した湿疹部位からの経皮感作がおこることが明らかになったが,食物感作の予防に有効な方法は報告されていない.しかし感作が成立後でも経口免疫寛容が誘導されれば食物アレルギーの発症を予防できる.最近のランダム化比較試験のメタ解析の結果,ピーナッツや鶏卵については生後4か月~6か月の早期摂取開始による食物アレルギー発症予防効果が認められている.わが国では数十年の間に鶏卵摂取開始が遅くなり平成19年には鶏卵摂取開始の目安が実情に合わせて7,8か月とされた.その後の知見をふまえ「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では鶏卵摂取開始が離乳食開始時期の生後5,6か月に変更された.食物抗原の離乳食早期摂取開始は,すでに食物アレルギーを発症した患者での症状誘発などに注意する必要はあるが,経口免疫寛容の誘導による食物アレルギー発症予防が期待される.
著者
池田 良吉
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.271-283, 1952-02-15 (Released:2010-10-14)
参考文献数
10
著者
山口 倫子
出版者
神戸親和女子大学福祉臨床学科
雑誌
神戸親和女子大学福祉臨床学科紀要 = Bulletin of social welfare, Kobe Shinwa Women's University (ISSN:18812414)
巻号頁・発行日
no.13, pp.75-85, 2016-03-31

1998年以降の自殺者数の増加や、精神障害等に係る労災請求件数の増加などから、メンタルヘルス対策が喫緊の課題であった。そこで2014(平成26)年6月に「労働安全衛生法の一部改正」により、ストレスチェック制度が創設された。この制度の目的は、メンタルヘルス不調の一次予防、労働者自身の気付きを促す、職場環境の改善の3点である。制度の概要と流れは、①事前準備、②ストレスチェックの実施、③面接指導の実施、④集団的な分析による職場環境の改善となっている。そこで、精神保健福祉士は一定の条件をクリアすれば検査の実施者となれることが規定された。これは、精神科医療現場における精神保健福祉士の活躍に対する一定の社会的評価であると考えられる。また、この制度に関しても、面接指導への勧奨や職場環境の調整、あるいは専門機関への紹介等の支援など、個別ケースワーク的なかかわりが期待されるため、精神保健福祉士の力が発揮できるのではないかと考える。 昨今、医療現場だけでなく、教育や司法といった分野においても精神保健福祉士が活躍しているが、ストレスチェック制度導入をきっかけに、今後、労働現場におけるメンタルヘルス対策が進み、産業保健分野においても精神保健福祉士に対するさらなる期待と可能性が広がると思われる。
著者
山村 高淑
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、日本のアニメ作品が海外の観光地形成に影響を与える場合には大きく二つのパターンがあることを明らかにした。すなわち、第一に、クリエイターが実在の場所をモデル地として設定したり、実際にロケハンを実施したりすることが、結果として観光地形成につながる場合。第二に、作品とは全く関連しない場所において、作品関連のイベントが開催されたり、ファン自身が作品との結び付けを行ったりすることが、観光地形成につながる場合、である。そのうえで、これら2つのタイプの典型事例の実地調査を行うことで、アニメイメージや物語世界の受容実態、国際観光地化の経緯と実態を具体的に明らかにした。
著者
内藤 正中
出版者
島根大学法文学部
雑誌
経済科学論集 (ISSN:03877310)
巻号頁・発行日
no.15, pp.p1-42, 1989-02

はじめに1.在日朝鮮人の就業構造 (1)朝鮮人労働者の内地労働市場参入 (2)底辺労働者としての朝鮮人 (3)強制連行の朝鮮人労働者2.日本海地域の朝鮮人労働者 (1)山陽地方の朝鮮人労働者 (2)北陸地方の朝鮮人労働者 (3)山陰地方の朝鮮人労働者