著者
佐藤 勇一
出版者
日本ミシェル・アンリ哲学会
雑誌
ミシェル・アンリ研究 (ISSN:21857873)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.111-132, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
33

Cet article traite de la lecture henryenne de Franz Kafka. Pour le philosophe et romancier Michel Henry, Kafka est un antécédent qui écrit un expression de la vérité philosophique et qui cherche un chemin de la vérité toujours égaré. Dans les aphorismes de Kafka, en effet, il y a deux vérités : celui de « l’indestructible », qui est exprimée par « l’arbre de la vie » , c’est-à-dire, une expérience d’Adam avant qu’ il n’ait été obligé de quitter le Paradis, et celui de la connaissance, c’est-à-dire une expérience de l’égarement exprimée par « l’arbre de la connaissance ». Henry considère ce que Kafka appele « l’indestructible » la vérité de la vie, en faisant état de l’Évangile de Jean et du texte de Fichte. Le refus du « monde », le refus de la mort de Jésus-Christ sont les points communs entre l’interprétaion henryenne de Jean et son interprétation fichtienne. Au centre de la lecture henryenne de Kafka se trouvent les mots du Christ en Jean : « Moi, je suis le Chemin et la Vérité et la Vie » et « C’est Moi qui suis la Porte : celui qui entretra par moi [...] il ira et il viendra et il trouvera pâture... ». Les aphorismes de Kafka et « l’affiche du Grand Théâtre d’Oklahoma » dans Amerique sont les expressions de la communauté (« Fond », « Fils dans le Fils » etc.). Dans la philosopie de Henry, Kafka est un « penseur religieux » qui pense à la vérité de la vie et à la communauté.
著者
篠部 裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.625-630, 2012
被引用文献数
2

都市における高層建築物の林立に伴い都心に残る庭園からも多くの高層建築物が眺望されるようになった。本研究は、わが国の主要な5庭園(偕楽園、兼六園、後楽園、六義園、縮景園)を対象に庭園の周辺景観を保全するための施策を調査し、これらを比較・考察することで、都市部の庭園の景観保全施策の主要な枠組みとその要点を明らかにし、縮景園の周辺景観の保全のあり方を検討した。具体的には、5庭園における景観保全のための制度(風致地区、高度地区、地区計画の有無、庭園周辺の用途地域、景観保全のための目的と基準の概要、事前届出の対象行為、眺望点の有無など)を調査し、これらを比較・考察した。今後の縮景園における周辺景観の保全の諸課題は、(1)事前届出の対象となる建築物の高さの見直し、(2)周辺景観の保全のための地区設定の見直し、(3)庭園の眺望景観を考慮した眺望点の設定、(4)建築物の最高高さ制限の設定、が挙げられる。
著者
秋元 洋輔 小林 正美
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.175-180, 2011-10-25
参考文献数
13

大阪港の色彩景観は、陸上の港湾施設や大規模構造物、海上を往来する船舶やコンテナなど、その大部分が塗装の色によって構成される。工業塗料の色彩は無数であり、港で使用できる色彩の許容範囲も広く、そこに非日常的な都市空間像が追い求められると、周辺景観から逸脱した色彩群が出現し、混沌とした景観を生み出すことにつながる。水運の歴史と共に育まれてきた港の景観には、その場所に残り続けてきた色彩が存在するはずである。本研究では、場所の拠り所となる色彩を求めて、まず港湾景観の歴史を辿り、かつてそこにあった地域の色彩を収集した。また行政や民間会社にヒアリングを行い、現在の景観を構成する要素の塗色を調べ、船舶業界と倉庫業界で引き継がれてきた色彩決定の仕方や考えを聞き取り、これまで大阪市で検討されてきた、公共上屋の色彩計画の策定資料を収集して分析した。さらに、大阪市港湾局で行われた、天保山客船ターミナルの外装塗り直し工事の塗色選定に関わり、港湾施設の色彩改修を実践した。
著者
秋元 洋輔 小林 正美
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.175-180, 2011-10-25

大阪港の色彩景観は、陸上の港湾施設や大規模構造物、海上を往来する船舶やコンテナなど、その大部分が塗装の色によって構成される。工業塗料の色彩は無数であり、港で使用できる色彩の許容範囲も広く、そこに非日常的な都市空間像が追い求められると、周辺景観から逸脱した色彩群が出現し、混沌とした景観を生み出すことにつながる。水運の歴史と共に育まれてきた港の景観には、その場所に残り続けてきた色彩が存在するはずである。本研究では、場所の拠り所となる色彩を求めて、まず港湾景観の歴史を辿り、かつてそこにあった地域の色彩を収集した。また行政や民間会社にヒアリングを行い、現在の景観を構成する要素の塗色を調べ、船舶業界と倉庫業界で引き継がれてきた色彩決定の仕方や考えを聞き取り、これまで大阪市で検討されてきた、公共上屋の色彩計画の策定資料を収集して分析した。さらに、大阪市港湾局で行われた、天保山客船ターミナルの外装塗り直し工事の塗色選定に関わり、港湾施設の色彩改修を実践した。
著者
松原 由美子
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.432-438, 2020 (Released:2020-08-12)
参考文献数
13

Platelets are released from mature megakaryocytes (MKs) and are used for therapeutic application, especially platelet transfusion. Platelet concentrates used for platelet transfusions are currently supplied by volunteer donors. Due to their short shelf life (4 days in Japan and 5 days in US), however, donor-dependent platelet concentrates are associated with practical problems, such as the limited supply and the risk of infection. Thus, new strategies for manufacturing MKs and subsequently platelets from a donor-independent source are urgently needed. Mesenchymal stem cells (MSCs) are known to be non-hematopoietic multipotent progenitor-cells. We found that MSCs/stromal cells differentiated into MKs and platelets. The clinical needs for platelet transfusions are increasing. Adipose tissue-derived MSCs/stromal cells are an attractive candidate cell source because inducing these cells into MK-lineages requires no gene transfer and only endogenous transcription factors containing p45NF-E2/Maf, an MK-inducing factor and endogenous thrombopoietin, a primary cytokine that drives MK lineages. Thus, we developed a manufacturing system for platelets from donor-independent cell source, human adipose-derived mesenchymal stromal/stem cell line (ASCL). ASCL satisfied the minimal criteria for defining MSC by The International Society for Cellular Therapy. ASCL-derived platelets (ASCL-PLT) were obtained with a peak at Day 12 of culture using MK lineage induction media. We observed that CD42b-positive cells expressed a MSC marker CD90 in relation to cell adhesion. The pattern of in vivo kinetics after being infused into irradiated immunodeficient NSG mice was similar to that of platelet concentrates. ASCL-PLT has characterization observed in other platelet populations and might have additional function as MSC. The present protocol is a simple method that requires no feeder cells, further enhancing the clinical application of our approach.

1 0 0 0 資源と技術

著者
駒形 作次
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.266, 1955
著者
藤居 文行 石井 勝 杉田 明子 Fujii Fumiyuki Ishii Masaru Sugita Akiko
雑誌
【B】平成21年電気学会電力・エネルギー部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.30, 2009-08-18

火山の噴火時には、その上空に雷雲が生成し雷が発生する。火山雷の電磁波による観測は、火山活動観測指標として、光学観測や火山性地震の解析などと併用することができる。また、通常の落雷と火山来の性質の違いを調べることも有意義である。今回、JLDN(株)フランクリン・ジャパンにより運用されている、日本列島周辺を観測範囲とする落雷観測ネットワークであるJLDNの2000年度より2006年度までの7ヶ年分のデータを利用し、JLDN観測範囲内にあるいくつかの火山の噴火時の観測データを解析し、JLDNの火山雷の捕捉状況を調
著者
伊藤 晶子 畔柳 加奈子 櫛 勝彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.3_11-3_20, 2020-01-31 (Released:2020-02-25)
参考文献数
10

クレジットカードや電子マネー、デビットカード、QR コード、スマートフォン・アプリ(以下アプリ)を介しての送金など、現金以外のさまざまな支払い手段が利用され始めているが、日本においては、未だ現金での支払いが優勢である。その理由としてさまざまな社会的な要因が指摘されているが、生活者自身がどのような理由で支払い方法を選択しているか、という生活者の心理については明らかになっていない。そこで、本研究では10 名の生活者へインタビューを行い、グラウンデッドセオリーアプローチを援用し分析した。その結果、生活者が支払い方法を決定するためには共通のプロセスが存在していること、さらに、支払い行動については4パターンの行動原理があることを明らかにした。最後に、キャッシュレス社会に進展していくためのサービスデザインの要件提案を行なった。
著者
福井 幸太郎 飯田 肇
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

飛騨山脈,剱岳(2999 m)にある小窓雪渓および三ノ窓雪渓で,2011年春にアイスレーダー観測を行い,厚さ30 m以上,長さ900~1200 mに達する日本最大級の長大な氷体の存在を確認した.同年秋に行った高精度GPSを使った流動観測の結果,小窓,三ノ窓両雪渓の氷体では,1ヶ月間に最大30 cmを超える比較的大きな流動が観測された.流動観測を行った秋の時期は,融雪末期にあたり,雪氷体が最もうすく,流動速度が1年でもっとも小さい時期にあたる.このため,小窓,三ノ窓両雪渓は,日本では未報告であった1年を通じて連続して流動する「氷河」であると考えられる. 立山の主峰である雄山(3003 m)東面の御前沢(ごぜんざわ)雪渓では,2009年秋にアイスレーダー観測を行い,雪渓下流部に厚さ約30 m,長さ400 mの氷体を確認した.2010年秋と2011年秋に高精度GPSを使って氷体の流動観測を行った結果,誤差以上の有意な流動が観測された.流動速度は1ヶ月あたり10 cm以下と小さいものの,2年連続で秋の時期に流動している結果が得られたため,御前沢雪渓も氷河であると考えられる.
著者
有江 賢志朗 奈良間 千之 福井 幸太郎 飯田 肇 高橋 一徳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p><b>1.はじめに </b></p><p> 福井・飯田(2012)と福井ら(2018)は,飛騨山脈の多年性雪渓において,近年の小型かつ高精度な測量機器を用いて氷厚と流速の測定を実施した.その結果,流動現象が確認された六つの多年性雪渓は氷河(小窓氷河,三ノ窓氷河,カクネ里氷河,池ノ谷氷河,御前沢氷河,内蔵助氷河)であると判明した.飛騨山脈は,氷河と多年性雪渓が存在する山域となった.しかしながら,飛騨山脈のすべての多年性雪渓で氷河調査がおこなわれたわけではなく,飛騨山脈の氷河分布の全貌は明らかでない.福井ら(2018)は,飛騨山脈の未調査の多年性雪渓のうち,氷体が塑性変形を起こすのに十分な氷厚を持ち氷河の可能性があるのは,後立山連峰の唐松沢雪渓,不帰沢雪渓,杓子沢雪渓などごくわずかであると指摘している.そこで,本研究では,唐松沢雪渓において氷厚と流動の測定をおこない,現存氷河であるかどうかを検討した.さらに,本研究の唐松沢雪渓で測定された氷厚と流動速度を,氷河の塑性変形による氷河の内部変形の一般則であるグレンの流動則で比較し,唐松沢雪渓の流動機構について考察した.</p><p><b>2.</b><b>研究手法</b></p><p> 氷河と多年性雪渓は,氷体が顕著な流動現象を示すかどうかで区別される.本研究では,唐松沢雪渓の氷厚を測定するために,アンテナから電波を地下に照射し,その反射から地下の内部構造を調べる地中レーダー探査による氷厚測定を実施した.また,縦断測線と横断測線との交点ではクロスチェックをおこない正確な氷厚を求めた.測定日は2018年9月21日である.さらに,雪渓上に垂直に打ち込んだステークの位置情報を融雪末期に2回GNSS測量を用いて測定し,その差分から唐松沢雪渓の融雪末期の流動速度を測定した.また,雪渓末端の岩盤に不動点を設置し,2回の位置情報のずれをGNSS測量の誤差とした.2回の測定日は,2018年9月23日と10月22日である.図1に地中レーダー探査の側線とGNSS測量の測点を示した.</p><p><b>3.結果</b></p><p> 地中レーダー探査の結果,唐松沢雪渓は30m以上の氷厚を持ち,塑性変形するのに十分な氷厚を持つことが確認された.</p><p> また,流動測定の結果,2018年融雪末期の29日間で,P1で18cm,P2で25cm,P3で19cm,P4で18cm,P5で19cm,北東方向(雪渓の最大傾斜方向)に水平移動していた.雪渓末端部の河床の岩盤の不動点(P6)での水平移動距離は2㎝であった.今回の測量誤差を2㎝とすると,雪渓上の水平移動で示された雪渓の流動は,誤差を大きく上回る有意な値であるといえる.流動測定を実施した融雪末期は,積雪荷重が1年で最も小さいため,流動速度も1年で最小の時期であると考えられている.このことから,唐松沢雪渓は一年を通して流動していることが示唆され,現存氷河であることが判明した.</p><p> さらに,唐松沢雪渓で測定された表面流動速度は,グレンの流動則による塑性変形の理論値を上回っていた.このことから,唐松沢雪渓の融雪末期における底面すべりの可能性が示唆される.</p><p><b>引用文献</b></p><p>福井幸太郎・飯田肇(2012):飛騨山脈,立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と流動―日本に現存する氷河の可能性について―.雪氷,74,213-222.</p><p>福井幸太郎・飯田肇・小坂共栄(2018):飛騨山脈で新たに見出された現存氷河とその特性.地理学評論,91,43-61.</p>
著者
福井 幸太郎
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.187-195, 2004-03-15
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

飛騨山脈北部の立山は豪雪かつ多雨という特異な気候環境下にある.ここでは,永久凍土が一年の大半を積雪に覆われるカール内の北向き斜面に分布しているが,その形成維持機構は不明であった.そこで,永久凍土が分布しているカール内と分布していない稜線付近の2地点で2000~2002年にかけて地中温度,降水量,土壌水分の無人観測を行い,両地点の地中温度状況の比較から,永久凍土の形成維持機構を検討した.稜線付近では梅雨期の降水の浸透により地下深部まで熱が速やかに運ばれ,凍土の急速な融解を引き起こす.故に永久凍土が分布できる環境にない.一方,カール内では,10月下旬~11月上旬の積雪から露出している時期に生じる速やかな凍結と1~5月の積雪を冷源とした凍結により凍土が形成,冷却され,夏遅くまで残る積雪により凍土は一年の大半を融解から免れる.このため,カール内では永久凍土が形成維持される.