著者
張 海 浅野 純一
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.12-17, 2013-12-01 (Released:2014-07-31)
被引用文献数
1

本文は中国における教育公平および質向上を目指したICT活用の系譜と現状,課題を総説する。まず,1999年から今現在まで,中国中央政府から出したICT活用教育に関する教育政策及び計画を紹介する。次に,基礎教育情報インフラとコンテンツを充実させるため,中国教育部の役割及び対策をまとめる。第三,遼寧省の教育情報化の推進を例として挙げる。最後に,中国ICT活用教育が当面する課題を検討する。
著者
望月 由美子
出版者
札幌市立大学
雑誌
札幌市立大学研究論文集 = SCU journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-28, 2017-07-18

本稿は,初代サッビオネータ公爵ヴェスパシアーノ・ゴンザーガ・コロンナ(1531-91)が居城であるパラッツォ・ドゥカーレ(公爵の宮殿) に造営した肖像ギャラリーについて検証するものである.ヴェスパシアーノは北イタリアのロンバルディア州で勢力を誇ったゴンザーガ家の傍系貴族で, 星形の要塞都市サッビオネータを造営した人物として知られる.また,学術文芸の庇護者,スペイン王フェリペ二世の傭兵隊長としても名声を馳せ,歴代神聖ローマ皇帝の愛顧を受けて地方領主の身分から公爵まで登りつめた人物でもある.本論は,サッビオネータのパラッツォ・ドゥカーレにヴェスパシアーノが設けた「祖先のガッレリーア」(ガッレリーアは「美術品展示室」「ギャラリー」の意)と呼ばれるゴンザーガ家祖先の肖像を飾った部屋の室内装飾プログラムを分析するものである.その際,16 世紀から18 世紀の宮廷文化で重要な側面を担った肖像ギャラリーの機能に配慮しつつ,壁面の祖先たちの肖像群と天井フレスコ画のオリンポスの神々,古代ローマ帝国主題を図像学・考古天文学的視座から検討し,最終的にここがヴェスパシアーノの政治支配の正当性と,サッビオネータのゴンザーガ家による支配の永遠性を祈念する意図から構想された一室であったことを明らかにするものである.
著者
潮下 敬 泉川 欣一 原 耕平 Arifa Nazneen 古巣 朗 宮崎 正信 河野 茂
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.131-134, 2003-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本邦では毎年ハチ刺症により約40人の死亡が認められる. アナフィラキシーショックはよく知られているが, 横紋筋融解症による急性腎不全の合併症例は比較的少ない. 今回, われわれはスズメバチ刺症後に横紋筋融解症, 多臓器不全をきたし血液透析を施行して救命した症例を経験した. 症例は80歳男性. 全身をスズメバチに刺されて意識消失し緊急入院となる. 入院後急性腎不全を主体とする多臓器不全を発症したが, 血液透析を計8回施行して腎機能は回復した. 透析離脱後は他の臓器不全も改善し後遺症も認められなかった.ハチ刺症による急性腎不全の発症機序としてはハチ毒による尿細管壊死, 横紋筋融解, 血管内溶血などが考えられる. これまでの報告と合わせてスズメバチ刺症による多臓器不全について報告する.
著者
酒見 真歩 中桐 斉之
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.571-572, 2020-02-20

大学生の約9割が先延ばし行動を経験している、と言われている。先延ばし行動の改善には、タスクのハードルを下げることが一番有効であるのではないか、と予想した。そこで、タスクを細分化し、サブタスクをこなすごとにポイントが貯まり、貯まったポイントを使って自分が設定したご褒美と交換することができる、といった簡単なゲーミフィケーション要素を含むタスク管理システムによる実験を行ったところ、タスクの早期着手に効果があることが明らかになった。しかし、タスクの早期完了の効果は得られない点、現実のご褒美に改善の余地がある点が明らかになった。そこで、本研究ではタスクの早期完了に焦点を当て、システムの改善・実験を行い、本システムの使用によって 、先延ばし行動改善に効果が期待できるのかどうかを明らかにする。
著者
佐藤 禎紀 柏原 昭博 長谷川 忍 太田 光一 鷹岡 亮
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P3OS2103, 2019 (Released:2019-06-01)

Web調べ学習では,Web空間を探索して与えられた課題(初期課題)に対して網羅的,体系的な学習が求められる.一方Web空間では,学ぶべき項目や順序(学習シナリオ)は与えておらず,学習者は学習課題に対する知識構築と次に学ぶべき課題の展開を並行して行うため,認知的負荷が高い.筆者らはWeb調べ学習におけるプロセスをモデル化したWeb調べ学習モデルを提案し,そのモデルに沿った学習を促すシステムiLSBを開発した.一方で学習者はiLSBを用いても初期課題と関係ない課題を展開する場合があり,学習シナリオの診断が必要である.しかし一般的な,解となるシナリオと学習者のシナリオの比較による診断は学習者の主体性を阻害してしまう.そこで本研究では,Web上の関連データをリンク付けしたLOD(Linked Open Data)を用いて,学習者の主体性を阻害せず課題展開を診断することで,より妥当なシナリオ作成を促す手法を提案する.また,本稿では提案手法の評価実験を行った.その結果,提案手法は学習者の課題展開への見直しを促し,妥当なシナリオ作成に有効であることが示された.
著者
浅井 徹 原 辰次
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.35-44, 1996-01-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

In this paper, we consider a problem of the simultaneous controller synthesis and modeling for robust control against parametric perturbations. The model is formulated by an LFT representation of a norm bounded uncertainty matrix and a coefficient matrix which represents the uncertainty bound. The modeling of the uncertainty bound is based on the performance of the closed-loop system, while the robust stability and the robust performance is attained by an H∞ control.A sufficient condition for the existence of a robust controller and the corresponding uncertainty bound is proposed in terms of matrix inequalities. Moreover, we show that those inequalities are reduced to be LMIs in some special cases. An application to a linear AC motor verifies the effectiveness of the proposed method.
著者
庄子 一成 福山 喜一 北村 征生
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.21-31, 1987 (Released:2017-07-07)

南西諸島北部における暖地型マメ科牧草の実用栽培の可能性を検討するために,低温側に生育適温があるグリーンリーフ及びシルバーリーフデスモデューム,クーパー及びチナルーグライシン,サファリクローバと,高温側に生育適温があるサイラトロ,セントロ,エンディバー及びスコフィールドスタイロの9草種それぞれの単播及びローズグラスとの混播栽培を4年間にわたって実施し,草地として定着した試験3・4年次に得られた乾物収量と気象条件との関係を解析した。また窒素収量については,ローズグラス単播に4段階の窒素を施肥した場合の収量と比較検討した。年間合計乾物収量はグリーンリーフ1141kg,シルバーリーフ638kg,クーパー807kg,チナルー844kg,サファリクローバ462kg,サイラトロ895kg及びセントロ649kg/10aであった。この乾物収量と混播におけるマメ科率の推移から判断して,南西諸島北部は低温暖地型マメ科牧草グリーンリーフ,クーパー,チナルー及び高温暖地型マメ科牧草サイラトロの栽培適地であると考えられた。サイラトロの乾物収量が高くなったのは,生育適温域が広く,低温期における生育が良好であったと同時に耐早性に優れており,高温期の生産量が高かったためであった。また,グリーンリーフ,クーパー及びチナルーの高収は適度の降雨がある低温期の乾物生産量が高いことに起因するものであった。サイラトロは常時高い窒素含有率と高い混播効果(窒素移譲量2.2kg/10a)を示し,混播区の年間合計窒素収量は33kg/10aとなった。グリーンリーフは単播区の乾物収量が混播区のマメ科収量よりも高かったため,年間合計窒素収量も単播区が高くなり,31kg/10aとなった。この結果上記2草種の窒素収量は,早魃時には乾物収量が低下するクーパーの混播区(29kg/10a)や窒素含有率の低いチナルーの単播・混播区(24kg/10a)よりも高くなった。
著者
久原 有貴 関口 道彦 小鴨 治鈴 松本 信吾 七木田 敦 杉村 伸一郎 中坪 史典 上田 毅 松尾 千秋
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 = The Annals of educational research (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.43, pp.25-33, 2014

昨今,子どもの健康問題から,幼児期の身体活動の重要性が注目されている。本研究は,森の中で遊びを中心とした保育を行っている森の幼稚園(広島大学附属幼稚園)での身体活動量と体力・運動能力との関係を明らかにした。研究1では5歳児クラスの幼児を対象に歩数という指標を用いて身体活動量を測定した。その結果,森の幼稚園の幼児は一般的な幼稚園の幼児よりも保育時間中に多く歩いたり走ったりしていた。研究2では3~5歳児クラスの幼児を対象にMKS幼児運動能力検査を用いて体力・運動能力を測定し,また,身体活動量と体力・運動能力との関係を調べた。その結果,森の幼稚園の幼児の体力・運動能力は平均的であり,歩数が多い幼児ほど瞬発力とスピードが高かった。研究3では,森の幼稚園の卒園児の体力・運動能力を調べた。その結果,森の幼稚園出身の児童の体力・運動能力は,1年生の時点では平均的で,2年生以降になってから平均よりも高くなっていた。このことから,森の幼稚園という保育環境は幼児期に多くの身体的活動を行うことを促し,それが心情面などへの影響を媒介として,小学校入学以降の体力・運動能力に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
著者
喜多 一馬 池田 耕二 仲渡 一美
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.79-91, 2019-10-01 (Released:2019-10-02)
参考文献数
21

本研究の目的は,障がいを有した働き盛りの患者の理学療法への取り組みに対する意欲を向上させるための知見を得ることである.対象は,理学療法に積極的かつ意欲的に取り組んでいる40 歳代の男性入院患者である.方法は解釈学的現象学的分析とし,手順としては,本患者に半構造化面接を行い,理学療法を積極的かつ意欲的に取り組める理由について聞きとり,理学療法への取り組みに対する意欲を分析した.結果は,本患者の理学療法への取り組みに対する意欲を9 つのテーマから解釈することができた.テーマは,半年限定,家族や妻の存在,男のプライド,苦痛を意欲に変化させる力,関係性から構成される意欲等が示された.我々は,これらに着目した理学療法実践時の声かけや配慮,工夫が理学療法への取り組みに対する意欲の向上に大切になると結論づけた.
著者
齋藤 晃 長谷川 裕也 内田 正哉
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.39-46, 2013-04-30 (Released:2019-09-10)
参考文献数
31

本稿では,らせん状の波面をもつ電子波の物理的基礎を概説し,最近われわれが行った電子らせん波の生成,伝播および干渉についての結果を紹介する.透過電子顕微鏡の照射レンズ系にFIB加工したフォーク型回折格子およびスパイラルゾーンプレートを導入し,試料上でのビーム径がナノメーターオーダーの電子らせん波を生成した.特にスパイラルゾーンプレートをもちいた実験では,±90ћという大きな軌道角運動量をもつ電子らせん波が生成できた.また,回折格子等を通過した電子がらせん波を形成するまでの伝播過程を観察し,その強度分布がフレネル伝播理論にもとづくシミュレーションときわめて良い一致を示すことを明らかにした.さらに2つの電子らせん波をもちいた干渉実験を行い,互いの軌道角運動量によらずそれらが干渉することを見出した.この結果から,軌道角運動量はスピンと異なり,位置や運動量と同時計測不可能な物理量であることが確認できた.
著者
三池 洋江
出版者
白百合女子大学児童文化研究センター|Research Center for Children's Literature and Culture, Shirayuri University
雑誌
白百合女子大学児童文化研究センター研究論文集 = Studies of Research Center for Children's Literature and Culture, Shirayuri University (ISSN:13455338)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.79-95, 2020-03

「ハリー・ポッター」シリーズに登場するVoldemortには複数の呼び名がある。大多数の魔法使いはYou-Know-Whoという名を用い、DumbledoreやHarryは、Voldemortという名前を使う。登場人物が用いる様々な呼び名を紹介するとともに、HarryがYou-Know-Who、Voldemort、Tom Riddleへと呼び名を変えている点に着目した。そこから読み取れる敵への見方や立ち向かい方を考察した。