著者
安田 雪
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.417-427, 1996

本研究の目的は, 「企業集団とは, 各企業が市場からの拘束を軽減することを目的として連結しあう, 市場 (取引) と組織 (内製) との中間的な形態である」ことを提唱し, 社会ネットワーク分析の手法を用いて日本の六大企業集団の形成要因を分析することである。第1に, 日本の六大企業集団に属する企業の業種別構成をとりあげ, 企業集団においては企業が相互に紐帯により連結しあっており, 個々の集団内部に異業種の産業間を連結させるネットワークが形成されていると論ずる。第2に, 企業間の取引は, 産業連関構造を形成する産業間ネットワークより拘束されており, 産業ネットワークから個々の産業・企業に拘束 (market constraint) が課されていると論ずる。第3に, 企業集団に属する企業のダイアド (dyad) 関係を分析し, 産業間ネットワーク上で高い拘束・被拘束関係にあるような産業間を連結させるように企業集団内では紐帯が分布していることを実証する。
著者
山崎満喜子著
出版者
現代書館
巻号頁・発行日
1981
著者
金 明博 納田 真也 山田 将雄 小坂 理也 阿部 宗昭
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1289-1293, 2000-10-25

抄録:Klippel-Feil症候群に伴う頭蓋底陥入に対し、後方除圧とinstrumentによる整復固定術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は14歳,男子.外傷などの誘因なく頚部から両肩にかけての疼痛と上肢の筋力低下にて発症した.来院時には上肢の挙上困難とふらつき歩行を呈していた.単純X線では頚椎の癒合椎と高度の頭蓋底陥入を,MRIでは大後頭孔内に陥入した歯突起と環軸椎亜脱臼に伴う環椎後弓による脊髄圧迫像を認めた.Halo-vestを装着し整復を試みたが困難であった.手術は後頭下減圧・環椎後弓切除および後頭骨頚椎間整復固定術(CO-C3)を施行した.術中,instrument (CCD―Cervical)のrodを利用した整復操作を加え,wake-up testにて新たな麻痺が生じていないことを確認した後,骨移植し手術を終了した.術後13カ月の現在,疼痛は消失し上肢の挙上,ランニングとも可能となっている,本法は術前に整復不可能な頭蓋頚椎移行部病変に対し有効な一手術方法と考える.
著者
内田 弘
出版者
北海道大学大学院教育学研究院社会教育研究室
雑誌
社会教育研究 (ISSN:09130373)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.9-21, 2019-11-27

本稿は、宮原誠一が地域と教育を論じた時代の地域づくりと現代社会における地域づくりの諸課題の違いを踏まえ、宮原の次世代を担う若者を対象とした地域の担い手育成実践研究を継承し、現代社会における地域の担い手育成実践研究とはどのようなものになるのかについて明らかにすることを課題としている。研究対象となる若者とはどのような若者なのか、それらの若者の発達課題とは何か、そしてそれらの若者が参加する地域づくりのための教育・学習課題とはどのようなものなのかについて検討することになる。
著者
中島 直也 福田 友紀子 梁 広石 饗庭 三代治 津田 裕士
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.302-305, 2007-06-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
6

リウマチ因子陰性の多発関節痛を訴える高齢者を診療する際に, RS3PE症候群Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema Syndromeは鑑別すべき疾患の1つである. 当該症候群と診断した4例について, 診断・治療における留意点を指摘した. 何れの症例も高齢者 (76-85歳) であり, 突然の発症, 対称性多発関節炎, 両側手背足背のpitting edema, およびリウマチ因子陰性が共通した所見であった. プレドニゾロンの投与が著効を示したが, その減量は注意深く行う必要性があると判断された.
著者
菊地 克久 川崎 拓 奥村 法昭 笠原 俊幸 小泉 祐介 大澤 真 杉本 俊郎 藤本 徳殻 宮原 健一朗 今井 晋二 猿橋 康雄 松末 吉隆
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.119-125, 2011-06-30 (Released:2016-01-30)
参考文献数
17

Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群に両側胸水を伴った症例を報告する.症例は83歳女性.炎症反応が高値で,好中球優位の滲出性胸水と手の蜂窩織炎様症状を認めた為,感染との鑑別診断に難渋した.ステロイドの増量で,手背と足背に圧痕を伴う浮腫(pitting edema)及び多発関節痛と高熱は急激に改善し,同時に胸水も劇的に改善を認めた.稀ではあるが,胸膜炎を伴うRS3PE症候群があるので注意を要する.

1 0 0 0 OA 早稲田生活

著者
南北社 編
出版者
南北社
巻号頁・発行日
1913
著者
高橋 宏三 藤永 洋 小林 元夫 内藤 毅郎 飯田 博行 青木 周一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.643-647, 2002-11-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

高齢者においてリウマトイド因子陰性の多発性関節炎を診たときに, 考えるべき疾患はいくつかあるが remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema (RS3PE) 症候群もその1つである. これまで7症例経験した. 男2例, 女5例. 年齢は平均75.9歳 (67~82歳) と高齢で, 比較的急速な発症, 多関節炎, 両側の手背足背の pitting edema, リウマトイド因子陰性, 抗核抗体陰性ということが共通しており, McCarty らの提唱するRS3PE症候群とよく一致した. ただし本疾患は性別では男に多いとされているので, この点では異なっていた. 発熱を7例中4例に認め, 初診時CRP 0.9~27.8mg/dl, 赤沈70~140mm/hrであり, 全例が変形性関節症を伴なっていた. いずれも経過良好で, 有効治療はプレドニゾロン20mgが3例, 同10mgが2例, 非ステロイド性抗炎症薬が1例, 漢方薬が1例であった. 本邦での報告例は少ないが, まれな疾患ではないと思われる. 特に高齢者医療においてはこの疾患を知っていることが大切であり, 日常診療における注意深い観察が必要である.
著者
濵田 邦夫 長谷川 敦 大沼 法友 鈴木 隆三
出版者
市立千歳市民病院
雑誌
市立千歳市民病院医誌 = The Journal of Chitose City Hospital
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-18, 2010-06-01

2008年から2009年にかけて経験した高齢者(70歳以上)リウマチ因子陰性対称性関節炎の3症例を報告する。症例1(80歳男性)と症例2(89歳女性)は両側対称性の大関節炎を呈し、両側下腿・足の浮腫が著明であり、remittingseronegative symmetrical synovitis with pitting edema:RS3PEと診断された。症例3(74歳女性)ではpitting edemaが明瞭ではなかったが、両側対称性の大関節炎を呈しており、RS3PEと類似した病態と考えられた。3症
著者
徳山 尚吾 中本 賀寿夫
出版者
Japanese Society of Pharmaceutical Health Care and Sciences
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.511-520, 2013-09-10 (Released:2014-09-10)
参考文献数
70

Fatty acids are an important source of energy and an essential component of cell membranes. They also function as signal transduction molecules in a range of biological phenomena. There are several reports on the transport mechanisms of fatty acids including fatty acid transport proteins, and lipid chaperones fatty acid-binding proteins. Furthermore, fatty acids can signal through G-protein-coupled receptors or toll-like receptors.The recent westernization of dietary habits and food satiation is becoming a problem. Accordingly, the dietary intake ratio of n-3 fatty acids has dramatically decreased over several decades. Although the health influence in the change of these food habits has received little attention, in a recent study, the functional relationship between n-3 fatty acids and psychiatric disease or neurodegenerative disease has been the focus of many studies. Also, it has become apparent that the functional properties of fatty acids are modulated by factors such as the amount of individual fatty acid intake and their distribution among organs.In particular, it is reported that, in patients with depression, n-3 fatty acid contents in the brain decrease and the intake of the n-3 fatty acids can relieve psychiatric symptoms of depression. Therefore, it is thought that a fatty acid signal in the central nervous system relates to nerve activity and modulation of the synapse plasticity. However, the detailed mechanisms of these disorders have not been fully elucidated.In this mini review, we summarize a number of basic and clinical studies on n-3 fatty acids and psychiatric diseases and neurodegenerative disorders.
著者
阿部 小涼
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度は、昨年度の継続として、ニューヨークにおけるコミュニティ活動に従事したプエルトリカンと、アフリカ系アメリカ人との交流・交渉から生まれるアイデンティティ構築と政治活動について分析を行った。なかでも、社会活動家であり、ジャーナリスト、詩人という多面性を持つヘスス・コロンという人物に焦点を当て、その作品を通して、1930年代以降のニューヨークというコンテクストに置かれたプエルトリカンの、人種意識と政治への関与を考察した。その際には、同時代を生き、ハーレム・ルネサンスの高揚を支えた人物としてアフリカ系アメリカ人研究では著名なA・ショーンバーグが、黒人としての人種意識に基づいて活動したことが、対照的な存在として言及されるが、それによって、ヘスス・コロンが人種問題よりも社会主義を重要視して活動したという一般的な理解では充分ではない、プエルトリカン固有の人種意識の困難さを明かにした。差別に曝されたアメリカ社会において、自らの白人性に執着したとみなされがちなプエルトリカン移民は、その政治的実践においてはむしろ黒人性への覚醒、アイデンティティ構築というコンテクストに照らすことで、その思想的状況をより豊かに析出可能となるのである。さらに、1960年代の公民権運動のなかで登場するコミュニティ自助組織「ヤング・ローズ」の、社会運動への影響力も重要であった。ブラックパンサー党への敬意から誕生したこの組織は、コミュニティにおける生活の問題を、アイデンティティの政治という表現を用いて主張してきた人々であった。その主張内容は、人種意識の特徴、人種の多様性についての認識を踏まえた、新しい社会運動への萌芽として重要であり、今後の研究の方向に指針を得ることが出来た。最終年度となる今年度は、これまでの3年間の研究をまとめる作業を行い、国際学会その他でのプレゼンテーションを実施したほか、雑誌論文として発表した。また、成果の一部は、出版準備中の本のなかの1章として、現在編集中の段階である。
著者
神田 浩子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2457-2464, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

RS3PE症候群(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)は,高齢発症のリウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)陰性の関節炎を呈する患者の鑑別疾患の1つとして常に挙げられる疾患である.両手足の対称性圧痕浮腫をはじめとしていくつかの特徴はあるものの,明確な分類基準が存在しないために除外診断が中心となる.近年,関節炎に対しMRIやエコーを積極的に用いることにより,炎症の首座がどこにあるのかを明確にすることができるようになってきた.本稿では,RS3PE症候群について現況での知見を紹介する.
著者
前澤 聡 二村 美也子 藤井 正純 松井 泰行 若林 俊彦
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.226-233, 2014-06-30 (Released:2015-07-02)
参考文献数
20

脳腫瘍摘出の際,作業記憶の局在を術前に知ることは高次機能温存の鍵となる。我々は新たな手法として数唱課題 (digit span) を用いたfMRI を考案し,その有用性を検討した。4 人の脳腫瘍患者に対し術前評価として3TMR によるfMRI を施行。作業記憶局在評価のための数唱課題を行った。ブロックデザインで課題A では4 桁の逆唱,課題B では4 桁の順唱を行い,課題A から課題B を引き算し解析した。 結果として,左側の背外側前頭前野皮質 (DLPFC) (4/4 例) ,前部帯状回 (3/4 例) ,左頭頂間溝付近 (3/4 例) に賦活が認められた。これらの部位は他の言語機能タスクとは一部を除き異なっていた。本結果は数唱課題によるfMRI が作業記憶に関与する脳内局在を示している可能性を示唆する。N-back やreading span のfMRI より簡便であり負担が少ないため,脳腫瘍患者の術前評価として有用である。