著者
秋葉 崇 小川 明宏 寺山 圭一郎 土谷 あかり 中川 晃一 榊原 隆次 丸岡 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.695-699, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕足関節底背屈運動が血行動態と自律神経系に与える影響を検討し,起立性低血圧の対処法としての一助とすること.〔対象と方法〕対象は健常男性8人(年齢28.8 ± 5.3歳)とした.プロトコルは,5分間の安静座位の後,1分間の足関節底背屈運動を行い,再度5分間の安静座位を保持した.その間,循環動態と自律神経の反応を評価した.〔結果〕心拍数,一回拍出量,心拍出量は,安静時の値と比較して,足関節底背屈運動中の値が有意に高値を示した.また,その効果は運動後1分まで持続した.LF/HF,HFなどの自律神経系の反応は,有意な変化が認められなかった.〔結語〕足関節底背屈運動の即時効果が認められ,その効果は1分程度持続した.足関節底背屈運動が,起立直後の血圧低下を回避する方法としての一助となる可能性が示唆された.
著者
木津 純子
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.11, pp.1405-1410, 2019-11-20 (Released:2019-12-06)
参考文献数
12

花粉症を含むアレルギー性鼻炎の患者は増加の一途をたどり, 今や国民病の一つとされている. アレルギー性鼻炎は, 発作性反復性のくしゃみ, (水様性) 鼻漏, 鼻閉を主徴とし, 自動車運転を含めた日常生活に多大な影響を及ぼす. 薬物治療の基本は第二世代抗ヒスタミン薬であり, 病型を問わずすべての重症度で推奨されている. 脳内に移行しにくい非鎮静性第二世代抗ヒスタミン薬は, 眠気の発現が少なく, 抗コリン作用やインペアード・パフォーマンスなども軽減されている. 特に, 2010年以降, 新薬が相次いで販売され, 治療選択肢の幅が広がっている. しかしながら, 眠気が軽減されてはいるものの, 服用患者を対象とした実態調査においては, いずれの第二世代抗ヒスタミン薬を服用しても我慢できないほどの強い眠気を訴える患者が存在し, 眠気の発現には個人差が大きいことが確認されている. 第二世代抗ヒスタミン薬を処方する際には, 服用後にアレルギー症状について効果を確認するとともに, 眠気や作業効率の低下などの発現についても確認することが重要である. さらに, 第二世代抗ヒスタミン薬は, 薬物相互作用, 薬物動態に及ぼす食事の影響などにも違いが認められ, 1日の服用回数や服用時期も異なっている. アレルギー性鼻炎の症状を抑え, 自動車運転を含めた QOL を向上させるには, 個々の患者の生活スタイルや嗜好などについても把握した上で, 患者のアドヒアランスを考慮し, 患者に最も適した薬剤を選択することが重要となる.
著者
畝山 多加志
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
pp.2018-0035, (Released:2018-10-11)
参考文献数
18

対称ジブロックコポリマーのミクロ相分離構造を取り扱うための粗視化モデルとして,ソフトダンベルモデルに基づく自己無撞着場(SCF)理論を提案する.二つの粗視化粒子を連結することでジブロックコポリマーを表現するソフトダンベルモデルに対して標準的なSCFモデルの導出手法を適用することで濃度場と外場に対する自己無撞着な連立方程式を導出する.得られたSCFモデルを用いて一次元系でシミュレーションを行うことで,ミクロ相分離構造を再現できることを示す.また,得られたSCFモデルの性質について考察を行う.
著者
小塚 真啓
出版者
金沢大学人間社会研究域法学系
雑誌
金沢法学 = Kanazawa Law Review (ISSN:0451324X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.001-0046, 2011-07-29

科研費助成研究21830045
著者
大谷 直子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1101_1, 2017 (Released:2017-11-01)

細胞老化した細胞からは,様々な分泌タンパク質(炎症性サイトカイン,ケモカイン,細胞外マトリクス分解酵素などのプロテアーゼ類,増殖因子など)が産生されることが明らかになり,その現象は「細胞老化随伴分泌現象(senescence-associated secretory phenotype, SASP)」と呼ばれる.SASP因子はパラクライン的に自己以外の細胞に作用し,周囲の細胞の細胞老化を誘導したり,場合によっては増殖させたり,また免疫細胞を遊走させ,老化細胞のクリアランスに働くことが知られている.オートクライン的に働き,自己の細胞老化をより強化することも示されている.重要な生理作用として,組織の損傷治癒の際に一時的にSASPが誘導されることが示された.
著者
齋藤 千賀子 西脇 美春
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 = Yamagata Journal of Health Sciences
巻号頁・発行日
vol.8, pp.53-63, 2005-03-01

Keyword:menstruation pattern, premenstrual syndrome (PMS), menstrual discomfort symptom (dysmenorrhea), daily life, coping method. キーワード:月経パターン、月経前の不快症状(月経前症候群:PMS)、月経中の不快症状(月経困難症)、日常生活、対処方法
著者
小木 治 白沢 敏邦 熊沢 厚 宮坂 三良 小野 守一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1409-1414, 2011

トラック・バスのドライバーの疲労軽減のためにイージードライブ化への取組みを積極的に行ってきたが、今回、トラック・バス用として従来の不利点を克服したデュアルクラッチトランスミッション(DCT)を世界で初めて実用化し、新型小型トラックに搭載したので紹介する。
著者
小竹 光夫
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University
巻号頁・発行日
vol.11, pp.75-84, 2019-09-30

奇しくも、「昭和」から「平成」に続いて、「平成」から「令和」への改元に遭遇することとなった。元号に対しては、さまざまな立場・思想に基づいて多くの主張があるところである。ある意味で自主・自治が認められている大学という環境下では、頑ななまでに元号不使用を唱える研究者もおり、それは授業資料の日付表記にまで及んでいた。思想がないと叱責されるかも知れないが、論者にはそこまでの主張はなく、元号にしても、西暦にしても、必要に応じて使い分ける、あるいは併記するという形で用いてきたのが実際のところである。明治以降、我々は「一世一元」を通常と考えてきたが、今回の改元は「生前退位」という形をとり、我々が常識と考えてきた形態とは異なるものとなった。歴史を遡れば、「一世一元」の方が稀であり、従前はいわゆる「年号」として扱われていたのであるから、法的な立場を離れればこと珍しいことではない。本論においては、「元号」の思想的な部分に焦点を当てるのではなく、極めて「特殊」な形で提示された「令和」という墨書文字に切り込み、論者が関わる書写書道教育、つまりは文字学習の視点からの問題点を分析し、考察を加えようとしている。なお、新元号の発表が4月1日、改元が5月1日であったことから、掲げる資料の多くがキャプチャー画像によることをお詫びするとともに御理解いただきたい。
著者
関根金四郎 編
出版者
六合館弦巻書店
巻号頁・発行日
vol.上,下巻, 1894
著者
藤井 昌彦 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.114-118, 2017-04-25 (Released:2017-06-07)
参考文献数
45
被引用文献数
1

人の脳は新皮質と大脳辺縁系に大別されるが,大脳辺縁系の情動が目的で新皮質の知識は道具でしかない.道具は加齢とともに衰えることは自然の摂理であるが,情動の異常興奮であるBPSDは情動療法により本来のやさしさを取り戻すことができる.すると在宅介護も可能になり認知症の定義から外れることにより認知症は治療可能な疾患であると考えられる.更に加えて在宅介護には介護者のBPSCの治療が必要になる.

1 0 0 0 OA 千紅万紫

著者
大田南畝 著
出版者
集成館
巻号頁・発行日
1884
著者
曽我部 敦 安田 正明 野田 章
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.207-216, 2002-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
38
被引用文献数
9 10

頭髪上での毛髪のハリ・コシ感は, 毛髪の曲げ硬さやねじり硬さ, 毛髪間の摩擦による影響など複数の物理特性の組合せによるものであるが, 最も基本的な因子の一つには, 毛髪一本の硬さがあげられる。そこで毛髪の硬さについて, 曲げ応力測定と毛髪径測定を行い, 材料力学的見地から, ヤング率による評価を試みた。毛髪の短径および長径を正確に測定するために, レーザー光を利用した毛髪径測定装置を開発した。また, 毛髪をキューティクル, コルテックスより構成される, 異なるヤング率を持った二層構造と仮定し, 毛髪全体のヤング率と物理的にキューティクル層を剥離させたコルテックス部分のみからなる毛髪のヤング率測定を行い, 材料力学的な解析によりキューティクルのヤング率を算出した。その結果, キューティクルはコルテックスの4倍程度硬いことがわかった。また, 毛髪の短径, 長径およびキューティクル層の厚さの測定結果と併せて, 曲げ応力に対するキューティクルとコルテックスの寄与率を算出したところ, キューティクルの曲げ応力への寄与率は, 全体の約6割に達し, 曲げ応力の発生はキューティクルが重要な役割を担っていることを見出した。

1 0 0 0 南方民俗学

著者
南方熊楠著 中沢新一編
出版者
河出書房新社
巻号頁・発行日
2015
著者
小泉 和三郎 西元寺 克禮
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.85-91, 2005-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
32

切除不能進行胃癌に対する化学療法はBest Supportive Therapyに比し,予後の改善があることが認められている.しかしながら標準的治療法が確立していない事から多数のレジメンが少数例で検討されているのが現状である.また分子標的薬剤の開発が進み,胃癌の臨床にも登場する日もそう遠いことではないであろう.日本においては現在行われている臨床試験の中でJCOG9912 5FU vs S1 vs CPT+CDDPの比較試験およびSl vs Sl+CDDPの比較試験が今後標準的治療の確立のために最も重要な試験と考えられる.ここでは海外での報告と本邦での報告を中心に今後行われるべき方向性を検討したい.