著者
唐澤 豊
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.61-66, 2002 (Released:2011-03-05)

1988年にイスラエルから沖縄にダチョウが導入されて以来、日本における産業的なダチョウ飼育が始まり、その飼養羽数は1996年の566羽から急激に増加して2001年の夏には9300羽を越えた。このようにダチョウ飼育が日本で注目された社会的背景には、バブル経済の崩壊に伴う新規事業対象として、あるいは農山村の農業の停滞に伴う過疎化と荒廃農地の増加などが主な要因としてあると思われる。もちろんその前提として、ダチョウの動物資源としての有用性があったからに他ならない。ダチョウは、雑食性ではあるが牧草を好みよく利用することができること、皮、肉など余すところなく利用できることに加えてそれらの生産物の付加価値が高いこと、繁殖技術や管理技術の向上によってさらに生産性の飛躍的な向上が期待できること等々,きわめて優れた動物資源といえる。私たちには、この優れた動物資源をどのように社会の中で活用し利用できるか、関連分野の力量を問われている課題であるともいえる。
著者
神 勝紀 大島 裕治 富田 くるみ 唐澤 豊
出版者
信州大学農学部
巻号頁・発行日
vol.42, no.1-2, pp.9-16, 2006 (Released:2011-03-05)

開放型の間接熱量測定装置を作製した。この装置は体重2kg以下のニワトリにおけるエネルギー代謝研究に使用するものであり,給餌後の急速な熱生産反応にも対応できる応答速度を持たせるように設計した。作製後に装置の応答速度およびO2とCO2の回収率を測定し,さらに実際にニワトリを用いてHPを測定した。O2とCO2の濃度変化に対する応答の遅れはいずれも2分程度であり,O2とCO2の回収量はそれぞれ99.2%と96.2%であったが,この程度の応答の遅れやCO2回収率の低さは,HPを求める上では影響はほとんどないと考えられていた。ニワトリを用いた試験では,絶食時と自由摂取時のHPおよび給餌後のHPパターンとも過去の報告と類似した結果が得られた。以上から,本研究で作成した装置はニワトリのHPを測定するに十分な性能を持つと考えられた。
著者
石原 陽子 北村 諭 千治松 洋一 本間 日臣
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.1122-1126, 1984-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
6

健康成人29名に喫煙負荷実験を行った所, 1日当りの喫煙量と血中6-keto PGF1α, TxB2, 過酸化脂質量との間には相関はなかった. 喫煙者群では19例中11例で喫煙負荷後に過酸化脂質が増加する傾向を示したが非喫煙者群では一定傾向を示さなかった. また血漿中6-keto PGF1α値は, 非喫煙者群では1例を除く全例で喫煙負荷後上昇したが, 喫煙者群では一定傾向を示さなかった. 血漿TxB2値は, 非喫煙者群では喫煙負荷後に全例が上昇を示した. 一方, 喫煙者群のうち“shallow”群では喫煙負荷により9例中8例でTxB2値の上昇を認めたが,“deep”群では逆に低下した. 喫煙負荷前の血漿TxB2値は, 非喫煙者群に比し“deep”群で有意に高値を示した. 以上の実験成績より, 喫煙の急性効果として, 血中TxB2, 6-keto PGF1α, 過酸化脂質などの液性因子の変動が起ることが解明された.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1918年05月08日, 1918-05-08
著者
Zhaohao Zeng Ruihua Song Pingping Lin Tetsuya Sakai
出版者
Information Processing Society of Japan
雑誌
Journal of Information Processing (ISSN:18826652)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.742-751, 2019 (Released:2019-11-15)
参考文献数
37

We tackle Attitude Detection, which we define as the task of extracting the replier's attitude, i.e., a target-polarity pair, from a given one-round conversation. While previous studies considered Target Extraction and Polarity Classification separately, we regard them as subtasks of Attitude Detection. Our experimental results show that treating the two subtasks independently is not the optimal solution for Attitude Detection, as achieving high performance in each subtask is not sufficient for obtaining correct target-polarity pairs. Our jointly trained model AD-NET substantially outperforms the separately trained models by alleviating the target-polarity mismatch problem. By employing pointer networks to consider the target extraction task a boundary prediction problem instead of a sequence labelling problem, the model obtained better performance and faster training/inference than LSTM and LSTM-CRF based models. Moreover, we proposed a method utilising the attitude detection model to improve retrieval-based chatbots by re-ranking the response candidates with attitude features. Human evaluation indicates that with attitude detection integrated, the new responses to the sampled queries are statistically significantly more consistent, coherent, engaging and informative than the original ones obtained from a commercial chatbot.
著者
坂本 芳美 岡 美和子 深田 靖彦 河内 正治
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.3_53-3_56, 2005 (Released:2006-12-27)
参考文献数
5
被引用文献数
3

血清アルブミン値は栄養評価として信頼でき、かつ安定した指標として臨床の場で広く認められている。最近ではRBP (retinol-binding protein)、TTR (transthuyretin : 慣用名prealbumin)、Tf (transferrin) 等の半減期の短いRTP (Rapid Turnover Protein) とともに栄養アセスメント蛋白と呼ばれている。しかし、その測定値において、体位による変動が、臨床上問題になるほど大きいことは、栄養療法を行なう臨床の場ではほとんど知られていない。今回われわれは、体位による変動を健康成人において調査した結果、血清アルブミン値をはじめRTP値が採血時の体位で10%程度の差を生じることが判明し、採血時の体位が無視できないことを確認した。栄養アセスメント蛋白を栄養評価指標として用いる際には、体位、体位保持時間を考慮しなければ誤った判断を下す可能性があると考え、その際の標準体位を決定し、アナウンスする必要があると考える。
著者
石原哲男編著
出版者
日本髪資料館
巻号頁・発行日
2004
著者
山田 巖
出版者
駒澤短期大学国文研究室
雑誌
駒沢短大国文 (ISSN:02866684)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-7, 1971-12
著者
石井 僚 村山 航 福住 紀明 石川 信一 大谷 和大 榊 美知子 鈴木 高志 田中 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18233, (Released:2019-11-15)
参考文献数
66
被引用文献数
2

The study described here developed a short surrogate index for the children’s socioeconomic status (SES) using house possessions and investigated its validity. In Study 1, 192 pairs of parents and their middle school-aged children participated in a questionnaire survey. Based on the results, three items regarding possessions at home were selected for the short surrogate index out of the 17 items used in the Programme for International Student Assessment. Furthermore, the short surrogate index for the children’s SES was related to family income, parents’ academic background, and hierarchy consciousness. In addition, it was found to have good test-retest reliability, thereby demonstrating its validity. To confirm that the item selection and validity in Study 1 did not involve sampling error, Study 2 investigated the reproducibility of validity with a different sample. One hundred ninetyfive pairs of parents and their middle school-based children responded to the questionnaire, and the results redemonstrated the index’s validity. Studies in different disciplines using the short surrogate index can be conducted because SES can be both the main and confounding variable.
著者
森田 茂
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.1230-1236, 1958-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
37

第1報で報告したように, ブチルベンゼンの異性体を気相空気酸化すると, n-およびsec-プチルベンゼンは安息香酸, 無水マレイン酸のほかに無水フタル酸を生成し, tert-ブチルベンゼンは無水マレイン酸だけを生成する。この特異な反応の機構を調べ, つぎのことがわかった。1. n-ブチルベンゼンは大部分がまず側鎖のC4が酸化されてγ-フェニル酪酸となり, つぎに閉環してテトラロンとなりさらに酸化されて無水フタル酸を生成する。すなわち, 第2報で報告したn-プロピルベンゼンの気相空気酸化機構と同様で, 液相空気酸化や無触媒気相酸化機構と全く異る経路をとるものである。2. tert-ブチルベンゼンは, 反応中ブチル基とベンゼン核とに熱分解するため, 無水マレイン酸だけしか生成しない。3. ブチルフェノン, ベンジルエチルケトンは空気酸化で無水フタル酸を生成しないが, ベンジルアセトン, γ-フェニル酪酸は無水フタル酸を生成する。
著者
小長谷 陽子 渡邉 智之 小長谷 正明
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.335-341, 2009 (Released:2009-07-08)
参考文献数
13

愛知県内のすべての医療機関,介護福祉施設などを対象に,若年認知症の実態調査をおこない,1,092人(男性569人,女性520人,性別不明3人)について原因疾患と有病率を解析した.調査時平均年齢は60.7±7.1歳,発症年齢は55.1±7.8歳であった.原因疾患は全体では,アルツハイマー病(AD)(34.9%),血管性認知症(VD)(34.1%)が多く,次いで前頭側頭型認知症(5.9%),パーキンソン病(3.6%)であった.男性ではVD,AD,FTD,PDの順であり,女性ではAD,VD,FTD,PDの順であった.人口10万人当たりの推計有病率は60∼64歳で男性182.2人,女性150.6人,55∼59歳ではそれぞれ90.6人,81.7人であった.
著者
草野 圭弘 福原 実 高田 潤
出版者
倉敷芸術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

備前焼作家により制作された金彩備前焼について、表層の結晶相について粉末X線回折および透過型電子顕微鏡観察により検討した。金色は、これまで燃料として用いられる赤松に含まれる炭素が作品表面に付着し、この炭素膜による干渉色によると考えられてきたが、炭素は検出されず、厚さが約100nmの酸化鉄(ヘマタイト、α-Fe2O3)が表面に生成していることが明らかとなった。また、メスバウアー分光測定においても、ヘマタイトの生成を確認した。このヘマタイトとガラス相の散乱光により金色に見える可能性があることがわかった。金彩および銀彩備前焼を制作されている備前焼作家に、金属光沢模様が現れやすい焼成条件について聞き取り調査を行った。稲わらを巻いた作品を登り窯にて酸化雰囲気下で昇温した後、過剰の薪または炭を加え、還元雰囲気下で冷却すると金彩や銀彩模様が現れやすいことがわかった。よって、備前焼表面の金属光沢は、稲わらと反応して生成した液相中に酸化鉄が析出することにより現れると考えられた。作家による焼成条件を基に、電気炉にて再現実験を行った。稲わらの主成分はシリカ(SiO2)であるが、カリウムが約13wt%含まれており、カリウムが備前焼粘土と反応してガラス相が形成すると考えられる。そこで、稲わらの代わりに炭酸カリウム(K2CO3)を用い、大気中にて1230℃まで昇温後、アルゴンガスに一酸化炭素を10%混合したガス中で冷却を行った。現在、生成相の検討および熱処理条件の最適化を行っている。