著者
森 悠一 工藤 進英 三澤 将史
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.867-877, 2019-11-10 (Released:2019-11-11)
参考文献数
48

近年の内視鏡イメージング技術の発展により,大腸病変の検出率および病理診断予測能力は飛躍的に向上した.しかし同時に,高精度の診断はエキスパート内視鏡医しか実現できないという,ジレンマも明らかになりつつある.このような内視鏡診断能の限界に対する革新的な解決策として注目をあびているのが,人工知能(AI)による内視鏡診断支援システムである.本稿では,ここ数年で急激に研究が活性化した内視鏡AIの世界的動向について概観するとともに,内視鏡AIを実臨床で使用する上で,必須とされる薬事承認の実施状況についても紹介する.

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出版者
巻号頁・発行日
vol.第517-519,
著者
木戸 秀和 橋爪 絢子 馬場 哲晃 榛葉 俊一 松井 岳巳
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.1-8, 2015-12-23 (Released:2017-08-17)

自律神経の活動度を表す心拍変動指標(HRV)から,ストレス状態などの推定ができるといわれている.本研究は日常的なストレス管理を目的に,普及率の高いスマートフォンのカメラ機能を使って脈波計測ができ,HRVを算出できるシステムを開発した.本論では,2つの検証実験から,その実用性を評価した.まず,室内照明条件下(600lx)で,開発したシステムを用いた脈波の計測,およびHRVの算出を行い,心電図計測によって算出したHRVと比較した.次に,室内照明以外の光条件(0.2lx, 15000lx, 50000lx)で脈波を計測し,HRVを算出できるかを検証した.検証実験の結果,50000lx以外の光条件では,システムと心電図でのHRVの算出結果に強い相関が認められた(LF:r=1.0, HF:r=0.99, p<0.05).
著者
山崎 宏史 蛯江 美孝 西村 修
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.III_267-III_273, 2016 (Released:2017-04-03)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では,戸建住宅の給排水設備に節水機器を導入し,生活排水の質的量的変化および浄化槽の処理性能に及ぼす影響を評価した.節水機器の導入により使用水量が削減され,浄化槽流入水は高濃度化した.この流入水性状の変化に伴い,浄化槽からの処理水BOD濃度は14.8 mg/Lから21.4 mg/Lへと44.6%増加し,浄化槽は所期の性能を確保できなくなった.しかし,処理水量が削減されたことにより,処理水BOD濃度と水量の積で示される水環境へのBOD汚濁負荷量は,ほとんど変わらないことが明らかとなった.さらに,節水機器導入後に,浄化槽の嫌気好気循環運転を試みた結果,処理水BOD濃度は14.2 mg/Lまで減少し,水量の減少と相まって,水環境へのBOD汚濁負荷量を24.8%削減できた.
著者
我妻 洋 原 忠彦 石井 溥 末成 道男 崔 吉城 石井 光子 立山 恭子 原 ひろ子
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.276-293, 1974-07-15

原(ひ) きょうの座談会は,はじめに立山さんのバングラディシュでの看護のご経験,石井(光)さんのインドでの看護のご経験から,排泄を中心とした看護の体験が,日本とどういうふうに違っているかということをお二人から報告していただき,その次にちょっと話題を変えて,日本以外の韓国,台湾,中国,ネパール,バングラディシュ,イスラム,そしてアメリカとか西欧の文化についてそれぞれ話していただき,最後の部分で,もっと一般的に,文化と排泄の問題,たとえば羞恥心とか,プライバシーの問題とか,穢れの観念とか,それから個人のしつけられ方の問題ですね,そういうふうなことを話し合っていきたいと思います。
著者
木口 学
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度は溶液内においてFe,Co,Ni,Pd,Pt,Rh遷移金属のナノ接合を電気化学STMを用いて作製した。その結果、水素発生条件のもとで超高真空、極低温と同様の量子化伝導を観測することに成功した。従来、室温ではこれら遷移金属の量子化伝導を測定した例は少なく、溶液内室温でナノ接合を安定化した意義は大きい。溶液内水素条件では擬似的に超高真空、極低温と同じような環境が実現したものと考えている。特にNi,Pdの場合は単原子ワイヤー形成を示唆する結果が得られた。金属の単原子ワイヤーはこれまでAu,Pt,Irなど一部の金属に限られ、遷移金属の単原子ナノワイヤー作製に成功した例はない。本研究の結果は、溶液内が新たなナノ構造形成の場となりうる事を示している。また昨年度まで作製法を確立した金属ナノ接合を利用して単分子の伝導度計測も今年度は行った。現在、分子エレクトロニクスヘの応用から単分子の伝導特性が注目を集めている。しかし分子の存在、架橋状態が不明、分子と金属の接合部がAu-Sに限定など単分子の伝導特性の研究には課題が多い。今年度、超高真空、極低温において単分子の振動スペクトルと伝導度の同時計測の研究をおこなった。そしてPt電極に架橋した水素、ベンゼンについて架橋状態を規定して単分子の伝導度を決定することに成功した。また溶液内において新たなアンカー部位の探索を目指して単分子伝導計測を行った。電極金属としてよりフェルミ準位の状態密度が高いPt,Ni、末端部位としてNC,NH_2,COOHなどに注目して実験を行った。その結果、Au-CN,Pt-CN,Pt-Sなどの新規接続部位をもつ単分子伝導計測に成功し、特にPt-Sでは従来のAu-Sより1桁高い伝導特性を示すことを明らかにした。
著者
柳田 宗孝 荒井 崇史 藤 桂
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.1-11, 2018
被引用文献数
2

<p>Many empirical studies have indicated a possible relationship between psychopathic traits and immoral behaviors. Conversely, some studies suggest that social support from a person's family moderates this relationship. This study examined the moderating effect of family, friend, or romantic partner support on the relationship of psychopathic traits with immoral intentions and behaviors. A total of 486 college students completed the questionnaire. The results indicated that insufficient family support promotes immoral financial behaviors among students with strong psychopathic traits, which is consistent with previous studies. However, excessive support from family, friend, or a romantic partner promotes interpersonal immoral behaviors among students with strong psychopathic traits. These findings suggest that social support moderates the relationship between immoral behaviors and psychopathic traits. The results also suggest that an appropriate level of family support without excessive interference or overprotection as well as appropriate social support from a friend or romantic partner are essential to regulate the effect of psychopathic traits on immoral behaviors.</p>
著者
種市 孝
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.145-149, 2015-09-01 (Released:2018-10-03)
参考文献数
3

パラサイトフェルミオンモデルは、高次元宇宙内で考えられる物質粒子の新規な存在様式の提案である。このモデルを心身問題に適用する試みは、超常現象が高次元宇宙描像に基づく物理学の研究対象となり得ることを示している。
著者
Yoshiaki MIYAKE Kanefumi YAMAMOTO Yasujiro MORIMITSU Toshihiko OSAWA
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology International, Tokyo (ISSN:13417592)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.48-53, 1998-02-25 (Released:2009-08-14)
参考文献数
18
被引用文献数
25 31

We investigated the antioxidative flavonoid glycosides in the peel extract of lemon fruit (Citrus limon). Six flavanon glycosides: eriocitrin, neoeriocitrin, narirutin, naringin, hesperidin, and neohesperidin, and three flavone glycosides: diosmin, 6,8-di-C-β-glucosyldiosmin (DGD), and 6-C-β-glucosyldiosmin (GD) were identified by high-performance liquid chromatography (HPLC) analysis. Their antioxidative activity was examined using a linoleic acid autoxidation system. The antioxidative activity of eriocitrin, neoeriocitrin and DGD was stronger than that of the others. Flavonoid glycosides were present primarily in the peel of lemon fruit. There was only a small difference in the content of the flavonoid glycosides of the lemon fruit juice from various sources and varieties. Lemon fruit contained abundant amounts of eriocitrin and hesperidin and also contained narirutin, diosmin, and DGD, but GD, neoeriocitrin, naringin, and neohesperidin were present only in trace amounts. The content of DGD, GD, and eriocitrin was especially abundant in lemons and limes; however, they were scarcely found in other citrus fruits. The content of flavonoid compounds in lemon juice obtained by an in-line extractor at a juice factory was more abundant than that obtained by hand-squeezing. These compounds were found to be stable even under heat treatment conditions (121°C, 15 min) in acidic solution.
著者
中澤 弘子 土屋 守克 高橋 誠一 加藤 祐樹 神谷 円 吉村 将規
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.18-22, 2017-01-25 (Released:2017-03-06)
参考文献数
7

近年,人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防策の一つとして,気管チューブに付属した専用のポートから吸引する,カフ上部吸引(subglottic secretion drainage:SSD)の有効性が示されている.本研究では,気管挿管,気管切開を行った患者56名を対象とし,カフ上部から吸引される分泌物の有無の関連因子を検討した.結果,気管切開チューブを使用している患者の方が,気管内チューブを使用している患者に比べ,約5倍カフ上部から分泌物が吸引されやすい傾向にあることが明らかとなった.その要因として,「チューブ挿入部周囲の組織の構造および位置」,「気管チューブの構造」の2点が推察された.今後は,カフ上部吸引回数やカフ上部吸引のタイミング,吸引量などの因子を加えて検討を行い,サイレントアスピレーションの予防に努める必要がある.
著者
仲野 純章
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.143-152, 2019-07-31 (Released:2019-08-29)
参考文献数
27

構成主義的学習観に立つと,教授者には,学習者が有する既有概念を把握することが求められる。物理分野においても,これまで様々な既有概念が調査されてきたが,摩擦角に関する報告例は見られない。そこで,本研究では,摩擦角について学習する直前段階の学習者が,どのような既有概念を持ち合せて当該学習に向かうのかを調査した。具体的には,粗い板の上に置かれた木片がある傾斜角で滑り出す時,その木片上におもりを固定して質量を増加させると滑り出す傾斜角は変化するかを問う概念調査を実施した。その結果,科学的に誤った回答をする者は過半数に上り,その回答根拠には経験由来の素朴概念は少なく,教育現場で学習したことに関連した誤った科学的理論が目立つという特徴が見られた。また,こうした学習者にメタ認知的活動を促す事実確認実験や班内討議を組み込んだ指導を施したところ,大幅な概念変容とその効果持続が確認され,摩擦角に関する概念の再構成にもメタ認知的支援が有効であることが示唆された。
著者
小野里 美帆 川本 拓海
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.189-199, 2017-12-20

怒りの感情調整が困難な7歳のADHD児に対し,通常学級において,行動調整及び怒りの感情調整に関わる支援を実施した.支援においては,行動及び感情の自覚化を目的とし,怒りのイメージの図式化・言語化を促した.また,対象児と決めた1日の目標の遂行結果を振り返ることや,感情が暴発した際に,状況の振り返りを行うことを通して,自発的な感情調整を試みるようになった.大人の援助による行動及び感情の自覚化の重要性と支援可能性が示唆された.

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著者
前川啓治 棚橋訓編
出版者
明石書店
巻号頁・発行日
2005
著者
石金 恵子 境 美代子 村藤 頼子 広上 真里子 杉政 美雪 北川 洋子 吉田 郁子 中川 輝昭 田内 克典 水島 豊 落合 宏
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.177-180, 1997-11-28 (Released:2010-07-21)
参考文献数
10

病室内のカーテンの細菌汚染状態を知り, カーテンの適正交換頻度を知る目的で, 10病室 (一般病室4, MRSA隔離室6) のカーテンに付着している細菌をバイオエアーチエッカーを用い1週間隔で5回調査した.その結果, 下記の成績が得られた.1) 4週間を通じてカーテンの付着菌数の累積的増加は認められなかった.2) 分離菌ではブドウ球菌がもっとも多く, ついでグラム陽性桿菌, 真菌の順であった.3) MRSA隔離室のほうが一般病室より多くの菌数が検出された.4) MRSA隔離室6室のうち2室で濃厚なMRSA汚染が認められた.5) 消毒用エタノール噴霧はいずれの細菌の除菌にも有効であった.以上より, カーテンの交換頻度はMRSA隔離室では患者の退室ごとに, また一般病室では肉眼的汚れに応じ, 年3-4回定期的に交換するのが適当ではないかと考えられた.
著者
深田 英久 徳久 潔 中西 麻美
出版者
高知県立森林技術センター
雑誌
高知県立森林技術センター研究報告 (ISSN:13486004)
巻号頁・発行日
no.39, pp.83-110, 2015-03

仁淀川上流域の標高640~910mの北向き斜面にあるスギ・ヒノキ人工林に調査プロットを設置し、間伐後概ね5年間の林分変化に伴う下層植生への影響を調査した。間伐前のRyはスギが0.82~1.00、ヒノキが0.69~0.96で、相対的にスギのRyが高かったが下層植生タイプの貧植生型を示す割合はスギが50%、ヒノキが100%であった。スギは材積間伐率が20%までの間伐によって貧植生および落葉木本型からより土壌保全効果の高い草本・地表植物型に移行したが、ヒノキは材積間伐率が20%以上必要であった。また材積間伐率が41%および45%のヒノキ間伐区では高木性広葉樹の樹高成長および植被率の増加がみられた。高知県内での間伐効果の持続期間を10年とした場合の材積間伐率はスギが15%程度、ヒノキが25%程度である。また、個体サイズのバラツキが大きい林分では下層間伐となることが多く、材積間伐率が本数比に比べて大きく低下する。現在、高知県の森林整備では概ね本数間伐率30%以上の間伐率とされているが、水土保全機能の増進または維持を目的とした場合は、ヒノキ林ではスギに比べて間伐強度を高く設定する必要性が考えられた。