- 著者
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楠戸 一彦
- 出版者
- 広島大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2013-04-01
本研究の課題は,ドイツ中世後期の剣士団体である「マルクス兄弟団」の成立事情,目的と活動,団員の剣術技法,団員の社会的階層を,解明することであった。先行研究の成果を整理し,史料である剣術書と「マルクス兄弟団」関係文書の内容を分析することによって,次の点を明らかにした。(1)マルクス兄弟団は1487年に皇帝フリードリヒ3世より「特権状」を獲得した。(2)目的と活動の重点は,当初の宗教的相互扶助から,16世紀後半にはツンフト的権利擁護に移行した。(3)団員の剣術技法は,14世紀後半のJ.リーヒテナウエルの技法を遵守していた。(4)団員の社会的階層は,貴族や商人ではなく,大部分が手工業者であった。