著者
二宮 美那子
出版者
中国文学会
雑誌
中國文學報 (ISSN:05780934)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.44-70, 2018-04
著者
林 梅 佐藤 哲彦 村島 健司 西村 正男 荻野 昌弘
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、中国辺境地域が、市場経済や国家による開発に組み込まれる過程で、均一的な文化の受容を通して地域社会を変容させながらも、少数民族独自の伝統や文化を継承していく様態を明らかにすることに努めてきた。それは、グローバリゼーション時代において直面せざる得なくなった多文化社会のあるべき方向性を模索する作業で、そこには多重の人為的な「境界」による他者性を生きながらも、そうした「境界」を使い分けている構造があったといえる。
著者
鈴木 良
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.16-29, 2019

<p>本研究は,知的障害者入所施設の解体を実施した法人Aを取り上げ,職員が1)施設解体を実施したのはなぜなのか,2)小規模分散型の地域生活への移行を目指した計画を修正したのはなぜなのかを質的調査によって明らかにした.この結果,第一に,施設解体を実施したのはまず,「無力化による受容の重視」と「虐待構造への自覚」によって,職員・入居者間の上下関係を可能な限り解消することを目指したからであった.次に,施設内改革や地域移行を実施しても職員・入居者間に生じる上下関係は解消しえないという構造的限界を認識したからであった.第二に,計画を修正したのはまず,補助金や法人運営の観点から町との協力関係を重視したからであった.次に,施設解体を実現させることが重視され,残る施設の解体を視野に入れて,地域に出ることを優先する意識があったからである.本研究は外発的政策誘導と内発的意識改革による脱施設化政策の必要性を示唆する.</p>
著者
杉森 一哉 沼田 和司 岡田 真広 二本松 宏美 竹林 茂生 前田 愼 中野 雅行 田中 克明
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
2019

<p><b>目的</b>:慢性肝疾患患者にガドキセト酸ナトリウム(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid: Gd-EOB-DTPA)での核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging: MRI)(EOB-MRI)および造影超音波を施行して,早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)や高度異型結節(high grade dysplastic nodule: HGDN)と再生結節(regenerative nodule: RN)の鑑別に有用な特徴的所見を調査した.<b>対象と方法</b>:最大径が1 cm以上でかつ病理学的に診断された平均腫瘍径がそれぞれ15.5 mm,15.1 mm,14.8 mmの早期肝細胞癌(100結節),HGDN (7結節),RN (20結節)を後ろ向きに検討した.これらの結節のEOB-MRI肝細胞相の信号強度所見と,造影超音波動脈相の所見を用い,RNに特徴的な所見について検討した.<b>結果</b>:早期肝細胞癌100結節中98結節は,EOB-MRIの肝細胞相で低信号(n=95),等信号(n=2),高信号(n=1)を呈し,HGDN 7結節は,低信号(n=6),または高信号(n=1)を呈し,造影超音波動脈相においてはいずれも求心性血管を認めた.早期肝細胞癌1結節では,EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管と求心性血管の両方が観察された.RN 20結節中18結節と早期肝細胞癌の残りの1結節ではEOB-MRIで結節中心に小さな低信号域を伴い,周囲は高信号を呈した.残り2結節のRNでは肝細胞相で高信号のみを呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管が観察された.結節中心部の小低信号域は,造影超音波動脈相では中央から辺縁に向かって走行する肝動脈とそれに伴走する門脈に一致していた.<b>結論</b>:EOB-MRI肝細胞相および造影超音波動脈相での中心部の血管構造所見は,RNに特徴的な所見である可能性がある.</p>
著者
相澤 正隆 岡村 聡 新城 竜一 高橋 俊郎 米山団体研究グループ
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-24, 2019

<p>Late Pliocene-Early Pleistocene igneous rocks of Yoneyama Formation from the northern Fossa Magna region, central Japan, consist of basaltic to andesitic rocks and small intrusive rocks; they contain frequently hornblende (Hbl) gabbroic xenoliths and Hbl xenocrysts. Based on field data, together with petrographic, geochemical, and geochlonological descriptions, the volcanism comprised 5 stages. The rocks at the Ogamidake, the 1st and 3rd stages are tholeiitic rock series (TH), whereas calc-alkalic rock series (CA) are dominated at the 2nd and 4th stages. All rocks are characterized by high-K content and contain pargasitic Hbl phenocrysts in both rock series. Estimation using Ca-amphibole geobarometer suggests that Hbls have crystallized at depths of lower crust. Existence of Hbl and high An content of plagioclase (~ An<sub>90</sub>) in both rock series imply that both magmas are rich in H<sub>2</sub>O. Estimated H<sub>2</sub>O contents are ~ 5 wt% for both TH and CA magmas. Based on mineral texture, <i>P-T</i> estimation and major-trace elements modeling, we infer that cryptic fractionation of Hbl can produce the TH magma trend. Our model is incompatible with general model that TH magma originate from anhydrous or low H<sub>2</sub>O content magma.</p>
著者
李 雨桐 中野 拓治 中村 真也 山岡 賢 阿部 真己
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.I_61-I_71, 2019

<p>連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式の農業集落排水施設のBOD除去性能確保に関して, ばっ気槽1室のばっ気終了時のORP管理範囲100~125mVを明らかにするとともに, ばっ気装置散気方式, ばっ気強度, ばっ気時間等によるDO挙動特性とBOD除去性能確保に必要なばっ気終了時のDO濃度を把握した.総括酸素移動容量係数(<i>K<sub>L</sub>a</i>)にはばっ気槽の活性汚泥粘度が関与しており, ばっ気強度, 水温, MLSSを説明変数とする重回帰式から推定できることが確認された.BOD除去速度恒数はばっ気強度, ばっ気時間, 及び槽内水温を説明変数とする重回帰式から推定できることが示唆された.ばっ気強度(0.03 m<sup>3</sup>∙m<sup>-3</sup>∙mim<sup>-1</sup>)とばっ気時間(30min)を組合わせたばっ気槽の運転操作を通じて, 少ないばっ気空気量で高いBOD除去性能を得るなど農業集落排水施設の運転管理効率化が図られることが示された.</p>
著者
冨澤 かな 木村 拓 成田 健太郎 永井 正勝 中村 覚 福島 幸宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.129-134, 2018

<p>東京大学附属図書館U-PARL(アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門)は,本学所蔵資料から選定した漢籍・碑帖拓本の資料画像をFlickr上で公開している。資料のデジタル化とアーカイブ構築のあり方を模索した結果,限られたリソースでも実現と持続が可能な,小さい構成でありながら,広域的な学術基盤整備と断絶せず,高度な研究利用にも展開しうる,デジタルアーカイブの「裾野のモデル」を実現しうる方策として選択したものである。その経緯と現状及び今後の展望について,特に漢籍・碑帖拓本資料の統合メタデータ策定,CCライセンス表示,OmekaとIIIFを利用した研究環境構築の試みに焦点をあてて論ずる。</p>
著者
芥田 暁栄 伊福 靖
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.243-246, 1963

1. 各種の強化味噌汁をつくり、調理中の島およびB<SUB>2</SUB>の変化と、玉葱としじみを具に使用して、これらのビタミンの損失におよぼす影響を研究した。<BR>2. 味噌汁をつくるとき、遊離のB<SUB>1</SUB>およびB<SUB>2</SUB>を強化すると、他の強化味噌の場合に比して、煮返しによる損失が大きく、具を使用しない場合もそれぞれ20%、15%の減少率を示した。<BR>3. 前項の強化味噌汁の場合、玉葱を具に使うと、B<SUB>2</SUB>には特別の作用を示さなかったが、B<SUB>1</SUB>の煮返しによる損失を防ぎ、しじみを使用すると、アノイリナーゼの存在するため、煮沸中にB<SUB>1</SUB>の減少が大であった上、煮返しによる減少率も他区に比し大きかった。<BR>4. B<SUB>2</SUB>に対しては、しじみは意外にも煮沸までの損失も大きく、煮返しまでの損失も最大であって普通強化味噌の場合でも、その傾向が認められた。<BR>5. 仕込時強化された味噌中のビタミンは温湯中で短時間攪拌しただけでは充分水に溶出されず、煮沸によってよく溶解するに至る。仕込時に強化剤を添加した普通強化味噌は、麹菌のフラビン生産力を利用した兵庫農試式強化味噌に比し、煮返しによるB<SUB>2</SUB>の損失が大きいが、一般に両者とも味噌汁調理時に強化した方法に比し安定度高く、煮返しによる損失は具を使用しない場合B<SUB>1</SUB>では2%に達せず、B<SUB>2</SUB>については前者は15%、後者は5%程度であった。<BR>6. 玉葱を具に使用すると、前項の両強化味噌汁の場合とも、具を使用しない時と同じくB<SUB>1</SUB>の損失は少いが、しじみを使用した場合は、煮沸後は玉葱区に比し約20%対照区より10%少くなり、煮返し後の含量も他区と平行して減少した。<BR>7. B<SUB>2</SUB>については、しじみを使用した場合、両味噌汁とも煮沸後他区より15~20%減少して最少となり、兵庫農試式強化味噌汁では対照区と平行して煮返し後の減少は少なかったが、普通強化味噌を用いた味噌汁は調製時強化した味噌汁と同じ傾向で急減した。故にしじみは遊離B<SUB>2</SUB>を減少する要素を含むものと考えられ、兵庫農試式強化味噌の場合は麹菌の生産したB<SUB>2</SUB>が結合型であるため対照区、しじみ区とも減少が少ないものと考えられる。
著者
鈴木 浩之
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.112-127, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)
参考文献数
11

本研究では,子ども虐待の危機介入において,不本意な一時保護をされた保護者と児童相談所の協働関係の構築についてのプロセスとその構造を検討することを目的とする.研究においては,児童相談所の支援者12人の研究協力者にインタビューを実施し,グレイザー派グラウンデッド・セオリーによりデータを分析した.その結果,32のコンセプトと14のカテゴリーが創出された.中核的なコンセプトは「つなげる」である.さらに,これらのカテゴリーは三つのステージに分類された.すなわち,「対話を創る」「つなげていく」「寄り添う」である.支援者はこれらの「つなげる支援」を通じて,保護者に働きかけることで協働関係を構築していくことがわかった.
著者
渡部 秀文 南雲 拓 一宮 和正 斎藤 隆文 宮村(中村) 浩子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.15, pp.176-188, 2007-10-15
参考文献数
7
被引用文献数
3

本論文では,階層的クラスタリング結果の安定性を解析するための新しい数理モデルを提案する.また安定性とクラスタ要素の広がり度合いを可視化してクラスタの最適な分割数を求める手法について提案する.階層的クラスタリングは,未知のデータ集合から意味のある分類を得る目的でしばしば用いられる.しかし,結果の安定性に関する研究は十分なされているとはいえず,安定性を手軽に求める手法も開拓されていない.本論文では,従来手法のような統計的処理を用いずに,仮想要素の追加によって幾何学的に安定性を測る手法を提案する.この手法では,要素を1個追加して階層的クラスタリングを行い,得られた結果の階層構造変化に着目する.追加要素の位置によって,本質的な階層構造変化が起こる場合と起こらない場合とがある.そのうち,構造変化が起こらない要素の割合を算出することで階層安定度を得る.一方,クラスタ分割を決定するための指標として,クラスタ要素の広がり度合いについて述べる.さらに,階層安定度と要素の広がり度合いを樹形図上に可視化する手法についても提案する.また,提案手法と従来手法にサンプルデータを適用し,提案手法の有効性および問題点について比較検証する.We propose a new mathematical model for analyzing the stability of hierarchical clustering results. In this paper, a method for deciding the most suitable number of clusters with visualization of stability and density of cluster elements is also proposed. Hierarchical clustering is often used in order to obtain meaningful classification from an unknown dataset. However, the stability of the clustering results is not studied enough, and the techniques for simply calculating the stability measure have never been developed. In this paper, the stability is measured geometrically by adding a temporary element, without using a statistical analysis. In this method, we focus on the change of hierarchical structures when an element is added. If there is more stable region of the added element without structure change, the structure is more stable. In this context, the hierarchical stability is obtained by calculating the ratio of the stable area. On the other hand, the density of clusters elements as an indicator for deciding the dividing of the cluster is presented. Moreover, the method to visualize stability and density of the elements of the clusters is proposed. We demonstrate the effectiveness and problems of the proposed method by applying it to the sample data.