著者
池田 一人
出版者
国立大学法人 大阪大学グローバルイニシアティブ機構
雑誌
アジア太平洋論叢 (ISSN:13466224)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.21-32, 2021-03-19 (Released:2021-03-19)

The Myanmar military seized power in a coup in February 2021. Senior General Min Aung Hlaing justified the takeover by alleging extensive voter fraud in the 2020 general election. The coup soon provoked an immense popular protest in Myanmar comparable to the 8888 and the 2007 Safran uprisings. The revival of military regime is now a serious worry after having a civilian rule since 2011. This article attempts to evaluate the meaning of this ten years.
著者
加藤 博一 Billinghurst Mark Poupyrev Ivan 鉄谷 信二 橘 啓八郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.97-104, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
27
被引用文献数
4 8

人間にとって自然で直感的なインタフェースを設計するためのデザインコンセプトとして,Tangible User Interfaceをあげることができる.このコンセプトに基づき設計された拡張現実感システムを我々はTangible Augmented Reality Interface と呼び,そのプロトタイプシステムをいくつか試作してきた.本論文では,このTangible Augmented Reality Interface について,その特徴,有効性を説明する.また,具体的なプロトタイプシステムとして「Magic Book」および「Magic Paddle」を紹介する.Magic Book は,仮想3次元絵本であり,ユーザは実際の本の上に,仮想的な3次元オブジェクトを見ることができる.さらに,そのシーンの中に入り込むことも可能である.また,この仮想世界の中で,複数のユーザがコミュニケーションをとることもできる.Magic Paddleは,仮想のミニチュア家具のレイアウトシステムで,紙製のパドル(へら状の物体)で,仮想の家具に対する操作ができる.直感的なインタフェースが実現されており,容易に3次元オブジェクトの操作ができる.
著者
酒井 昇
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.19-30, 2010-03-15 (Released:2015-06-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1 4

電子レンジを始めとしてマイクロ波加熱は,速く簡単に加熱・調理できることから,食品産業で良く利用されている.しかし,加熱速度が大きい半面,加熱むらも大きいなど問題も残っている.マイクロ波を照射したとき,被加熱物の加熱性を決めるのは誘電物性であることから,食品の誘電物性を知ることは重要である.本稿では,まずマイクロ波加熱の原理とマイクロ波加熱における水の役割について説明した.次に,水分濃度および塩分濃度の誘電物性に及ぼす影響について説明した.水分が減少することにより誘電率が減少し,塩分濃度が増えることにより誘電損率が増大する.最後に解凍にともなう物性変化について説明した.氷が融解するとき熱物性が変化するのと同時に誘電物性が大きく変化するため,ランナウェイ現象の原因となる.
著者
Akiyuki Kenmochi Hiroyuki Matsuura Takashi Yoshikawa Rumi Sohrin Yumiko Obayashi Jun Nishikawa
出版者
The Plankton Society of Japan, The Japanese Association of Benthology
雑誌
Plankton and Benthos Research (ISSN:18808247)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.57-65, 2022-02-22 (Released:2022-02-23)
参考文献数
53
被引用文献数
1

Seasonal occurrences of marine cladocerans in offshore Suruga Bay, Japan, were studied from 2014 to 2019. Zooplankton samples were collected monthly from a station (depth: ca. 1000 m) located in the offshore area of the bay. Cladocerans appeared each year from February to December, and disappeared in January. Their abundance increased drastically from April to September and comprised a substantial portion of the offshore mesozooplankton community during this period. Maximum cladoceran abundance occurred from June to August, ranging from 65.9–1341.9 individuals m−3. These patterns in cladoceran abundances were basically repeated each year throughout the study period. This result suggests that mass occurrences of cladocerans in offshore regions of the bay during the spring-summer are regular events rather than sporadic. Seven species, which have previously been reported from Japanese waters, were identified, and successional changes in the dominant species were observed. The most abundant species, Penilia avirostris, carried parthenogenetic embryos in brood pouches, suggesting that they were not simply transported from coastal areas, but that they also reproduce in the offshore waters. Regular mass occurrences of marine cladocerans in offshore Suruga Bay could have an important impact on the offshore ecosystem of the bay, and factors enabling these population cycles need to be determined.
著者
田村 正 Tadashi Tamura 宮城大学事業構想学部 Miyagi University School of Project Design
巻号頁・発行日
vol.5, pp.79-94,

Terrorist attacks on the World Trade Center (WTC) buildings and the consequence collapse of the buildings were far beyond both the imagination of architects and the presupposition of architecture-related laws. However, there are several important lessons for architectural design and fire fighting to be learnt from what happened after the terrorist attacks. First, with regard to architecture, the disaster induces usto rethink the importance of "redundancy" and the reinforcement of "shaft", and to give a careful consideration to the feasibility of all-floors evacuation. Secondly, the extent to which a fire brigade knows information on an individual building is of cardinal importance. Moreover, regular fire drills based upon that information are equally crucial. Thirdly, an emergency management system, including reliable devices and a back-up system for fire fighting, needs to be established. There is a tendency to make heroes of the fire fighters who were made of victims of the WTC collapse. However, as there is a possibility that the lack of fire drills, together with an inadequate emergency management system, amplified the scale of tragedy, we have to consider this event from this point of view.
著者
パオロ ベラビーテ アニータ コンフォルティ ヴァレリア ピアセレ リカルド オルトラーニ
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.35-69, 2010 (Released:2011-07-23)
参考文献数
45

2 世紀以上にわたって集められたホメオパシーのデータの莫大な量から分かるように,ホメオパシーは実験的な学問として生まれた。しかし,ホメオパシーの医学的伝統は,長い間,従来科学の学問分野から切り離されてきた。従来の科学的な見識では,ホメオパシーは偽薬(プラシーボ)以上の効果がないが,若干の臨床データと併せて溶質の極めて高い希釈剤による実験では幾つかの状況で作用する可能性があり,興味をそそる事実を暗示している。 今日,過去 20-30 年間にわたってホメオパシーが現在の医学の方法をはじめ,相当数の実験的研究が,分子,細胞,臨床レベルで利用可能になったので,以前は対立のように見られた,幾つかの学問領域間への浸透が促進されてきている。 おそらく炎症と免疫は体の自然治癒力の伝統的な『生命力』に密接に関連があるので,施療師と患者の対話による一般的に進歩してきている 1 つの領域は,その治癒力に関するものである。一連の文書類で,我々は,ホメオパシーの歴史的起源,免疫薬理学の分野に関連する実験室と動物モデル,炎症性疾病とその作用機序に関する仮説におけるホメオパシーの賛否の臨床所見をチェックする。最後に,我々はホメオパシー手法の特定の特徴を明確に説明する。それは全有機体としての人に対する治療を特定することを特に重要視する。
著者
白尾 泰宏 小牧 順道
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100477, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】上部体幹の不良姿勢として頭部前方位がある。この不良姿勢は頚部後方組織のメカニカルストレスの増大や、肩甲帯機能不全の主因とされており、その発生機序としてJandaが提唱する上部交差症候群といわれる筋のアンバランスが存在するといわれている。臨床上、腱板損傷やインピンジメント症候群等の肩疾患においてこの頭部前方位の不良姿勢が存在していることをよく経験する。今回の研究は、頭部中間位と前方位における肩甲帯周囲筋の筋活動を分析し肩甲帯機能への影響を調査するものである。【方法】健常成人11名(男性3名女性8名平均年齢31.5歳)を対象に、背もたれ付椅子に坐位となり利き手側肩関節中間位で90°屈曲し1kgの重錘バンドを手関節に乗せ、3秒間保持し頭部中間位、頭部前方位(5cm前方移動)での棘下筋、三角筋前部線維、前鋸筋、僧帽筋上部線維、僧帽筋下部線維の筋活動を調査した。頭部位置は椅坐位にて骨盤中間位としレッドコードを使用して矢状面での肩峰中心と外耳孔の位置を測定しそれぞれの頭部位置を決定した。筋活動分析にはキッセイコムテック社製コードレス表面筋電計MQ-AIRを使用し、測定筋の位置は、棘下筋は肩甲棘の中央下2横指、三角筋前部線維は肩峰前端と三角筋粗面を結ぶ線上の肩峰下2横指、前鋸筋は肩甲骨下角外側2横指、下1横指、僧帽筋上部線維は第7頸椎棘突起と肩峰を結ぶ中間、僧帽筋下部線維は肩甲棘内側と第8胸椎棘突起を結ぶ線上の肩甲棘内側を結ぶ上3分の2とした。測定筋はアルコール綿にて処理を行ないサンプリング周波数1000Hzにて測定した。得られたデータは同社製BIMUTAS-Videoにて解析し、1秒間の実効値(Root Mean Square RMS)を求めた。さらにKendall式徒手筋力テストにて各筋の最大筋力を測定し、1秒間のRMSを求め測定したRMSを最大筋力のRMSで除し%MVCを求め比較した。統計処理は頭部位置別筋活動測定値の級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient ICC)を求め、excel statcel 2を用いて二つの頭部位置間の比較にはpaired-t testを、各頭部位置における各筋の筋活動の比較は一元配置分散分析をおこない有意差を認めたのでBonferroniにて多重比較検定を行なった。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には事前に研究の趣旨を十分に説明し、同意を得た上で実施した。【結果】頭部位置別筋活動測定値のICCは棘下筋0.89、三角筋前部線維0.82、僧帽筋上部線維0.86、僧帽筋下部線維0.90で良好であった。頭部前方位では頭部中間位と比較し棘下筋、前鋸筋の筋活動低下と、僧帽筋下部線維の筋活動上昇に有意差がみられた(P<0.05)。また、頭部中間位では前鋸筋と僧帽筋下部線維間に有意差を認めた(P<0.05)が、頭部前方位では各筋活動に有意差は認められなかった。【考察】頭部前方位での前鋸筋の筋活動低下と、僧帽筋下部線維の筋活動上昇に有意差がみられたが、これはWeonら先行研究と同様の結果となった。その要因としてMcleanは頭部前方位では肩甲挙筋が過活動し、その拮抗筋である前鋸筋は相反神経抑制されるとしている。また、頭部中間位では前鋸筋が僧帽筋下部線維に比較し筋活動量が大きく有意差があり前鋸筋による肩甲骨安定化作用がみられるが、頭部前方位では僧帽筋下部の活動が増加し頭部中間位とは異なる肩甲骨安定化作用がみられた。したがって、僧帽筋下部線維の筋活動の増大は前鋸筋の代償作用と推察される。頭部前方位での棘下筋の活動性低下は肩甲上腕関節の求心位の低下を惹起し、さらに前鋸筋の活動低下による肩甲帯不安定性からouter muscle優位になり、肩甲上腕関節の回旋中心軸の変化が起こりImpingement症候群の一要因となる可能性が推察される。しかし、肩甲上腕関節の回旋中心軸の変化については筋活動からの推測であり、実際の上腕骨頭偏位の確認にはレントゲン等による比較検討が必要である。また今回の研究では肩関節挙上角度が90°のみであり、その他様々な角度や肩甲面での挙上による筋活動の検討が必要であると思われる。【理学療法学研究としての意義】肩甲上腕関節の障害では肩甲帯の位置異常が臨床場面での問題点としてフォーカスされるが、頭部位置異常も肩甲帯機能に影響を及ぼす要因となること、そして頭部前方位の肩甲帯筋活動を明確にしていくことでImpingement症候群や腱板損傷の発生メカニズムの解明、治療、予防に応用できると思われる。
著者
山本 龍彦 尾崎 愛美
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.96-107, 2018-12-10 (Released:2020-02-10)
参考文献数
7

現在の人類は,人工知能(Artificial Intelligence, AI)の技術革新に牽引される,第4次産業革命の時代を迎えていると言われている.わが国では,民間企業による採用場面や融資場面などの「適性」評価にAIが利用され始めており,刑事分野においても,AIを用いて犯罪の発生等を予測するシステムの導入が検討されている.米国では,一部の州や地域で,AIを用いた犯罪予測システムを用いた捜査が既に実施されているほか,刑事裁判における量刑判断にもAIが利用されている.その代表例が,COMPASという有罪確定者の再犯リスクを予測するプログラムである.しかし,このプログラムがどのようなアルゴリズムによって再犯予測を行っているのかは明らかにされておらず,このアルゴリズムにはバイアスが混入しているのではないかとの批判がなされている.このような状況下において,ウィスコンシン州最高裁は,COMPASの合憲性を肯定する判断を下した(State v. Loomis判決).本稿は,State v. Loomis判決を手がかりとして,AIを憲法適合的に“公正に”利用するための道筋について検討するものである.
著者
金井 雅之 小林 盾 大浦 宏邦
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.205-225, 2007-10-31 (Released:2008-01-08)
参考文献数
50
被引用文献数
2

近現代社会においては、個人の自由意志によって加入や退出が可能な、企業やNPO のようなアソシエーション型組織が、人びとの生活に重要な役割を果たしている。こうした組織において、組織目標の達成のために十分な貢献をせず他の成員の貢献にただ乗りするフリーライダーを抑制するためのメカニズムを、進化ゲーム理論的に分析した。具体的には、これらの組織が社会の中で十分多く存在し、個人はそうした組織間を自由に移動することができ、ただし移動には一定のコストがかかる、と仮定した場合に、フリーライダーが増加するのを防ぐための条件を探った。 理論的知見は以下の4 つである。第一に、このモデルでフリーライダーを抑制するためには、組織間の移動すなわち対戦相手の変更にコストがかかるという仮定が不可欠である。第二に、相互作用が十分多い回数おこなわれるという仮定も必要である。第三に、成員の貢献が組織全体で十分大きな相乗効果をもつような組織構造になっていることが重要である。第四に、一般に組織の人数は小さいほうが協力を達成しやすいが、人数が十分多いと仮定した場合でもコストのかかる移動が可能であればフリーライダーの侵入を阻止できる。 さらに、このモデルの妥当性を検証するために、労働市場における転職に着目して、職場のフリーライダーとの関係を分析した。その結果、もっとも主要な第一の理論的知見は、おおむね支持された。