著者
小原 尚 小金井 一隆 辰巳 健志 二木 了 黒木 博介 山田 恭子 荒井 勝彦 杉田 昭 福島 恒男
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.245-252, 2018-03-01 (Released:2018-03-28)
参考文献数
32

30歳未満で難治性直腸肛門病変に対して直腸切断術を施行したクローン病17例の臨床経過と予後を検討した.適応となった病態はのべ症例数で,直腸肛門狭窄12例,難治性痔瘻9例,直腸瘻4例,直腸膣瘻2例,骨盤内膿瘍2例,直腸尿道瘻1例,直腸周囲膿瘍1例,aggressive ulceration 1例,痔瘻癌1例であった.これらの病変により,全例,日常生活や就労・就学に支障を来していた.術後は前述の症状は全例で改善し,術前から未就労であった2例は未就労のままであったが,15例(88%)が就労,就学が可能となった.術後合併症は14例(82%)に認め,のべ症例数で人工肛門関連合併症8例,正中創SSI 5例,会陰創治癒遅延3例,性機能障害(術直後)2例,癒着性イレウス2例であった.クローン病の難治性直腸肛門病変に対する直腸切断術は術後合併症があるものの,自覚症状の改善とQOLの向上に有効であり,若年者に対しても考慮すべき治療の選択肢と考えられた.
著者
鈴木 康夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.378-385, 2012 (Released:2012-03-05)
参考文献数
13

Granulocyte and Monocyte Adsorption(GMA)は,本邦で開発・臨床応用された薬剤投与によらず抗炎症効果を発揮し高い安全性を有するユニークな療法で,潰瘍性大腸炎(UC)同様クローン病(CD)においても寛解導入療法の1つとして実施可能となった.しかし,汎用されているUC症例に比べ,CD症例におけるGMAの意義や最適な適応症例と実施時期に関しての検討はいまだ十分とはいえず,今後解決すべき課題と考えられる.われわれの多施設共同研究による検討では,発症早期の比較的軽症例に対しGMAを実施することで寛解導入率の向上に寄与する可能性が推測された.また,CD治療の中心的薬剤である抗TNF-α抗体製剤にGMAを組み合わせる治療法の有用性に関しても今後検討すべき課題の1つと考えられた.

1 0 0 0 OA 低能 : 小説

著者
深尾葭汀 著
出版者
中川玉成堂
巻号頁・発行日
1912
著者
吉田 譲 小塚 アユ子 佐藤 智明 見目 恭一 許 俊鋭
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 = The journal of extra-corporeal technology (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.29-36, 2005-03-01
参考文献数
10
被引用文献数
2

JMS社製ターボ血液ポンプMixflow(JMF)と大日本インキ化学工業-Edwards Lifesciences社製人工肺Platinum Cube NCVC6000(DEPC)の組み合わせにより,新たに長期間安定使用できる流量補助循環(PCPS)システムを構築するため,PCPSでの導入前に,開心術にてヘパリンコート回路と組み合わせて使用した。JMFの高回転仕様,DEPCの非対称膜それぞれの特性の確認を中心に評価した結果,血液データにおける術前/術後の血小板の減少率が少ない傾向を示した以外に差はなく,エア抜きも炭酸ガス置換と落差充填により差はなかった。それらの結果を基に,充填時間短縮のためにエア抜き用の取り外し式フィルタを回路内に設けて作製した新システムをPCPSで臨床使用した。その結果,従来に比し,同一ポンプまたは人工肺での長期使用(最長19日)が可能であった。交換したJMF,DEPC双方に血栓がみられたが,肺のプラズマリークもなく長期補助に有用であると考えられた。血栓発生時期や酸素加調整法の把握がより重要で,同時にポンプヘッド固定の安全性やバッテリ消耗回路の改善が望まれる。
著者
豊国
出版者
若与
雑誌
相撲錦絵
巻号頁・発行日
1859
著者
田中 敏郎 嶋 良仁 仲 哲治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

アレルギー疾患の有病率が増加している現状において、その増加要因の解明と、発症を予防する手段の開発は急務の課題である。本研究においては、遺伝子多型がどのように喘息発症に関与するのか、また抗アレルギー作用を有するフラボノイドの適切な摂取によるアレルギー疾患に対する補完代替療法や予防法の確立を目指して、新たなフラボノイドの作用、作用機序に関して検討を加えた。IL-18の遺伝子多型IL-18-105A/Cは、アトピー型、非アトピー型喘息の発症に関与する多型であることが示された。IL-18-105A/Cは、IL-18遺伝子発現に関与するプロモーター領域のIL-18- -137G/C多型と連鎖不均衡にあり、これらの多型が末梢血単核球からのIL-18産生能に影響するのか検討したところ、遺伝子型がIL-18-105A/AやIL-18- -137G/Gである場合、それぞれ、IL-18-105A/C、IL-18- -137G/Cに比較して、単核球からのIL-18産生が上昇していた。このことは、IL-18が過剰産生されやすい遺伝子背景が、喘息発症のリスクとなることを示唆する。フィセチン、ルテオリン、アピゲニンなどのフラボノイドは、好塩基球からのIL-4やIL-13の産生を抑制するのみならず、CD40リガンドの発現も抑制する。したがって、好塩基球において、B細胞のIgE産生細胞への分化に必須なサイトカイン(IL-4、IL-13)とCD40リガンドの発現を抑制することより、フラボノイドは間接的なIgE産生抑制物質であることが示された。その作用機序として、転写因子のAP-1の活性化を抑制することが明らかとなった。また、フラボノイドのin vitroでのIL-4産生抑制活性と経口投与における体内への吸収性を考慮して、高活性、高吸収性のフラボノイドを合成した。
著者
岩佐 佑一 林 春男 近藤 民代
出版者
地域安全学会事務局
雑誌
地域安全学会論文集 = Journal of social safety science (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.193-202, 2003-11-01
参考文献数
6
被引用文献数
4

If the Tokai, Tonankai, and Nankai earthquakes occur simultaneously in the first half of the 21^<st> century, the damage would spread over many prefectures. It is indispensable for the prefecture governments in the impacted area, as well as the national government, to establish a standardized emergency response operation system, in order to mobilize the limited resources effectively. "The Basic plan for Disaster Prevention" compiled by the national government serves as the emergency disaster plan for the national government level, as well as the basic requirements to be complied by the emergency response plan compiled by prefecture governments and municipality governments. By employing Flow-chart system as the tool for describing the plan, this paper examined the emergency management section of Basic Plan for Disaster Prevention to identify operational models to be used as the basis for a standardized emergency management system.
著者
[豊田天功] [著]
巻号頁・発行日
vol.[18], 1800
著者
鈴木 克美
出版者
東海大学海洋学部
巻号頁・発行日
no.14, pp.357-367, 1981 (Released:2011-03-05)
著者
沼田 宗純 近藤 伸也 井上 雅志 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.755-763, 2011

本研究では, 広域的災害に対し, 地域防災計画の記述の統一化が広域的応援を円滑かつ効果的に実施に繋がるのではないかとの立場に立ち, 自治体間での地域防災計画の記述の違いについて考察し, 実効性の高い広域連携体制のあり方の方向性を示そうとするものである.そのために, 1995年兵庫県南部地震と2004年新潟県中越地震における支援の実態について既往の研究を参考に, 広域的支援の有り方を検討する際のフレームワークを整理し, 広域的支援における災害対応業務について考察し, 自治体間の地域防災計画を比較することで, その記述の違いについて考察している.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
井上 雅志 福岡 淳也 大西 修平 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.283-288, 2018

<p>地域防災計画の多くは,記載事項が膨大なため,有事の際,職員が災害対応に必要な情報を即座に探し出すことが困難であり,過去の災害においても有効に活用されていないことが多い.本研究では,地域防災計画の記述を可視化すべく,「災害対応フロー図」を作成し災害対応業務を体系的に整理すると共に,熊本県の地域防災計画を標準化した.加えて,これを効率的に運用するために,業務実施上の参考情報をまとめた詳細シートデータベースを構築した.また,作成された災害対応業務フロー図について,部署間の連携関係をネットワークの形で可視化することで,業務における担当部署と,部署間の関係を一目で確認できることを示した.</p>
著者
田中 啓介 鈴木 健太 藤井 貴之 渋江 隆治 藤山 一成
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集A編 (ISSN:18848338)
巻号頁・発行日
vol.79, no.799, pp.266-280, 2013 (Released:2013-03-25)
参考文献数
14

Fatigue crack propagation tests of center-notched plates of lead-free solder were conducted under displacement-controlled conditions with mean strain and load-controlled conditions with mean stress. The J-integral range was evaluated from load-displacement curves by using the simple estimate method. The mean stress introduced by the initial (mean) tensile strain in displacement-controlled tests was relaxed very quickly with cycles. The crack propagation rate was nearly constant during crack extension and was not much influenced by the mean strain. The crack closure did not take place under tensile mean strains, while it occurred under compressive strains. In load-controlled tests with mean stress, the ratcheting deformation was accumulated during fatigue tests. The crack propagation rate increased with crack length, and was not influenced by the tensile mean stress. The crack propagation rate was lower as the mean compressive stress was larger and as the stress range was lower. The crack closure took place only for the cases of compressive mean stresses. When the J-integral range was evaluated by taking into account of crack closure, the crack propagation rate was expressed as a power function of the J-integral range for all cases examined, The effective fractions of the applied load, strain and J-integral were unity for zero and positive mean stresses. They deceased linearly with increasing mean compressive stress down to -4 MPa, and remained nearly constant below -4 MPa.
著者
越川 兼行 安田 雅晴 後藤 大輔 鈴木 滋雄 石川 誠治
出版者
岐阜県農業技術センター
雑誌
岐阜県農業技術センター研究報告 (ISSN:18829104)
巻号頁・発行日
no.7, pp.23-29, 2007-03

岐阜県における夏秋イチゴは、奥美濃及び飛騨の冬期に豪雪で知られる地域で栽培されている。土耕栽培は作業がつらく、高設ベンチ導入の希望があるが、雪害によって高設ベンチが倒壊することが予想される。そこで、高設ベンチ「岐阜県方式」を改良した可搬式高設ベンチを開発し、郡上市高鷲町(標高600m)の現地で栽培試験を行った。長さ2mを栽培槽の1ユニットとして連続して設置し、栽培槽を支える水平直管をS字フックで支柱と簡便に着脱できるようにした。冬期には垂直な支柱のみとなる。1ユニットの重量は培地無しの状態で5kg、栽培状態では約25kgである。培地はヤシ殻単体で株当たり培地量は1リットルである。EC濃度は0.5~0.6dS/m程度、給液回数は4~6回/日、排液率が20~40%となるよう管理する。培地温は夏期でも20℃を下回ることもあり、土耕栽培の最低地温の23℃より低くイチゴの根の生育適温に近く経過し、17年度の収量は2,880kg/10aとであった。

1 0 0 0 OA 換杏新話

著者
小川, ・斎
出版者
巻号頁・発行日
1844
著者
堀江 貴文 辰巳 裕美 永瀬 隆浩 田野 俊平 大月 さとみ 南場 芳文
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI2098, 2011

【目的】<BR> 近年、ノルディック(ポール)ウォーキング(以下、NW)用のポールを用いた歩行に関する研究が進んでいるが、側弯や円背を呈する変形性脊椎症やパーキンソン病に対するNWの有効性に関する研究は少ない。今回、当院を退院した患者において、ポールを使った歩行様式は、T-caneを使った歩行様式と比較し、どのような効果があるのかを検証した。<BR>【方法】<BR> この研究に同意を得た80歳代の女性。診断名はパーキンソン病(H11.2、Yahr1)、変形性脊椎症(H11.6)。既往歴、H11年、左変形性膝関節症にて左TKA術施行、H12年に右踵固定術施行。H19年、直腸脱にてストーマ置換術施行。H22.5までは歩行器歩行も可能であったが、内科疾患をきっかけに臥床がちとなり、H22.6より歩行不能となり、当院へ入院してのリハビリ開始となった。身長145.0cm、体重35.8kg。脊柱はTh10レベルを頂椎とした右凸の側彎を呈し、cobb角は30°。MMT上肢4レベル、下肢4レベル、体幹3+レベル。握力右18.0kg、左16.5kg。HDS-R20点。FIM(入院時/退院時)64点/113点。 <BR> 以下のア~ウに対して、10m歩行における歩数と所要時間(ケイデンス)を計測。なお、計測はNW指導の初回日とした。ア.T-cane(片側)による歩行、イ.T-cane(両側)による歩行、ウ.NWによる交互型歩行、デフェンシブタイプ。また、ア~ウの静止立位姿勢は、canon社製IXY1000にて前額面、矢状面、後面よりデジタル撮影、歩行動作は、sony社製SH-800にてデジタル動画撮影し、評価を加えた。NW用ポールは、(株)サンクフルハート社製KD Pole Waker伸縮タイプを使用した。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究の目的と方法を口頭及び書面にて説明し、同意を得た。対象者の人権保護や個人情報保護に配慮し、守秘義務を遵守した。<BR>【結果】<BR> 10m歩行における歩数はア.59(歩)、イ.41(歩)、ウ.30(歩)、ウはアと比較し49.2%の向上、イと比較し26.8%の向上を認めた。平均所要時間はア.39.2(秒)、イ.33.3(秒)、ウ.27.5(秒)であり、同様にウはアと比較し29.8%の向上、イと比較し17.4%の向上を認めた。ケイデンスはア.90.7(歩/分)、イ.73.8(歩/分)、ウ.65.4(歩/分)であり、ここではウはアと比較し27.9%の向上、イと比較し11.4%の向上を認めた。静止姿勢、動的姿勢ともにNW用ポール使用時に脊柱などの伸展が確認できた。また静止立位に於けるcobb角は、両T-cane使用により23°にまで減少、NW用ポール使用により20°にまで減少した。<BR>【考察】<BR> 以上の結果より、変形性脊椎症とパーキンソン病を呈し、廃用性の機能低下を起こした患者に対してのNW用ポール使用は、ケイデンスの向上、姿勢アライメントの改善の効果を示した。<BR> この事は、両腕に把持するNW用ポールの長さは、身長の約68%程度に相当し、大腿骨大転子部に握りの位置を合わせるT-caneの場合と比較すると、高位置に存在する。また、身体重心の位置が身長の約55%の位置にあるが、NWポールの握りの位置は、それを超えた高さに存在しており、基礎疾患による重心偏位などの影響があっても、歩行動作中の安定性は向上し、ケイデンスなどの改善に寄与したと考える。同時に、T-caneと比較し、NWポールの使用による静止立位姿勢は、より容易に改善できたと考える。<BR> その他の特徴として、これらの改善効果は、即時的に認められ、高齢者に対してのポールの使用の理解もされやすく、導入が容易であった印象が強い。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 近年NWは健康増進等の目的で徐々に利用される様になってきており、その健常者に対しての有用性も数々の研究により明らかとされている。今後は、医療施設等における術後患者や機能障害を示す疾患を持つ状態の方に、NW用ポールを使用した理学療法に応用していかなければならないと考える。<BR>今回は、重度脊椎症と軽度のパーキンソン病を呈す患者に対してNW用ポールを理学療法に取り入れ、評価を実施したが、今後は対象疾患数を増やし、医療現場におけるNWの更なる可能性を見出していきたい。本研究が今後の医療現場におけるNWの発展の礎となる事を期待する。