著者
濱田 孝一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア : 医療・介護の経営情報 (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.276, pp.113-116, 2012-10

高齢者住宅の運営に潜む業務リスクへの対処法を解説する連載の最終回。今回は総集編として全体の振り返りと、リスクマネジメントを組織に定着させる手法について述べる。(編集部) これまで10回にわたり、介護事故の予防、苦情・クレーム対応、事故報告書の作成、スタッフ教育など、高齢者住宅の運営に関するリスクマネジメントのポイントについて述べてきた。

1 0 0 0 OA 館守日記

出版者
巻号頁・発行日
vol.[94],
著者
吉池 信男
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.556-573, 2017-12-01 (Released:2018-02-20)
参考文献数
21

乳幼児期の栄養・食生活は,その時期における健全な成長・発達に対してのみならず,成人後のNCDsリスクの低減という観点からも重要なことと考えられる.乳幼児期の栄養・食生活の実態に関しては,10年毎に実施されている乳幼児栄養調査から重要な情報を得ることができる.最新の2015年の調査においては,以前と比べて,母乳育児を支援する環境づくりに進捗が見られ,母乳栄養児の割合も高くなった( 1 か月51.3%, 3 か月54.7%).また,離乳食の開始時期も以前より遅くなってきており,2007年に出された「授乳・離乳の支援ガイド」とそれを活用した普及啓発活動の効果の表れと考えられた.一方,離乳食について約75%の保護者が何らかの「困りごと」を有しており,離乳食に関する学習の場として最も重要な保健所・市町村保健センター等における支援のさらなる充実が望まれる.幼児期の食習慣の形成には,保護者の影響が大きいと考えられ,保護者が抱える子どもの食事に関する「困りごと」への支援とともに,第 3 次食育推進基本計画が示している「若い世代を中心とした食育」や「子どもの成長,発達に合わせた切れ目のない」対応の推進が必要である.幼児期の食事に関わる健康問題として重要な食物アレルギーへの対応や肥満予防のための取組についても課題があり,今後の改善が必要と考えられる.子どもの貧困が社会問題化する中で,家庭の経済状況に応じた支援のあり方も検討される必要がある.
著者
Yasuhiro YOKKAICHI
出版者
The Society for Near Eastern Studies in Japan
雑誌
Orient (ISSN:04733851)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.25-33, 2015-03-30 (Released:2018-04-01)
参考文献数
35
被引用文献数
1

The decree of Amīr Čoban dated 726 AH/1326 CE (National Library and Archives of the Islamic Republic of Iran, s.250) has four kinds of imprints, which consist of two āl-tamġā seals (vermilion seals) and two black seals. Among them, one is a square-shaped vermilion seal in Arabic script. Another is a square-shaped vermilion seal in ’Phags-pa and Arabic scripts. This document is a typical decree issued by a high-ranking great amīr because the āl-tamġā and qarā-tamġā seals were stamped on the prede ned places. However, it is the singular case in which a document is stamped with two kinds of āl-tamġā seal. Three of the four seals found on this decree were undoubtedly Amīr Čoban’s, and must have yielded the strongest authority to it.
著者
梁 明秀
出版者
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
雑誌
日本プロテオーム学会大会要旨集 日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
巻号頁・発行日
pp.108, 2009 (Released:2009-09-14)

タンパク質のリン酸化は増殖や分化といった数多くの細胞の機能を調節する上で極めて重要なメカニズムの1つである。しかしながら、いかにしてリン酸化されたタンパク質がリン酸化に引き続いて機能を大きく変化させるかという機構については不明な点が多かった。ペプチジルプロリルイソメラーゼPin1はリン酸化されたセリン/スレオニン-プロリン(Ser/Thr-Pro)というモチーフに結合し、そのペプチド結合を介してタンパク質の構造をシス・トランスに異性化させることにより、リン酸化タンパク質の機能を調節する新しいタイプのレギュレータである。 この 新規の“リン酸化後”調節機構は標的タンパク質の活性、細胞内局在、安定性等を変化させ、リン酸化タンパク質の機能発現に重要な役割を果たす。最近の研究により、Pin1は乳癌や前立腺癌などの悪性腫瘍およびアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の病態形成に極めて重要な役割を果たすことが明らかになった。また、Pin1ノックアウトマウスを用いた研究により、Pin1は上記疾患のみならず、網膜変性症、精子低形成症、自己免疫疾患などの難治性疾患の形成に関与することも示唆されている。このようにPin1が多くの疾患に関与するのはなぜであろうか? それはPin1がエフェクター因子として直接疾患形成に関与するわけではなく、あくまでもリン酸化タンパク質の調節因子として、リン酸化を介した疾患形成因子の機能発現に関与しているからであると考えられる。実際に、Pin1 の基質となる機能タンパク質は、臓器、細胞ごとにその種類が異なり、また同一の組織や細胞内においても正常時と疾患時ではPin1基質タンパク質のリン酸化状況やPin1との結合性も異なる。 我々はこのPin1 の特性を生かし、Pin1を分子プローブとして用いることにより、難治疾患の形成に直接関与する責任分子や関連するシグナル伝達系の同定を試みている。本演題ではPin1のベーシックな機能や構造について概説するとともに、Pin1を介した疾患形成の分子メカニズムについて最近の知見を紹介する。
著者
堀井 聡江
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.56-74, 2002

In Islamic jurisprudence, <i>hiyal</i> (sg. <i>hila</i>) signify &ldquo;legal devices, &rdquo; or skills used to achieve a certain objective through legal methods. They were not <i>ipso facto</i> &ldquo;evasions of law&rdquo; as have been understood. It was common to consult with jurists about certain devices to solve legal problems in daily life. Not to neglect is that <i>hiyal</i> were produced as a result of jurists' ever-lasting endeavor to solve all possible problems using all possibilities allowed by the doctrine, and that they therefore made up an authentic part of jurisprudence except some controversial cases. Among the Sunni schools of law, the Hanafis sanctioned <i>h</i> (<i>iyal</i> most extensively, but the Shafi<sup>(</sup>is and the Hanbalis, even though criticizing some evasions of law, pursued <i>hiyal</i> within the framework of their jurisprudence. It is only the Malikis of whom no single work on <i>hiyal</i> is known. They adopted the principle of &ldquo;blocking ways (<i>sadd al-dhara<sup>)</sup>i</i><sup>(</sup>)&rdquo; which run against <i>hiyal</i>. Moreover, they never used the term &ldquo;<i>hiyal</i>&rdquo; in their legal discussion. However, we cannot conclude that the Malikis had nothing to do with <i>hiyal</i> which played an important role in the development of Islamic jurisprudence, if we examine the <i>Mudawwana</i>.<br>The <i>Mudawwana</i>, ascribed to Sahnun (d. 240/855), a Maliki jurist and <i>qadi</i> under the Aghlabids, is one of the oldest Islamic legal texts. This text shows that jurisprudence in Qairawan had much in common with its Hanafi counterpart in Baghdad as formulated in the <i>Asl</i>. As one of the most important works of Shaybani (d. 189/805), the <i>Asl</i> represents the authoritative transmission of Hanafi doctrine in all fields of law, including <i>hiyal</i>. For this reason, we find many discussions common to Hanafi <i>hiyal</i>-literature and the <i>Mudawwana</i>. These discussions fall into two groups.<br>In the first group, the <i>hiyal</i> suggested by the Hanafis are rejected as invalid by Malik or his disciple, Ibn al-Qasim (d. 191/806), who was the teacher of Sahnun. The basis of this rejection seems to be the Maliki principle of <i>sadd al-dhara<sup>)</sup>i</i><sup>(</sup>, i. e. &ldquo;blocking roads&rdquo; that probably lead to an evil end. In the second group, however, Malik or Ibn Qasim, without using the term <i>hiyal</i>, gives his own solutions, and they, in some cases, differ from those of the Hanafis, and, in other cases, agree with them.
著者
阿部 達也 橋本 貴尚 小林 隆夫 人見 秀昭 海老名 雅仁 藤盛 寿一 阿見 由梨 早川 幸子 藤村 茂
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.625-630, 2015 (Released:2016-09-16)
参考文献数
19

〔目的〕病院職員に対する結核曝露のリスクを,インターフェロンγ遊離試験(IGRA)の陽性率を指標として後ろ向きに比較した。その際,「病院環境曝露」を結核曝露のリスクとして仮定した。〔対象〕2010年12月から2012年4月の間にIGRAを行った職員870人を,病院環境曝露の有無により以下の群に分けて解析した。非曝露群は雇用時に測定を行った新入職者161人,曝露群は接触者健診受診者を含む既職者709人であった。〔方法〕IGRAはクォンティフェロンTBゴールド®3Gを用い,非曝露群を対照として,曝露群における陽性オッズ比(OR)をロジスティック回帰分析で求めた。〔結果〕全体として陽性率は6.7%で,2群間の陽性率(1.9% vs 7.8%)には有意差を認めた(P=0.005)。さらに,非曝露群を対照とし,性別,勤続年数,喫煙歴,および飲酒歴で調整した曝露群の陽性OR(95%信頼区間)は4.1(1.4-17.6)(P=0.007)であった。〔結論〕病院の職場環境ヘの曝露はその年数にかかわらず結核感染の潜在的なリスクとなっている可能性が示唆された。
著者
石原 俊信 吉岩 豊三 金﨑 彰三 宮崎 正志 津村 弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.287-290, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
8

外傷性環椎後頭骨脱臼は致死的外傷に伴うことが多く,生存例であっても重傷頭部外傷の合併により看過されることがある.今回救命し得た1症例を経験したので報告する.症例は75歳,男性.軽自動車を運転中に大型トレーラーとオフセット衝突して受傷した.自発呼吸はあるが,意識昏睡状態であり,四肢完全麻痺,外転神経麻痺を認めた.急性硬膜下血腫,頭蓋頚椎移行部レベルのくも膜下出血,両側動揺性胸郭,血気胸,骨盤骨折を合併していた.basion-dens intervalは15.8mmと拡大し,condyle-C1 intervalはいずれも正常2.0mmを超える値であり,外傷性環椎後頭骨脱臼と診断した.全身状態が落ち着いた受傷後5週に後頭頚椎固定術を施行した.術後,ベッドアップの制限なく,瞬目で,はい,いいえの意思疎通を行い,離握手も可能となった.
著者
西中 崇 中本 賀寿夫 徳山 尚吾
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.149, no.2, pp.79-83, 2017 (Released:2017-02-01)
参考文献数
30

幼少期に受ける精神的・身体的なストレスは,成熟期において精神疾患を含む様々な疾患の発症や重症度と強く関連する.この原因として,幼少期ストレスによる内分泌系の調節異常や神経系の機能・構造的変化を介したストレス応答性の変化,すなわちストレス脆弱性が関与することが示唆される.神経障害性疼痛のような慢性疼痛では,痛みの認知や情動に関わる脳神経系の機能変化が認められる.つまり,神経障害などの器質的異常だけでなく,精神的,心理的,社会的な要因が複雑に関与し,慢性疼痛の病態を形成している可能性が考えられる.このような痛みの慢性化に影響する精神的・社会的な要因の一つに幼少期の養育環境が挙げられる.実際に,幼少期の劣悪な養育環境によって,成人期における慢性疼痛の発症リスクが増加することが報告されており,幼少期に受けるストレスは脳内の疼痛制御機構に悪影響を及ぼすことが示唆される.しかしながら,幼少期ストレスと成熟期における慢性疼痛との関係性については明らかにされていない.最近我々は,幼少期ストレスによる慢性疼痛に対する影響を解析するための動物モデルを確立した.幼少期のストレス負荷は,成熟期における神経障害後の痛覚過敏や情動障害の増悪を引き起こす.さらに,幼少期ストレスは疼痛や情動の調節に関わる脳領域において,神経の活性化や可塑的変化の指標となるphosphorylated extracellular signal-regulated kinase(p-ERK)発現を増加させた.これらの知見は,幼少期による脳神経系の機能変化が,慢性疼痛の増悪に関与することを示唆する.本総説では,幼少期ストレスによる成熟期における脳神経系の機能変化と慢性疼痛の関係について紹介する.