6 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1922年01月28日, 1922-01-28
著者
西 明博 菅家 智史
出版者
一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会
雑誌
AYAがんの医療と支援 (ISSN:24359246)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.22-26, 2022 (Released:2022-02-25)
参考文献数
17

プライマリ・ケアとは、患者の近くにあって年齢や疾患に関わらずありとあらゆる健康問題に対処する医療である。がんの罹患数の増加や生存率の向上に伴い、プライマリ・ケアにおいてもがんとの関わりは当たり前のことになりつつある。初期治療を終えたがんサバイバーは、治療の合併症による身体的・精神的影響に加え、就労・金銭・家族関係の問題といった社会的影響に直面するため、プライマリ・ケア医も含めた多職種による包括的な関わりが理想とされる。AYAがん患者に対しても、プライマリ・ケアは、ライフステージ毎に生じる様々な課題に対して、気軽に相談できる窓口として、生涯にわたってケアを提供できる可能性がある。しかし、プライマリ・ケア側の受け入れ体制が整っていないことや、AYAがん患者はかかりつけ医を持たない傾向があるといった課題があり、AYAがん診療に十分に関われていないのが現状である。解決するためには、プライマリ・ケア向けの診療ガイドラインや学習コンテンツの作成、がん専門医・専門病院との連携体制の構築、プライマリ・ケアの役割や有用性に関する啓発が必要である。プライマリ・ケアもAYAサポートチームの一員として、AYAがん患者を地域で支える社会の実現に向けて一緒に取り組んでいきたい。
著者
安福 純子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 4 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.p377-386, 1994-02

本論は,卒業論文の準備にとりかかってから頻繁に「頭の中に割り込んでくる声」に困惑して相談室を訪れた男子学生の事例報告である。面接は8ヵ月にわたって24回持たれ,この間に68の夢の報告があった。この夢は面接を便宜上III期に分けると,第II期に溢れるように報告された。クライエントは第III期に再び卒業論文にとりかかり始め,母親が死ぬ夢を報告して後,面接は中断したが無事卒業していった。その後,卒業報告の手紙をもって終了とした。本症例を通して,青年の発達課題,夢が示唆したもの,中断の意味について考察した。This case study reports on the process of psychotherapy for a male student suffering from an inner voice disturbing his thinking.At the time,He was absorbed in preparing a graduation thestis.This process of treatment had three distinct stages,two of which are discussed in this paper.During the second stage,the client reported fifty seven dreams that suggested the relationship with his mother.In his dreams he modified his negative mother image to creat a posibive one.In the thirs stage,he tookd up work on his graduation thesis once again and began to see his real self.At this time,he was required to exercise the ability to cut off both inner and outer reality.After reporting a dream in which his moteher died,the client ceased coming to psychotherpy.Based on analyses of the series and content of the dreams,it was discussed that the devolopmental task of adolescents,the meaning of dreams,and the reason in this case for interrupting psychotherapy treatment.
著者
南 直子 Naoko MINAMI ミナミ ナオコ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.257-264, 2017-03

本稿は、太平洋問題調査会(Institute of Pacific Relations, 略称IPR)の調査・研究機関としての側面に注目し、アメリカにおける日本研究の発展に果たした役割について考察するものである。IPRは、1925年にハワイで設立され、1961年までその活動を続けた民間の学術団体である。「太平洋諸國民ノ相互關係改善ノ為メ其事情ヲ研究スルコト」を目的として発足、アメリカに本部を、日本を含む各国に支部を置き、2~3年に一度、「太平洋会議」とよばれる会議を開催したほか、定期的に太平洋地域の調査・研究をおこなっていた。1995年に出版された資料によれば、IPRの出版物は、機関誌を含め約1,600冊に上る。そのような出版規模をもつ団体であるにもかかわらず、アメリカのマッカーシズムによって解散を余儀なくされたため、研究が避けられていた時代もあった。1990年代以降、研究が進んできたものの、太平洋会議を中心に、国際関係論や外交史の視点からその活動を論じた先行研究がほとんどである。しかしながら、IPRでは会議と同様、太平洋地域の調査・研究にも力を入れていた。アメリカで広く「日本研究」がおこなわれるようになった直接の契機となったのが、太平洋戦争であり、戦後、地域研究の一側面として発展してきたことは知られている。そのような日本研究がまだ盛んでなかった1920年代から、IPRはすでに日本をその研究対象としていた。1930年前後には、2度にわたり、日本研究をアメリカで拡大させるための調査をおこない、具体的なプログラムも実施していた。戦後、外国人による日本論として広く読まれた、E・ハーバート・ノーマン『日本における近代国家の成立』や、ジョージ・B・サンソム『西欧世界と日本』の成立にも、IPRが関係している。IPRは、①学術的日本研究をおこなった先駆的な機関であり、②全米の大学・機関における日本研究の動向を、初めて調査した機関でもあった。民間団体として調査・研究をおこなうというIPRの当初の目的は、時代とともに変化せざるを得なかった。だが、様々な日本関係書をのこしたその活動は、アメリカの日本研究において、先駆的な存在であったといえるだろう。The Institute of Pacific Relations (IPR) was founded as a non-governmental academic organization in Honolulu in 1925. Attempting to improve relations among the countries in the Pacific Rim, it held international conferences every two or three years. It published numerous reports concerning diverse issues such as immigration, religion, and politics. In 1961, the institute was forced into dissolution under the strong influence of McCarthyism, and little attention was paid to it thereafter.In 1993, the first international conference was held to reexamine and reevaluate the IPR. Consequently, many scholars became interested and involved, and began investigating issues related to the IPR. The majority of them, however, tended to focus mainly on the IPR conferences restricting the significance apportioned to the IPR to the fields of foreign policy and international relations.This paper contends that the IPR had another key area of significance as well, arguing that even in the 1920s, the IPR played an indispensable role as a research institute. At the time, Japanese Studies was not a popular field of study in North America, and this state of affairs lasted until the outbreak of the Pacific War when, in order to understand their enemy nation, the US government began encouraging study of the subject. Prior to the war, the IPR had already published many books on Japan, and these amounted to 130 by the end of the war. Naturally, much of the research already conducted by the IPR was utilized when the US-led GHQ occupied a defeated Japan.It should be noted, however, that the IPR was already engaged in promoting Japanese Studies well before the war, and thus contributing to the development of the discipline. For example, the organization was already conducting research on Japan at various universities, colleges, and other institutions in the late 1920s. Scholars of Japanese Studies such as E. H. Norman and G. B. Sansom were involved in this research, and it is worth remembering that influential books of theirs, such as Norman's Japan's Emergence as a Modern State and Sansom's The Western World and Japan, were first published by the IPR. This paper outlines the wide activities conducted by the IPR in the fields of publication and academic engagement as well as conferences.
著者
川島 眞 宮地 良樹
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.732-741, 2017 (Released:2018-06-27)
参考文献数
6

要旨 本邦の痤瘡診療のさらなる向上のための啓発が求められていることから,現状を把握するために一般人を対象として、痤瘡およびその治療に関する知識,受療行動について実態調査を実施した。 インターネットの一般モニターを対象に調査を実施し,10歳代から50歳代の2,434名(男性1,226名,女性1,208名)から有効回答が得られた。痤瘡に罹患した経験がある人は男性で79.0%,女性で82.5%,全体では80.7%であった。現在,痤瘡の症状がある人では面皰主体である人を含め,男女共に80%以上が軽症であった。 医療機関の受診率は男性で14.6%,女性で18.6%,全体で16.8%であった。受診後の通院継続率は,男性が65.9%に対して,女性では33.3%しか継続していなかった。医療機関を受診しなかった理由としては,自然治癒を期待して待つとの回答が半数以上を占めていた。 受診時に処方された内服薬は,内服抗菌薬が男性で65.8%、女性で43.1%と最も多く、次いでビタミン剤,漢方であった。外用薬はほとんどの受診者に処方されていたが,外用抗菌薬は男性で63.2%,女性で49.7%であった。外用抗菌薬と同時に処方された外用薬は,アダパレンが男性で34.2%,女性で14.9%,過酸化ベンゾイルが男性で21.1%,女性で5.4%であった。一方,外用抗菌薬が単独で処方されていたのは,男性で23.7%,女性で48.6%であった。受診時の総合満足度は,非常に満足が男性9.2%,女性10.8%であった。 今回の調査から,痤瘡患者の受療行動は必ずしも積極的とはいえず,また,医療機関側でも内服抗菌薬の選択や耐性菌回避のための併用療法,維持療法の導入などを勧めた尋常性痤瘡治療ガイドラインが必ずしも遵守されていない現実が示された。また,患者および医療従事者に向けても新しい痤瘡治療薬や維持療法の重要性に関する情報提供が必要と考えた。
著者
鬼頭 伸輔
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.131-136, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
31

経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation :TMS)は,非侵襲的に大脳皮質を刺激し,皮質や皮質下の興奮性を変化させる方法である。10 ~ 20Hz の高頻度刺激は皮質興奮性を増強し, 1Hzの低頻度刺激は皮質興奮性を抑制する。TMSによるうつ病治療では,左背外側前頭前野への高頻度刺激と右背外側前頭前野への低頻度刺激の2つの方法がある。うつ病患者では,背外側前頭前野の hypoactivityと梁下野や前頭葉眼窩野などの腹内側前頭前野のoveractivity があるとされる。著者らの研究は,TMSの治療効果が背外側前頭前野や腹内側前頭前野の脳血流量と相関していることを示唆し,右背外側前頭前野への低頻度刺激は,腹内側前頭前野のoveractivity に抑制的に作用し,左背外側前頭前野への高頻度刺激は,同部位の hypoactivity に亢進的に作用することにより,うつ病を改善させると考えられる。
著者
渡邉 光浩 三井 一希 佐藤 和紀 中野 生子 小出 泰久 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.84-89, 2021-06-01 (Released:2021-12-01)

本研究では,1人1台情報端末の環境で初めて学習する児童の情報端末や周辺機器等を操作するスキル(以下,ICT操作スキル)の習得状況を明らかにするため,1)キーボードによる日本語入力の速度と2)基本的な操作やアプリの操作の習得に関する意識を調査した。キーボードによる日本語入力は,活用開始から2か月,3か月,4か月と入力速度が有意に速くなり,文章を見たままに入力する視写入力の方が,文章を読んで考えたことなどを入力する思考入力より速いが,4か月でその差が縮まった。また,基本的な操作やアプリの操作は,活用の多い基本操作や授業支援,プレゼンテーションのアプリから身に付き始め,4カ月で多くの学習ツールなどのアプリの操作が身に付く一方,4か月を経過しても難しい操作や活用の少ないものの操作はまだ身に付かないことが明らかになった。
著者
秋谷 直矩
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.525-535, 2010 (Released:2011-03-08)
参考文献数
26
被引用文献数
1

Currently, ethnomethodologically oriented ethnography that offer theoretical insights into how everyday practice work has been the important survey method in CHI⁄CSCW community. Ethnomethodological understandings of work and investigations of work settings has been used as a useful resource for developing new technology for the system designer of CHI⁄CSCW. The purpose of this paper is to provide an overview of traditional relationship between system designer and ethnomethodologist in CHI⁄CSCW, and is to propose a new relationship. Graham Button and Paul Dourish presented three complementary ways of integrating ethnomethodology and system design: (a) learning from the ethnomethodologist, (b) learning from the ethnomethodological accounts, (c) learning from ethnomethodology. They pointed out many problems that is relationship between designer and ethnomethodologist in their discussion. This paper's final aim is to order and to consider their problems. Then, I review the traditional cooperative work model between designer and ethnomethodologist, and discuss the development one.
著者
駒井 豊
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.19-28, 1996-11-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
16
著者
橋田 英俊 本田 俊雄 森本 尚孝 相原 泰
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.700-703, 2001
被引用文献数
5

75歳の男性が見当識障害, 構語障害, 歩行障害の増悪を来して入院した. 患者は4年前に頸椎症と診断され治療を受けていたが, 四肢の運動障害及びしびれ感は徐々に増悪していた. みかけ上の血清Cl値の上昇が端緒となり, ブロム中毒が疑われた. 10年来のブロムワレリル尿素含有鎮痛薬の内服歴及び血清ブロム濃度上昇を認めたため, ブロム中毒と診断された. 輸液により症状は軽減したが, 四肢の運動障害は残存した. 四肢の運動障害は頸椎症に加え慢性ブロム中毒による不可逆性の障害も関与している可能性が否定できない. 高齢者の精神・神経症状は, 老人性痴呆や加齢による影響と判断され積極的な診断や治療が見送られることが多い. ブロムワレリル尿素は市販の鎮痛薬等にも含まれている成分であり, 高齢者で精神・神経症状を呈した症例に対しては, ブロム中毒を念頭におく必要がある.
著者
武田 昌一 長谷川 優 津久井 勤 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.404, pp.141-146, 2015-01-15

競技かるた選手の間で「熟達した競技かるた選手は決まり字の前に来る音素の微妙な違いによって,次に何の字が来るか予測できる」と言われている.このことを,聴取実験と音響分析を組み合わせて,選手が出札を認識する時刻を精密に計測する手法を考案し用いることにより実証した.また,この認識結果を用いて,決まり字直前で出札を認識した音素部の音響的特徴を「た」で始まる首を例として,サウンドスペクトログラムとフォルマント周波数の分析により調べた.その結果,後続音素(子音や続く母音)のフォルマント周波数の特徴に従って,第2フォルマント周波数の時間に対する上昇,下降,不変,高域周波数の増大などの特徴の違いが見られることがわかった.
著者
辰巳 晃司 奈良 貴史
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.129, no.2, pp.53-74, 2021 (Released:2021-12-27)
参考文献数
67

本研究では,2017年に東京都港区湖雲寺跡遺跡から出土した幕府旗本永井家の歴代当主・正室の頭骨に貴族的特徴が認められるか,形態学的に検討した。貴族的特徴は江戸時代の身分制社会の頂点に位置する徳川将軍家や大名家の頭骨にみられる,極端に幅狭い顔面部,高く大きな眼窩,狭く高い鼻根部,華奢な下顎,微かな歯冠咬耗など,庶民とは異なる特有の特徴を表す。永井家の人骨は,当主10体・正室7体を含む約200年の系譜にわたる,これまで報告例のなかった旗本家の貴重な家系人骨資料である。本研究の結果,旗本永井家には当主・正室ともに貴族的特徴の傾向が認められ,当主は大名に近く,正室は将軍正室と大名正室に近い傾向がみられた。ただし,当主の下顎は庶民に近い頑丈性がみられ,貴族的特徴も世代を経るごとに強くなる傾向はみられなかった。また,顔面頭蓋形態と武家階層の高低との関連を調べた結果,特に男性において明瞭な対応関係が認められ,武家の家格や石高が高いほど典型的な貴族的特徴を呈し,低いほど庶民的特徴に近付くという階層性が示された。永井家に貴族的特徴が認められる要因としては,元々大名を出自とし,旗本の中でも7000石という高い階層にあることが考えられる。永井家当主の歯の咬耗は軽微であることから,下顎が頑丈な要因については,今後食生活以外の可能性も検討する必要がある。