著者
庄司 貴由
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.2_206-2_227, 2011 (Released:2016-02-24)
被引用文献数
1 1

The Gulf Crisis in 1990, set Japan making United Nations Peace Cooperation Bill to realize theSelf-Defense Force (SDF) dispatch. This report will clarify the Ministry of Foreign Affairs (MOFA) initiatives regarding this bill and its limitation.   Concerning the SDF dispatch, Prime Minister Toshiki Kaifu who insisted on adjustment of the SDF status, deepened conflicts with the Defense Agency and the Liberal Democratic Party executive machine which insisted on cooperation as the existing SDF status. To address this situation, MOFA coordinated approaches by giving concurrent post to the SDF and control by the Prime Minister.   However, the bill of MOFA was accompanied by a reverse effect, prompting decline of political centripetal force of Kaifu as they failed persuading the opposition party under the twisted diet. This resulted in withdrawal of the bill and stagnation of the “International Cooperation Initiative” that was originally the aim of Kaifu and MOFA.
著者
後藤 仁敏 サメの歯化石研究会
出版者
The Association for the Geological Collaboration in Japan
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.361-374, 2004-11-25 (Released:2017-07-14)
被引用文献数
1

現生のラブカChlamydoselachus anguineusは,現生板鰓類のなかで最も原始的な解剖学的特徴を残したサメである.これまでの記録では,ラブカ科の最古の化石は南極のジェームスロス島の白亜紀後期(Campanian)の地層から産出したChlamydoselachus thomsoniであった.本論文では,日本産のラブカ属12本の歯化石にもとづく6種を記載した.すなわち,白亜紀後期(Turonian〜Maastrichtian)の地層から5種(10標本),第三紀中新世の地層から1種(2標本)である.Chlamydoselachus sp. 1の小型の歯は北海道三笠市の上部蝦夷層群(Turonian-Coniacian)と,夕張市鹿島の上部蝦夷層群(Santonian)から産出した.Chlamydoselachus sp. 2の小型の歯とChlamydoselachus sp. 3の大型の歯は,熊本県天草郡竜ケ岳町の姫浦層群樋之島層(Santonian)から産出した.Chlamydoselachus sp. 4の大型の歯とChlamydoselachus sp. 5の超大型の歯は大阪府貝塚市と泉南市昭和池の和泉層群畦ノ谷層(Maastrichtian)から産出した.Chlamydoselachus bracheriの歯は,群馬県富岡市の富岡層群井戸沢層(前期中新世)と同県安中市の富岡層群原田篠層(中期中新世)から産出した.また,ラブカ類の系統発生的関係と古環境の変化について考察した.すなわち,白亜紀後期には大型から小型のラブカ類が浅い海に生息していたのに,中新世になると比較的深い海に中型以下のラブカが棲むようになったことが推定される.
著者
犬童 健良
出版者
学校法人 関東学園大学
雑誌
関東学園大学経済学紀要 (ISSN:21878498)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.31-121, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
79

Prologはコンピュータプログラムをホーン節として構築し,バックトラックメカニズムを備えた背理法アルゴリズムを適用する論理プログラミング言語である. この論説は,主に日本語で書かれた自然言語コンピュータープログラミングのためのPrologの質素で実用的なアプリケーションが示される. 2つの異なるアプローチが用いられた.第1のアプローチではPrologの述語をベースにした日本語論理プログラミンを提案する.日本語の単語で書かれた質問を助詞で区分することによって,システム/ユーザ定義述語やシェルコマンド呼び出しを本体に含むルールの頭部と単一化する.とくに助詞「は」は知識の参照と知識の主張に活用される.第2のアプローチでは,日本語で書かれた文書から節プログラムを直接抽出する.「相続税の計算」を説明したサンプル文書からの自動抽出がデモンストレーションされた.さらに,第1のアプローチは否定,三段論法,および意味論的概念を組み込んで修正された.既知/未知,旧い/新しい情報,総記と対比が,「XはY」や「XがY」の形の文に対するpyログラムに組み込まれた.総記の「が」と対比の「は」については,語のペアの代替的関係からなるネットワークのゲーム理論的モデルにおける安定性条件を用いて説明された.さらに,総記や対比の認知機能とルール節の導出との類似が論じられ,また非単調推論におけるサーカムスクリプションと関連付けられた.関連分野として,認知的-社会的な文脈におけるエージェンシー関係が論じられた.
著者
波江 彰彦
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.178-191, 2007-04-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
40
被引用文献数
2 1

本稿では, 地域分析に従来適用されてきた重回帰 (MLR) に代わる手法としてPLS回帰 (PLSR) を提示し, その有用性と課題について検討する. PLSRはMLR適用の制約となる多重共線性やオーバーフィッティングの問題を回避でき, 複雑な構造を持つ事象の分析と予測精度の高いモデル化を可能にする. 本稿では, 福井県の市町村間にみられる1人当たりごみ排出量の地域差についてMLRとPLSRを適用して分析し, 両者の結果を比較した. PLSRの結果, 説明変数群は二つの潜在変数に要約され, これらの潜在変数が表す地域特性によって1人当たりごみ排出量の地域差は効率よく説明された. また, MLRで有意と認められた3変数に加え, 新たに11変数が1人当たりごみ排出量に有意に影響を及ぼしていることが示された. 一方, PLSRの課題としては, 回帰係数の有意性検定の改良, 空間的従属性や空間的異質性を持つデータへの対応などが挙げられる.
著者
Takamasa KINOSHITA Hirohito YANO Noriyuki NAKAYAMA Natsuko SUZUI Tomohiro IIDA Saori ENDO Shiho YASUE Michio OZEKI Kazuhiro KOBAYASHI Tatsuhiko MIYAZAKI Toru IWAMA
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
NMC Case Report Journal (ISSN:21884226)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.151-157, 2021 (Released:2021-06-05)
参考文献数
43

Giant cell glioblastoma (GCG) is a rare subtype of glioblastoma multiforme (GBM), and it often occurs in younger patients; however, its onset in children is extremely noticeable. A 7-year-old girl presented with a headache and restlessness. A giant tumor that was 7 cm in diameter was found by magnetic resonance imaging (MRI) in the left frontal lobe with intracranial dissemination. Because the tumor had extended to the lateral ventricles and occluded the foramen of Monro causing hydrocephalus, she underwent ventricular drainage and neuro-endoscopic biopsy from the left posterior horn of the lateral ventricle. The initial pathological diagnosis was an atypical teratoid/rhabdoid tumor (AT/RT). When the dissemination subsided after the first chemotherapy with vincristine, doxorubicin, and cyclophosphamide, she underwent the first tumor resection via a left frontal transcortical approach. After surgery, the second chemotherapy with ifosfamide, cisplatin, and etoposide was not effective for the residual tumor and intracranial dissemination. The second surgery via a transcallosal approach achieved nearly total resection leading to an improvement of the hydrocephalus. The definitive pathological diagnosis was GCG. Despite chemo-radiation therapy, the dissemination in the basal cistern reappeared and the hydrocephalus worsened. She was obliged to receive a ventriculo-peritoneal (VP) shunt and palliative care at home; however, her poor condition prevented her discharge. Ten months after admission, she died of tumor progression. The peritoneal dissemination was demonstrated by cytology of ascites. In conclusion, although unusual, pediatric GCG may be disseminated at diagnosis, in which case both tumor and hydrocephalus control need to be considered.
著者
井田 仁康
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2021年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.29, 2021 (Released:2021-09-27)

地域区分は、地域区分をする目的により、また何を指標とするのかで異なってくる。ある地域を理解するために、その地域を一つとしてみなすのか、空間的特徴のあるいくつかのまとまり(地域)に分けてその地域を理解する方がいいのか、そういったことが検討されて地域区分が行われる。他方で小学校社会科および中学校社会科地理的分野の教科書などでは、日本を7地域に区分して学習するようになっている。日本を7地域区分は明治期に画定されたとされるが、この7地域区分が定着し、日本の地誌学習が進められてきた。日本を7地域に区分して考察することが日本地誌を理解しやすくしているのだろうか、そのような議論がなされないまま、子どもたちは日本を7地域に区分できることを所与のものとし、その地域区分の意味を考えることもなく形式的に分けたものとして学習していないだろうか。それでは日本地誌が7地域の寄せ集めという認識でおわり、総合的に日本の地誌を理解したということにならないではないだろうか。2.地域区分の重要性 2021年から施行されている中学校学習指導要領では、日本の地誌学習のはじめに地域区分の学習が行われる。地形、気候、地震・災害、人口、資源・エネルギー、産業、交通・通信などから、これらのいずれかを指標とすると、その指標に応じて日本が地域区分され、どのような特徴をもつ地域から日本が構成されているのかを明らかにすることができる。上記の項目すべてで地域区分を行なう必要もないが、どれかの項目で地域区分を行うことで、地域区分の意味が理解でき、指標により地域区分が異なり、どのような事象に対して地域区分して日本の理解をすべきかといった判断ができるようにもなるだろう。指標をつかって地域区分することは地図活用の技能となるが、地域をどのような基準でいくつに分けることで日本の理解につなげるかを判断することは、分布などに着目してどのような観点で区分するのかという思考力・判断力を伴うものである。また、地図で表現することじたい表現力を必要とするものである。このように地域区分には、知識・技能、思考力・判断力・表現力といった資質が必要とされ、また養うことができる。さらには、次の学習となる日本の諸地域でどのような地域区分が日本を理解していくのに適切なのかといった学習課題を明確にし学習する意欲をわかせる、すなわち主体性につなげることができる。このように、地域区分の学習は資質・能力の3つの柱にかかわる学習となりえるのである。3.地域区分とSDGs 17の目標と169のターゲットから成るSDGsには、それを理解し達成させるための教育が必要となる。その教育には、社会的事象の地理的な見方・考え方をはたらかせた思考力を養うことや知識・技能の習得が含まれる。このような教育がSDGsを支えるものとなる。その意味では地域区分の学習は、SDGsを支えるための基礎的な学習となる。さらには、世界地誌においては、SDGsにかかわる指標で地域区分図を作成することで、SDGsにかかわる地域的課題がみえてくる。人口や貧困に関する指標により、具体的に「貧困をなくそう」「人や国の不平等をなくそう」といった目標にかかわってこよう。日本国内においても気候災害にかかわる指標で地域区分図を作成することで、その地域にふさわしい「気候変動に具体的な対策」を考えることができ、それをどのような地域的範囲で考えていけばいいかといった効率的な対策にもつながっててくる。子どもたちに地域区分をさせることは、日本や世界を俯瞰できるという意味においてSDGsにとって重要なのである。
著者
安田 徹也
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.66-94, 2014 (Released:2018-08-17)
著者
福井 憲彦
出版者
学習院大学史学会
雑誌
学習院史学 (ISSN:02861658)
巻号頁・発行日
no.34, pp.157-167, 1996-03

講演(Lecture)
著者
掛下 哲郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.16-19, 2021-12-15

本稿では情報処理学会が策定したデータサイエンス(DS)を専攻する大学レベルの教育に関するカリキュラム標準および今後の構想について紹介する.本カリキュラム標準は,ACMのDSカリキュラムや欧州Edison DS Frameworkを参照して策定されており,国際的互換性を有する.さらに,データサイエンティスト協会が作成したDSスキルチェックリストを参照することで,本会のDS資格とも連携している.本カリキュラム標準は約60単位の規模であり,データサイエンスを専攻する学生が必要とする知識およびスキルを網羅している.また,数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムのモデルカリキュラム(リテラシーレベル)の履修を前提としている.
著者
黒田 和明
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.p27-34, 1989-01

Fischbachらの示したバリオン数に結合する第5の力は, 理論的に種々の方法で説明され, 発展させられているが, まだ確固たる足場はないようである. これに反して, 実験的には, 未踏の分野であったせいもあって, 宇宙物理から地球物理の分野までを巻き込んで, これまでに50に達する実験グループがその検証実験を手掛けている. これまでに公表された結果から Fischbachらの初期の理論は否定されつつあるが, 地球物理的に測定されたデータは, いずれもニュートン(Newton)重力からのずれを示唆している. ここでは, 主な実験結果に触れながら, 第5の力の検証実験の現況を紹介する.