- 著者
-
小長谷 一之
- 出版者
- THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
- 雑誌
- 東北地理 (ISSN:03872777)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.4, pp.264-275, 1991-11-15 (Released:2010-04-30)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
-
2
近年のアメリカ都市構造に関するいくつかのデータや研究 (Pisarski, Orski, Cervero など) によれば, 1980年代が, 都市構造に大きな変化が生じた時期であったことを示す兆候がいくつも見られる。それらを総括すると, 1980年代は, 戦後の構造変容の基調をなしていた郊外化が, 決定的な段階を迎えるに至った時期であるといえる。その特徴としては, (1) オフィス (中枢管理) 部門の郊外化, および, (2) 郊外核の集積の2つが上げられよう。こうした都市構造の変化は都市交通の問題と深く関っているため, 特に都市交通地理学の分野で活発な議論がなされたきた。交通流動や都市圏の側面からニューイングランドをあつかった Plane は, 通勤流動を類型化した上で, 郊外への雇用の移転に伴い従来見られなかったような逆通勤や交差通勤が急増し, 都市構造が複雑化していることを示した。シカゴでも Sachs が, インナーシティ雇用の衰退と, 対照的な郊外核の成長の結果, 大規模な逆通勤が発生し, 交通混雑を引き起こしいることを指摘している。このように郊外雇用の中心となってきた郊外核は, Lineberger や Cervero などにより分類されその実態が把握された。その結果, (特に交通に関する) 都市問題の観点からは, 郊外核の集積度や機能混合性を高めることが重要であるとの見解が示されている。