著者
村上 興正
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.119-130, 2001-01-15 (Released:2018-02-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1

生物多様性条約第8条の外来種の管理には,導入の阻止と現存外来種の管理の2側面が含まれているが,世界的には前者がもっとも重要だとされている.まず,外来種移入防止のためには,輸入と移動,捕獲と飼養,放逐と逃亡の各段階での規制が必要である.また,すでに野生化した外来種の管理には,撲滅や防除などの規制が必要である.この点で,1995年に策定された生物多様性国家戦略で述べられているCITES,種の保存法,植物防疫法など日本に現存する法律が,これらに係わる行為をどの程度規制できるかを具体的に検討した.その結果,日本における現行の法律は各々その目的が異なるために,現在問題視されている生態系に影響を与える外来種の管理という側面では,一部でしか関係しておらず,とくに,外来種の移入の阻止という点で多くの問題が抜け落ちることが明確となった.既存の法律の強化では,現在進行中の国際的な外来種管理のための指針すら満たせないことが明確となり,今後新たな枠組みによる法律が必要であることが明らかとなった.
著者
白井 泉
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.47-60, 2016

In modern era, the northeast Japan was considered a developing area and had relatively low economicand health standards, especially in the 1930s. However, within this area, the Tsugaru region of AomoriPrefecture accounted for the highest apple production in Japan since the 1900s, and seemed to enjoy richnesscompared to the other regions of the prefecture even in the 1930s. The purpose of this study is to analyze whythe peasants of Tsugaru region chose to cultivate apples, how they produced apples alongside rice despite thefact that these goods' busy harvest season come at the same time, and what impact their faming managementhad on their living standards over time. The analysis reveals the following. (1) In Tsugaru region, peasantsbegan to introduce the cultivation of apples from the 1900s, but this was done as a workaround; for thesepeasants, the most attractive crop was rice because it was more profitable than apples in the 1910s and 1920sand peasants could sell, store, and eat it. Some peasants purchased active paddy fields after becoming richfrom apple cultivation. (2) Apple growers adopted labor-intensive technologies to make apples red in responseto consumer preferences and to thereby increase their revenues. Although part of the labor force during thebusy season was attracted from outside the prefecture by the offer of high wages, the labor quantity of peasantmen and women increased due to the farming of these multiple crops. (3) There is a possibility that such laborenvironment raised the infant mortality rate, which is an index of mothers' and children's health, but the regionexperienced rapid economic development and, in the 1930s, a total production value per household that wasclose to the national average. This means that although the multiple farming of rice and apple increased thelabor burden on peasants, it led to the economic development of the region.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1018, pp.71-78, 2009-11-30

2009年11月,Apple社の「iTunes App Store」において,取り扱うアプリケーション・ソフトウエアの種類が10万種を突破した。ダウンロード数は20億本に達している。これらをきっかけに,多数の企業が「アプリ・ストア」の事業立ち上げに殺到している。この動きは携帯電話業界にとどまらず,テレビなどほかのプラットフォームにも影響を与えそうだ。
著者
三田 有紀子 大島 千穂 續 順子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

[目的] 平成21・22年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食・儀礼食」の一環として実施したアンケートから、本研究では東海地域を中心とした年中行事および行事食について調査し、五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)の行事食に注目をしてその現状と継承の実態を世代間別に明らかにすることを目的とした。[方法] 対象者は、東海三県である愛知県、岐阜県、三重県在住の女子学生492名とその家族400名(親338名、祖父母62名)、合計892名を対象にアンケート回答者の属性と年中行事及び行事食の認知・喫食状況についてアンケート調査を実施した。[結果]五節句における行事では、人日、上巳、端午、七夕で各世代80%以上の高い認知度がみられたのに対し、重陽で各世代20%以下と非常に低い認知度であった。各世代間では、人日、上巳、七夕で学生世代の認知度が親世代と比べて有意に高くなり、七夕では祖父母世代とも同様の結果となった。一方、行事の経験は上巳で学生世代が親世代より有意に高くなり、各世代とも認知度の低い重陽では祖父母世代が他世代と比較して経験度が高くなった。また、各行事食の喫食経験では学生世代と他世代で経験度の違いがみられ、その多くは学生世代の喫食経験が他世代と比べて低下していた。しかし、人日の七草粥、上巳のもち・菓子およびすし、端午のちまきと柏餅では学生世代で60%程度の喫食経験が認められたことから、行事の認知が行事食の喫食経験を維持していると推察され、行事の認知度の高い七夕では同様の傾向がみられなかったためこのような関連性が確立されていないと考えられる。
著者
Qian Xie Zoran Obradovic Gregory E. Arnold Ethan Garner Pedro Romero A.Keith Dunker
出版者
Japanese Society for Bioinformatics
雑誌
Genome Informatics (ISSN:09199454)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.193-200, 1998 (Released:2011-07-11)
参考文献数
22

The conditional probability, P (s|x), is a statement of the probability that the event, s, will occur given prior knowledge for the value of x. If x is given and if s is randomly distributed, then an empirical approximation of the true conditional probability can be computed by the application of Bayes' Theorem. Here s represents one of two structural classes, either ordered, so, or disordered, sd, and x represents an attribute value calculated over a window of 21 amino-acids. Plots of P (slx) versus x provide information about the correlation between the given sequence attribute and disorder or order. These conditional probability plots allow quantitative comparisons between individual attributes for their ability to discriminate between order and disorder states. Using such quantitative comparisons, 38 different sequence attributes have been rank-ordered. Attributes based on cysteine, the aromatics, flexible tendencies, and charge were found to be the best attributes for distinguishing order and disorder among those tested so far.
著者
三浦 さつき 太田 暁子 喜多野 宣子 志垣 瞳 島村 知歩 冨岡 典子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.199, 2010

【目的】近年、伝統的な行事食の伝承が少なくなっているといわれる。本報では、平成21、22年度の日本調理科学会特別研究として実施した「行事食調査」から、年末年始の行事食を中心に、奈良県の現状を把握し、世代間による認知度や喫食経験などの違いについて明らかにすることを目的とする。<BR>【方法】平成21年12月~平成22年3月、日本調理科学会「行事食調査」の全国統一様式による調査票により、大学生およびその家族にアンケート調査を実施した。そのうち、奈良県在住者251名(学生157名、家族94名)を対象にして、正月、人日・七草、大晦日の行事の認知度、行事食の喫食経験や調理状況について検討を行った。<BR>【結果】行事の認知・経験については、正月と大晦日は学生・家族ともほぼ100%であったが、人日・七草の認知は学生83%、家族90%であり、経験は学生57%、家族83%であった。年末年始の行事食においては、学生・家族とも喫食経験が90%以上と高かった料理は、雑煮、黒豆、かまぼこ、年越しそばであり、毎年食べている人がほとんどであった。正月の赤飯、大晦日の祝い料理やいわし料理は、喫食経験が低かった。雑煮、七草粥、年越しそばは、家庭で作って食べる割合が高かったが、昆布巻き、きんとん、だて巻き卵、かまぼこは、作って食べる割合よりも買って食べる割合のほうが高かった。学生と家族で比較すると、屠蘇、煮しめ、なます、七草粥の喫食経験に違いがみられ、家族よりも学生のほうが、年末年始の行事食の喫食経験や家庭で作って食べる人の割合が低い傾向がみられた。

1 0 0 0 OA 古画備考 50巻

著者
朝岡, 興禎
出版者
巻号頁・発行日
vol.[38],
著者
太田 暁子 志垣 瞳 冨岡 典子 福本 タミ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.150, 2010

【目的】近年、食生活の変化から野菜の摂取不足が指摘されている。日本調理科学会近畿支部食文化分科会では近畿2府4県の家庭における野菜の利用について調査を実施した。奈良県では前報(20年・21年度大会)に続き、本報では行事食における野菜の利用について報告する。【方法】調査時期は2007年10月~2008年1月。奈良県在住の家庭の調理担当者を対象に、留め置き又は聞き取り調査を実施した。奈良市(以下、都市部)73件、奈良市周辺・山間部(以下、農村部)57件の回答から行事における野菜の利用について、地域別、年齢別に検討した。【結果】行事で利用する野菜は55種類あった。行事別に野菜の利用をみると、正月ではにんじんが22.6%と最も多く、次いで、ごぼう、れんこん、だいこんの根菜類が上位にあがり、この4種で正月に利用する野菜の69.2%を占め、煮しめ・なます・たたきごぼう・雑煮に利用された。七草では七草パックを使った七草粥、節分では巻きずしに三つ葉・かんぴょう、ひな祭りではちらしずしににんじん・れんこん、盆には供物になす、冬至では煮物にかぼちゃ、クリスマスではサラダや付け合せににんじん、大晦日では年越しそばに青ねぎの出現頻度が高かった。地域別で比較すると、都市部では正月・ひな祭りに野菜の利用が多かったが、一方、農村部では正月・端午の節供・春祭り・秋祭り・七夕・盆・祝い事など種々の行事に野菜が利用され、供物に不可欠なものとしても野菜は多く用いられたことから、都市部とは異なった食習慣の地域性が示唆された。年齢別にみる野菜の利用は、調理担当者が50歳以上の家庭では、正月・七草・盆の行事に野菜を多く利用し、50歳以下ではクリスマスにおける利用が多かった。また、冬至にかぼちゃを食べる習慣は地域・年齢・就業の違いに関わらず健康を願って食べられていた。
著者
髙宮 優実
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.70-86, 2018-12-31 (Released:2018-12-31)
参考文献数
27

言語形式的には「ほめ」であっても、実際には批判や非難として機能している場合がある。このような機能は、これまでに、小説やエッセイなど作者によってつくられた文章にもとづいた資料の分析からは言及されているが、本研究において自然談話を分析した結果、日常の会話において、特に第三者を批判する場面で「ほめ」の形をとった皮肉や嫌味といった否定的な機能が使われていることが明らかになった。これは、直接言語的に批判をするよりも、状況をユーモラスに捉え、事態の深刻さを回避する役割があるためと考えられる。
著者
金丸 芳 遠藤 千鶴 高橋 啓子 松下 純子 後藤 月江 武田 珠美 長尾 久美子 有内 尚子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】前大会で、徳島県における行事食・儀礼食の認知と経験、料理の喫食の状況を年齢区分別で比較した。そこで今回、県を地形の特徴で4区分した地域の現状を比較した。 <br>【方法】調査は留め置き法で行い、10年以上徳島県在住者240名を、徳島市105名・北部(平野部)49名・西部(山間部)47名・南部(沿岸部)39名に4区分し、行事の認知と経験、料理の喫食についてクロス集計(有意差:&chi;<sup>2</sup>検定)をした。 <br>【結果】<u>徳島市は</u>人日の経験度、お節の黒豆・昆布巻・きんとん・魚料理、人日の七草粥、上巳の潮汁の喫食度が高く、百日祝の経験度は低いが、行事全体でみると高い傾向にあり、豊かさが伺えた。<u>北部は</u>土用の丑、百日祝、結納の経験度、お節の田作り・煮しめ・蒲鉾、上巳の潮汁、結納の各種料理の喫食度が高いが、お節の魚料理の喫食度は低かった。他地域より結納、土用の丑の行事を重んじている傾向があった。<u>南部は</u>クリスマスの経験度が高かった。一方、経験度の低い行事は、秋祭り、冬至、土用の丑、結納であり、喫食度の低い料理はお節の黒豆・田作り・昆布巻・きんとん・煮しめ、節分の鰯料理、上巳の潮汁、冬至の南瓜煮物、お七夜の尾頭付魚、初誕生の餅、葬儀の精進料理、結納の各種料理であった。漁業が盛んな沿岸部にも関わらず、魚料理の喫食が低かった。<u>西部は</u>秋祭り、冬至の経験度、節分の鰯料理、冬至の南瓜煮物、お七夜の尾頭付魚、初誕生の餅、葬儀の精進料理の喫食度が高く、人日、クリスマスの経験度、お節の蒲鉾・肉料理、人日の七草粥の喫食度は低かった。他地域では経験度・喫食度の低い行事が西部では高い傾向にあった。以上、地域間に有意差があり、重視する行事に特徴が認められた。&nbsp;
著者
斎藤 理香
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-16, 2018-12-31 (Released:2018-12-31)
参考文献数
3
著者
加藤 和子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

<b>幼稚園教諭・保育士養成専門学校学生の行事食に対する意識調査<br></b><b></b>○&nbsp; 加藤和子<sup>1)</sup>,成田亮子<sup>1)<br></sup><sup>1)</sup>東京家政大<br><br>&nbsp;【目的】発表者らは今まで、本学栄養学科に所属する学生に対して、行事食・儀礼食について調査を行ってきた。その結果、親世代より学生世代の方が行事食の喫食経験が少ない傾向がみられた。本来なら、各家庭や地域において伝承される行事食であるが、今後教育の現場においての役割も重要になると考え、幼児期の「食育」を担当する幼稚園教諭・保育士養成の専門学校生に、アンケート調査を行ったので報告する。【方法】日本調理科学会特別研究‐行事食・儀礼食‐におけるアンケート用紙に基づいた調査用紙を配布し、その場で回答してもらい回収した。(回収率100%) 調査期間は平成25年5月。都内幼稚園教諭・保育士養成専門学校生126名を対象とした。東京・埼玉・千葉・神奈川県より通学の学生である。調査内容は、祖父母との同居経験、年中行事におけるそれぞれの行事食の認知と喫食経験、喫食状況についてである。【結果】年越しそば、雑煮、黒豆・数の子などのおせち料理とクリスマスの鶏肉料理を、行事食としてほとんどの学生が認識をしていた。雑煮、かまぼこ、クリスマスの鶏肉料理とケーキは100%の喫食率であった。行事食としての認知度が低かったのは、屠蘇、重陽の節句の菊料理などであった。喫食状況において、外で食べるとの回答の中に少数ではあるが、七草粥・蛤の潮汁・ちまきや柏餅・菊ご飯などを「給食で食べたことがある」との回答がみられた。このことより、保育園や学校においての給食指導や、行事食のメニューによって、次世代に行事食を伝承していることがわかった。
出版者
出雲寺万次郎
巻号頁・発行日
vol.[2], 1854
著者
土岐 信子 山内 睦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>目的</b>:本研究は、平成21~23年度に日本調理科学会で行なわれた行事食の全国調査に参画したものである。今回はその中で、筆者らが担当した部分において、大学生の五節句に関して検討を行なった。<b><br>方法</b>:栄養士養成課程の学生89名を対象とし、全国統一調査用紙を用いて2009年12月に実施し、SPSSを用いて分析を行なった。<br><b>結果・考察</b>:コレスポンデンス分析の結果、端午と七夕との間で関連性が示され、端午の行事食の喫食経験者は、七夕の行事食の喫食経験もあることが示された。各節句においては、人日では七草粥の喫食経験者は49.4%と半数を下回った。上巳では、喫食経験の最も高い物はちらしずしの73.0%、最も値の低い物は押しずしの3.4%であった。また、ちらしずしの喫食経験者は、あられも食べていることが示された。端午では、喫食経験の最も高い物はちまきの69.7%、最も低い物は菖蒲酒0.0%であった。また、ちまきの喫食経験者は柏餅も食べていることが示された。七夕では、喫食経験の最も高い物はそうめんの46.1%、最も低い物は煮しめ・ところてんの4.5%であった。また、煮しめの喫食経験者は、ところてんも食べていることが示された。重陽ではいずれも喫食経験率が非常に低く、重陽の行事食は一般的に食されていないと考えられる。今後の課題として、本学が所在する岐阜県東濃地域の行事食について調査を行なって行きたいと考える。
著者
土山 真司 鷲尾 健 高砂 恵美 正木 太郎 福永 淳 小川 聡 斉藤 雅也 矢野 嘉彦 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.51-56, 2016 (Released:2016-06-02)
参考文献数
13

40歳代,女性。幼少時期よりアトピー性皮膚炎と診断され加療を受けてきたが,最近では治療を自己中断していた。2015年春頃より全身のそう痒が増悪したため近医より当科に紹介受診となり,精査加療目的に入院した。季節の変わり目に皮疹が悪化するとの訴えがあり,うつ熱症状もあったため発汗機能異常を疑い全身温熱発汗テストを施行したところ顔面や体幹部の発汗低下を認めた。齲歯も複数あり,外分泌腺機能低下を疑い精査を進めたところ,抗 SS-A,SS-B 抗体陽性であり小唾液腺の導管に多数の細胞浸潤を認めシェーグレン症候群との診断に至った。アトピー性皮膚炎に対して外用治療を開始したところ,皮膚所見や好酸球の減少とは逆に肝逸脱酵素の数値が上昇した。シェーグレン症候群合併例のため,他の自己免疫疾患の併発についても精査したところ原発性胆汁性肝硬変が判明した。アトピー性皮膚炎では一般的に発汗機能異常が認められるが,発汗低下が著明な場合はシェーグレン症候群の合併も考慮に入れる必要があると考えられた。またアトピー性皮膚炎治療中に原発性胆汁性肝硬変に関連した肝逸脱酵素の数値が上昇した原因につき,Th1/Th2/Th17 バランスを含めて考察した。(皮膚の科学,15: 51-56, 2016)
著者
橘 ゆかり 三浦 加代子 石崎 千賀 川原崎 淑子 青山 佐喜子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.189, 2010

【<B>目的</B>】伝統的な祝いや祭りの行事では、風土に根ざした食べ物が先人の知恵で作られ、行事食として日本各地で様々な形で伝承されてきた。しかし、生活様式が変化すると共に稲作にかかわる行事そのものが廃れてきた。家庭で行事食を作る機会が減り、伝統的な行事食が親から子へ伝承されない傾向にあると考えられる。今回の調査は日本調理科学会の平成21・22年度の特別研究の一環として、行事食の認知状況や摂食状況などを調査することにより、和歌山県の調理文化の現状を把握し、行事食の伝承の状況を明らかにすることを目的とした。<BR>【<B>方法</B>】平成21・22年度の日本調理科学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用いて調査を行った。近畿に在住する大学・短期大学の学生およびその親に調査への協力を依頼した。和歌山県の調査対象者は調査に同意した学生およびその親の中で、和歌山県に10年以上在住している人を対象とした。今回は調査項目の中で、大みそか、正月および人日(七草)における行事食の現状を分析した。<BR>【<B>結果および考察</B>】学生と親世代の行事食の喫食経験や認知度を比較した。「屠蘇」、「昆布巻き」、「田作り」「煮しめ」「なます」や「七草粥」などの喫食経験が親子世代間で異なる傾向が認められた。親子世代間で喫食経験に差があまり認められなかった行事食は、正月の「雑煮」「黒豆」、大みそかの「年越しそば」などであった。喫食状況においても同様の傾向が認められた。さらに同一家庭内での学生と親の喫食状況を比較した。家庭内で同じ行事食が供食されていると考えられるが、親子間で喫食状況が異なる行事食が認められ、家庭内での行事食の伝承力が低下していることが推測された。
著者
本多 佐知子 林 利恵子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.123, 2010

【目的】野菜は季節及び地域の影響が大きく、行事食に使われる際には、言い伝えもあり、食文化が反映されやすい食材である。日本調理科学会近畿支部食文化分科会では、2007年10~12月に、近畿2府4県の家庭における野菜の利用状況、調理方法、料理、行事食などを把握する為の調査を行った。一昨年、昨年に引き続き、本年度は野菜に特化した家庭で行われている行事食や使われる野菜の種類、年齢の違い等、兵庫県の現状を報告する。【方法】 調査時期:2007年10~12月、調査対象者:兵庫県在住者(県庁所在地とそれ以外の地域)の調理担当者、調査方法:直接記入法(留置法)による、有効回答数140部、回収率83.3%であった。その内、行事食の有効回答数129部、回答率92.1%であった。調査内容:17に分類した行事の料理名や供物、使用する野菜名、その野菜を用いる理由・由来等を記載する質問項目によった。【結果】 アンケート調査から兵庫県在住者が実施する主なものとして、80%の家庭で正月の行事食があげられる。正月の行事食は50歳以上、50歳未満の年代に限らず実施している。冬至も全体として54%となったが、正月と同様に年代に限らず半数以上が行っている。続いて七草47%、ひな祭り45%、節分41%、盆25%、大晦日19%、クリスマス17%となる。七草と盆は50歳以上の年代の方が実施している割合が多いが、節分とひな祭りは50歳未満の方が多い傾向になった。料理件数でも正月が多く、冬至、ひな祭り、七草、節分、盆の順に続くが、正月の行事食に使われている野菜の種類は32種類もあげられた。盆でも使われる野菜の種類が多く29種類になった。正月に使われる野菜としてくわいは上位6位に入っている。このように行事特有に使われる野菜に、七草粥の「七草」や節分の巻き寿司の「かんぴょう」、盆の「なす」「きゅうり」「かぼちゃ」があげられる。かぼちゃは、夏より12月の冬至の煮物として、代表的な野菜になっている。日本料理である正月の節句料理や盆の精進料理には、野菜が多く使われている。野菜の言い伝えもあり、健康にいいという理由からよく利用されているといえる。節分の巻き寿司は、毎年恵方に向かって丸かじりするという行事食であるが、宣伝効果もあり、根づいてきている。

1 0 0 0 OA 天明撰要類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[61] 二十四下 両溜之部,