著者
石田(坂根) 千津恵 藤江 未沙
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】伝統的な郷土の家庭料理が次世代へ伝え継がれることを目指し、日本調理科学会の平成24~25年度特別研究の一環として、島根県における家庭料理の継承の現状把握と地域住民が伝え継ぎたいと考えている料理を調べることを目的にアンケート調査および聞き書き調査を行った。<br>【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」島根県アンケートおよび聞き書き調査を実施した。調査期間は平成25年9月から平成26年1月であった。アンケートは島根県在住の一般男女20~80歳代の計90名を対象に自記式アンケート調査を行い、聞き書き調査は日本調理科学会のガイドラインに従い島根県で生まれ育ち、その地域で30年以上居住している40~80歳代の女性13名を対象に現地に赴き調査を行った。<br>【結果】アンケート調査より、「作ったことがある料理」としてしじみの味噌汁、赤貝を用いたのっぺ汁や赤貝ご飯の他に、ちまきや雑煮などの行事食が上位10品に挙がった。ちまきは端午の節句に作られる料理で、平成22年度の「年中行事食」の調査結果からも認知度が高いことが報告されており、実際に多くの人が作っていることが明らかとなった。しかし、雑煮や赤貝料理は60~70歳代では約8割が作ったことがあると回答した一方で、特に20歳代では約2割しか作った経験がなく20歳代と60~70歳代との回答結果には有意な差が認められた。聞き書き調査では、「昔は作っていた」と半数以上の人が回答した料理は、島根県西部5品(のべだんご、芋だんご、ぬり餅、こうせん、おまん寿司)、東部7品(クジラ汁、七草粥、松茸ご飯、こうせん、ゴズ・セイゴの干物、ふき餅)であった。
著者
趙 哲済
出版者
(財)大阪市文化財協会
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

旧石器の層位を撹乱する原因のひとつである地層の割れ目に関して、野外における観察と室内での分析により、朝鮮半島のソイルウェッジと本州中央部の更新統に見られる乾裂痕、北海道の氷楔痕とを比較し、凍結割れ目と乾裂との構造・形成機構の相違と移行性を検討した。1.朝鮮半島の上部更新統の対比 朝鮮半島のソイルウェッジを含む更新統上部では、割れ目の上限付近で極細粒砂サイズ以下に球状石英をはじめとする球状鉱物が比較的多く認められることにより、風成の黄砂に由来した鉱物である可能性が指摘できる。また、AT火山灰に由来する火山ガラスが割れ目充填物に比較的多く含まれることも明らかとなった。これらのことは、最上位の割れ目が最終氷期極寒期前後に形成されていたことを示唆する。さらに、暗色帯や赤褐色帯を手がかりにして、更新統上部の割れ目を対比し、4時期に区分した。2.割れ目の構造と形成要因 朝鮮半島のソイルウェッジ・カストと本州中央部の乾裂痕は、現地での観察においても、不撹乱試料の研磨面での観察においても、割れ目の最上郡付近を除けば充填物は雨水によるとみられる泥のベインだけであり、ほとんど開口しなかったことが推定される。また、共に垂直方向の割れとともに水平方向の割れも観察された。この割れ目現象は北海道の活動層を伴う氷楔痕には見られない構造であり、周氷河現象の氷楔痕の主たる成因が凍結によるものであるのに対して、ソイルウェッジや本州中央部の乾裂痕は最終氷期の寒冷条件に支配されつつも、乾燥による収縮が主要な成因であったと考えられ、いわゆるソイルウェッジとは異なる割れ目だと結論される。
著者
湯川 夏子 桐村 ます美 河野 篤子 坂本 裕子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.190, 2010

【目的】行事食の現状を明らかにするため、平成21、22年度の日本調理科学会特別研究として近畿2府4県において、行事食の認知状況および摂取状況等の調査を行った。本報では、京都府出身学生家庭における年末年始の行事食の現状と、学生とその親世代の食経験の比較を行った結果を報告する。<BR>【方法】2009年12月~2010年4月、近畿2府4県の大学に在籍する学生およびその家族を対象として質問紙調査を行った。日本調理科学特別研究の全国統一様式の質問紙を使用し、集合自記法および留置法にて行った。京都出身者の学生182名とその家族(親世代)90名を解析対象とし、「正月」「人日」「大みそか」の行事食に関して集計・解析した。<BR>【結果】正月料理の食経験は学生・親世代ともに全体的に高かった。しかし、屠蘇、数の子、田作り、昆布巻き、煮しめ、なますについて、有意に学生の食経験率が低かった。親世代は、お節料理9品目のうち、8品目は「毎年食べる」と回答した人が6割以上いたが、なますは「食べなくなった」と回答した人が多かった。その他に、棒だら、たたきごぼう、くわいがよく食べられていた。お節料理は全体的に、家庭で作る割合が減少し、購入する割合が増加していた。雑煮は、約6割が白味噌、約3割がすましであり、ほかに赤味噌や小豆の雑煮が見られた。七草は、行事の認知度は高いものの、七草粥の食経験は学生で約6割であり、親世代との有意差がみられた。年越しそばは多くの家庭で喫食率が高かった。<BR> 以上の結果より、年末年始の行事食は、親子の世代間において食経験の較差がみられると共に、家庭で作る行事食が減少しつつある現状が明らかとなった。
著者
加藤 春哉 安藤 郁男 大島 康嗣 土田 康隆 須貝 真也 古田 秀樹 熊田 拓郎
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.593-598, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
5

2017年に次世代ラグジュアリーハイブリッドクーペ車が発表され、新開発のマルチステージハイブリッドシステムが採用された。新システムは、動力性能や環境性能、ドライバビリティを向上させるため、従来システムに変速機構を設置した構成をとる。新システムの特徴と、採用に向け開発した制御技術について説明する。
著者
藤本 千鶴 上村 昭子 東根 裕子 山本 悦子 渡辺 豊子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.209, 2010

【目的】平成21、22年度の日本調理科学会特別研究として、行事食についての全国調査を現在行っている。本報告では、大阪府在住の大学生とその親の年末年始に関わる行事食について、現状を明らかにすることを目的とした。<BR>【方法】2009年12月~2010年3月、近畿地方の大学・短大生とその親を対象に質問紙調査(留め置き法)を実施した。正月(屠蘇、雑煮、小豆飯・赤飯、お節料理9品、魚料理、肉料理)、七草(七草粥)、大晦日(年越しそば、年取りの祝い料理、尾頭付きいわし料理)の各料理に関する喫食経験、喫食状況、調理状況を調査した。対象者は学生404名、親239名である。<BR>【結果】雑煮、年越しそばは、学生・親共に98%以上が喫食経験を持ちほぼ毎年食べられていた。その他の料理については学生と親の間に差があり、学生の喫食経験が少なくなっていた。喫食状況では屠蘇、七草粥で学生と親の間に差があり、食べる学生は少なく、食べなくなった親の割合が多い状況であった。大阪で食べられている雑煮は、白みそが54%、丸もちが84%、もちを焼かないが58%であった。お節料理9品の親の喫食経験は94%と多いが、毎年食べる人は74%(学生70%)であり、昆布巻き、きんとん、なます、だて巻きを毎年食べる人は、学生・親共60%台であった。雑煮、七草粥、年越しそばは、家庭で作る割合が多く、以前と現在で変化はなかった。しかし、黒豆、田作り、きんとん、煮しめ、なますは、家庭で作るから買うへの変化が認められた。正月の魚料理にはえび、ぶり、たい、肉料理には鶏肉、牛肉が多く使用されていた。
著者
岡田 英己子
出版者
東京都立大学人文学部
雑誌
人文学報 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.361, pp.23-97, 2005-03

1990年頃から「平塚らいてうは優生思想の持ち主」論が通説として流布している。その典拠とされるのが、平塚執筆の「避妊の可否を論ず」に記された断種法要求であるが、実は原稿は3種類あり、刊行時期も食い違う。では、フェミニズムの旗手である平塚は、いつ、どのようにして女性の「性と生殖の自己決定」から、「性と生殖の国家管理」断種法要求にまで暴走していくのか。平塚著作の検討を通して、新婦人協会の花柳病男子結婚制限法案の修正経緯を概観し、同時に民族衛生学会の永井潜やドイツ社会事業に精通する海野幸徳との比較から、「いか程の優生思想の持ち主なのか」を査定した。これは優生学歴史研究方法の再考であり、また第一波フェミニズムの最初の敗退の背景解明にも繋がるものである。
著者
坂本 裕子 桐村 ます美 河野 篤子 湯川 夏子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

<b>【目的】</b>平成21,22年度日本調理科学会特別研究で「行事食・通過儀礼食」の全国調査をおこない、京都府において行事や儀礼の認知度や経験度、またそれらに関わる食の喫食状況について世代間や地域差の検討をおこない報告した。またハレの食事にかかせない赤飯・餅・寿司・団子について調べ、行事食・通過儀礼食における米の利用状況の違いを明らかにした。今回はこれまでの結果をふまえ、行事や通過儀礼における家庭での食の調理状況や入手方法の解析から、行事食・通過儀礼食の伝承について比較検討することを目的とした。<br><b>【方法】</b>平成21年12月~22年3月に日本調理科学会特別研究の全国統一様式の質問用紙を用い留置法で調査を実施した。10年以上京都府に在住する者を調査対象とし、行事食では調理状況や食べ方について以前と現在の状況、子世代(10・20歳代)191名と親世代(40・50歳代)115名について世代間の比較をおこなった。また京都市内とその南北で地域差がみられるため地域の状況も比較検討した。<br><b>【結果】</b>両世代で「家庭で作る」と答えた者の割合が高いものは、雑煮、七草粥、上巳の寿司、冬至のかぼちゃ、年越しそばであった。以前と現在の入手方法をみると、「家庭で作る」から「買う」への増加がみられるものがある一方で、差がないもの、減少する割合に比べ「買う」の増加がわずかのものがみられ、全体に喫食自体が減る中、調理技術の伝承が難しい傾向がうかがわれた。行事食、通過儀礼食ともに最も「家庭で作る」割合が高い傾向にあるのは北部地域であったが、3地域ともに現在は「家庭で作る」割合が減少傾向にある。三世代同居家庭の方が認知度、経験度が高い結果にあったが、核家族化の進行もありさらに次世代へ伝承されにくい状況が進むと考えられる。
著者
岸上操 編
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.第7編, 1892
著者
高橋 寿奈 瀬山 由美子
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Nara Gakuen University (ISSN:2188918X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.121-126, 2017-09

現在の「ゆとり世代」と一般的にいわれる教育を受けた年代の看護学生は、核家族化、IT化がすすんだ社会の中で育ち、異世代や実際の対面式の交流が少ない世代であるといえる。この「ゆとり世代」としての教育を受けてきた看護学生に、臨地実習での受け持ち患者とのコミュニケーション時に「コミュニケーションをとる時に気をつけていたこと」と、「コミュニケーション中に受け持ち患者が不快だと感じていると看護学生自身が感じたこと」の調査を行った。その結果、その世代に特徴的な自己評価の高さと自己肯定感の低さが示された。これより、看護学生のコミュニケーションにおける受け持ち患者と関わりについて、「ゆとり世代」の学生の特徴に合わせ、個々の経験が増えるように「実践」する機会を増やしながら自信をもたせる指導方法を検討していく必要がある。また、異世代との交流の機会を「実践の場」として増やせるようにすることも必要であり、それらを課題とした。
著者
梶本 五郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.232-241, 1981-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
132
被引用文献数
2
著者
水津 太郎
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.199-234, 2015-01

池田真朗教授退職記念号一 はじめに 1 問題関心 2 対象と方法二 処分行為の要件と効果 1 将来動産譲渡 (一) 二重の構成要件 (二) 不真正の合意と拘束力の否定 (三) 動産搬入時移転 2 将来債権譲渡 (一) 債権譲渡の合意 (二) 真正の合意と拘束力の肯定 (三) 債権発生時移転三 譲渡担保の競合 1 商品倉庫の譲渡担保 (一) 分割理論 (二) 対処と評価 2 包括債権譲渡担保 (一) 早い者勝ち原理 (二) 正当化の試み 3 両者の対比 (一) 分割理論と早い者勝ち原理 (二) 相違の理由とその合理性四 ドイツ法と日本法 1 商品倉庫の譲渡担保 (一) 分割理論とその基礎づけ (二) 分析論・動産譲渡論・占有論 (三) 分割理論の制度的基盤 2 包括債権譲渡担保 (一) 純粋な意思主義 (二) 早い者勝ち原理とその基礎づけ (三) 将来財産処分の平準化五 おわりに
著者
高田 真吾 佐藤 聡 中井 央 杉木 章義 新城 靖
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.12, pp.1-6, 2012-03-08

大学のような多数の計算機を保有する組織では,その稼働率を上げることが課題となっている.本研究では,ネットワークブートされる計算機資源を有効活用するため,局所的に通常とは異なる計算機環境を配信する手法を提案する.提案手法では,ネットブートで利用される DHCP が早い者勝ちのプロトコルであるという特徴を利用し,既存の DHCP サーバよりも早く応答する DHCP サーバをネットワークに接続し,そのサーバからの応答が届く範囲にのみ,通常とは異なる計算機環境を配信する.提案手法を実際に筑波大学の端末室に適用し評価実験を行ったところ,本来の DHCP サーバからの応答はリレーにより遅延し,接続した DHCP サーバからの応答が先に端末に到達することを確認した.また,この遅延による時間差は,DHCP サーバへのリクエストが集中した場合には小さくなることを示した.Improving the usage rate of the computers is important in organizations that have a lot of computers. The authors propose a method to switch the computer environment which is distributed via the network. The proposed system uses the DHCP's characteristic: first-come-first-served. We inject a DHCP server which can respond to the client faster than the original one. Only netboot clients that receive the injected server's DHCP message faster than the original server can boot the different computer environment. The authors constructed a prototype of the proposed method and made experiments. The results show: (1) the original server's response is slower than the injected one because of the delay of the DHCP relaying, (2) the relaying delay would be reduced if the DHCP requests are concentrated.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.356, pp.93-95, 2001-12-17

急速に加入者を増やしているADSLの前に,予想もしなかった"壁"が立ちはだかった。十分な余裕があったはずのコロケーション・スペースやダーク・ファイバが不足し始めたというのだ。原因は,通信事業者間の接続約款が想定していなかった"陣取り"。東西NTTは,慌てて約款改定に動き出したが,問題の解決には時間がかかりそうだ。