出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.959, pp.111-114, 2007-08-27

1977年10月,明け方近くまで居酒屋で議論を交わし,フラフラになって帰宅した日立製作所の安井徳政は,妻の言葉に酔いが一気に醒めていくのを感じた。欧州に駐在している長瀬晃から至急連絡が欲しいとの国際電話が何度もあったという。当時,欧州からの国際電話はよほどの緊急事態でない限りかかってこなかった。 すぐに長瀬に連絡を取った安井は,話を聞くなり真っ青になった。
著者
尾川 浩一
出版者
法政大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、遺伝的アルゴリズムにおける、生殖、増殖、交叉、突然変異などの、遺伝子が変化し種が淘汰されていく過程の操作を画像再構成にどの様に応用するかを中心に研究を行なった。1.2値画像の画像再構成問題ミュレーションは、最も簡単な2値画像の再構成問題を取り扱い方法論の検討を行なった。実際には、乱数によって作成した16x16の2値画像を100枚用意し、この画像に対して投影計算(投影方向数18)を行い、測定投影データ(予め計算してある理想的な投影データ)との平均自乗誤差が最も少ないものから、子孫を残す優性度を決定し、次にこれらの画像の一部をでたらめに組み合わせた交叉画像(交叉点数32)を優先度を考慮して100枚作成し、子孫とした。画像をstringにコーティングする際は、全ての画素を1行ずつ連結させて実現した。この様な操作を、投影データの平均2乗誤差が少なくなるまで続けた。この際、突然変異を一定の確率(0.00195)で発生させ、局所的な画素値を変化させながら、画像を発生させた。このようにして、255世代で誤差の最小値が0となり、GAによる画像再構成に成功した。また、この演算速度を速めるために初期画像をフィルタード・バックプロジェクションした画像からも行なった。この結果、50世代で誤差の最小値が0になり、効果が現られた。2.多値画像の画像再構成問題多値画像の場合は、遺伝子コードをどの様に表現するかが問題となる。本研究では簡単のため画素データは3ビットとして取り扱い、コーティングはビット列をそのまま連結することで実現した。当初はハミング距離が短いグレイコードで表現することも考えたが、こちらの方法の方が良好な結果が得られるため方法を変更した。個体数は200、投影方向数は16、画像サイズは16×16で行なった。また、多点交叉の確率は0.1392、突然変異の確率を0.00098で行なったところ良好な結果が得られた。また、多値画像を取り扱う場合にはチェッカーボード状のアーチファクトが発生したため、画素間の連続性を考慮し、平滑化処理を行なうことで100世代程度で良好な画像再構成が可能となることがわかった。
著者
西田 泰士 本多 克宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.543-547, 2018-04-15 (Released:2018-04-15)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,特許文献データを対象とし,技術課題の解決手段の可視化を通して解決手段の着想を支援する手法を提案する.まず,代表となる単語を抽出し単語レベルの共起確率ベクトルを生成する.そして,生成した共起確率ベクトル自身の相関係数を算出しベクトル化を行い,SOMに入力させる.共起確率ベクトルにより描いたSOM,そして相関係数ベクトルにより描いたSOMとを比較し考察することにより,新規技術開発における重要な関連要素の抽出を通してイノベーション加速を支援する手法の可能性を示す.
著者
癸生川 陽子
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

隕石に含まれる有機物は,隕石母天体である小惑星の熱履歴の情報を保持していると考えられている。本研究は,隕石中の有機物の「脂肪族炭素の減少」及び「芳香族化度の増加」の2つの独立した指標を用いて,小惑星の熱履歴を推定することを目的とする。まず,芳香族化度の増加から熱履歴の指標とするために,あまり加熱を受けていない隕石の加熱実験を行い,ラマン分光法によりスペクトルの変化を調べた。しかし,精度よく速度論パラメータを決めるために十分な測定点がまだ得られていないため,今後も継続して実験を行う必要がある。また,比較的短期間の加熱を受けたと考えられている2種類の隕石について,暫定的に加熱温度・時間を求めた。
著者
今給黎 征郎 白山 竜次 渡辺 剛史 上野 敬一郎 永吉 実孝 久松 完
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.51-59, 2017

<p>近年,量販店向けの花束加工用にニーズが高まっている切り花長70 cm程度のスプレーギクを"エコマム"と称し,"エコマム"を通年安定的に供給するための生産技術を検討した.現場に普及している直挿し栽培を用いて10 a当たり年4作で24万本出荷することを目標とし,1.効率生産に適した品種の条件,2.栽植様式,3.わい化剤処理による切り花重の改善効果について検討を行った.適品種の条件は,秋スプレーギクと一部作型に夏秋スプレーギクを供試して年4作型を行い,1作80日で栽培できる品種を探索した.その結果,伸長性,早生性(到花日数),揃い(生育・開花)が優れている品種が求められ,秋スプレーギクの'セレブレイト','ピサン'が該当した.ただし高温となる9月開花作型では,それらの特性に加え高温開花性が優れる夏秋スプレーギク品種を用いる必要があることがわかった.栽植様式については,慣行より通路を狭くすることで植付面積を広くとり,10 a当たり4万本から6万本まで栽植本数を増やして,切り花重や花数への影響を検討した.その結果,栽植本数を増やすことで切り花重や花数が減少するものの,通路側のマスを2本植え,内側のマスを1本植えにするなど,植付け方法を工夫することにより切り花重の揃いが向上した.わい化剤散布による切り花重の増加効果については,10 a当たり7万本程度の栽植本数で,過去に輪ギクで効果が認められている方法を応用し,電照打ち切り後にわい化剤を2回散布することで,切り花重が有意に増加し,20 g以上の切り花を6万本以上採花できた.これらの技術を利用することで,直挿し栽培による年4作で,慣行の2倍となる年間24万本のスプレーギクを出荷できることが実証された.</p>
著者
杉浦 春雄 西田 弘之 杉浦 浩子
出版者
岐阜薬科大学
雑誌
岐阜薬科大学基礎教育系紀要 (ISSN:13427245)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.17-33, 2003-12-20

In this study, we determined the effects of recreational activities (recreation games) on profile of mood states (POMS) in a small group of general population (4 males and 18 females, 40.0±2.5 years of age). In the pre-recreational activities, the vigor score of the participant was the highest value (14.3±0.9), and the score of the other five factors ranges from 6.5 to 10.8 points. The vigor score in the post-activities was significantly (P<0.01) higher than that in the pre-activities. The score of the other five factors (1.9 - 5.1 points) in the pre-activities was significantly (P<0.01 or P<0.001) low in the post-activities. The total mood disturbance (TMD) score in the post-activities was significantly (P<0.001) lower than that in the pre-activities. The recreational score of the post-activities indicated a high value in enjoyable, comfortable, satisfaction, sense of achievement, mental fatigue, shoulder stiffness and sleeping. There was a significant (P<0.05 or P<0.01) positive correlation between the vigor score of the post-activities and the comfortable, mental fatigue, shoulder stiffness, sleeping, and a significant (P<0.05) negative correlation between the TMD score of the post-activities and the satisfaction, mental fatigue. There was a significant (P<0.01) positive correlation between the vigor score of the post-activities and the recreational total score, and a significant (P<0.05) negative correlation between the recreational total score and the tension-anxiety score, the confusion score of the post-activities. These results suggest that recreational activities effectively decreased negative mood score and increased positive mood score in general population.
著者
福岡 安則 黒坂 愛衣 下西 名央
出版者
埼玉大学大学院文化科学研究科
雑誌
日本アジア研究 : 埼玉大学大学院文化科学研究科博士後期課程紀要 = Journal of Japanese & Asian Studies (ISSN:13490028)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.153-169, 2011

匿名希望Aさん(女性)は、1915(大正4)年、奄美大島生まれ。国立ハンセン病療養所「星塚敬愛園」が開園したのが1935(昭和10)年秋であるが、彼女は早くも1937(昭和12)年に入所している。1年後、同じ病気の男性と星塚敬愛園から逃走。1943(昭和18)年、外の社会で産んだ子どもを連れて再入所。親許から引き離されて「未感染児童保育所」に入れられた子どもは、1年後に死亡。2009(平成21)年10月の聞き取り時点で94歳。Aさんの語りから、いくつも大事なことがわかる。第1に、星塚敬愛園が開園される以前、奄美大島には「らい病」の治療にあたる医師が1人いて、そのひと自身が「らい病者」であり、大風子の実を取り寄せて、入院患者さんたち自身に製薬させていた、ということ。第2に、やはり、星塚敬愛園が開園される以前から、天理教が、宗教による精神修養という面で、「らい病者」を含むさまざまな病者の救済活動に従事していた、ということ。第3に、「無癩県運動」が展開されていたはずの昭和10年代であっても、星塚敬愛園からの「逃走」は存外、容易だったようであること。第4に、1943(昭和18)年に子連れで再入所したとき、ただちに、子どもはいわゆる「未感染児童保育所」に有無をいわせず入所させられた。語りから推測されるかぎりでは、保育所での粗末な食事ゆえの栄養失調が子どもの死の遠因になったと思われる。療養所側に、「逃走」してまでふたりのあいだにできた子どもの命を、もっと大事にする態勢が用意できなかったのかと、悔やまれる。いや、もっと言えば、ハンセン病者にたいする「隔離政策」がなければこうはならなかったはず、という思いを抑えることはできない。
著者
和田 佐和子 鷲田 孝保 山﨑 郁子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.32-43, 2007-02-15

要旨:単一事例研究法条件交代デザイン(ATD)はべ一スラインと交代操作介入期をもち,複数の介入の効果を比較することができる.しかし,本研究では倫理的配慮からべ一スラインを設定できなかった.そこで,べ一スラインを設定しないオリジナルデザイン「ATD-W介入型」を提案した.デイケアに通所する重度認知症高齢者のSさん(89歳女性)を対象に,当デイケア活動における従来の介入(レクリエーション)と新しい介入(音楽活動)に対する身体活動や表情の変化について比較したところ,Sさんの場合は音楽活動の方が身体活動を引き出すことができた.2つの介入の効果を比較し,「ATD-W介入型」の臨床的有用性について考察する.
著者
松下 景 山口 誠之 三浦 清之 笹原 英樹 重宗 明子 長岡 一朗 後藤 明俊
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 中央農業研究センター = Bulletin of the NARO, Agricultural Research for Central Region (ISSN:24328057)
巻号頁・発行日
no.3, pp.11-21, 2018-03-20

「あみちゃんまい」は「コシヒカリ」より早生で 日本型の高アミロース品種の育成を目的として「新潟79号(後の「こしのめんじまん」)」を母とし,「北陸191号」を父とする人工交配の後代から育成され,2013 年に品種登録出願された.「あみちゃんまい」は「あきたこまち」と比較し,出穂期,成熟期 は 1~2 日遅く,「コシヒカリ」よりも 1 週間以上早い収穫が可能である.その早晩性から,「あみちゃんまい」の栽培適地は東北南部以南である.稈長, 穂長は「あきたこまち」並で,穂数はより少ない. 精玄米重は「あきたこまち」並である.玄米千粒重は 22g 程度で,「あきたこまち」より 1g 程度軽く, 粒形は「あきたこまち」と同じ" 長円形" である.「あみちゃんまい」の精玄米重は「あきたこまち」並である.玄米外観品質は白未熟粒が多く「あきたこまち」より劣る.「あみちゃんまい」の炊飯米の食味は「トヨニシキ」よりも劣る.アミロース含有率が30%程度で,「ひとめぼれ」より14ポイントほど高いことから,「あみちゃんまい」は高い製麺適性をもつ.「あみちゃんまい」の葉いもち圃場抵抗性は" 中",穂いもち圃場抵抗性は" やや強" である. 白葉枯病抵抗性は" やや弱",縞葉枯病には" 罹病性",耐倒伏性は" やや強",障害型耐冷性は" 弱",穂発芽性は" 中" である.To increase rice noodle production, rice cultivars with high amylose content and a heading trait that differs from that of 'Koshihikari' are desirable. We developed an early maturing rice cultivar with high amylose content, which we named 'Amichanmai', from a cross between 'Niigata 79' (Koshinomenjiman), which produces slender grains with high amylose content, and a high-yielding line, 'Hokuriku 191'. In 2013, we applied to have this new cultivar officially registered by the Ministry of Agriculture, Forestry and Fishery. The heading and maturity dates of 'Amichanmai' are1 or 2 days later than those of 'Akitakomachi', and 'Amichanmai' rice can be harvested at least 1 week earlier than 'Koshihikari' rice. Moreover, 'Amichanmai' plants can grow in the southern region of Tohoku as well as the southern and western areas. A comparisonbetween 'Amichanmai' and 'Akitakomachi' plants revealed similar culm and panicle lengths, but fewer 'Amichanmai' panicles. The 'Amichanmai' 1000-grain weight is almost 22 g, which is approximately 1 g less than that of 'Akitakomachi', but there are no major differences in grain yields. Additionally, the semi- round 'Amichanmai' rice grain varies from the shape of the parent 'Niigata 79' grain, but is the same as the shape of the dominant Japanese cultivars. However, the appearance of 'Amichanmai' grains is considered inferior to that of 'Akitakomachi' grains. Furthermore, the amylose content of 'Amichanmai' rice is almost 30%, which is 14% higher than that of 'Akitakomachi' rice. Therefore, 'Amichanmai' rice may be suitable for producing rice noodles.
著者
辻田 眸 川原 夕季 塚田 浩二 椎尾 一郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, ユビキタスコンピューティングシステム (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.7, pp.1-6, 2011-05

通信技術の発達により,昔に比べると遠距離間でもコミュニケーションをとりやすくなっている.しかし時差がある場合,相手の時間等を気にする必要があり, コミュニケーションをとることが難しい.そこで,我々は時差を考慮した遠隔コミュニケーション支援システムを提案する.その具体例として "AsyncDecor","CU-Later" について述べる.これらは遠隔地の相手の行動をリアルタイムに伝達するのではなく,時差の分だけずらしてその行動を伝達するシステムである.本稿では AsyncDecor, CU-Later の概要と具体例について述べ,今後の展望について示す.It is easier to communicate with remote partners than ever before since various means of communication become widespread recently. However, remote communication issues for people living in different time zones are still not resolved. In these cases, most people often worry about her/his partner, since they have only limited time to communicate with each other. To address this problem, we propose the two communication system considering time difference - the AsyncDecor system and the CU-Later system which support remote communication of partners considering the time difference between two locations. AsyncDecor and CU-Later can transmit an activity of a user to her/his partner who lived in another time zone after several hours (decided by the time difference) the original activity occurred.. We discuss the design of this system and future prospects.
著者
浅沼 裕治 中京学院大学短期大学部保育科
雑誌
中京学院大学短期大学部研究紀要 = Bulletin of Chukyo Gakuin University Junior College (ISSN:24334898)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.1-13, 2018-03

本稿は、父子家庭の父親の語りにみられる、自身が育てる子どもの性別および発達段階の違いによる家族ケアの困難性を明らかにすることを目的とする。分析方法としては、計量テキスト分析を採用し、語りの内容をKH coder にて解析した。これまでの父子家庭研究においては、父子家庭の「父親―子ども」というカテゴリーにおいての支援が模索され、子どもの性別や発達段階を考慮した支援内容については考察がなされていない。本稿での分析の結果、これらの点について父親が家族ケアを行う際に抱える困難として、顕著に発現するものであることが示唆された。そして、こうした諸点を考慮に入れた支援施策の構築がなされる必要性が提示された。