著者
小山内 崇
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ALCA(先端的低炭素化技術開発) 技術領域
巻号頁・発行日
2013 (Released:2015-09-30)

ラン藻は、遺伝子操作が容易な酸素発生型光合成細菌である。本研究では単細胞性ラン藻Synechocystisを中心に、コハク酸生産技術の開発を行う。コハク酸は、プラスチックなどの汎用化学工業原料として知られ、バイオベースの生産が進められている。コスト抑制には、細胞外への放出が重要であるが、申請者らの先行研究により、特定条件でのコハク酸の細胞外分泌が明らかになった。そこで本提案では、転写制御因子と概日時計遺伝子の改変によって糖異化を促進するという手法で、コハク酸を増加させる。また、メタボローム解析によって、代謝データの集積と代謝産物の相関解析・in silico解析を行い、コハク酸生産に向けた代謝の理解と制御を進める。また、ラン藻培養系の改良、適用ラン藻種の拡大、残渣の有効利用を検討し、低炭素型のコハク酸製造プロセスの開発、及び、幅広い物質生産に応用可能なラン藻細胞工場の構築を目指す。本提案では、炭素の流れを包括的かつ統合的に変える「炭素源供給の量的緩和」という新しい概念での代謝工学を確立するとともに、低炭素化に資する画期的なバイオリファイナリーを構築する。
著者
寺澤 優 (2016) 奈良 優 (2015)
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

戦前日本の都市(東京)性風俗を分析し、当時の風俗管理の社会的意義を考察する本研究は、今年度は当初の予定を多少変更し、前年度の成果のアウトプットとともに、芸妓の実態把握・分析と1930年代に高揚する廃娼論の検討を進めた。芸妓については、先行研究を通読した上で、1930年代までの花街が内部でどのように構成され、いかなる問題を抱えていたのかという分析はいまだなされてこなかった事に着目し、それを解明することに努めた。その結果得られたのは、1920年代までに東京の各花街では内部紛争が頻発しており、死者が出るような抗争がおきていたという事実であった。この内部紛争は関東大震災の復興過程で花街指定地と新規参入業者の増加により同者間競争が激化したこと、そしてそれまでの秩序が乱れはじめたことが主な要因であった。つまり、1930年代の芸妓と花街の衰退はカフェーの台頭以前に、すでに内部で大きな構造的問題を抱えており、単純にカフェーの台頭が性風俗産業界の変化をもたらしたのではなかったと結論付けた。また、研究目的の一つである官憲による管理統制は芸者に関しては、非常に緩い取締しか行われておらず、売買春を黙認しているような状態であったということも明らかになっている。次に廃娼論については、労働運動の傍ら大正期に花街・遊郭遊びを経験しながらも、1930年代には廃娼論者となった村嶋帰之の思想を彼の著作を使って追跡した。遊興を通じて、芸妓がブルジョアジーに独占されていることに対し、憤慨しつつも娼妓買い、芸者遊び止められなかった村嶋が遊興を止めるに至ったのは、自身の病気と「遊興が虚弱体質をつくる」という優生学的見地に触れたことであった。そして、「絶娼論」を唱えるが、1930年代のカフェー女給に関しては融和的な姿勢をとり、部分的支援を行ったことが明らかになった。その成果は研究会等で報告した。
著者
田中 雅一
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、現代日本社会における売買春(セックスワーク)を核とする性産業をグローバル化との関係で考察することを目的とし、性産業に従事する女性に聞き取りをして、顧客との関係には複雑な感情労働が存在することを明らかにした。世界各地の地位向上運動に携わる関係者やイベントに参加して、その実態や国別の相違などを明らかにした。国際ワークショップ「グローバル化するセックスワーク」やSexuality, Trauma and Social Suffering in East Asiaの開催を通じて研究者のネットワークを確立した。また緊縛などの世界普及について調査をし発表した。
著者
大徳 忠史 鶴田 俊
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00370-17-00370, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
20

To improve the coefficient of performance (COP) in air-conditioning systems, the liquid-solid phase change temperature of the cold energy storage material should be approximately 10°C. Tetra-n-butyl ammonium bromide (TBAB) clathrate hydrate possesses the qualities of an efficient cold storage material. TBAB aqueous solutions form a clathrate hydrate at temperatures between 5 and 12°C, depending on the concentration. The temperature region is well suited to air conditioning systems. A 20 wt% TBAB solution has a latent heat of fusion of approximately 220 kJ/kg, and its clathrate hydrate suspension is a slurry with sufficient fluidity. The objective of this study is to examine the dynamic characteristics of the formation of TBAB clathrate hydrate. The schlieren system was used for simultaneous measurement of crystal growth and concentration field in TBAB aqueous solution. Results showed that the concentration diffusion layer of the leading edge of TBAB clathrate hydrate crystal moved with the crystal growth. Based on the measured spread rate and thickness of the diffusion layer, the diffusion coefficient of the TBAB molecule in the vicinity of solid-fluid interface was estimated.
著者
今井 俊介
出版者
兵庫大学
雑誌
兵庫大学論集 (ISSN:13421646)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.27-40, 2008

明治憲法が範としたドイツ・プロイセン型の立憲君主型憲法のもと、行政権優位の国家体制を支えてきた行政行為の公定力理論の推移を追い、それが現行民事・刑事裁判にどのような影響を及ぼしているかを学説・判例を鳥瞰しながら考察した。

1 0 0 0 OA 監獄学校

著者
堺利彦 著
出版者
白揚社
巻号頁・発行日
1926
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],

1 0 0 0 OA 公事吟味留

出版者
巻号頁・発行日
vol.[42] 寺社奉行内寄合手限 六 文政八,

1 0 0 0 OA 館守日記

出版者
巻号頁・発行日
vol.[234],
著者
熊江 隆 荒川 はつ子 鈴川 一宏 石崎 香理 内山 巌雄
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.189-199, 1997-04-01
被引用文献数
2 3

本研究においては慢性疲労の予防を主眼として, 簡便・迅速な肉体疲労度評価法を開発するための基礎的検討をある大学に所属する箱根駅伝の選抜選手を被験者として行った.<BR>インフォームドコンセントを得てから, 夏期合宿の直前の7月から翌年2月までの8ケ月において, 約一ケ月間隔で8回の, 1) 身体的特性; 体重及びインピーダンス法による体脂肪量等, 2) 血清生化学検査; ドライケミストリー法と従来法による6項目の検査, 及び3) 主観的疲労度; 自覚症状しらべとPOMS, の調査を行った.<BR>ドライケミストリー法と従来法による血清生化学検査の結果は非常に良く一致し, ドライケミストリー法を用いても従来法と変わらない検査結果が得られることが明らかとなった.また, 練習量の多い夏期合宿の前後でみると血清酵素活性と主観的疲労度の変化に関連性がみられた.しかし, 全調査期間を通してみると関連性は認められず, 血清酵素活性と主観的疲労度の変化が逆になる傾向を示す被験者の存在が認められた.<BR>これらの本研究の結果より, 持久性の強い運動が慢性的に繰り返されている場合には, 主観的な疲労の調査だけでは肉体的な負荷を見過ごす可能性が考えられ, 肉体的な疲労状態を客観的に推定することが競技成績の向上や運動による障害の防止も含めて重要であろうと思われる.したがって, 微量の血液から簡便で迅速に検査が行え, 結果を調査現場で直ちに被験者や指導者に伝えることができるドライケミストリー法による血清酵素活性の検査は肉体疲労度の評価として有用であると思われ, オーバートレーニング状態への推移を予防する上でも非常に有効であろうと考えられる.