著者
広瀬 茂男 今里 峰久 工藤 良昭 梅谷 陽二
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.10-19, 1985-02-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
被引用文献数
4 11

建物や大型構造物の壁や天井面を動きまわるようなロボットを構成するためには, まず初めにそれを可能にするだけの強力な吸着力を生成し得る信頼性の高い吸着装置を実現しなければならない.本論文は原子炉や船舶などの鋼板上を動くロボットのための磁気吸着ユニットに関するものである.まず初めに従来からある磁気吸着ユニットの比較検討を行い, ついでIBマグネットと呼ぶ磁気吸着ユニットを提案する.これは永久磁石による強力な吸着力を生ずると同時に, 内部力をバネユニットで打ち消す構造を持たせることにより, 容易に脱離を可能にする装置である.本IBマグネットを構成する上で必要となる磁気吸着ユニットの設計手法, さらにそれとバランスする非線形バネユニットの設計手法を論ずる.最後に, 人間がこのIBマグネット装置4台を両手両足に装着し, 鋼板壁面と天井面を歩行する実験を行うことにより, 本装置が移動ロボットの吸着ユニットとして応用可能であることを示した.
著者
榧木 啓人 亘理 龍
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、均一系触媒を用いる二酸化炭素の水素化反応によるメタノール合成法を実現する目的で、二酸化炭素→ギ酸類→メタノールの変換に有効な分子触媒の開発に取り組んだ。アミジン塩基 (DBU)存在下、銅触媒が二酸化炭素の水素化活性を示すことを見いだした。また、DBUとヨウ化銅から得られる新規錯体が触媒活性を示したことから、DBUはギ酸を捕捉する塩基かつ銅触媒の配位子として機能していることが判明した。さらにPNPピンサー型ルテニウム錯体による二酸化炭素の水素化反応がアミンポリマー上で進行することを見いだした。アミンポリマーのホルミル化と続く水素化を経て、直接メタノールを合成することに成功した。
著者
沢田 善太郎
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.3, pp.3-18, 2002

「あれが結婚に結びつくのであれば、ギーヴなど一年に五百回ぐらいは結婚式をあげねばなるまいよ」「例が極端すぎるのではないか」「例というものは極端なほうがわかりやすいからな」 ー田中芳樹『アルスラーン戦記』 日常生活で,わたしたちは極端な事例にもとづいてものごとを論じたり,事態を評価することがある。本稿ではこのような極端値が介在する社会過程のモデルづくりをこころみる。前半では極端値をあつかう統計学である順序統計の基礎を紹介する。後半では,マス・メディアの過剰報道の問題や「決定後の失望」の問題を話題にして,順序統計の社会分析への応用を論じる。 In our everyday life, we sometimes think and evaluate matters on the basis of their extreme cases. The purpose of this paper is to construct models of social processes which are involved with such extremes. In the first half of this paper,we will introduce a grounding of order statisticis, which is a statistics to treat the distributions of the extreme values. Then, in the latter half,we will discuss the applicabilities of the order statistics to the socal analyses. The main topics and key words of this part are "excessive reports of mass media","a paradox of sampling","a model of social monitoring", and"post-decision disappointments".
著者
西田 幾多郎
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.1916, no.3, pp.11-14, 1916
著者
Yong Kwan KIM Seong-In LIM Jae-Jo KIM Yoon-Young CHO Jae-Young SONG In-Soo CHO Bang-Hun HYUN Sung-Hyun CHOI Seung-Hoe KIM Eun-Hye PARK Dong-Jun AN
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.14-0519, (Released:2015-07-16)
被引用文献数
3 6

Classical swine fever (CSF) is a highly contagious systemic hemorrhagic viral disease of pigs. Wild boar plays a crucial role in the epidemiology of CSF. Between 2010 and 2014, samples were collected nationwide from 6,654 wild boars hunted in South Korea. Anti-CSF antibodies were identified in 0.59% (39 of 6,654) of the wild boar samples using a virus neutralization test and were primarily detected in wild boars living close to the demilitarized zone and the area of the Taebaek Mountains surroundings. The CSF virus (subgroup 2.1b) was isolated from two wild boars captured in a nearby border area. The criteria used to define high-risk areas for targeted CSF surveillance in South Korea should be further expanded to include other regions nationwide.
著者
上土井 貴子
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

現代社会において子供たちは幼少時期から、様々な環境ストレスにさらされている。そのなかでも適切でない光環境に影響された子供たちは、睡眠覚醒リズムが乱れ始め、自律神経症状や不定愁訴が出現するようになり日々の疲労が回復することなく新たな疲労状態が蓄積していき、最終的には精神状態の疲労までも引き起こす小児慢性疲労症候群になっていく危険性がある。しかしながら、小児慢性疲労症候群の根本的な治療はまだ確立されておらず、社会生活への復帰がかなり遅れてしまう。このことは患者自身の不利益になるのみならず、日本社会の医療費増加、将来的な生産性の低下などの問題を含むと予想される。そのため、私たちは根本的な小児慢性疲労症候群の患者に対しての治療法の確立のため、生体リズムを司る時計遺伝子に注目し、ヒトの時計関連遺伝子の発現に影響が大きいと考えられる高照度光療法を用い、生体リズムを改善させ、時計遺伝子の発現量の周期パターンを評価した。対象としたのは熊本大学医学部付属病院を受診し、小児慢性疲労症候群と診断された患者30人の時計遺伝子を経時的に測定し、ヒトにおけるmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィールを得て、健常人と比較検討し、結果リズム異常が有意的に認められた。次に高照度光療法施行し治療の前後での時計遺伝子の発現パターン評価した。結果、臨床症状の改善とともにリズム回復を認める事ができた。このことは、小児型慢性疲労症候群の患者にとってmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィ一ルのリズム異常は発症因子として考えられる事が示唆された。さらに今年度は高照度光療法の有効群と無効群との比較を行い、時計遺伝子の改善の有無の有意的に認め、小児慢性疲労症候群の患者において血清日内メラトニン、コルチゾールの変動測定、深部体温測定などの他の生体パラメーターの中で時計遺伝子発現改善が有意な治療効果指標になる事が認められた。
著者
深田 俊明
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.513-518, 2018-09-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
13
著者
安江 明夫
出版者
学習院大学
雑誌
研究年報 (ISSN:04331117)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.105-140, 2010
著者
洲鎌 秀永 柿沼 由彦 竹之内 敬人 橋本 款 Conti Bruno
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

申請者はパーキンソン病発症における慢性ストレスの影響を調べる事を目的として、ラット(Wistar rat)を用いて慢性ストレスの影響を検討した。今回、慢性ストレス(1日8時間、5日/週)を継続的に負荷すると、数週間で黒質、青斑核、腹側被蓋野の神経細胞数の脱落が生じるという事を明らかにした。又、同部位において、活性化したミクログリアが検出された。更に、活性酸素関連のニトロチロシンも同様に上昇を示した。以上より、慢性ストレス下では活性化したミクログリアから活性酸素が過剰産生されて神経細胞に障害を与えている事が示唆された。