著者
吉岡 昌美 本那 智昭 福井 誠 横山 正明 田部 慎一 玉谷 香奈子 横山 希実 増田 かなめ 日野出 大輔 中村 亮
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.552-558, 2005-10-30
参考文献数
15
被引用文献数
2

徳島県の山間部に位置するK村では, 平成5年度より村内の保育園, 幼稚園, 小中学校において週5回のフッ化物洗口と年度2回の歯科健康診断を実施している.本研究では, フッ化物洗口を開始してからの児童生徒のう蝕有病状況の経年的変化をまとめ, 特に, 小学校6年生での歯群別のう蝕有病状況について詳しく調べた.さらには, 小学校1年生での乳歯う蝕の状況, 歯の萌出状況と6年生での永久歯う蝕経験との間の関連性について調べた.以上の結果, フッ化物洗口開始後のう蝕有病状況の経年的変化において, 永久歯う蝕は小学校低学年で早期に減少傾向が現れ, 次いで高学年, 中学生へと移行していることがわかった.小学校6年生での歯群別のう蝕有病状況から, 第一大臼歯のう蝕有病率が大幅に抑制されたことが, 全体のう歯数低下につながっていることが示唆された.一方, フッ化物洗口開始後も小学校1年生での乳歯未処置う歯の本数や乳歯の現在歯数が小学校6年生でのDMFTと有意に関連することがわかった.このことは, 就学前からのフッ化物洗口は第一大臼歯のう蝕罹患を抑制するのに効果的なう蝕予防施策であるが, さらに永久歯う蝕の抑制効果を期待するためには, 乳歯う蝕を指標としたう蝕リスクの高い幼児への介入が必要であることが示唆された.
著者
吉岡 昌美 中村 亮 本那 智昭 福井 誠 横山 正明 田部 慎一 玉谷 香奈子 横山 希実 増田 かなめ 日野出 大輔
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.552-558, 2005
参考文献数
15
被引用文献数
2

徳島県の山間部に位置するK村では, 平成5年度より村内の保育園, 幼稚園, 小中学校において週5回のフッ化物洗口と年度2回の歯科健康診断を実施している.本研究では, フッ化物洗口を開始してからの児童生徒のう蝕有病状況の経年的変化をまとめ, 特に, 小学校6年生での歯群別のう蝕有病状況について詳しく調べた.さらには, 小学校1年生での乳歯う蝕の状況, 歯の萌出状況と6年生での永久歯う蝕経験との間の関連性について調べた.以上の結果, フッ化物洗口開始後のう蝕有病状況の経年的変化において, 永久歯う蝕は小学校低学年で早期に減少傾向が現れ, 次いで高学年, 中学生へと移行していることがわかった.小学校6年生での歯群別のう蝕有病状況から, 第一大臼歯のう蝕有病率が大幅に抑制されたことが, 全体のう歯数低下につながっていることが示唆された.一方, フッ化物洗口開始後も小学校1年生での乳歯未処置う歯の本数や乳歯の現在歯数が小学校6年生でのDMFTと有意に関連することがわかった.このことは, 就学前からのフッ化物洗口は第一大臼歯のう蝕罹患を抑制するのに効果的なう蝕予防施策であるが, さらに永久歯う蝕の抑制効果を期待するためには, 乳歯う蝕を指標としたう蝕リスクの高い幼児への介入が必要であることが示唆された.
著者
吉原 俊博
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.31-35, 2012-03-25 (Released:2015-03-15)
参考文献数
3

本稿では,エビデンスに基づく診療ガイドライン作成の背景とその作成手順について説明する。本稿の要旨を以下に示す。1 .Medical information network distribution service(Minds)には2011 年10 月現在,8 つの歯科に関係するガイドラインが公開されている。2 .Cochrane Review には2011 年10 月現在,93 の歯科に関するレビューが公開されている。3 .診療ガイドラインの作成において,文献検索とその選択が重要になるが,エビデンスレベルの高い文献を得ることは非常に難しく,その結果,推奨グレードを強くすることが困難になる。4 .「症状はないが,齲蝕を完全に除去すると露髄する可能性のある深部齲蝕を有する歯に対する有効な治療法は?」というクリニカル・クエスチョンを設定した場合,米国小児歯科学会診療ガイドラインでは「Guideline on pulp therapy for primary and young permanent teeth」というガイドラインが得られる。Cochrane Review では「Complete or ultraconservative removal of decayed tissue in unfilled teeth」というガイドラインが得られる。

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著者
東京割烹講習会 編
出版者
東京割烹講習会
巻号頁・発行日
1921
著者
古田 榮作
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.(25-76), 2012

前稿を受けて、『ダンマパダ』を"Legends of Buddhist"に拠りながら考察した。本稿では、中村元氏の著作から東洋の文化とその思惟方法を概観し、日本における読誦経典が依然として漢訳経典に拠っていることの呪術性を看過することができず、明治以降の西洋社会との交流で生まれた、インドでの経典に依拠すべきである。 『スッタニパータ』([P]Suttanipata『ブッダのことば』)『ウダーナヴァルガ』([P][S]Udanavarga『感興のことば』)は、『ダンマパダ』とともに小部に含まれる最古層の仏説に含まれるが、漢訳はなされず、『ダンマパダ』とは異なっている。 本稿では、『ダンマパダ』の「地獄の章」に関連の深いデーヴァダッタ、アジャータシャトルに関連のある若干の偈頌を取り上げ、アジャータシャトルとの関連で、『觀無量壽經』『阿彌陀經』に言及し、またアジャータシャトルの心的苦悩を現わす「阿闍世コンプレックス」にも言及した。結語として南伝経典の長部経典の「シンガーラへの教え」の家庭教育、夫婦の誓約に、自立と、家庭の存続を位置づけた。
著者
北岡 良雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.561-565, 1995-08-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
市川 創作 黒岩 崇
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.5, pp.681-686, 2008 (Released:2008-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

A vesicle is a compartment composed of lipid bilayer of amphiphilic molecules. The vesicle is applied to carriers of drugs, cosmetics and functional food ingredients in industries. Vesicles are also applied as a model for artificial cell membrane and expected as micro- and nano-reactors. They are generally prepared by the hydration of dry lipid film, but there is no method to prepare vesicles of a controlled size and high entrapment yield of hydrophilic materials inside them. In this article, a microchannel (MC) emulsification method was applied to prepare vesicles aimed at controlling the size and improving the entrapment yield. Firstly, monodisperse water-in-oil (W/O) emulsions were prepared by the MC emulsification method. In this process, hydrophilic materials to be entrapped were contained inside the water droplets of the emulsions. Keeping the water droplets frozen, the emulsifier was replaced by a bilayer-forming lipid mixture, and then the oil phase was evaporated. After hydration of lipid layers surrounding the water droplets, vesicles were formed. We call this preparation “lipid-coated ice droplet hydration method”. The final sizes of the prepared vesicles were comparable to the original emulsion droplet sizes. This means that the size of vesicles can be controlled by controlling the size of original water droplets of the W/O emulsions. Furthermore, calcein as a hydrophilic fluorescent marker and biopolymers, such as enzyme and polysaccharide, were entrapped into the internal water phases of vesicles. The method proposed in this study enables the formation of vesicles with a controlled size and high entrapment yields, potentially useful for expanding the application fields of vesicles as biocompatible carriers and micro- and nano-reactors for biochemical reactions.
著者
川村 賢二
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.109-129, 2009

第四紀後期の古気候研究において,氷床コアは重要な役割を果たしてきた.特に,南極やグリーンランドで深層掘削された氷床コアからは,温室効果気体の濃度が氷期—間氷期の気候変動を強める方向に変動したことや,氷期の間には急激な気候変動が幾度も起こっていたことを明らかにしてきた.日本が独自に掘削したドームふじ氷床コアからは,気泡の酸素濃度(O<SUB>2</SUB>/N<SUB>2</SUB>)が現地の夏期日射量を物理的メカニズムにより記録していることを用いて,そのオービタルチューニングにより,過去34万年間にわたる年代決定の精度を2,000年程度へと飛躍的に高めることに成功した.この年代は,地球軌道要素からの強制力に対する,グローバルな環境変化のタイミングの把握と,メカニズムの理解に向けた有力な手がかりを与える.ここでは,南極氷床コアから氷期—間氷期変動のメカニズムを考察するために必要となる,気候変動とCO<SUB>2</SUB>変動との関係や,南極の気候変動と他地域の変動との関係,時間スケールの異なる変動間の関連など,筆者がNatureに掲載した論文では省略せざるを得なかった多くの点を含めて解説する.異なる時間・空間スケールの変動を総合的・有機的に捉えることで,南極の気候変動のタイミングが10万年周期の氷期—間氷期サイクルに関するミランコビッチ理論と整合的であることを示す.今後は,第2期ドームふじ氷床コアにより,正確な年代をさらに延ばしていくことと,間氷期前後の詳細な解析が重要になる.
著者
大久 真幸 相田 美砂子 山高 博
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.47-47, 2003

ハロゲン化アルキルの置換反応にはアルキル基の種類によってS<SUB>N</SUB>2反応とS<SUB>N</SUB>1反応の異なる二つの反応機構がある。本研究ではこの反応機構の違いの要因を量子化学的観点から明らかにする。計算対象はCl-CR<SUB>3</SUB>(R=H or CH<SUB>3</SUB>)のハロゲン交換反応である。 まず気相中での非経験的分子軌道法計算を行い、反応の進行に伴うオービタルの変化がメチル置換基数の違いによって異なることを見出した。次にQM/MM法を用いて水溶液中における自由エネルギー変化の計算を行った。塩化メチルのハロゲン交換反応は水溶液中においてもS<SUB>N</SUB>2型で進行し、活性化エネルギーは気相中に比べて高いという計算結果が得られた。
著者
佐井 峰史 田中 秀岳 柳 和久
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.227-228, 2014

傾斜プラネタリ加工とは,工具を傾斜させて偏心した後,工具主軸の自転運動と偏心軸による公転運動を合わせて穴あけを行う加工方法である.利点として,通常の穴あけ加工に比べて,ばりや層間剥離が少ない点,切削力が低減されることが挙げられる.先行研究では,CFRPに対して実験計画法により最適加工条件を明らかにした. 本研究では,実験計画法を用いてチタン合金(Ti-6Al-4V)に対する最適加工条件を求める.
著者
藤巻 幸夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.28-32, 2005-07

元伊勢丹のカリスマバイヤー。瀕死の重傷を負っていた創業120年余りの老舗企業、福助を再建した。今年4月、イトーヨーカドーグループ代表の鈴木敏文氏に見込まれて、イトーヨーカ堂の立て直しに乗り出した。おしゃれを追求し続ける熱血漢が、福助再建のポイントと、ヨーカ堂衣料部門の活性化に対する抱負を熱っぽく語った。
著者
陳 剛
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.61-73, 2013

近年、各国の大手小売企業は積極的に海外進出し、小売企業間の競争は世界中で行われている。日本の小売企業の海外進出と関連しては、日本本国で築いた優位性を如何に海外に移転するのかが重要な研究テーマになる。小売企業が海外に移転するのは各小売技術の集合体、いわゆる経営システムである。その際、日本と欧米の小売企業の経営システムには顕著な違いがあるため、日本的小売システムの視点により分析する必要がある。しかし、小売技術の国際化に関する研究において、日本的小売システムの視点による研究はほとんど見受けられないのが現状である。陳(2013a、b)が「日本的小売システム」、「日本的小売システム国際移転モデル」の構築を試みているが、具体的な事例の考察までには至っていない。本論文では、陳(2013b)の「日本的小売システム国際移転モデル」の改良版をツールにし、成都イトーヨーカドーにおける小売システムの国際移転状況を考察する。その目的は、日本的小売システムの国際移転状況を体系的に測定することによって、日本的小売システムの構成要素のどの部分が移転され、どの部分が調整されているのか、海外の異なる経営環境で順調に機能しているのかを明らかにするためである。成都イトーヨーカドーにおける日本的小売システムの移転状況を考察した結果、以下のようなことを明らかにすることができた。「完全移転」、「部分移転」に属する項目がそれぞれ半分ずつで、なお「部分移転」の12個の項目は受動的な部分移転と、能動的な部分移転に分けることができる。それは、現地環境が障害として作用した項目とイトーヨーカドーが戦略的に移転を部分的に行った項目があることを意味している。受動的な部分移転はシステムにマイナスの影響をもたらし、能動的な部分移転はそれを補完している。これらのことから、日本の小売企業が海外に進出する際に、「完全移転」に属する各項目を徹底的に実行すると同時に、障害になっている「部分移転」に属する各項目の調整および教育制度の完備に注意する必要があるという示唆が得られる。本論で用いた「日本的小売システム国際移転モデル」の特徴は、親会社にみられる小売システムの諸要素が現地子会社にどの程度持ち込まれているかを体系的に明らかにしたところである。今後、研究の深化につれて、フレームワークの完善や評価基準の修正などの課題が残されている。
著者
大野 備美 納口 るり子
出版者
全国農業構造改善協会
雑誌
農業経営研究 (ISSN:03888541)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.79-84, 2013

企業による農業参入数は年々増加している。図1は,農地リース方式により参入している一般法人数(累積)の推移である。2003年の構造改革特別区域法において貸借が始まってから順次増加傾向にあるが,2009年の農地法改正により,貸借できる農地の限定がなくなったため,急速に参入が増加している。図2で,農地リース方式を利用して参入している法人を業務形態別に見ると,食品関連企業が中心を占めている。室屋によれば,食品関連企業の中でも,2003年に阪急百貨店,2008年にイトーヨーカドーと東急ストア,2009年にイオンと,大手小売が続々と農業に参入している。このように存在感の増している小売業の農業参入事例はマスコミでも大きく取り上げられている。なかでも小売り最大手であるイオンやイトーヨーカドーの事例は,小売業の農業参入における先進事例として多くの論文に取り上げられている。既往研究では,イトーヨーカドーの法人形態や生産・販売体系を明らかにしたものとして仲野,山本,渡邊,両社の参入形態を明らかにしたものとして山本,両社の事例を参入形態別に分類したものとして渋谷が挙げられる。これらの研究では,両社がどのような形態で参入しているかが明らかにされており,両社の参入形態には大きな違いがあることが指摘されている。しかし,この参入形態がどのような参入目的に基づいて選択されたのか,さらには参入目的に照らして参入形態をどう評価すべきかという点について,比較分析を行った文献はない。そこで本論文では,これらの既往研究をもとに,両社の参入形態が異なる理由に着目する。そして参入目的と参入形態との関係性を明らかにし,両社の参入形態が農業参入目的に即したものであるか一定の評価を加えること目的とする。
著者
大久保 千代次
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.532-539, 2015-12

日本人を含め世界中の人々が,電波利用の恩恵を受けており,電波の恩恵を受けないで現代生活を営むことは無理である.しかし,恩恵を受けながらも,電磁界の健康影響を懸念する人々がいるのも事実である.電磁界ばく露と生体との相互作用は,周波数が100kHz以上の電波領域では熱作用が主となる.電波ばく露防護の国際的なガイドラインを作成している国際非電離放射線防護委員会は,熱作用を基に低減係数(安全係数)考慮した上でばく露の制限値を設定している.したがって,ガイドライン値以下のばく露環境では国民は十分に防護されていると言える.しかし,国際的ガイドラインの制限値を大幅に下回るばく露レベルでも健康影響をもたらすとの学術論文も発表されている.その科学的信憑性はともあれ,論文内容がメディア等を介して不正確に国民に情報伝達されるため,国民に漠然とした不安を抱かせる要因のひとつとなっている.その上,電波の存在やその強弱を感覚器で感知するのは困難であり,得体の知れない存在でもある.この傾向は世界各国共通であり,日本固有の問題ではない.WHOは電磁界ばく露の健康リスク評価を目的として,1996年に国際電磁界プロジェクトを発足させ現在も継続中である.健康リスク評価対象となる周波数は0-300GHzで,広範囲に亘る.健康リスク評価の結果は,環境保健クライテリアとして2006年に静電磁界,2007年に100kHzまでの超低周波電磁界を対象として順次出版されてきた.本稿では,電磁界と生体の相互作用,WHO国際電磁界プロジェクト概要と現在実施中の100kHz以上300GHzまでの無線周波電磁界(電波)の健康リスク評価と環境保健クライテリア作成の進捗状況を紹介する.