著者
志田 正訓 野添 生 磯﨑 哲夫
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.133-142, 2019-07-31 (Released:2019-08-29)
参考文献数
33
被引用文献数
2 3

本研究では,わが国の小学校理科カリキュラムに,新しい科学観を学習内容とする「科学の本質」を取り入れる際の具体的な手立てや示唆について明らかにすることを目的とした。まず,イギリスの先行研究から,「科学の本質」に関する検討を行い,本研究における「科学の本質」の概念を規定した。次に,その概念を踏まえ,イギリスのナショナル・カリキュラム科学に「科学の本質」が具体的にどのように取り入れられているのかを分析した。最後に,わが国の理科教育が抱える問題を踏まえ,「科学の本質」を導入するための具体的な手立てについて論究した。分析の結果,わが国の小学校理科に対して以下のような提案ができた。①西洋諸国とは異なる文脈を有するわが国の理科教育の性格を熟慮した上で,「科学の本質」に関する概念領域を明確に規定・分類し,カリキュラム編成においては,それらの異なる領域に合わせながら,記述の仕方に違いをもたせる必要があること。②わが国の小学生でも理解可能な科学者の業績を取り扱うといった科学史の視座に基づく新たな授業方略を導入することにより,「科学の本質」,とりわけ,社会的な営為としての科学(科学と社会との関係や科学・技術が発展してきた経緯)について,より深く学ぶことが期待できること。
著者
新井 剛 上野 智永 梶屋 貴史 石川 朝之 武田 邦彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.380-386, 2007 (Released:2007-10-01)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

ポリアミド 66(PA66)に塩化第二銅・二水和物を微量添加して,耐熱性の変化を観測するとともに高分子構造についての研究を行った.その結果,銅を 35 ppm 以上添加すると熱安定性に変化が見られたが,濃度と安定性には強い比例関係は見られなかった.分子量は銅を添加しても低下するが,その程度は小さかった.吸水性は銅の添加によって増大した.赤外分光分析と NMR の測定では構造的に変化が見られた.熱を加えることによって主鎖の開裂が見られ,開裂の程度は銅によって抑制される.銅が親水性基を有する PA66 中に均一に分散したとして,銅 1 原子が占有する体積に銅原子が半分拡散する時間が 2~200 μs 程度と短いことによる,アミド結合周辺の安定化効果と高分子鎖全体に及ぼす立体構造の変化が原因の一つになっていると考えられる.
著者
坂本 勇斗 白土 大成 牧迫 飛雄馬
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-52, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
32

【目的】任天堂WiiⓇ(以下,WiiⓇ)は活用の用途が拡大しリハビリテ-ション(以下,リハ)に応用されるが,脳腫瘍患者を対象にした報告は限られている.今回,脳腫瘍患者に対するWiiⓇリハの有効性を評価することを目的とした.【方法】PubMed, Cochrane Library,医学中央雑誌の各電子データベースとハンドサーチを用いたスコーピングレビューを行った.対象期間は2006年~2021年,言語は日本語と英語とした.【結果】検索された155件から3件が選択された.WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,身体活動への動機づけ,入院環境からの気晴らしについて有効であることが示唆された.【結論】WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,精神面を改善する可能性が示唆された一方,選択されたのは3件のみで,いずれも研究デザインの側面でWiiⓇリハの有効性を明示するには不十分であった.さらに厳密なデザインの介入研究により効果を検証することが望ましい.
著者
Naoko Takeo Masashi Nakamura Satoshi Nakayama Osamu Okamoto Naoki Sugimoto Shinichi Sugiura Nayu Sato Susumu Harada Masao Yamaguchi Naoya Mitsui Yumiko Kubota Kayoko Suzuki Makoto Terada Akiyo Nagai Junko Sowa-Osako Yutaka Hatano Hiroshi Akiyama Akiko Yagami Sakuhei Fujiwara Kayoko Matsunaga
出版者
Japanese Society of Allergology
雑誌
Allergology International (ISSN:13238930)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.496-505, 2018 (Released:2018-10-18)
参考文献数
48
被引用文献数
33

Background: Cochineal dye is used worldwide as a red coloring in foods, drinks, cosmetics, quasi-drugs, and drugs. The main component of the red color is carminic acid (CA). Carmine is an aluminum- or calcium-chelated product of CA. CA and carmine usually contain contaminating proteins, including a 38-kDa protein thought to be the primary allergen. Severe allergic reactions manifest as anaphylaxis. The aim of this study was to review all Japanese reported cases and propose useful diagnostic chart.Methods: All reported Japanese cases of cochineal dye-induced immediate allergy were reviewed, and newly registered cases were examined by skin prick test (SPT) with cochineal extract (CE) and measurement of CE and carmine-specific serum IgE test. Two-dimensional (2D) western blotting using patient serum was conducted to identify the antigen.Results: Twenty-two Japanese cases have been reported. SPT and the level of specific IgE test indicated that six cases should be newly registered as cochineal dye allergy. All cases were adult females, and all cases except three involved anaphylaxis; 13 cases involved past history of local symptoms associated with cosmetics use. Japanese strawberry juice and fish-meat sausage, and European processed foods (especially macarons made in France) and drinks were recent major sources of allergen. 2D western blotting showed that patient IgE reacted to the 38-kDa protein and other proteins. Serum from healthy controls also weakly reacted with these proteins.Conclusions: SPT with CE and determination of the level of CE and carmine-specific IgE test are useful methods for the diagnosis of cochineal dye allergy.
著者
木村 太祐 西原 賢
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.65-72, 2021-07-31 (Released:2021-08-11)
参考文献数
39
被引用文献数
2 2

[目的]本研究は,各歩行補助具やその有無まで様々な移動形態を有する介護老人保健施設利用者を対象に下肢荷重率(下肢WBR)が歩行補助具の有無・使用状況と関連があるか検証した。[方法]対象者は介護老人保健施設を利用する高齢者68名。移動形態別に,杖なし群・T字杖群・歩行車群の3群に分類した。測定項目は端坐位,立位肢位の下肢WBR,握力,片脚立位,最大10m 歩行,FRT,TUG を測定した。各群の比較検定と下肢WBR に影響を及ぼす因子を検討した。[結果]全ての計測項目は移動形態別各対象群に主効果を認めた。下肢WBR(端坐位)に有意な関連因子として下肢WBR(立位)(β=0.418,p<0.001),握力(β=0.386,p<0.001),下肢WBR(立位)の関連因子として片脚立位(β=0.214,p<0.039),下肢WBR(端坐位)(β=0.526,p<0.001)が抽出された。[結論]下肢荷重率は,歩行補助具を判断する臨床的意思決定の判断材料の有効的な指標の一助になり得る可能性を示唆した。
著者
槇田 諭 万 偉偉
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.316-326, 2018 (Released:2018-07-15)
参考文献数
121
被引用文献数
2 2
著者
Hokuto Nakayama Yasunori Ichihashi Seisuke Kimura
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
Breeding Science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.76-85, 2023 (Released:2023-04-15)
参考文献数
102
被引用文献数
5

Tomato (Solanum lycopersicum L.) is cultivated widely globally. The crop exhibits tremendous morphological variations because of its long breeding history. Apart from the commercial tomato varieties, wild species and heirlooms are grown in certain regions of the world. Since the fruit constitutes the edible part, much of the agronomical research is focused on it. However, recent studies have indicated that leaf morphology influences fruit quality. As leaves are specialized photosynthetic organs and the vascular systems transport the photosynthetic products to sink organs, the architectural characteristics of the leaves have a strong influence on the final fruit quality. Therefore, comprehensive research focusing on both the fruit and leaf morphology is required for further tomato breeding. This review summarizes an overview of knowledge of the basic tomato leaf development, morphological diversification, and molecular mechanisms behind them and emphasizes its importance in breeding. Finally, we discuss how these findings and knowledge can be applied to future tomato breeding.
著者
井澤 信三 霜田 浩信 氏森 英亜
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.111-121, 2007-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究では、自閉性障害生徒における社会的スキルに対する自己モニタリング指導の効果を検討した。対象生徒は、知的障害のある仲間との共同作業活動(木工作業〉を実行し、その活動に必要な社会的スキルが標的とされた。まず、自己モニタリング導入条件では、対象生徒自身が社会的スキルに対する自己モニタリングシートに、「はい(できた場合)」または「いいえ(できなかった場合〉」のどちらかに○をつけるという手続きであった。しかし、社会的スキルの適切な遂行には至らなかった。そこで、次に、社会的スキルに対する自己モニタリングの適切性を高めるためのビデオフィードバックを含んだ自己モニタリング指導条件を導入した。その結果、正確な自己モニタリング率および適切な社会的スキルの遂行が高まった。自己モニタリング指導の有効性、および社会的スキル遂行および正確な自己モニタジングとの関係について考察が行われた。
著者
Yuta Baba Hirotaka Sakai Nobuyuki Kabasawa Hiroshi Harada
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1891-1895, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
22
被引用文献数
2

Several vaccines have been developed for coronavirus disease 2019 - caused by the severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) - in record time. A few cases of immune thrombocytopenic purpura (ITP) following SARS-CoV-2 vaccination have been reported. We herein report a 90-year-old man who received the Pfizer-BioNTech SARS-CoV-2 vaccine (BNT162b2) and developed severe thrombocytopenia with intracranial hemorrhaging and duodenal bleeding, consistent with vaccine-related ITP. He was successfully treated with intravenous immunoglobulin, prednisolone, and eltrombopag and discharged without cytopenia. Vaccine-related ITP should be suspected in patients presenting with abnormal bleeding or purpura after vaccination.
著者
顔 淑蘭
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.30-42, 2014-06-10 (Released:2019-06-10)

本稿は『支那游記』の夏丏尊(xia mianzun)抄訳「中国遊記」について、これまで参照されてこなかったいくつかの同時代的批評を取りあげ、その中国における受容のされ方について考察したものである。中国人読者が「中国遊記」を読んで示した反応は、批判と共感という相反するものであった。本稿は、この相反する文章のなかに夏丏尊の抄訳が与えた影響を確認した。そのなかから、「中国遊記」の批判に共感する受け止め方を取り上げ、『支那游記』から読み取れる芥川の中国観との間の齟齬を明らかにした。そのような齟齬から、「中国遊記」が目標言語環境の中国で獲得した、西洋化を批判して東方的伝統を擁護する『支那游記』とは異なった、中国伝統批判と西洋化推賞という新たな意味を浮かび上がらせた。
著者
白木 達朗 中村 龍 姥浦 道生 立花 潤三 後藤 尚弘 藤江 幸一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.135-142, 2006-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究は地産地消による環境負荷の変化を評価することを目的とした. キャベツとトマトに着目し, 地産地消によるCO2排出量削減効果を生産と輸送工程を考慮して推計した. その結果, キャベツは年間で12, 000tのCO2排出量を削減する可能性が示唆されたが, トマトは6, 000tに留まった. 生産の時期をずらす旬産旬消の効果を推計した結果, トマトは冬春から夏秋に一人当たり150gの消費量をシフトすることによって13, 000tのCO2削減効果が示唆されたが, キャベツは同程度のCO2削減効果を得るためには2, 000gを夏秋から春ヘシフトしなければならないという結果になった. 農業からのCO2排出量を削減するためには, 産地や季節を考慮した適産適消が有効である.
著者
松島 俊明 金森 克洋 大照 完
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.354-361, 1985-08-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 4

早稲田大学のプロジェクトチームは, 楽譜を読み, 10本の指と両足で電子オルガンを演奏する知能ロボットWABOT-2を開発した.このロボットは, 人間と人工の声で会話することができる.この論文では, 楽譜のデータ構造に基づいた高速の専用ハードウエアによる検出と, 楽譜の知識を利用したアルゴリズムを用いて, 印刷楽譜だけでなく, インスタント・レタリング楽譜も約15秒で認識できる本ロボットの視覚システムについて報告する.印刷楽譜の自動認識については, すでに幾つかの報告があるが, ロボット肩上に設置されたカメラで, 譜面台上に無造作に置かれて湾曲・変形した楽譜を実時間で読み取らなければならないという演奏ロボットの目として十分に使用できるシステムはない.視覚系の出力はロボットの手に直接渡されるため, 演奏不能な不正データの出力は許されない.したがって本システムでは楽曲規則および楽譜のもつ冗長性を利用して, 識別結果の矛盾と不協和音の検査をすると共に, その誤り訂正および補間を行い, 音楽的により正しい認識結果を得ている.3パートからなる童謡程度の市販エレクトーン楽譜1枚について, 処理速度15秒以内, 認識率ほぼ100%の結果を得ており, 実時間演奏ロボットの視覚系としての機能を充分達成することができた.
著者
中筋 直哉
出版者
日本都市社会学会
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.16, pp.29-47, 1998-07-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
38
被引用文献数
1