著者
森田 隼史 池上 敦子 菊地 丞 山口 拓真 中山 利宏 大倉 元宏
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-22, 2011-12

鉄道運賃は,基本的に乗車距離が長くなればなるほど高くなるように設定されているが,同じ距離でも,会社によって,さらには同じ会社内でも地域や路線によって異なる料金が設定されている.さらに,乗車区間によっては割引ルールや特定の運賃が設定されていることなどから,最短経路の運賃が最安になるわけではない.運賃計算では,利用者の乗車経路が明確でない場合,乗車可能経路の中から最も安い運賃となる経路を利用したとみなし,その運賃を採用するルールが設定されている.そのため,与えられた2駅間の正しい運賃を計算するためには,その2駅間の乗車可能経路の運賃を全て,もしくはその1部を列挙して判断する必要があると考えられてきた.これに対し,我々は2008年,複数の鉄道会社を含む鉄道ネットワークにおける最安運賃経路探索用ネットワークFarenetと探索アルゴリズムを提案し,これを利用した自動改札機用運賃計算エンジンの実用にいたった.本論文では,Farenet構築の基盤となった1会社内の運賃計算,具体的には,首都圏エリアで利用可能であるICカード乗車券Suica/PASMOの適用範囲に含まれるJR東日本510駅の全2駅間(129,795組)に対して行った運賃計算について報告する.4つの対キロ運賃表と複数の運賃計算ルールが存在するこの運賃計算において,異なる地域・路線を考慮した部分ネットワークとダイクストラ法を利用することにより,多くの経路を列挙する従来の運賃計算方法において数時間要していた計算を,約1秒で処理することに成功した.論文の最後では,アルゴリズムの効率を示すとともに,対象ネットワークが持つ運賃計算上の特徴についても報告する.
著者
玉井 晃子 大橋 翼
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb1263-Eb1263, 2012

【はじめに、目的】 訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)の実施にあたり転倒予防は最も留意することの一つであるにもかかわらず、時折発生しているのが現状である。これまでにも在宅高齢者、在宅障害者、施設入所者に対し多くの転倒に関する調査が実施されているが、訪問リハを利用している在宅障害者に関しての調査はあまり見受けられず、今後の検討目的で今回当ステーションでの実態調査を行った。【方法】 対象は2009年10月から2010年9月までの1年間に当訪問看護ステーションの訪問リハサービスを利用した177名(男性85名、女性92名 平均年齢男性70.8±11.1歳、女性75.3±13.9歳)利用者の転倒状況の把握は訪問時に利用者本人、家族からの報告を受けること、および担当者側から積極的に転倒の事実がないかを尋ねることで行った。転倒者に関しては各担当者が転倒調査票に基本情報、疾患、歩行自立度(自立、介助、不可)、転倒状況等を記載することで調査を行った。転倒発生率(転倒率)=(調査期間中に転倒した人数/対象者数)×100とした。統計解析は年齢についてはt-検定、男女の比較にはカイ2乗検定を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 調査の処理の際には氏名の特定はせずプライバシーの保護に配慮し実施した。【結果】 1年間で30名(35件)の転倒があり転倒率は16.9%であった。男女別には男性19名(転倒率22.4%)女性11名(転倒率12.0%)転倒者の平均年齢は男性71.0±8.0歳、女性76.2±7.8歳であった。疾患および歩行自立度別には転倒率が20%以上となったものは認知症・介助群100%、失調症・自立群50.0%、パーキンソン病、パーキンソン症候群・自立群50.0%、その他内科疾患等・介助群33.3%、右片まひ・介助群31.0%、右片まひ・自立群29.0%、四肢まひ・介助群29.0%、パーキンソン病、パーキンソン症候群・介助群25.0%、左片まひ・介助群20.0%であった。次に転倒状況に関して、転倒が生じたのは歩行時か否かは歩行時17名(男性12名、女性5名)歩行時以外(起立、移乗時等)17名(男性8名、女性9名)不明1名(男性)であった。すべての転倒は家屋内で生じていた。また転倒は日常よく行っている動作の中で生じたか、めったに行わない予想外の動作を行い生じたのかでは日常的な動きの中で18名(男性8名、女性10名)予想外の動きで16名(男性12名、女性5名)不明1名(男性)であった。転倒者の転倒歴は有りが15名(男性9名、女性6名)無しが15名(男性10名、女性5名)であった。転倒時の受傷に関しては無しが18名(51.4%)内出血・切傷8名(22.9%)痛みの持続7名(20.0%)骨折2名(5.7%)であった。統計学的には年齢、男女別において有意差はみられなかった。【考察】 まず転倒者の男女別に関して、一般の在宅高齢者に関する調査では女性のほうが男性よりも転倒頻度が高いとする報告が多いが今回の調査ではその傾向はなかった。一般に女性の転倒が多い理由として筋力の弱化や立位保持能力の低下が男性に比し大きいといわれているが障害者に関しては男女いずれもそれらが低下していると考えられるため男女差は出なかったのではないかと思われる。また転倒時の状況に関して約半数が日常的ではない予想外の行動をとった時に生じていた。(特に男性にその傾向があった)日常的な動作指導、環境整備に比し、この点に関しての改善策を立てるのはなかなか困難であるが色々な場面を想定し対策を立てていくことが必要かと思われる。転倒の内的要因の原因となる疾患として脳血管障害を始め様々なものがあげられており、在宅障害者はほぼ全例そのいずれかに当てはまる状況であると思われる。今回の調査では特に歩行が介助状態にある認知症者は全例転倒しており筋力等身体的な低下に加え認知面での低下があるとより転倒リスクが高まるものと考える。在宅障害者の年間転倒率は50%以上とする報告がみられるが、今回訪問リハ利用者の転倒率は16.9%であった。調査方法の相違等もあるため単純に比較できないにしても低値を示しているのは訪問という形で実際に生活場面への介入が行えるからではないかと思われる。今後この転倒率をさらに下げるべくアセスメント表の作成や身体機能面、環境整備、動作指導等さらなる検討、また他施設とも共同して調査を行えていければと考える。【理学療法学研究としての意義】 今回の調査結果は転倒に関しての一資料になると思われる。
出版者
长江文艺出版社
巻号頁・発行日
2010
著者
川下 倫央
出版者
九州史学研究会
雑誌
九州史学 (ISSN:04511638)
巻号頁・発行日
no.147, pp.1-39, 2007-09
著者
渡部 有隆
出版者
会津大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

プログラミング学習支援システムにおいて、ピクチャによる表現手法を用いたビジュアルプログラミング言語を対応させることを検討した。研究期間において、本ビジュアルプログラミング言語の拡張、レガシィシステムのサービス指向アーキテクチャに基づく再構築、ハイブリッドビジュアルプログラミング言語開発のためのアーキテクチャの開発を行った。昨今のWEB技術における言語やフレームワークの急速な技術移行等により、研究期間内に安定したサービスの一般公開には至らなかったが、研究成果により、プログラミング教育やソフトウェア開発に応用できる新しいビジュアルプログラミング言語及びその環境の開発がより円滑に行えるようになった。
著者
田向 権 有泉 政博 ベルグシュタイン ナダヴ ロブリア ジョナタン 関根 優年
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.229, pp.1-6, 2010-10-07

本論文では,hardware object modelに基づくnetworked hw/sw complex systemのデザイン例を述べる.提案するデザインフローでは,ハードウェア部はオブジェクトとして扱われる.ソフトウェアのオブジェクトと同様に,ネットワーク上の任意のアプリケーションから,動的な生成・実行・削除が可能である.ハードウェアオブジェクトはFPGA内の仮想回路空間にロードされ,アプリケーションの演算速度を加速する.この実現のために,ハードウェアオブジェクトの遠隔動的再構成,遠隔操作,仮想化技術を提案する.さらに,networked hw/sw complex systemのプラットフォームとして,hwModule FPGA Board series及びSystem Develoment Kitを開発した.動画像コーデックを用いたWEBアプリケーションの実装例を通して本手法の有効性を述べる.hw/sw複合体
著者
トンプソン ワイアット 鈴木 充夫
出版者
北海道農業経済学会
雑誌
北海道農業経済研究 (ISSN:09189742)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.21-40, 1999-09-01

近年のわが国畜産物市場を取り巻く環境は、1980年代半ばからの牛肉価格の下落、1987年以降の飲用乳値の下落等大きく変化してきている。加えて、ガット・ウルグアイランド農業合意は、これらの変化を加速するものと予想される。本稿では、これらの環境変化がわが国畜産物市場に与える影響を分析するための計量経済モデルを開発することを目的としている。このモデルは、トンプソンの開発した畜産・食肉モデルと鈴木が開発した生乳・乳製品モデルをリンクしたものであり、(1)牛肉(和牛、乳用牛)、豚肉、鶏肉及び生乳・乳製品(バター、脱脂粉乳、チーズ)を包括的に含んでいること、(2)生乳・乳製品モデルで、北海道、また、バターと脱脂粉乳の技術的関係を明示的に取り入れた点が従来のこの種のモデルとは異なる。開発したモデルをもとに、牛肉の国際価格、飼料価格、及び所得変化がわが国畜産物市場に与える影響方向を検討した。その結果は以下のとおりである。1.牛肉の国際価格(CIF)が下落すれば、牛肉輸入量の増加をもたらすとともに他の食肉価格の下落を引き起こす。その影響は、乳用牛肉において大きい。これに対し、生乳・乳製品市場へ及ぼす影響は小さい。2.飼料価格の下落は、国内生乳生産を刺激的し飲用向供給量を増加させ、飲用乳価、農家平均生乳価格を引き下げる。北海道から都府県への飲用向供給量が大幅に増加することにより、飲用乳価の下落幅は北海道において大きい。国内の食肉消費量は、ほとんど変化しないが、豚肉、鶏肉生産はわずかに増加する。3.所得の増加は、食肉需要(とりわけ、牛肉需要)と食肉輸入量を増加させるとともに飲用乳価、農家平均生乳価格の上昇を引き起こし、搾乳牛頭数を増加させる。この結果、乳用雌牛と殺頭数が増加し、乳用牛肉価格が下落する。また、所得の増加は、乳製品生産量を刺激する。その影響はチーズにおいて大きい。
著者
Kawahara Ai An Gi-Hong Miyakawa Sachie Sonoda Jun Ezawa Tatsuhiro
出版者
Public Library of Science
雑誌
PLOS ONE (ISSN:19326203)
巻号頁・発行日
vol.11, no.10, pp.e0165035, 2016-08-18
被引用文献数
21

Soil acidity is a major constraint on plant productivity. Arbuscular mycorrhizal (AM) fungi support plant colonization in acidic soil, but soil acidity also constrains fungal growth and diversity. Fungi in extreme environments generally evolve towards specialists, suggesting that AM fungi in acidic soil are acidic-soil specialists. In our previous surveys, however, some AM fungi detected in strongly acidic soils could also be detected in a soil with moderate pH, which raised a hypothesis that the fungi in acidic soils are pH generalists. To test the hypothesis, we conducted a pH-manipulation experiment and also analyzed AM fungal distribution along a pH gradient in the field using a synthesized dataset of the previous and recent surveys. Rhizosphere soils of the generalist plant Miscanthus sinensis were collected both from a neutral soil and an acidic soil, and M. sinensis seedlings were grown at three different pH. For the analysis of field communities, rhizosphere soils of M. sinensis were collected from six field sites across Japan, which covered a soil pH range of 3.0±7.4, and subjected to soil trap culture. AM fungal community compositions were determined based on LSU rDNA sequences. In the pH-manipulation experiment the acidification of medium had a significant impact on the compositions of the community from the neutral soil, but the neutralization of the medium had no effect on those of the community from the acidic soil. Furthermore, the communities in lower -pH soils were subsets of (nested in) those in higher-pH soils. In the field communities a significant nestedness pattern was observed along the pH gradient. These observations suggest that the fungi in strongly acidic soils are pH generalists that occur not only in acidic soil but also in wide ranges of soil pH. Nestedness in AM fungal community along pH gradients may have important implications for plant community resilience and early primary succession after disturbance in acidic soils.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.859, pp.49-52, 1996-09-30

フォードを引き離し,輸入車のトップを走るフォルクスワーゲン。成長の背後には,日本市場のうまみを知った独本社の全面協力がある。アウディ車の専売化で,2000年13万台体制を狙う。今年1月半ば,ようやく夜が明け始めた肌をさす厳しい冷え込みの中で,東京都内にあるホテルの駐車場は熱気であふれかえっていた。
著者
深田 陽子 山口 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1166-1175, 2009-08-01
被引用文献数
4

本研究では,年代別の魅力顔に着目し,年齢相応という条件のもと,魅力度を高める顔画像の操作法の実現を目的とする.顔の見た目の年齢推定には,各年代を代表する典型的な顔をサポートベクターマシンによって学習させ,年齢判別ベクトルを求めた.この年齢判別ベクトルに各顔の特徴ベクトルを投影し,年齢推定の判断基準として用いた.顔の魅力解析には,性別や年代といった要素とは独立して,魅力的/非魅力的と感じさせる要素があるものと仮定し,主成分分析を用いて魅力的な顔と非魅力的な顔の性質を解析した.以上を踏まえた上で,入力画像に対して見た目の年齢を保ったまま顔の魅力を増減するために,入力画像の年代を推定し,その年代における魅力顔に近づける操作法を示す.