著者
芦田 美輪 藏岡 愛 西村 香織 芦塚 文美 牛島 信雄 本間 喜蔵 西本 勝太郎 岩田 貴子 竹中 基 佐藤 伸一
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.43-47, 2010-02-01
被引用文献数
1

15歳(中学生),地元相撲クラブの男子。体幹,四肢の鱗屑を伴う紅斑と左側頭部のBlackdot ringwormにて2007年3月に当科を受診した。<I>Trichophyton tonsurans</I>(<I>T. tonsurans</I>)を分離し,塩酸テルビナフィンの3ヵ月間内服にて治癒した。高校の相撲部に入部後も再発を繰り返し,その都度治療により治癒した。再発のたびに頭髪のhair brush法にてコロニー数を確認した。部内における皮膚の症状を認める部員は,試合や遠征合宿の後に増加する傾向にあった。アンケートによる調査で,顧問教官の指導がなく,<I>T. tonsurans</I>感染症の認識に乏しいことが分かり,再発を繰り返す原因として無症候性キャリアーの存在が考えられた。小・中学生の相撲クラブとの交流もあり,さらなる感染の拡大を防止するためにも,継続的な集団検診,指導者への啓発,治療の徹底が重要と考えた。
著者
大日本防空協会∥選
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1940-04
著者
福本 誠二
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.719-724, 2007
被引用文献数
1

FGF23は,FGFファミリー最後のメンバーとして同定された.FGF23の作用過多は低リン血症性疾患を惹起するのに加え,FGF23の作用障害により高リン血症が惹起されることが明らかにされた.またklothoが,FGF23作用の発現に必要であることが示された.これらの成績は,FGF23がホルモンとして作用すること,FGFファミリーのリガントと受容体の関係が,従来知られていた以上に多様で複雑であることを示している.<br>
著者
有川 治男
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.5-44, 2004

本論文は、現在の美術史研究において一般的になっている「ゴッホ=種播く人」という解釈に対して、「耕す人としてのゴッホ」という視点を新たに提示するものである。 画家としてのゴッホを「新しい芸術の種播く人」として捉える見方は、既にゴッホ自身が残した数多くの手紙の中に見られるが、そのようなゴッホ像は、そののちの評論家、研究者たちによって支持され、強化されてきた。本論ではまず、そのような象徴的芸術家像がどのように形成されてきたかを、アルル時代の2点の《種播く人》の作品分析、ゴッホ自身の言葉による検討、そして研究史を辿ることによって、跡付ける。その際、《種播く人》に典型的に表明されたゴッホの「色彩の象徴主義」にも言及し、また、「種播く人」というモティーフが絵画史の中で負ってきた意味合い、とりわけミレーの《種播く人》とそれに関する言説の中で形作られてきた「種播く人」のイメージ全般にも注目する。 そのような前提のうえで、次に、そのような象徴的意味合いを負う《種播く人》に対して、同じくアルル時代に制作された《耕された畑》を例として挙げ、ゴッホの制作にとって重要なもうひとつの側面、すなわち、技法的側面に注目する。ゴッホは、英雄的な身振りをもって画中に堂々と登場する「種播く人」に自らの姿を重ね合わせただけではなく、広大な大地の上、黙々と農作業にいそしむ「耕す人」の小さな姿にも、また、画家としての自らの姿を見ていた。それは、「芸術の種播き」という象徴的身振りにとどまらず、筆によってキャンヴァスに絵具の筋を定着させてゆくという実際の制作行為に対応するものであった。 ゴーギャンに対して提示された、もう1点の《種播く人》や、サン=レミ時代の《耕す人のいる畑》などの検討をも踏まえ、絵具のタッチでカンヴァスに畝を刻み込んでゆくゴッホの「耕す人」としての自己表現が、また、当時の前衛美術の有力な担い手としてゴッホが強く意識していたゴーギャンやスーラに対する、自己差異化の有力な手段であったことも確認して、本論を閉じる。The creative activities of Vincent van Gogh have becn ordinarily interpreted in symbolic terms as that of"the sower","the sower of the new spiritual art". The artist himsclf was aware of his、vocation as such and represented the figure of the sower as the disguised selfi)ortrait repeatedly in his paintings throughout his life. The author of this article gives attention to anothcr side of the activities of the painter, "Van Gogh, the plowman", and surveys the usage of the motive of the plowman(the peasant working with plow or harrow)in Van Gogh's oeuvre and the reference to the plowman in his letters.When Van Gogh said,"I am plowing on my canvases as thc peasants do on their fields", he meant not only the symbolic role of thc artist, the creator, but also the practical activities of the painter, the worker. He likens the strokes of paint on canvases to the fhrrows op fields. The article also suggests that the image of the artist as the plowman was strategica11y adopted by Van Gogh to differentiate himself丘om othcr avantgarde artists, especially from Paul Gauguin and Georges Seurat.
著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.224, pp.70-95,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信とメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争化下でその王国は崩壊。旧子会社に買収され,140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。
著者
若狹 重克
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.79-86, 2016-03-31

権利擁護は、「権利侵害から守る」という意味で使われることが多かった。しかし、介護保険制度の実施による福祉サービス利用方式の転換により、自己決定を支援し利用者をエンパワメントする積極的な意味を持つようになった。一方で、自己決定やエンパワメントは、ソーシャルワークにおける原則や理念としても重視されている。本研究は、権利擁護をソーシャルワークとして推進する際の基礎となる立場を示すことを目的とする。社会福祉における権利と権利擁護の意味および地域包括支援センターを対象とした調査結果から、ソーシャルワークとしての権利擁護推進の視座を以下のように考察した。1.高齢者や家族等を対象とする直接的な権利擁護実践(ミクロレベル)2.権利擁護支援が必要な者の早期発見・把握に向けたネットワークやシステム構築などの間接的な権利擁護実践(メゾレベル)3.権利擁護支援への強い関心により権利侵害を予防する・無くす社会を目指すソーシャルアクションによる環境変革(メゾ〜マクロレベル)
著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.225, pp.47-66,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中である。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信をメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争下でその王国は崩壊した。旧子会社に買収され140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み,21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。
著者
藤垣 元治 南野 宏紀 村田 頼信
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.421-422, 2013

橋梁や鉄塔などの鋼構造物の内部欠陥の検査を行うために,デジタルホログラフィによるひずみ分布計測システムの開発を行い,小型化のために複数の撮像素子を用いることで入射光を1光束にして光学系を簡略化する手法を提案している.本研究では,その手法を用いた小型計測装置の試作を行う.
著者
村田 雄司
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.436-436, 2005 (Released:2006-03-29)
参考文献数
16
被引用文献数
2 4
著者
田村 幸子
出版者
九州産業大学
雑誌
九州産業大学商經論叢 (ISSN:02867842)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.89-110, 1999-09-30
被引用文献数
1
著者
小川 真人 坪井 康典 杜 隆嗣 林 女久美 丸山 孝樹 三輪 雅彦 黒坂 昌弘 平田 健一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.D4P1185-D4P1185, 2010

【目的】<BR>近年、急性心筋梗塞(AMI)患者の在院日数は短縮傾向にあるが、一方、二次予防を含めた包括的心臓リハビリテーションが重要視されている。AMIの有酸素性運動の処方強度としては嫌気性代謝閾値(AT)レベルが推奨されているが、これは心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いなければ判定出来ない。その一方、運動強度が低すぎると効果が十分でないことが言われている。当院では、安全かつ効率的な心臓リハビリテーションプログラムを作成することが重要であると考え、最終的にはBorg Scale13程度でのトレッドミル歩行30分を退院時運動処方の目標としたAMIプロトコルを平成21年5月より運用開始したので、報告する。<BR><BR>【方法】<BR><B>対象</B><BR>平成21年5月~9月に、AMIを発症後、当院において経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行された24名(年齢 64.0±13.6歳 Peak CPK 1940.3±1373.0 IU/l)。 <BR><B>プロトコル進行基準</B><BR>自覚症状の急性増悪/HR<120bpm/Lown分類:4a以内/2mm以上のST低下(水平型・下降型) 著明なST上昇がないこと/立位保持までは収縮期血圧変動<20mmHg(心タンポナーデリスクが高いと判断された場合には、主治医許可があるまで、血圧コントロールは継続すること)。<BR><B>運動負荷基準</B><BR>自転車エルゴメーターを用い、40~60%体重(BW) Watt×20分から開始。進行基準を満たしていることに加えて、運動処方中のSBPが増加しており、Borg Scale 14未満であれば、処方強度を20%BW Watt/日ずつ、処方時間は30分に増加した。エルゴメーター負荷によって確定した、Borg scale13の心拍数(HR)をトレッドミルでの処方強度とした。<BR><B>検討項目</B><BR>トレッドミル歩行達成率、平均トレッドミル歩行速度、平均処方HR<BR><BR>【説明と同意】<BR>対象者には当院の心臓リハビリテーションプログラムについて医師、理学療法士より説明の上、同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR>トレッドミル歩行達成率は70.8%(17/24例)であった。未達成理由としては、プロトコル進行基準抵触群が12.5%(3/24例)、患者希望の早期退院群が16.6%(4/24例)であった。トレッドミル歩行平均速度4.4±1.3km/h、平均処方HR 101.2±13.3bpmであった。心事故発生件数は0件であった。<BR><BR>【考察】<BR>呼気ガス分析装置を用いないトレッドミル歩行導入プロセスを作成した。呼気ガス分析による正確な嫌気性代謝閾値の判定が出来なかったが、心事故を起こすことなく、プロトコル運用が可能であった。このことは、当院の運動負荷プログラムは呼気ガス分析を用いることが出来ない環境においても十分に実用的に運用し得るものであると考えられる。今後呼気ガス分析を使用し、現在の運動負荷基準や経時的に変化する主観的運動強度について検討、再考することが必要であると考えられる。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>AMIの早期運動処方に際し、心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いず、運動負荷プログラムを実施したが、心事故は発生せず、安全にプログラムを遂行し得た。
著者
小林 悟志
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.51-61, 2008
参考文献数
33
被引用文献数
2

&nbsp;&nbsp;1. 本研究は,南九州の30地域について,葉の表皮組織の違いによる判別をもとに,ツブラジイとスダジイおよび雑種の分布を明らかにすることを目的とした.<BR>&nbsp;&nbsp;2. 従来から行われてきた葉の表皮組織によるシイ類の判別法では,葉の任意の位置で観察されており,スダジイとツブラジイおよび雑種の判別を誤る可能性がある.本研究では,葉の横断面の全体が顕微鏡観察できる位置で観察領域を設定し,葉の表皮組織による判別をより正確なものにした.<BR>&nbsp;&nbsp;3. 南九州におけるシイ類の垂直分布は,海岸部では全標高域にわたってスダジイが卓越していた.一方,内陸部では,比較的標高の低い地域はツブラジイであるが,標高が高くなるにしたがいスダジイの分布する割合が高くなり,山頂や尾根沿いにはスダジイのみが分布していた.<BR>&nbsp;&nbsp;4. 内陸部の久木野では,スダジイは山頂から尾根部に多く,標高が低くなるにつれて個体数が少なくなる傾向が認められた.一方,ツブラジイは調査区域内のより標高の低い地域に多く,標高が高くなるにつれてその個体数が少なくなる傾向が認められた.また,雑種個体は標高の高低によって分布が偏る傾向は認められず,ツブラジイとスダジイの両種が混生している標高域に多く分布していた.<BR>&nbsp;&nbsp;5. 海岸部と内陸部の2地域で行った雑種個体における葉の表皮組織の1層と2層の割合は,周辺に分布するツブラジイとスダジイの分布状況を反映しており,両種の交雑によるF_1形成,ツブラジイまたはスダジイと雑種との戻し交雑,雑種同士の交雑等,分布域によって異なる交雑様式が進行していると考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;6. 堅果の形態は,採集場所ごとに異なっていたが,その形態は葉の表皮組織で判別した両種の母樹の分布状況を反映していた.
著者
種倉 紀昭
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.247-262, 1991-03-01
被引用文献数
4

本学部の特設美術科・美術科学生の絵画基礎実習と絵画所属学生の行なっている絵画専門実習,卒業制作に見られる近年の学生の制作に関わる現代絵画の問題点と課題を論ずることが本論の目的である。それには現代絵画の表現概念と近代美術のそれと関連について,また,前衛美術として現代絵画の特徴について考える必要がある。近代美術の自律性から来る純粋化と非芸術への漸近,ダダイズム以後の前衛美術の反市民芸術志向の二つが現代の絵画様式の多様性と相俟って伝統統的絵画教育の方法との間に現代的アポリアを招いている。最後に,研究専門領域のひとつである絵画組成論や絵画論との関連でこれまで筆者が指導上特に留意してきた事項とその指導法の改善課題について述べた。
著者
高橋 覚二
出版者
日本イスパニヤ学会
雑誌
HISPANICA / HISPÁNICA (ISSN:09107789)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.31, pp.116-130, 1987-12-31 (Released:2010-06-11)
参考文献数
28
被引用文献数
1

En las gramáticas tradicionales los tiempos gramaticales se dividen en tres grupos basados en el tiempo cronológico: pasado, presente y futuro. Pero los rasgos que presentan los tiempos futuros “amarás”, “habrás amado”, “amarías” y “habrías amado” demuestran que éstos no se oponen, como tiempos verbales, a los tiempos presentes y a los pretéritos, sino que son subcategorías, respectivamente, de “amas”, “has amado”, “amabas y amaste”, y “habías amado” del modo indicativo. Los tiempos futuros son tiempos intermedios, con valor de conjetura, entre los tiempos presentes y pretéritos del indicativo y los del subjuntivo qued ándose en el marco del modo aquel. El español tiene dos tiempos: pretérito y presente, y dos aspectos: perfecto e imperfecto. El sistema es cúbido como vemos en el siguiente esquema.
著者
土屋 薫
雑誌
情報と社会 = Communication & society
巻号頁・発行日
vol.18, 2008-03-15

「メディア・ビオトープ」という概念は生態学の隠喩として発想される。分子生物学の知見に基づけば, 一部の不完全な情報からでも必要な情報をつくりだして生命を維持しようとするのが生物であるが, 生物体内の分子レベルで起こるこのような動的平衡をつくりだすことが, メディア・ビオトープの基本的な構築条件だと思われる。これを社会単位で構想するとき, 日常と非日常のバランスモデルである聖―俗―遊の三項図式の中で「遊」概念が注目される。多様なメディア構成と情報から, ゆるやかな情報クラスターが生成され, 情報と人間とがアドホックに出会う場こそがメディア・ビオトープの具体的な姿の一つだとすると, その要件は「潜在性」にあり, アブダクションに至る以前の「共感」段階にこそ, その本質がある, ということができる。これは一種のマッチング・システムであるが, 重要なのは結果ではなく, むしろマッチしなかったときに自己塑性されるセカンド・オピニオンを得るための, 冗長性を保持するしくみづくり, ということができるだろう。