著者
黒澤 努
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.5, pp.741-746, 2008-05-01 (Released:2008-05-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2 2

Systematic modern animal experimentation was established by Bernard Claude who wrote “An Introduction to the Study of Experimental Medicine” in 1865. At this point, the public was already asking that the pain and distress of experimental animals be reduced. For this, scientists, William Russell and Rex Burch in 1959 proposed the principles of alternatives to animal experimentation, the “3Rs”. Since that time, animal welfare advocates have promoted the 3Rs concept in biomedical research communities. However, cruel animal experiments have continued and there are reports of radical extremists showing their opposition by invasion, arson, theft and even bombing of institutions involved, resulting in killing of the animals. SHAC, one extremist group believed to be animal welfare activitists was recognized as a terrorist group after the 9.11 tragedy in USA and the government viewed their activities very seriously. In 2001, British animal extremists invaded Japanese universities and stole laboratory resources; one individual was arrested and sentenced to prison for three years; Japanese who assisted in the incident were arrested and one was sentenced for one year. In 2006, SHAC USA members were prosecuted and sentenced for up to 6 years for their terrorism activities including arson. We need to consider the background of these activities which are financially supported by animal welfare advocates. The way we, as scientists who conduct such experiments can respond is by promoting alternatives to this experimentation. In Japan, the animal welfare law was revised in 2005 stressing the importance of 3Rs in scientific activities with animals. The promotion of 3Rs should be strengthened in the pharmaceutical community.
著者
新井田 恵美 堀毛 一也
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.112-121, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
23

男性は女性よりも短期配偶志向が強いということは良く知られている。しかし,短期配偶には様々なコストがかかるため(たとえば「女ったらし」という評判がたつと,望ましい長期配偶相手を得られなくなるため),全ての男性が常に短期配偶をするわけではない。我々は,そうした評判に対するセンシティビティが高まったときには男性は短期配偶志向を抑えると予測した。この仮説を検討するため実験を実施したところ,評判に対するセンシティビティが低いときには男性の方が女性よりも短期配偶志向が強かったが,評判に対するセンシティビティが高いときにはそうなってはいなかった。ただし,この傾向は交際相手のいる参加者に限ってみられていた。評判が短期配偶志向に及ぼす効果について議論した。
著者
大類 孝
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.458-460, 2013 (Released:2013-09-19)
参考文献数
5
被引用文献数
3 3

肺炎は長らくわが国の疾患別死亡の第4位を占めてきたが,厚生労働省の2011年度の報告によれば,ついに脳血管障害を抜いて第3位になり正に現代病の様相を呈している.また,近年のデータから肺炎で亡くなる方の約95%が65歳以上の高齢者で占められ,肺炎は老人の悪友であるといえる.高齢者の肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であると報告されている.誤嚥性肺炎(広義)は,臨床上Aspiration pneumoniaとAspiration pneumonitisに分けられるが,両者はオーバーラップする事もある.高齢者の肺炎の多くはAspiration pneumoniaであり,その危険因子として最も重要なものは脳血管障害などに併発しやすい不顕性誤嚥である.不顕性誤嚥は,脳血管障害の中でも特に日本人に多い大脳基底核病変を有している人に多く認められる.誤嚥性肺炎の最良の予防法は,脳血管障害ならびに脳変性疾患の適切な予防ならびに治療であるが,他に,降圧剤のACE阻害薬,ドーパミン作動薬のアマンタジン,抗血小板薬のシロスタゾール,漢方薬の半夏厚朴湯,クエン酸モサプリドなどの不顕性誤嚥の予防薬も有効で,これらは肺炎のハイリスク高齢患者において肺炎の予防効果を有する.
巻号頁・発行日
vol.第310號 (昭和22年11月7日), 1947
著者
本柳 亨
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.185-196, 2010 (Released:2020-03-09)

ファストフード・レストランのマクドナルドでは、利用者の無礼な振る舞いと、それを許容する周囲の無関心が共存する奇妙な光景が繰り広げられている。本稿では、場所性を喪失した「非場所」の代表であるマクドナルドにおいて発生する利用者の無礼と、その無礼を許容する「無礼の受け手」の無関心について考察する。 本稿で明らかにするのは、第一に、マクドナルド内では、利用者の抱く信頼の作用が活発化するという点である。利用者が抱く「システム信頼」の対象は、マクドナルドのサービスや店員の行動から、場を共有する他の利用者の行動へと拡大している。信頼の拡大適用が活発化する要因として、「予測可能性」が遍在化するマクドナルドの特徴と、過去の情報を過剰に利用する信頼の脆弱な構造的特徴との共振関係が挙げられる。 本稿で明らかにするのは、第二に、「無害化」という意識がマクドナルドの利用者の聞で発生している点である。マクドナルド内では、信頼の拡大適用を底流として活用しながら、他人の無礼な振る舞いを「予測可能性」に回収する「無害化」という意識が、利用者の中で発生している。 以上のように、利用者の「無害化」という意識が、マクドナルドで発生する無礼に付与された社会的意味を一時的に解除することにより、「無礼の受け手」は己の自尊心を防衛しているのである。
著者
宮本 康 西垣 正男 関岡 裕明 吉田 丈人
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.2116, 2022-04-28 (Released:2022-06-28)
参考文献数
45

歴史的な人間活動の結果、沿岸域と汽水域におけるハビタットの消失が進み、これに基づく生態系機能の劣化が世界的に深刻化した。そして現在、沿岸生態系の保全が国際的に重要な課題になっている。福井県南部に位置する汽水湖沼群の三方五湖もその一例であり、沿岸ハビタットの再生が当水域の自然再生を進める上での大きな課題の一つに挙げられている。 2011年には多様な主体の参加の下、三方五湖自然再生協議会が設立され、 3つのテーマにまたがる 20の自然再生目標に向けて、 6つの部会が自然再生活動を開始した。その中の自然護岸再生部会では、既往の護岸を活かし、湖の生態系機能を向上させることを目的に、 2016年より湖毎に現地調査とワークショップを開始した。そして 2020年には、それらの結果を「久々子湖、水月湖、菅湖、三方湖、及びはす川等の自然護岸再生の手引き」として整理した。さらに、当協議会のシジミのなぎさ部会では、かつて自然のなぎさであった久々子湖の 2地点と水月湖の 1地点で、手引き書を踏まえたなぎさ護岸の再生を 2020 -2021年に実施した。本稿では、三方五湖におけるこれらの自然護岸再生に向けた実践活動を報告する。
著者
上 勝也 田口 聖 仙波 恵美子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0010, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】神経障害性疼痛はアロディニアや痛覚過敏を主症状とし,その治療方法が十分に確立されていない難治性の痛みである。最近,走運動や水泳運動が神経障害性疼痛モデル動物に出現する機械的アロディニアと熱痛覚過敏を軽減することが報告された。しかし運動が神経障害性疼痛を軽減するメカニズムの詳細は不明である。遺伝子発現のエピジェネティクス修飾の一つにヒストンのアセチル化があり,この過程はヒストンアセチル化酵素とヒストン脱アセチル化酵素(HDACs)により制御されている。脊髄後角でのHDACの変化と痛みとの関係が注目されている。例えば神経障害性疼痛モデル動物の脊髄後角へのHDAC阻害薬の注入は,痛覚過敏とアロディニアを軽減することや脊髄後角におけるHDAC1発現の抑制は神経障害性疼痛を緩和することが報告された。これらの結果は,HDACは脊髄において疼痛の発現に関与することを示唆している。本研究の目的は,マウスの脊髄後角においてHDACを発現している細胞タイプを特徴づけ,神経障害性疼痛に対する応答を検討し,PSL後の走運動がHDACに及ぼす影響を明らかにすることである。【方法】実験動物にはC57BL/6Jマウスを使用し,神経障害性疼痛は坐骨神経部分損傷(PSL)により誘導した。マウスの走運動は,中等度強度のトレッドミル走(12m/minの走速度で60分間の走運動)をPSL術前2週間およびPSL術後2日目から6日目までマウスに負荷した。走運動を行なったマウスはPSL術後7日目に潅流固定し脊髄を摘出して分析に供した。対照としてPSLだけを施し走運動を負荷しない「コントロール群」とPSLも走運動も行わない「ナイーブ群」も設けた。機械的アロディニアと熱痛覚過敏の程度は,「von Freyテスト」と「Plantarテスト」により評価した。脊髄後角におけるミクログリア,アストロサイト,HDAC1などの変化は免疫組織染色とそのイメージ分析により観察した。【倫理的配慮,説明と同意】全ての動物実験は和歌山県立医科大学動物実験規程を遵守し,動物の個体数や苦痛は最小限にとどめて行なった。本実験は和歌山県立医科大学動物実験委員会の承認のもとで行った(承認番号:642)【結果】アロディニアの発現に走運動が影響を及ぼすかどうかについてvon Freyテストにより検討した。コントロール群の閾値は低値を維持したが,走運動群ではアロディニアの軽減が観察された。次にナイーブ群,コントロール群,走運動群の脊髄をCD11b抗体で免疫染色し,後角表層に出現したミクログリア数を各群で比較したところ,コントロール群のミクログリア数は有意に増加したが,それらと走運動群のミクログリア数には著しい相違はなかった。PSL7日後の脊髄後角においてHDAC1を発現している細胞タイプを免疫染色により検討した。HDAC1陽性核はCD11b陽性ミクログリアとGFAP陽性アストロサイトに検出されたが,NeuN陽性ニューロンには認められなかった。さらにHDAC1陽性ミクログリアとアストロサイト数は,ナイーブ群と比較してPSLにより有意に増加した。ミクログリアにおけるHDAC1の発現が走運動により影響を受けるかについて見たところ,PSLによって3×104μm2当たり約16個に増加したHDAC1陽性ミクログリア数は,走運動により約7.4個と有意に減少した。【考察】走運動は吻側延髄腹内側部や中脳水道周辺灰白質におけるオピオイド含量を増やしたり,損傷坐骨神経での炎症性サイトカインを減少させることが報告されており,運動による疼痛の軽減にはこれらが重要な役割を演じると考えられている。一方,脊髄後角ミクログリアやアストロサイトで合成・放出された因子も疼痛の発現や維持に重要な役割を担うが,脊髄後角ミクログリアでの変化,とくにエピジェネティクスに関わる因子に着目して運動が疼痛を軽減するメカニズムの解明に取り組んだ研究はこれまでに見られない。本研究は脊髄後角ミクログリアにおけるHDAC1を介したヒストンあるいは標的因子の脱アセチル化は神経障害性疼痛の発現に重要な役割を担うこと,および脊髄後角ミクログリアにおけるHDAC1発現の抑制は中等度強度の走運動がもたらす疼痛軽減効果のメカニズムの一つとなる可能性を示唆した。【理学療法学研究としての意義】薬物に拠らないで疼痛を軽減できる方法のひとつが運動であるが,そのメカニズムの詳細は不明である。本研究は脊髄後角ミクログリアで誘導されるエピジェネティクス修飾の変化に基づき,走運動が神経障害性疼痛を軽減するメカニズムを解明しようとするものであり,理学療法研究として意義深いものである。
著者
増田 玲
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.4-7, 2015 (Released:2016-10-15)
参考文献数
6
被引用文献数
2

2013年に東京で開催された 「アンドレアス・グルスキー」 展は,巨大な作品による洗練された展示空間で注目された. 1990年代に台頭したグルスキーら,ドイツ現代写真は,いわゆるビッグ・ピクチャー時代をもたらしたことで知られる.ビッグ・ピクチャーには,作品を印画表面でアクリルにマウントする 「ディアセック」 がよく使われる.ディアセックを含む大型の写真作品の展示と保存をめぐって美術館が直面する課題について報告する.
著者
敦澤 貴啓 寺下 貴美 敦澤 貴啓 寺下 貴美 敦澤 貴啓 寺下 貴美
出版者
日本航空医療学会
雑誌
日本航空医療学会雑誌 (ISSN:1346129X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.7-13, 2014

ドクターヘリは救急現場での迅速な初期治療と搬送時間の短縮が利点である。北海道では現在、3機が配備されている。ドクターヘリは高額な運用費を必要とし、効果的に導入を検討しなければならない。そこで北海道における最適なドクターヘリ配備数を検討するため、救急搬送のシミュレーションを行い、ドクターヘリを追加導入した場合の搬送時間の変化を比較した。搬送経路は消防署から救急現場、救急現場から一次救急病院を経て二次救急病院までとした。ドクターヘリ搬送はランデブーポイントへ移動し、そこから基地病院への搬送とした。地理情報システムを用いて、仮想の傷病者を地図に配置し、搬送時間を計算した。ドクターヘリの増加と共にヘリ搬送者数は増加し、搬送時間の短縮効果が認められたが、1搬送当たりの時間短縮効果は6機目以降、ほぼ一定になった。本研究では北海道において少なくとも6機のドクターヘリが最適であると考えられた。
著者
浅井 芝樹 岩見 恭子 斉藤 安行 亀谷 辰朗
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.105-128, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
94

2012年に発行された最新の日本鳥類目録改訂第7版で採用された学名と分類について,スズメ目の15科に含まれる154タクサを対象に,日本鳥類目録改訂第6版と世界鳥類リスト(IOCリスト)との相違点に注目して最新の分子系統学の観点から検証した.この結果,第6版と相違があったのは50タクサであり,IOCリストと相違があったのは25タクサであった.第7版は概ね分子系統学的研究を反映しているとみなせたが,マヒワ,ベニヒワ,コベニヒワ,ハシボソガラス,カササギについては分子系統学研究の結果を反映しているとは言えなかった.マヒワ,ベニヒワ,コベニヒワはそれぞれSpinus spinus,Acanthis flammea,Acanthis hornemanniとされるべきである.ハシボソガラスの亜種境界には議論の余地があり,カササギとその近縁種間の分類は再検討の余地がある.ヤマガラ,ベニマシコ,オガサワラマシコについては第7版出版以降の研究によって別の学名が提唱されており,それぞれの属名はSittiparus,Carpodacus,Carpodacusとすることが提唱されている.ヤマガラについては2つの亜種が種として扱われるようになるかもしれない.分類学上の問題ではないが,ニュウナイスズメの学名は先取権の原則からPasser cinnamomeusとされるべきである.モリツバメの学名の正しい綴りについては,国際動物命名規約の不備によって結論が出せないままとなった.日本鳥類目録は,版を重ねる過程でいくつかのタクサをシノニムとして抹消してきたが,その根拠となる研究が十分にされているとは言えず,今後の研究によってまた大きく再編される可能性もある.
著者
澳 昂佑 木村 大輔 松木 明好 井上 純爾 服部 暁穂 中野 英樹 川原 勲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.355-360, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

〔目的〕立位姿勢制御時の感覚統合の異常が改善したことにより,歩行能力が改善した症例を経験したので報告する.〔対象〕対象は脳梗塞発症後1ヵ月経過した70歳代女性とした.本症例は,明らかな麻痺がないにもかかわらず,麻痺側立脚期が短縮し,転倒の危険性を有していた.〔方法〕立位時の各感覚貢献度を算出すると,本症例は感覚情報の重みづけに異常を有していることが明らかとなった.通常の理学療法に加え,セラピストはディジョックボード上で麻痺側片脚立位姿勢をとらせ,足底からの感覚入力を促すトレーニングを行った.介入期間は1ヵ月とした.〔結果〕立位時感覚貢献度指数,歩行左右対称性,10m歩行速度に改善が認められた.〔結語〕今回の再重みづけトレーニングが本症例の立位時の感覚統合に効果があった可能性が示唆された.
著者
長谷川 晶一 志築 文太郎 小坂 崇之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.3-11, 2021-01-15

本稿は,新型コロナウイルスの感染予防対応のため,2月26日に急遽現地開催を中止し,オンライン開催に移行したインタラクション2020の舞台裏とこれにより分かったことを報告する.インタラクションは,情報処理学会のHCI,GN,UBI,EC,DCCの5つの研究会の共催による参加人数600人規模,3日間の国内シンポジウムであり,シングルトラックの登壇発表と200件を越えるインタラクティブ発表(デモ,ポスター発表)を中心としている.2020年は日程は当初どおり3月9日~11日に,現地開催は中止としオンライン開催をほぼ当初の予定どおりのスケジュールで行った.この結果,登壇発表では,質疑応答を含めて例年と大きく変わらずに行うことができ,インタラクティブセッションや懇親会では,様々な課題が見えた.本稿ではオンライン開催の決定からその後の運用と,そこで見えたことを報告する.
著者
武部 匡也 栗林 千聡 荒井 弘和 飯田 麻紗子 上田 紗津貴 竹森 啓子 佐藤 寛
出版者
日本摂食障害学会
雑誌
日本摂食障害学会雑誌 (ISSN:24360139)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-11, 2022-10-05 (Released:2022-10-14)
参考文献数
23

はじめに:大学生アスリートにおける摂食障害の有病率を推定することを目的とした。対象と方法:体育系部活動に所属する大学生442名を対象に,EDDS-DSM-5 version日本語版を用いて有病率を算出した。結果:何らかの摂食障害の診断に該当した者の比率は,全体で7.0%(男性で3.9%,女性で12.3%)となった。競技種目別では,男性が格技系(13.3%),球技系(3.5%),標的系(3.4%)の順で,女性では審美系(17.4%),標的系(14.3%),記録系(10.0%)の順で有病率が高かった。考察:本研究の意義は,本邦における男性アスリートの有病率を明らかにした点,リスクが高い競技種目を明らかにした点にある。結語:本研究は,本邦の大学生アスリートにおいて,男女ともに一定数の摂食障害を抱えている可能性のある者が存在すること,そしてリスクの高い競技種目の特性を踏まえた支援の必要性を示唆した。