著者
小野 文
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要 言語・文化・コミュニケーション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.40, pp.213-228, 2008

はじめに世紀末のソシュール書簡恐怖火星と東洋のトポスまとめに代えて : f の不在
著者
木村 直弘
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

これまでの思想史的研究の成果をふまえ、Energetik的音楽理論が演奏実践へ及ぼした影響と当時の「線的志向」との相関関係にアプローチした。Energetikerの一人クルトの造語である「線的対位法」という術語は、最終的に、ロマン派的和声を克服するものとして「新音楽」あるいは「新即物主義」から重宝され、「線」という語は1920年代のスローガンにまでなったが、注意しなければならないのは、シェンカーら調性音楽に依拠したEnergetikerたちも、この「新即物主義者」の作曲家や演奏家たち同様「線への志向」=対位法的思考重視という結論に至ったことである。実はこうした対立関係は、調性音楽を擁護しシェンカーと逆にそれを否定したシェーンベルクの各々の『和声論』での論争にもみられるが、彼らは結局同根であった。それは、シェーンベルクに傾倒したグールドの演奏美学に、シェンカーの演奏技法論と通ずる点が多いことからもわかる。まさにシェーンベルクの12音技法の目的が結局調性音楽の完全否定ではなくその継承にあったのと同様に、グールドの演奏における対位法的志向は、ゲーテの有機体美学に根ざしたシェンカーに通底する、(シュナーベル経由の)非常に19世紀的な自律的音楽作品観へのオマージュになっている。同様に、「ロマン的解釈」の指揮者として語られることが多くシェンカーに熱心に師事していたフルトヴェングラーの演奏は生演奏で最大限の効果を発揮するので、演奏会を否定し録音した多数のテイクからの継ぎ接ぎをいとわなかったグールドのそれとは、まったく相容れないように思えるが、やはり楽曲の、「構造」に分析的に肉薄するという姿勢は通底しており、それは結局対位法的思考の重視へと必然的に帰結した。シェンカーやクルトの的音楽理論は戦後、音楽記号論へ大きな影響を及ぼしたが、音楽記号学者がグールドの演奏分析を好んで行うのも、実はここに一因があると言いうる。
著者
島田 英昭 北島 宗雄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.111-119, 2009
被引用文献数
4

マルチメディアマニュアルの分かりやすさを向上させるため,3種の構成要素(画像,字幕,ナレーション)の提示タイミングと分かりやすさの関係を認知心理学的に議論し,適切な提示タイミングを心理実験により同定した.地震が起きたときの対処手順を説明する防災マニュアルを題材として,3つの実験を実施した.実験参加者は,1秒単位(実験1,2)または0.5秒単位(実験3)で3種の構成要素の提示タイミングが操作されたマニュアルの一場面を見て,分かりやすさを主観的に評価することを求められた.その結果,分かりやすい場面の条件は,画像の1秒後にナレーションが提示されることと,字幕がその間に提示されることの2点であることが明らかになった.

1 0 0 0 OA をぢさんの詩

著者
高村光太郎 著
出版者
武蔵書房
巻号頁・発行日
1943
著者
早川 幸男
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.23-34, 1972-10-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
小浦場 祥夫 浦澤 一史 戸島 雅彦 内山 英祐 本田 耕一 佐藤 勝彦 本間 之子 越田 亮司 高村 雅二
出版者
日本下肢救済・足病学会
雑誌
日本下肢救済・足病学会誌 (ISSN:1883857X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.111-116, 2010
被引用文献数
1

要旨:年々増加する重症下肢虚血の救肢のため,さまざまなチームアプローチが全国で試みられている.時計台記念病院は2006 年に開設されたまだ新しい病院であるが,早くより形成外科による創傷治療と循環器内科による血行再建のコラボレーションが実現し,積極的に重症下肢虚血の治療を行ってきた.これに加え「自分の足で歩いて帰る」ことを目標に早期より積極的なリハビリテーションを組み入れ,良好な集学的治療体制が構築されている.院内連携ならではの潤滑でタイムラグのないわれわれのCLI 治療体制・方針に関し報告する.
著者
鈴川 由美 豊田 秀樹
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.202-222, 2011-03-01

When applying inference statistics, power analysis should be performed as a part of research plan, and in reporting the results, some measure of effect size is supposed to be included, as APA noted. However, they have been considered less serious indeed. Power analysis including estimation of effect size will be illustrated with sample effect size and sample statistical power calculated for the articles published in the <I>Cognitive Studies</I>.
著者
丸山 正樹
出版者
京都大学高等教育教授システム開発センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.92-97, 1996-06-30

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
西川 克之
出版者
Research Faculty of Media and Communication, Hokkaido University = 北海道大学メディアコミュニケーション研究院
雑誌
The Theory and Practice of Contents Tourism
巻号頁・発行日
pp.1-7, 2015-03-16

本報告書第1章で論じられているように、テレビドラマや映画あるいはアニメや漫画などのコンテン ツはいくつかの機能を果たしうる。大衆文化に根ざしたものの場合は特に、親しみやすさを駆動力とし て国家や地域の境界をやすやすと越えて行き、ソフト・パワーとして国や社会のイメージを肯定的なも のに転換する効果をもたらすことがあるだろう。そのようなコンテンツに直接的あるいは間接的に誘引 された観光客は、旅行の道程あるいは旅行先でさまざまな商品やサービスを消費し、もって目的地の社 会に一定の経済的利益をもたらす。経済産業省を中心として日本政府が昨今「クールジャパン」の売り 込みを成長戦略のひとつとして打ち出したのも、コンテンツがもつこうした社会的あるいは経済的波及 効果に照準を合わせてのことであるのは明らかである。 もちろんコンテンツ・ツーリズムについて論じようとする際に、そのような要素は重要な論点となり うるし、実際、本報告書のいくつかの章においても触れられている。しかしながら、このはしがきにお いては、そうした実利的な効果や影響については脇に置いて、コンテンツに誘発された観光客は目的地 でいったい何をまなざし経験しているのかという点について、文化学に近い立場から試論的に考えてみ たい。