著者
柴田 眞美
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・生活造形学研究 (ISSN:0919780X)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.99-109, 1995-01
被引用文献数
1

騎乗者の全身の姿勢について分析した前回に引き続き,今回は脚部に着装する長靴の問題点を抽出する目的で,馬術のベテラン3名を被験者とし,鞍馬上での各扶助動作および歩行動作時の,履物の相違による動作の難易等についての自由発言による聞き取り調査と共に,フィルムリサーチングを行なった。その結果,普段長靴を着用している被験者は,長靴に対して脚が自由になり,履いていないかの様な感覚を要求しているものの,実際には,今日のように鞍や鐙を用いる馬術に於ては,革製長靴の有する脚の支持性(足根,足底,踵部)が,素足やゴム製長靴等に比べて,扶助動作に対して有用である事が判明した。しかし,馬術用革製長靴にも,扶助動作を繰り返すうちに,ヒトの踵と長靴の踵部がずれてくるなどの欠点があり,この点について,足根部の改良の他に靴底の動きの改良の余地があることが示唆された。伝統を重んじ制約がある中で能力と美を追求する馬術における,服装や馬具をより機能的にそして美的に改良するためには,ヒトとウマの生物としての構造や運動機構に照らした分析が今後更になされねばならない。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1507, pp.54-56, 2009-09-14

コンビニエンスストア業界の飽和による行き詰まり感は、店舗を出して企業としての売り上げを伸ばすことでは解決しない。加盟店それぞれが、明日、明後日、またその次の日に収益が上がるという実感を持ってもらうことが必要だ。 それには、本部が「薬を売ったらいいんじゃないか」というようにいろいろと新しい提案をすること。そうして初めて「先があるかな」と思える。
著者
平田 澄子
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.124-139, 1999-10-01

『丹波与作待夜の小室節』は与作・三吉馬方親子の馬子歌を背景として、再会した家族の情愛や与作と恋人こまんの恋愛が、元禄期上方の歌舞伎狂言と同じような構成のうちに描かれているハッピーエンドの世話浄瑠璃である。近松は歌舞伎の子役の活躍や、自ら彼らを起用した経験を生かして、三吉という個性的な子供の描出に成功したと思われる。
著者
壺阪 美智子 西村 智子
出版者
甲子園短期大学
雑誌
甲子園短期大学紀要 (ISSN:0912506X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.3-16, 1991-10-01

いちごAn色素の安定性について、以下のような実験を行った。1.いちごジャムを、冷凍、冷蔵、室温(明所、暗所)の4条件で265日間保存した。その結果、An色素は低温(特に冷凍)では安定であり、又、明所と暗所では暗所の方が安定であった。2.いちごAn色素に対するアスコルビン酸の影響は温度依存性が大きいことがわかった。これは、その退色効果が、アスコルビン酸自身によるものが少ないことを示しており、低温で影響が少ないことは、低温でアスコルビン酸が安定であるというデータと合致する。3.食品加工の観点から、いちごとぶどうのAn色素の安定性を比較した。その結果、ぶどうAn色素は特に安定とは言えないが、その退色過程(色調変化の過程)にいちごと大きな差が見られた。試料のいちごを提供して頂いた本学西良祐教授ならびに園芸場管理主任細井久夫氏、ぶどう果皮色素を提供して下さった三栄化学工業株式会社に感謝いたします。又、いちごビタミンCの安定性について、卒業研究で26期卒業の坂本あすかさん、百済けい子さんの協力がありました。なお、本研究の一部は、第12回(1991)家政学会関西支部研究発表会において発表した。
著者
笹川 満広 池田 正和 島岡 伸旭 MITSUHIRO SASAKAWA MASAKAZU IKEDA NOBUAKI SHIMAOKA
出版者
京都府立大学学術報告委員会
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 = The scientific reports of Kyoto Prefectural University. Agriculture (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.42-45, 1969-10-15

クチナシの葉を食害するオオスカシバ幼虫の多型現象は幼虫期における生息密度に依存しておこり, また低温は褐色出現に影響を及ぼすことをさきに報告したが, 本実験では, 5令期幼虫体色, 発育期間および死亡率に及ぼす生息密度の累代的影響について検討した。その結果, 親世代の幼虫期における密度や5令期の体色型によって子世代の幼虫体色が決まるのでなく, むしろ子世代幼虫の発育初期における密度如何によって決定される。同一飼育密度を2代にわたって続けると, 子世代には黒化型幼虫の出現がやや増すが有意でない。それに反して, 同一密度での累代飼育によって, 子世代幼虫の発育は特に遅延し, 蛹の発育期間は著しく短縮する。さらに死亡率も累代的に増加する。しかし, 5令期幼虫の糞重量に及ぼす累代的影響はみられなかった。このように, 世代から世代への密度効果の伝達をみると, 幼虫期における環境条件に対する適応として多型が存在するといえる。The transmission of density effects to successive generations of the larger pellucid hawk moth was investigated. The larvae were reared at densities of one and two individuals per container, 12×3cm, at 24℃. The coloration of the F_1 generation larvae was not affected by both the parental density conditions during their larval periods and the parental colour types exhibited clearly in the fifth instar of larvae. It changed progressively from pale to dark, depending upon the population density in each generation. The transmission of density effects from one generation to another was concerned with the rates of the larval and pupal developments and mortality.
著者
松井 一幸
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.67-74, 1984-08-15

2年にわたって製作してきたマイコンシステムを,独自で,両画倍密度で走るCP/Mシステムに発展させることに成功した。このシステムを,音波教材の開発や,電圧自動測定に応用したので報告したい。また, CRTディスプレイを8台まで増設可能にし,本システムを,必修クラブにおけるマイコンBASIC講座に応用したので,マイコン教育の一つの試みとしてレポートしたい。
著者
濱岸 五郎 坂田 政弘 山下 敦弘 増谷 健 井上 益孝 志水 英二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.921-927, 2001-05-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
7

We have newly developed two types of 15" high resolution non-glasses 3-D displays, the one is no cross-talk 3-D display using the double image splitter technology and the other is 2-D/3-D full compatible display using the image splitter and the controllable scattering shutter technology. In this time, in the 2-D/3-D full compatible display, controllable scattering shutter is united with image splitter in order to realize simple construction and short viewing distance of the non-glasses 3-D image. Those displays adopted newly developed head tracking system. The head tracking system detects the viewer's head position without special attachment and adjusts the images automatically. So it can expands the stereoscopic area. With this combination of larger screen, higher resolution and head tracking system, the display enables viewer to have more realistic and enjoyable images.
著者
福田 珠恵
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.41-50, 2005
被引用文献数
1 2

本研究は, 老年期に痴呆症という病を生きる体験とはどのようなものかを明らかにすることを目的とした. 痴呆性高齢者専門グループホームでケアに参加しながら44日間のフィールドワークを行い, 情報提供者14名に起こった出来事, 会話, 表情, ふるまいの観察記録, 日記をデータとし, グループホームの日誌, 家族と援助員の話を補足データとした. データの意味を解釈し共通する内容をテーマとした. その結果,《痴呆症という病の始まり》《我が家への思い》《閉ざされた感覚》《自分が存在しない》《他者との関係に見える情けない自分》《何もわからなくなる自分と折り合うための対処》《生きる支え》の7つのテーマが抽出された. 老年期に痴呆症という病を生きる体験は, 自己の存在が不確かになる中で, 再び自己の存在の確かさを求めてゆく過程であることが示唆された.

1 0 0 0 OA 古河潤吉君伝

著者
五日会 編
出版者
五日会
巻号頁・発行日
1926
著者
小西 進
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.326-330, 1984

従来の磁性記憶は磁気記録,磁気バブルメモリーを問わず磁性膜中の磁区を記億の担体としている.ところで磁気バブルでは垂直磁化ガーネット膜が開発されて以来,プロッホラインと呼ばれる磁壁微細構造を100本程度もバブルを囲む磁壁中に含むハードバブルの存在が知られていた.プロッホラィンは安定で磁界を加えると磁壁にそって移動することも実験・理論の面から明らかにされている.磁区に代わり,もしプロッホラインを記憶の担体として利用することができれば超高密度の磁性圏体記憶素子が実現できよう.本稿では,最近筆者が提案したヅロッホラインメモリーの概要を述べる.
著者
日置 興一郎 山中 邦一 北野 博己
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.253, pp.51-57, 1977-03-30
被引用文献数
4

To grasp the structural characteristics of tall multi-storey buildings subjected to lateral loads, a method of approximate analysis is proposed treating them as bar-like continuum structures which deformed under the action of not only shearing and bending but also warpng. By this method, tall wall-frame structures, such as frames with core wall and coupled shear walls, can be analyzed. The warping deformation gives more effect on the displacement at the top of core wall structures than those by bending and shearing deformation in many cases. The restriction of warping at the top increases the lateral rigidity of core wall structures. It has shown in examples that the calculated results are good approximation and the computing times are remarkably decreased by this method, comparing with the exact discrete analysis method. This method may be useful for preliminary design.
著者
Zahra Yaghobi Sakineh Goljarian Ali E. Oskouei
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.1313-1315, 2014 (Released:2014-08-30)
参考文献数
19
被引用文献数
4

[Purpose] The purpose of this study was to evaluate the efficacy of tap water (drinking water) and normal saline (sodium chloride solution 0.9%) iontophoresis treatment for a patient with idiopathic hyperhidrosis [Subjects and Methods] In this study, tap water and normal saline iontophoresis were used to treat a 21 year-old female who was suffering from severe palmoplantar idiopathic hyperhidrosis. Post-iontophoresis sweat intensity of 8 treatment sessions were averaged and then normalized relative to the corresponding mean value which was obtained before iontophoresis treatment. [Results] The subject showed 24.72% and 42.01% decreases in sweat intensity following tap water and normal saline iontophoresis, respectively. [Conclusion] Tap water and normal saline iontophoresis are effective in the treatment of idiopathic hyperhidrosis. However, normal saline iontophoresis is 1.7 times more effective than tapwater iontophoresis at obstructing secretion.

1 0 0 0 IR 鶴丸の思ひ出

著者
佐々木 高遠 [ササキ タカトオ]
出版者
龍南會
雑誌
龍南會雜誌
巻号頁・発行日
vol.170, pp.66-74, 1919-05-20
著者
山本 哲朗
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.194-204, 2012

本稿では、 鍼灸医学の危機を救った石川日出鶴丸の足跡を辿り、 彼の目指した科学的基盤に基づいた鍼灸医学についての考察を行います。 <BR> 石川先生は、 富山県の出身で、 東京帝国大学を卒業後、 京都帝国大学の天谷教授の下で研究生活に入り、 1908年から4年間、 最先端科学が花開くヨーロッパに留学されます。 主にゲッチンゲン大学のフェルボルン教授の下で研究しますが、 短期間ながら、 ぺテルスブルグ大学のパブロフ教授や英国のスターリング教授、 シェリントン教授なども訪れています。 このヨーロッパでの経験が、 後年の研究発展へとつながるのです。 帰国後は、 京都帝国大学の教授として、 日本の生理学研究を大きく発展させ、 同時に、 鍼灸医学や心理生理学にも生理科学的手法による解析を試みられました。 <BR> 石川先生は、 神経生理学領域では、 加藤元一教授との論争で有名です。 この論争は、 神経の活動電流が、 麻酔部位で、 減衰して伝導するか(減衰論)、 減衰せずに伝導するか(不減衰論)というもので、 加藤教授が石川先生の愛弟子の一人であったことにより非常な注目を集めました。 <BR> 京都帝国大学を退官後、 1944年に三重大学医学部の前身である三重県立医学専門学校長として津市に来られ、 翌年には、 大学病院に鍼灸療法科を開設されます。 終戦後、 GHQは、 当時の鍼灸などの伝統医学が、 西洋医学の水準からすると、 科学的根拠に乏しいことから、 「鍼灸禁止令」を考えていました。 先生は、 御自身の研究結果をもとに、 GHQ関係者に鍼灸医学の科学性を説明され、 実際に鍼灸を施術してその効果も体験させ、 鍼灸の存続に貢献されます。 しかし、 この間の過労のためか、 1949年に教授会の席で脳卒中を発症し亡くなられます。 <BR> 石川先生の遺志は、 弟子の笹川久吾京都大学教授に引き継がれ、 日本鍼灸学会が結成されます。 第1回日本鍼灸学会が1954年に京都大学で開催され、 現在の隆盛へと繋がるわけです。
著者
水谷 澄 新庄 五朗 田中 生男
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.115-118, 2004-12-15

オオチョウバエの各種飼育法の概要を示した,さらに人工汚水と森谷らが1969年に報告したエビオス水溶液による飼育方法を室内観察で比較検討した.その結果,雌成虫が産卵適期であれば両法共培養液を設置後すぐ産卵した.25℃の温度下では,設置52時間後に一部1齢幼虫が孵化したので,卵期間は2〜3日であった.その後設置4日後まで双法の間で幼虫の発育に差は認められなかった.しかしそれ以降は人工汚水区の方がエビオス水溶液区より発育が早く進行した.成虫は両法とも自然個体と同様な大きさの個体が得られた,卵期間は2〜3日,幼虫期間は人工汚水区が8〜14日,エビオス水溶液区が10〜15日,蛹期は双法とも3〜4日であった.成虫の寿命は比較的短く,通常の湿度環境(60〜80%RH)では2週間以内にほとんどが死亡した.