著者
向井 孝志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.472-473, 2011
参考文献数
5

白色発光ダイオード(LED)はわが国で開発・実用化された発光デバイスで,現在では,液晶用のバックライトや,各種照明機器等に使用されている。白色LEDの主要な構成要素のひとつに青色LEDチップが挙げられる。窒化ガリウム系材料は安定な化学的性質を有する一方,結晶成長の様々な困難から,その応用製品である青色LEDの実用化には長い年月を要した。本稿では,結晶成長における様々な困難解決,白色LEDへの応用等について述べる。
著者
坪井 誠太郎
出版者
震災豫防調査會
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.98, pp.13-21, 1922-08-31
著者
田村 太志 三国谷 淳 三上 雅人 佐々木 直裕 佐々木 正則 小野寺 庚午 渡辺 和重 沢井 通彦 及川 光雄 大池 弥三郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.1165-1170, 1991

患者は55歳,男性.長期にわたり過量のアルコールを連日のように摂取していた.昭和63年11月中旬,前胸部圧迫感あり.胸部X線写真で心拡大,心電図上で心房粗動がみられ,拡張型心筋症として近医院で治療を受けていた.平成元年1月4日,雪かき中に動悸出現.心拍数210/分の心室性頻拍がみられ,嘔吐後,心室細動となった.電気的除細動後,心拍数50/分の接合部調律に回復したが,精査のため,当科に転入院となった.当科入院時,血液ならびに生化学的検査に明らかな異常所見はみられなかったが,左心室の拡大ならびに低収縮性が著明であった.心臓電気生理学的検査,右心室心内膜生検所見からは刺激伝導障害を伴う拡張型心筋症の病態が考えられた.しかし,長期にわたる大量のアルコール摂取歴があることからアルコールによる心筋障害を疑い,断酒させた上で利尿剤や強心剤を中止して経過を観察したところ,臨床症状,臨床所見のみならず心筋組織にも明らかな改善が認められた.以上から,拡張型心筋症に近似する疾患の診断においては,アルコール性心筋症をも考慮し,アルコール摂取の有無を注意深く聴取することが必要と思われた.
出版者
BMJ Pub. Group
巻号頁・発行日
2011
著者
三枝 千尋 渡邊 克巳
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.253-258, 2014 (Released:2014-02-28)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Visual attractiveness has significant effects on our social life. People make up one's appearance by clothing, wearing accessories, applying cosmetics, hair-style and hair-color, etc., to convey certain impressions including attractiveness to others. In this study, we examined (a) how the suitability between face and hair color (i.e., hair-color matching) would be evaluated by oneself and by others and (b) how the hair-color matching would interact with perceived attractiveness. We found that 1) different criteria were used for hair-color matching between self-evaluation and evaluation by others, and 2) a wider range of hair-colors matched to the face, when the face was evaluated as more attractive and/or the perceived facial makeup was more. These results suggest that the evaluation of hair-color suitability might differ in self-evaluation and in evaluation by others, and suitability of hair-color has a certain interaction with perceived facial attractiveness. Possible implications are also discussed.
著者
山崎 守一
出版者
仙台電波工業高等専門学校
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究は、ジャイナ教白衣派の聖典語であるアルダ・マガダ語で書かれたUttaradhyayana-sutra(N.V.Vaidyaの刊本:Uttaradhyayana-sutram,Poona,1959)の文法解析を、同僚の逢坂雄美教授(理学博士)の協力を得ながら、パーソナルコンピユ-タによって解明することを目的として遂行された。まず、Uttaradhyayana-sutraに現れる全語葉の正順と逆引索引を作成した。アルダ・マガダ語には日本語における所謂|て・に・を・は|がなく、名詞の変化は総て語尾変化で表されるため、これらの索引が必要不可欠である。また、動詞の分類では、単語の語尾に着目して整理された逆引索引が重要な役割を果たすことになる。動詞の分析を実行するに当たって動詞の語尾変化と動詞語幹のデータベースを作成した。語尾情報はR.Pischelの文法書から収集した。語棄分析に動詞情報のみ使うと、常にデータベースの全情報との比較検索を必要とするため、多大な演算時間を消費してしまうので、このことを避ける目的で不変化詞(接続詞、副詞、間投詞)に関するデータも蓄積した。データベースに収録された種々の語尾と単語とのパターンマッチングを行い、活用形を決定し、それらの語尾変化を新たなデータベースに収録した。名詞の格変化についても類似の手法によって解析できるようにした。ただ、現段階では本プログラムでは、品詞・態・格等は異なるが、同じ語尾変化をする単語(語尾変化のパターンが適合するもの)については総て出力されるので、今後マッチングデータの非決定数を限りなく少なくしていき、最終的に一つに絞り込めるよう、判定条件を整理していかなければならない。同様にして、他の4つのテキスト(Ayaramga-Sutta,Suyagadamga,Dasavcyaliya,Isibhasiyaim)も文法解析して十分な量の規則を収集・包括し、近い将来、アルダ・マガダ語の文法規則を集大成したいと考える。
著者
谷口 綾子 川村 竜之介 赤澤 邦夫 岡本 ゆきえ 桐山 弘有助 佐藤 桃
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_309-I_316, 2013

本研究では,運動着(ジャージ・スウェット)の日常的な着用が大学内の景観と授業態度に与える影響を定量的に明らかにするため,運動着での登校が学内の景観イメージにネガティブな影響を及ぼす,運動着での登校と授業態度との間にネガティブな関係が存在する,との二つの仮説を措定し,筑波大学の学生を対象としたアンケート調査により検証した.その結果,運動着での登校は大学内の景観イメージに「似合わない」とネガティブな影響を及ぼすこと,運動着で登校している学生は遅刻や居眠りをする度合いが高いなど授業態度との間にネガティブな関係が存在することが明らかとなった.また,公共交通で通学する学生の方が,そうで無い人と比べ運動着登校経験が少ないこと,運動着登校経験がある人の方が運動着登校にポジティブな意見を持つことが示された.
著者
Takeshi HORINOUCHI
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.519-541, 2014 (Released:2015-01-29)
参考文献数
35
被引用文献数
4 38

This study provides an overall understanding of the summertime synoptic variability of precipitation and moisture transport at mid-latitude from the eastern coastal region of China to the northwestern Pacific. Using satellite precipitation and reanalysis data, a clear relationship is found between upper tropospheric disturbances (Rossby waves), surface precipitation, and lower tropospheric humidity through July and August. The upper tropospheric disturbances are characterized by the undulation of the 1.5 PVU contours of potential vorticity (PV) on the 350 K isentropic surfaces. Case studies suggest that a precipitation band of several hundred kilometers wide and a thousand to several thousand kilometers long is formed very frequently on the equatorward and low-PV side of the northernmost 1.5 PVU contours, which meander together around 40°N. Lower tropospheric specific humidity is also enhanced there, and it falls sharply to the north of these contours. The synoptic situations associated with it include, but are not limited to, a common situation in which moist convection is enhanced ahead of upper-level troughs. These results are confirmed by a composite analysis over the 12 summers from 2001. A novel method of analyzing the forcing of the quasi-geostrophic potential enstrophy, in which boundary contributions are incorporated, reveals that upper tropospheric disturbances in the area are propagated predominantly from the west along the Asian jet, and that they exert a significant forcing onto near-surface levels, while the upward forcing from near-surface levels to upper tropospheric disturbances is weak. A Q-vector analysis shows that the upwelling associated with the precipitation bands is forced predominantly by confluence. This process is frontogenetic, and surface fronts are often formed therein. The upwelling is enhanced by latent heating. The latitudinal extent of humid air masses is affected not only by this circulation but by low-level flows induced by upper-level disturbances in a cooperative manner.
著者
佐藤 正明
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.924, pp.99-102, 1998-01-19

昨年の香港の天気は異常続きだった。6月下旬から降り始めた雨は、中国に返還される真夜中にピークに達した。150年余り続いた英国植民地に別れを告げる哀かなしみの雨は、バブル崩壊で一転、悲しみの雨に変わった。 乾期の11月は本格的な観光シーズンだが、円安が日本人観光客の激減に拍車をかけた。街の雑踏は以前と変わらないが、高級ホテルのロビーは閑散としている。
著者
田中 茂
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, 1978-09-15

本報文では, まず降雨による鉛直浸透をいろいろな場合に分類し, 解析に必要な基本式を筆者の考えに基づき誘導し, 解説している。以下, 箇条書きにすると, 均等質土層への鉛直浸透として, (1)間隙空気圧の圧縮を伴う場合, (2)強雨が突然やんだ後の水の運動, (3)強雨が突然に弱雨に変わったときの浸透, (4)(3)の降雨が突然停止し, 小休止後再開した時の浸透, また透水係数を異にする互層への鉛直浸透として, (i)上部粗粒土, 下部粗粒土からなる地層への浸透, (ii)上部細粒土, 下部粗粒土からなる地層への浸透, である。次に表土層と基岩からなる自然斜面, および基岩が破砕されている斜面の浸透について定性的な解説が行なわれている。最後に自然斜面への浸透を鉛直浸透が進行して透水性の悪い層に達して消失するまでと, 透水性の悪い層の上に自由小面が発生し, 急速に上昇して流線方向が逆転する状態の2段階に分け, 第2段階の浸透について解説している。斜面の雨水による崩壊を解析する場合はこのようないろいろな浸透現象を十分把握したうえで解析する必要があるとしている。
著者
菅原 十一
出版者
国立科学博物館
雑誌
自然教育園報告 (ISSN:0385759X)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.37-46, 1995-03
被引用文献数
2

自然教育園は,マンモス都市「東京」の都心部にある自然緑地であるところがら,酸性雨の影響が大いに気になるところとなっている。今回は,1993年6月〜12月及び1994年1月〜12月の雨水pH測定結果をもとに,自然教育園における酸性雨の特性について検討を行った。(1) 雨水pH値は,最低pH3.7〜最高pH6.7の範囲にあるが,季節や雨量・雨の強弱によりさまざまに変化し,概略次にあげる傾向が指摘された。(2) 低pH5.0未満の酸性雨は,異なる2期の季節パターンを示していた。暖侯期を中心とした4月〜11月には全体の68%と過半数を占めるが,寒侯期を中心とした1月〜3月・12月には強い北西風が空を吹き払い40%に減少する傾向にある。(3) pH4.0未満の強酸性雨は,降り始め10分間に3mm〜6mm以上の急雨になったときみられやすい傾向にある。(4) 酸性雨は,降り始めにみられやすいが,雨量20mm以上では次第にpH5.6の通常雨にもどっていた。逆に,雨量20mm以下では,通常雨にもどりにくいことが考えられた。(5) 雨量1mm以下の霧雨や小雨及び降り始めの微少雨の間は,中和されやすく酸性雨となりにくい傾向にある。(6) このような「都心の中和霧」には,主に自動車走行により発生したコンクリートやアスファルトのアルカリ性粉塵が微細雨滴にとりこまれ中和剤の働きをしていると考えられた。(7) 自然教育園においては,年間降雨回数の内の78%が酸性雨となりやすく,特に,58%は一旦酸性雨となると通常雨に回復しにくい雨で占められる傾向にある。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.257, pp.69-70, 2000-06-09

31人の死者と1人の行方不明者を出し,4785棟の家屋に被害を与える——。99年6月29日の梅雨前線による集中豪雨は,広島県内だけで大きな被害をもたらした。 99年6月23日の昼前から県内で降り始めた雨は,小康状態になったり,強く降ったりを繰り返しながら数日間続いた。29日には,雷を伴う強い雨になった。

1 0 0 0 IR 雪の日に於て

著者
兼崎 地橙孫 カネサキ ジトウソン Kanesaki Jitoson
出版者
龍南會
雑誌
龍南會雜誌
巻号頁・発行日
vol.160, pp.110-111, 1916-03-28
著者
多田 富雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経メディカル (ISSN:03851699)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.244-246, 2008-04

は2001年の5月、旅先で脳梗塞に見舞われ、重度の右麻痺と言語障害、嚥下障害が残ってしまいました。その後病院を転々としながら、理学療法士と言語聴覚士から、それぞれ週に2回ずつリハビリ治療を受けてきました。リハビリは決して楽ではありませんでした。でも、それが命綱だと思い、雨の日も雪の日も病院に通っていました。
著者
吉井 良三
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.75-99, 1972
被引用文献数
4

北海道の高山帯のトビムシ相は, 世界的な分布の問題からみて, はなはだ興味がある。このたび報告したポロシリ岳からの32種はもちろんその一部分にすぎないだろうが, その資料からおしはかって, ほぼ全体を知ることができよう。ポロシリ岳の北カールには, 調査隊がキャンプした7月下旬にもまだ残雪があり, 万年雪が広い面積を占めていた。日中の気温はすでにかなり高いので, この雪田からは多量の融水が流れ出して, それがカールの底に湿地帯をつくっていた。この湿地帯の周辺では多数のシロトビムシが得られたが, それらはOnychiurus tomuraushensis (YOSII) であった。この種は1940年に, 当時, 第三高等学校山岳部の部員であった梅棹忠夫, 川喜田二郎の両君によってトムラウシ岳(大雪山)の頂上付近の湿地帯からもたらされ, 著者の記載したものである。今回の豊富な資料によって, さらに研究してみると, これは北米に産するOnychiurus subtenuis FOLSOMに近似しており, 肢の小爪の形において差のある別種であることがわかった。BAGNALL(1949)は, 著者の原記載にもとづいて, 本種を模式種としてProtaphorurodesという新属をつくったが, これは彼の立てた他の各種の属とおなじく, 一般には認められていない。しかし, これを亜属としてOnychiurusという大きな属の細分につかうことは, たいへんおもしろいし, また, このような考え方によって, まことに貴重なものであった。棲息地が上述のような高山帯の湿地にかぎられていることからみて, この種は日本のトビムシのなかでも, いちばんcold stenothermalな性質を持っているものと考えられる。報文に記したように, ポロシリ岳の高山帯のトビムシのなかには, シベリアのツンドラ帯や, カナダの極北地方に分布するものがはなはだ多い。また, 別種ではあっても, 上述のシロトビムシのごとく, その近似種が極北の地域に分布している場合がすくなくない。とくに興味のあるのはCephalotoma ursi sp. n.で, その近似種の C. grandiceps (REUTER) はシベリアから, C. macnamarai (FOLSOM) は北米(ロッキー)から知らている。従来, これらの種はIsotoma属に含まれていたのであるが, 今回のC. ursiによって口器を解剖してみたところ, あきらかにIsotomaとは異なっていて, 別属とすべきものであることが判明した。さらに文献により, この C. ursi と同属にすべきものが, ピレネー山脈の高山帯から1種 (Gnathisotoma bicolor CASSAGNAU), ヒマラヤの氷河付近から1種 (Isotoma mazda YOSII) 報告されていることがわかり, 後者の口器を再検討し, 記載した。この報告のなかには, アヤトビムシ科Entomobryidaeに属するものがひとつもない。これは著者が省略したのではなくて, じっさいに1頭も採集されなかったためである。一般にアヤトビムシ科は, 寒地においては, 個体数も, 種類数も減少するのが普通であるが。今回の場合のように極端な結果が出たのはめずらしい。おなじ日高であっても, 山麓の振内付近の資料には多数のアヤトビムシが見られる。日高山脈の高山帯のトビムシを, 北海道の他の山系のそれと比較することは, 現在のわれわれの知識をもってしては不可能である。他の昆虫群とことなり, 今回の報告が北海道の高山帯のトビムシ相に関する唯一の総括的なものだからである。ただ, トビムシの分布についての一般常識からすれば, 日高山脈と, 夕張山脈と, 大雪山系とのあいだに, 大きな差はないだろうという予測はできる。しかし, これを日本アルプスの高山帯と比較すれば, かなり異なったトビムシ相であることは断言できる。黒部五郎岳や, 仙丈岳のカールの残雪付近では, O.tomuraushensisでない別種のシロトビムシ(未記載)が, おなじような生態条件のところに見出されるからである。