著者
宮下 健輔 MIYASHITA Kensuke
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.67-79, 2013-12

京都女子大学で2000年に始まった全学情報教育カリキュラムと全学情報基盤の運用は, 現在まで絶え間なく改善されながら年々充実してきている. また, これに合わせて事務部署にもICT(情報通信技術)が導入され, 活用され始めている. 以前は構内の掲示板への掲出のみだった休講情報はWWW上への掲出が行われるようになり, 学生が登校せずとも確認できるようになった. 著者は昨年度, これをもっと便利なものにするため, 休講情報をメール配信する仕組み(休講情報通知機構)を構築し試験運用を開始した. これは既存システムにできるだけ侵襲せずにこれらを組み合せ, かつ休講の申請, 受付, 休講情報の登録等における教職員の作業フローをまったく変更せずに構築された. 本論文では休講情報通知機構を1 年間に亙り運用したことで得られた知見と, それを元にこの機構に施した改善とについて報告する.It is impossible to manage our society without information infrastructure. All the more for that, the institutions of higher education in which human resources to support such society are nurtured need to make efficient use of information infrastructure. The information systems of Kyoto Women's University have been established in the year of 2000, and information technology has been introduced into its office and educational affairs. Among them, the author has developed and deployed the notification system of lecture cancellation last year. In this paper, the author describes knowledge from 1-year operation of the system and some improvements which have been realized during the operation.
著者
平田 圭二 塚本 昌彦 乾 健太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.86-91, 2014-12-15

情報処理学会が編集発行している雑誌は常に時代の先を見据えてさまざまな企画を実施し記事を掲載してきた.ジャーナル論文誌編集長の乾健太郎(東北大),学会誌編集長の塚本昌彦 (神戸大),ディジタルプラクティス編集長の平田圭二 (公立はこだて未来大学) の3人が集まり,学会出版物の役割や相互の関係,学会出版物の今後などについて,アイディアや意見を交換し,将来の雑誌相互の発展に資する鼎談を行う.
著者
Yoshiki Murakami Toshihito Tanahashi Rika Okada Hidenori Toyoda Takashi Kumada Masaru Enomoto Akihiro Tamori Norifumi Kawada Y-H. Taguchi Takeshi Azuma
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.1-5, 2014-12-11

Although microarray has been an important tool that can perform extensive gene expression analyses, next generation sequencing (NGS) has recently arisen as an alternative methodology that can measure gene expression. In this paper, we have compared microarray and NGS quantitatively using microRNA measurements in hepatocellular carcinoma (HCC) and found that these two are coincident with each other. NGS also turned out to be used for biomarker between HCC and normal tissue if the recently proposed principal component analysis based unsupervised feature extraction was applied.Although microarray has been an important tool that can perform extensive gene expression analyses, next generation sequencing (NGS) has recently arisen as an alternative methodology that can measure gene expression. In this paper, we have compared microarray and NGS quantitatively using microRNA measurements in hepatocellular carcinoma (HCC) and found that these two are coincident with each other. NGS also turned out to be used for biomarker between HCC and normal tissue if the recently proposed principal component analysis based unsupervised feature extraction was applied.
著者
大藤 正
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.75, no.11, pp.1289-1292, 2009-11-05 (Released:2011-02-07)
参考文献数
3
著者
高松 俊昭 和田 仁一 深田 栄一 松本 博志
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.781-787, 1980-12-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

放射線を用いて多孔質ポリテトラフルオロエチレン (EPTFE) の種々のグラフトポリマーを作り, それらの抗血栓性を調べた. EPTFEは内径10mm, 厚さ1mmの管状および厚さ0.79mmのシートを用い, ビニル系モノマーは酢酸ビニル (VAc), メタクリル酸メチル (MMA), スチレン (St) および2-ヒドロキシエチルメタクリラート (HEMA) であった. EPTFEはこれらのモノマー液中でγ線を照射し, グラフトポリマーを作製した. VAcグラフトポリマーの一部はビニルアルコール (VAl) に, Stグラフトポリマーの一部はスルホン化スチレンに変換した. これらのグラフトポリマーを室温で生理食塩水中で強制伸縮したときの吸水量を測った. その飽和吸水量はグラフト率や親水性の増加によって増加した. 生理食塩水に対する接触角は飽和吸水最の大きいものほど減少した. In vivoテストでの開存率はグラフト率が5%以下では良い結果を与え, VAl>MMA>VAc>St>スルホン化Stグラフトポリマーの順に低下した. スルホン化Stグラフトポリマーを犬の上大静脈に移植中, 溶血が起こり, 血栓による厚い内膜が早期に形成された.
著者
今井 長兵衛 池本 孝哉 高木 正洋 矢麦 寿雄 POHAN Wesly HASIBUAN Halomoan SIRAIT Halomoan PANJAITAN Willem
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.293-300, 1988
被引用文献数
2 12

インドネシア国北スマトラ州の1海岸村落に生息するマラリア媒介蚊Anopheles sundaicusの発生源を, 日本・インドネシア共同, 北スマトラ地域保健プロジェクトの一環として, 1980∿1985年に調べた。主要発生源は開放的な氾濫原, ココヤシ裁培用の灌漑水路, 自家消費用の小規模な養魚池, 道端の水たまりであり, これらはいずれも年間の最高潮位かそれと同等の高潮位のときにのみ。潮汐作用の影響を受ける高塩分濃度止水域に分布していた。他方, 毎日の潮の干満の影響を受ける感潮域低湿地, 自然植生に密に被覆された水域, 水田, および低塩分濃度(おおむね0.1%以下)の水域に位置する養魚池は発生源として不適であった。浮游藻類やウキクサ等は時に幼虫と共存していたが, それらの繁茂していない水域に, より多数の幼虫が生息していた。好適な発生源は年間最高に近い潮位が記録された直後の1985年5月においても, 感潮域低湿地に沿った地域や河口付近など, 比較的限られた地域にのみ分布していた。
著者
竹ヶ原 郁子
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.35-40, 2008

システム構築プロジェクトでは,QCDの観点での問題が発生する場合がある.原因として,提案活動時における見積もり項目の漏れや曖昧な前提条件,提案活動を行う担当者からの見積もり根拠の曖昧な引継ぎ等が考えられる.リスクマネジメントの一環として,この原因に働きかけリスク顕在化を未然に防止するため見積もりシートを作成し,提案活動での活用を推進することにより確実な統合変更管理の実施を試みた.そして,提案活動時の検討漏れの防止や前提条件の明確化の重要性と,仕様確定までがプロジェクトサイズを決定する重要なフェーズであり,システム構築プロジェクトを成功裏に導くQCD遵守の鍵であることを再認識した.今回の一連の試みから,実際のリスク対応実施時の問題点と対処,リスク顕在化時の対処,効果について報告する.
著者
ヨーダー ロバート. S.
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.125-140, 1987

本稿は,神奈川県下の対照的な2つの地域に居住している少年たちにイソタビューを行ない,彼らの教育歴を基にして,不良行為のパターンを比較検討したものである.本稿では,この2つの地域を「南」と「北」と呼ぶことにする.例えば,社会経済的に中の下の階層に属する人々が多くを占める地域(南)に居住している少年たちにおいては,中の上の階層の人々の住む地域(北)の少年たちに比べ,不良行為の平均行為回数が非常に多い,ということが公式資料によって明らかとされている.この南と北の少年たちの不良行為経験の差の基部には,環境条件と両親の社会階層的背景が生み出す学歴の質の差が作用していると考えられる.南と北,2つの少年集団が通学しているそれぞれの中学校は,各地域やその周辺地域の社会経済的水準を反映したものとなっている.南の少年たち全員は,いわゆる荒廃した中学校へ通い,これに対し,北の少年たちは平穏な中学校あるいは私立の付属中学校に通っている.南の少年たちは,北の少年たちに比較し,学業成績は低く,多様で多量な学校問題を抱えている.結果として,北の少年では,大学進学率の劣る低ラソクの高校卒業者は15パーセソトでしかないのに対し,南の少年では,これが40パーセソトにも達している.例えば,低ラソクの高校の生徒は,多くの者が不良行為を働き,その回数も多い.これら低ラソクの高校では,高ラソクの学校よりもより生徒を厳しく管理する.そのことがまた,低ラソクの高校の多くの少年たちを反抗させ,不良行為へと走らせる原因ともなっている.学校のランクはまた,少年たちの最終学歴の到達水準に関連する.高ラソクの高校へ通った少年たちの半数が大学に進学したのに対し,低ランクの高校の少年たちでは,わずかしか大学進学者がいなかった.さらにその上,北の少年たちの多くが,大学に進学したのみならず,出身家庭が社会経済的に豊かであることから,非常に授業代の高い職業学校(専門学校)へも同時に通学しているのである.本稿は,以上の様な事実に対し,レベリソグ理論を適用し,結論づける.日本の社会においては,刻印づけによる社会的統制が,低階層の少年たちの通う学校に対し厳しく作用している.こうした問題な社会的統制が,少年の不良行為のみならず,今日の日本社会を覆う陰鬱な学歴問題を生じさせる主要な原因と成っている,と考察される.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1453, pp.64-67, 2008-08-18

多数の従業員が出勤困難となり自宅待機を余儀なくされ、事業を停止、もしくは縮小する。最終的には、従業員約9000人のうち、およそ200人が死亡する——。 日本ユニシスが推定する被害の概要だ。その原因は地震でも、戦争でもない。「新型インフルエンザ」だ。 日本ユニシスは、2008年5月23日、新型インフルエンザ対策本部の机上訓練を実施した。
著者
松本 正男
出版者
山口大学
雑誌
山口大学哲学研究 (ISSN:0919357X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-30, 1996

ヘーゲルの体系期「論理学」は、そもそも何であるのか。この総括的解釈の問題には、いくつかの接近路が可能であろう。拙論の眼目は、カントの超越論的論理学との関連という観点から、この「論理学」を、特に「主観的論理学」に重点を置いて、再考することにある。ヘーゲル「論理学」には隅外的な立場から有効に読み替えようという試みが為されることがあるが、その意義はどうであれ、私見によれば、「論理学」は、先ずそれ以前に、まだそれをそれとして適正に理解することが要求されている解釈段階にある。そのためには、それを哲学史的連関の内に、特にひとまずドイツ観念論内部に適切に位置づける必要があり、そしてそのためには、前記の観点からの検討が、決して十分ではないが、しかし不可欠な要件であると思われる。ただし拙論は、単に文献的照合によって、とりわけヘーゲルのカント批評の枠内で、両者の連関を確認しようとするものではない。私見によれば、事柄自身における両者の連関は、主にヘーゲルの側からの部分的に不適切な、或いは少なくとも偏向的な批判と、関心範囲の制限によって、必ずしも十分に明らかになっていない。このことは、カント解釈者のカント解釈によりも(彼らはヘーゲルの批判を殆ど意に介していない)、むしろ跳ね返って、ヘーゲル解釈者のヘーゲル解釈に、看過できない支障をもたらしているように思える。拙論は、こうした事情を踏まえて、カント「超越論的論理学」とヘーゲル「論理学」のあいだの思想内実の継承史の研究に、一灯を投じようと試みる。こうした主題研究は、単にカント、へーゲルの哲学史的解釈にだけでなく、超越論的論理学の可能性に関する体系的研究に大きく資するであろう。しかし本格的な遂行のためには、言うまでもなく、一論文をはるかに超える規模の労力を必要とする。拙論は、むしろ就緒のための一灯として、ひたすら確かな研究プログラムの設定を目指すものである。