著者
中尾 央
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.75-86, 2008-01-31

The purpose of this paper is to examine the use of Trivers's reciprocal altruism model in the evolutionary study of human behavior. Human behavioral ecologists use the reciprocal altruism model to predict and explain human behaviors. In evolutionary psychology, on the other hand, Cosmides and Tooby use this model not to explain human behaviors but to predict a module for detecting cheaters. I will argue these different applications of the model reflect different construals of the model.
著者
岡本 真希子 オカモト マキコ Okamoto Makiko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.73-111, 2013-02

論説(Article)本稿の課題は,日本統治期台湾の官僚組織における通訳育成について,台湾語学習の教材を提供した月刊誌『語苑』を主な対象としながら,1930-40年代を中心に検討することである。1930年代前半は、台湾総督府が「国語」普及政策を推進するなかで,台湾語通訳育成問題は政策と矛盾し複雑な様相を帯びていった。また,1930年代後半以後の「皇民化」政策期には,『語苑』は「同化」・「教化」のための台湾語通訳育成を主張するなど,いっそう複雑で矛盾した状況が生じていった。本稿では,戦時期植民地統治下における台湾語通訳育成という検討課題を通して,植民地主義と密接な関係を持つ通訳育成問題の諸相を明らかにするものである。本研究主要透過日治時期發行於台灣的語學(台語)雜誌《語苑》,探討台灣總督府官僚組織內部的培養通譯問題,以1930-1940年代為中心。1930年代前半臺灣總督府推動<國語>(日本語)普及政策下,其政策和培養臺灣語通譯問題發生矛盾和複雜的樣貌。然後1930年代後半<皇民化>政策期後,《語苑》主張為了<同化>、<教化>的培養台灣語通譯,出現更複雜和矛盾的狀況。本研究透過戰爭時期殖民地統治下培養台灣語通譯的課題,探討和殖民主義有密切關係的培養通譯問題樣貌。
著者
清水 元彦 小林 弥生子 中山 邦章 塩沢 丹里 藤井 信吾 清水 元彦
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本年度も、前年に引き続き、正常子宮平滑筋、子宮筋腫、子宮筋肉腫の各組織においてER,PRの異常、また腫瘍抑制遺伝子p53の蛋白質、RNAレベルにおいて定量的、定性的に調べ、各組織においてこれらの因子の異常の有無と程度を検討した。最初に免疫染色法で明らかになったER,PRの発現低下はER,PRの転写レベルで起こっているかどうかをmRNAレベルで調べた。手術摘出材料を採取し、ホルマリン固定パラフィン包埋切片の連続した包埋切片上の組織よりdigestion bufferで可溶化し、マイクロウエーヴ処理法でRNAを抽出し、RT-PCR法にて増幅しER,PRのmRNAを解析した結果、免疫染色法で明らかになったER,PRの発現低下は転写レベルでも低下していることが明らかになった。次にER,PRの転写レベルでの発現低下はER,PRプロモーター部位のGCの塩基配列のDNAメチレーションによるかどうかを調べた。手術摘出材料を採取し、ホルマリン固定パラフィン包埋切片の連続した包埋切片上の組織よりdigestion bufferで可溶化し、マイクロウエーヴ処理法でDNAを抽出し、GCの塩基配列上のDNAメチレーションを認識できる制限酵素、HpaII及びHhaIで切断し、ER,PRプロモーター部位のプライマーにてDNAを増幅することによって、ER,PRプロモーター部位のGCの塩基配列にDNAメチレーションがあるどうかを調べる系を確立することができた。現在この系を使ってER,PRの発現低下とER,PRの遺伝子のプロモーター部位のDNAメチレーションの有無の相関性を調べているところである。
著者
馬場 紘彦 江端 正直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.95, no.141, pp.47-53, 1995-07-14

本論文は、救急車の乗務員2,295人に対して、電子サイレン音についての意識調査を行い、出動中における電子サイレン音の効果や心身への影響等を調べたものである。そして主に次の様な結果が得られた。(1)電子サイレン音は、時と場合により音の大きさを変える必要があり、特に交差点や交通の多い所で大きく、住宅や夜間では小さい方が望ましい。(2)一般車が実際に避譲する距離は30m以内で83%である。(3)電子サイレン音は心身に影響があると回答した人は約41%であり、その内容は、頭痛や耳の障害の他、精神的苦痛等さまざまである。
著者
白井 裕子 佐々木 裕子 井上 清美 島田 友子 稲垣 絹代
出版者
愛知医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

1)野宿者の生活への参加観察等から、野宿者の健康や生活上における知恵や工夫について調査を行った。寒さ・暑さ対策、暴行を防ぐ、生活用品の入手方法、その場所に住まい続けるための方法(地域住民との関わり方)などが明らかになった。2)調査で明らかになった野宿者の知恵や工夫を、研究者らが行っている健康支援活動の中で、個々に紹介しながらその人の健康を高める方法をともに考えあった。3)梱包用エアーマットを活用した寒さ対策と、砂糖と塩でつくった経口補水液を活用した熱中症予防の方法について、野宿者に実際に生活の中で試してもらった。効果があったという意見も多く、野宿者に共通して広く紹介できることが明らかになった。
著者
宮田 彬
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.103-108, 2005-03-20

50年にわたり収集した標本を整理中に,ビーク・マークのついたヤガ科の標本が15種27例,ジャノメチョウ類2種2例見つかった.ヤガ科のうち7種14例はCatocala属の蛾で,残りはシタバ亜科の4属4種6例とクチバ亜科の4属4種7例であった.ヤガ科の場合,鳥の攻撃により出来る最も特徴的な傷は同じ側の前翅と後翅に一つずつ合計二つ見られ,翅の位置を静止時の形に戻すと前・後翅の傷が重なることから,静止時に攻撃を受けたことが分かる.また後翅だけに傷を受けている例も多く,このような傷は攻撃直前に蛾が翅を開いて後翅の斑紋を敵に見せて威嚇した結果,生じたものらしい.明らかに後翅の斑紋が,鳥の攻撃をそらし,生存率を高めていると考えられる.筆者はCatocalaが静止したまま後翅を示して敵を威嚇するかどうか未観察である.しかしアケビコノハやムクゲコノハは後翅を開いて後半身を持ち上げるような姿勢をとり威嚇することを観察している.おそらくキマエコノハの後翅の傷は威嚇中に後翅に攻撃を受けたものと思われる.今回ビーク・マークが見つかった蛾は,いずれも九州では個体数が少ない種である.そうでなければ翅が破損している蛾をわざわざ展翅することはない.それゆえ一部の種では,今まで出会った総個体数に対するビーク・マーク出現率を計算することが出来た.その結果,灯火に飛来する蛾のうち20%から40%は,鳥の攻撃から生還した経験を持っていると推定された.ジャノメチョウ類2種の傷は,左右の翅に生じた対称傷で,この場合も翅を背中で閉じている状態で鳥の攻撃を受けたことを示している.
著者
佐々木 惇 中里 洋一 横尾 英明
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究において我々は、グリオーマ組織内tumor-associated macrophages (TAM)に関して、ヒト悪性グリオーマとS100β-v-erbBトランスジェニックラット発症グリオーマ組織を用いて、画像解析による定量的検討と統計学的解析を行い、悪性度の高いグリオーマでTAMの活性化が優位に強いという興味深い成果が得た。さらにラット発症グリオーマはヒト悪性グリオーマと異なり、M2タイプのTAMが少ないことが見出した。以上の結果は、英文雑誌、国内学会とシドニー大学でのセミナーにおいて発表した。
著者
相川清治 等著
出版者
海口書店
巻号頁・発行日
1950

1 0 0 0 OA 軽便消火器

出版者
百工商会
巻号頁・発行日
1894
著者
Hirokazu Ohminami Kikuko Amo Yutaka Taketani Kazusa Sato Makiko Fukaya Takashi Uebanso Hidekazu Arai Megumi Koganei Hajime Sasaki Hisami Yamanaka-Okumura Hironori Yamamoto Eiji Takeda
出版者
日本酸化ストレス学会
雑誌
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition (ISSN:09120009)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.15-25, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1 5

A dietary combination of sucrose and linoleic acid strongly contributes to the development of metabolic disorders in Zucker fatty rats. However, the underlying mechanisms of the metabolic disorders are poorly understood. We hypothesized that the metabolic disorders were triggered at a stage earlier than the 8 weeks we had previously reported. In this study, we investigated early molecular events induced by the sucrose and linoleic acid diet in Zucker fatty rats by comparison with other combinations of carbohydrate (sucrose or palatinose) and fat (linoleic acid or oleic acid). Skeletal muscle arachidonic acid levels were significantly increased in the sucrose and linoleic acid group compared to the other dietary groups at 4 weeks, while there were no obvious differences in the metabolic phenotype between the groups. Expression of genes related to arachidonic acid synthesis was induced in skeletal muscle but not in liver and adipose tissue in sucrose and linoleic acid group rats. In addition, the sucrose and linoleic acid group exhibited a rapid induction in endoplasmic reticulum stress and abnormal lipid metabolism in skeletal muscle. We concluded that the dietary combination of sucrose and linoleic acid primarily induces metabolic disorders in skeletal muscle through increases in arachidonic acid and endoplasmic reticulum stress, in advance of systemic metabolic disorders.