著者
豊田 太郎
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,化学物質受容体やイオノフォアとして機能する膜タンパク質が,厚さ5nmの生体膜において如何に構造形成し,機能するかという非平衡系のダイナミクスを計測する手法の開発を目的とした.夾雑物のないモデル生体膜として袋状脂質二分子膜であるジャイアントベシクルに着目し,mRNAから膜タンパク質が合成される反応系の内封法を構築した.蛍光膜タンパク質の一つであるeGFP-BmOR1をGV内部で合成したところ、これが自発的に膜に組み込まれることを明らかにした.一方,厚み方向でナノメートルの分解能をもつ反射干渉顕微鏡を構築した.これにより,基板上に接着したジャイアントベシクル膜の非平衡状態における特異な変形を観測することができた.以上の成果は,生体模倣反応場であるジャイアントベシクルを用いて,膜タンパク質の形成過程や機能発現に分析化学的にアプローチできる要素技術として重要である.
出版者
海軍省軍事普及部
巻号頁・発行日
vol.一般軍縮会議経過概説. 其ノ六, 1934
著者
進藤 智則 堀切 近史 伊藤 大貴
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.845, pp.55-64, 2003-04-14

知ってますか? 今度の「ASIMO」は走るんですよ。勢いがすごいから,止まるのに100mも必要なんだって(笑)——4月2日に開かれた報道機関向けの内覧会で,こんなウワサが流れた。 実際にホンダが展示したのは,従来と比べ歩行速度を2倍に高めた試作機で「走っている」といえるほどではなかった。
著者
佐久間 尚子
出版者
(財)東京都老人総合研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

年をとると言葉が思い出しにくくなり、しばしばスムーズな会話ができなくなる。こうした加齢にともなう語想起困難のメカニズムがどのようなものかを検討する目的で、健常成人の各年代を対象に、単語を種々の条件下で想起させ、単語の発音までの時間(音読潜時)を指標とした縦断研究(5年間の継時的変化)を行うことを企画した。当初は、視覚刺激が1msec精度で提示でき、音声スイッチによって発音までの時間が計測できるAVタキストスコープを用いて音読潜時を測定しようとした。しかし、5年間の短い期間で健常成人の加齢変化を鋭敏に捉えるには、刺激提示の精度ばかりでなく、音読潜時の正確な測定も必要となる。従来は、発声にともなう音圧が一定レベルを越えた時点を発話開始の時点とみなし、この時間までを音読潜時としてきた。しかし、この方式では、発音の出だしから強い音声が出るものはうまく検出できるが、出だしが弱い音声は開始時点をうまく検出できない可能性があり、問題がある。そこで本研究では、最初に、音読潜時を正確に測定するシステムを作成し、次に、健常成人の実験データを得ることにした。今回は、従来の音声スイッチによる時間計測に加え、その前後の音声を録音し、後で音声解析を行って、正確な音声の開始時点を求める方法を用いた。若年成人10名に、平仮名1文字の音読潜時を求めたところ、出だしから強い音声が出る母音(あいうえお)は、音声スイッチと実際の発話潜時との差が平均20msec以内になるのに対し、出だしが弱い摩擦音(例:さしすせそ)はその差が平均100msec以上となり、音声の種類によって音読潜時が変わることが明らかとなった。以上より、単語の音読潜時を指標とする場合は、条件間で語頭をそろえる必要性が確認されたので、現在までに語頭を揃えた種々の刺激リストを用意した。今後は、各年代の健常成人を対象とした音読実験を行い、5年間の継時的変化を検討する予定である。
著者
Keizo KOHNO Iwao OKAMOTO Osamu SANO Norie ARAI Kanso IWAKI Masao IKEDA Masashi KURIMOTO
出版者
(社)日本農芸化学会
雑誌
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (ISSN:09168451)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.138-145, 2004 (Released:2004-01-24)
参考文献数
27
被引用文献数
181

In this study, we have examined the anti-inflammatory actions of royal jelly (RJ) at a cytokine level. When supernatants of RJ suspensions were added to a culture of mouse peritoneal macrophages stimulated with lipopolysaccharide and IFN-γ, the production of proinflammatory cytokines, such as TNF-α, IL-6, and IL-1, was efficiently inhibited in a dose-dependent manner without having cytotoxic effects on macrophages. This suggests that RJ contains factor(s) responsible for the suppression of proinflammatory cytokine secretion. We named the factor for honeybees RJ-derived anti-inflammatory factor (HBRJ-AIF), and further investigated the molecular aspects of it. Size fractionation study showed that HBRJ-AIF is composed of substances of low (<5 kDa) and high (>30 kDa) molecular weights, with the former being a major component. Chromatographic analysis showed that MRJP3 is one candidate for the HBRJ-AIF with high molecular weights. Thus, our results suggest that RJ has anti-inflammatory actions through inhibiting proinflammatory cytokine production by activated macrophages.
著者
新谷 周平
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.51-78, 2004-01-31

フリーターやフリーター希望者に特徴的な意識として現在志向や「やりたいこと」志向が指摘され,それに対して,職業や将来への意識を高めるための施策が提起されている.しかし,それらの志向の内実は何であり,彼らはなぜそうした志向性を持つのだろうか.本稿では,フリーター選択プロセスを把握することにより,「やりたいこと」志向とされてきたものの内実を明らかにすることを目的とする.インタビューの分折からは,フリーターを選択し,その状態を維持する要因として,生活手段を獲得するための道具性だけではなく,情緒的安定を可能にする表出性が充足されていることを指摘することができる.「やりたいこと」志向とは,さしあたり表出性を求めながら,道具性の獲得を求めていることを対外的に示す言葉だと解釈することができる.それゆえ,彼らの表出性に配慮しない政策は,その有効性を主張することができないであろう.
著者
中曽根 英雄 山下 泉 黒田 久雄 加藤 亮
出版者
Japan Society on Water Environment
雑誌
水環境学会誌 = Journal of Japan Society on Water Environment (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.374-377, 2000-06-10
被引用文献数
10 16

We found a special irrigation reservoir in which there are no algae, insects, or fish. Therefore, we have surveyed the water quality of an irrigation reservoir to find the reason for no living creatures. As the results of the survey, we found three factors such as high nitrate concentration, high aluminum concentration, and low pH value which will affect the lives of creatures in this irrigation reservoir. Among these three factors, the most important one is low pH in this irrigation reservoir. This low pH of the irrigation reservoir is derived from the overuse of nitrogen fertilizer at tea yards. About 1,000kg · ha<sup>-1</sup> · y<sup>-1</sup> of nitrogen fertilizer has been used to the tea yards for a long time. The remained nitrogen fertilizer which was not taken up by tea crop infiltrates through soils and enters into the ground water. This causes an over the Cation Exchange Capacity of soil and high aluminum concentration of this irrigation reservoir. To prevent this phenomenon from occurring, dozing lime under the root zone and reducing use of nitrogen fertilizer might be effective.
著者
鈴木 康子
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の第一の課題は、近世の幕府による対外政策の推移を、長崎奉行の職掌の変化や、就任者の傾向を分析することにより明らかにすることであった。これについては、『長崎奉行の研究』(思文閣出版、2007)により明らかにした。特に注目すべき点は、(1)近世初期の長崎奉行とその職掌これについては、さまざまな論考を紹介しつつ、重要な職掌としてはキリシタン取締、貿易統制にあったとした。そして、この段階において、長崎奉行の地位は低く抑えられており、幕府直轄領の長官として政治的な役割が重視されていた。(2)貞享〜元禄長崎奉行制度の変化1685年に御定高制度が設立さ…れ、それに多大な貢献をした川口摂津守の活躍により長崎奉行の地位は、90年代に上昇してゆく。一:方その背景には、幕府財政が窮乏してきたため、長崎貿易からの利潤をを収公しようとする幕府の思惑も働いていた。これにより、幕府は外国貿易を評価するようになり、これに伴い近世初期から根強くあった幕府の外国(人)蔑視に変化が見られた。それと同様に、長崎奉行職の重要性も認識されるようになった。(3)長崎目付創設1715年の正徳新例制定時に長崎目付も創設された。これ以後享保期においては、長崎目付経験者が長崎奉行に就任する事例が多くなった。これは、一面長崎地下人の統制に幕府が目を向けるようになったためである。(4)元文〜天明期までの長崎奉行就任者の傾向1732年に享保の大飢饉が起こり、長崎貿易も停滞:した。それを打開するために1736年に、それまで勘定所関係役職を歴任してきた萩原伯看守が長崎奉行に着任した。これ以後、長崎奉行就任者は、勘定所と緊密に関わる者が就任する傾向が見られるようになった。その中で、寛延〜宝暦初期には松浦河内守、宝暦後期〜明和期には石谷備後守が勘定奉行と長崎奉行を兼職して、長崎貿易改革を実施した。この時期、長崎奉行は急速に経済官僚化して勘定所との関係を深めてゆく。そして近世初期のキリシタン取締から、幕府財政を支える長崎貿易の管理者として、貿易から最大の利潤を幕府に収公させること:が重要な職務となったのである。本研究の第二の課題は、オランダ東インド会社による対日貿易政策であるが、2回にわたってオランダのライデン大学とハーグ国立公文書館において、関係文献、史料の収集に努めた。また、東京大学史料編纂所に所蔵されている「日本商館文書」のマイクロフィルムも複写した。これにより、今後18世紀を中心としたオランダ側の対日貿易政策の推移と、その背景としてのアジア・ヨーロッパ市場の動向を分析する予定である。
著者
汐崎 順子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

戦後の日本における公立図書館の児童サービスの動きと,関連する諸要素の動きの調査・研究等から,1)児童サービスの発展には人的要素の影響が大きかったこと,公立図書館全体の流れと異なる独自の動きがあったことを明らかにした。2)児童図書館員の教育体制,職の機会について米国との相違を明らかにした。3)公立図書館の利用が,子ども時代の読書の外的要因となることを実証的に示した。4)児童書の出版と文庫の動き,および両者と児童サービスとの関係を検証した。
著者
安村 幹央 飯田 辰美 後藤 全宏 岡田 将直 村瀬 勝俊 水谷 知央 二村 直樹 阪本 研一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.347-351, 2002-03-01
被引用文献数
7

症例は81歳の男性.発熱,腹痛を主訴に来院した.腹部CTで腹腔内のほぼ全域で腸管壁内と思われる嚢胞状ガスを認めた.また,腹腔内遊離ガス,右腎尾側に5×5cm大の充実性腫瘤像を認めた.結腸腫瘍による腸管閉塞,消化管穿孔性腹膜炎と診断し,緊急開腹術を施行した.上行結腸に腫瘍を認め,右半結腸切除を施行した.Treitz靭帯の肛門側120cmから回盲部の口側40cmまでの回腸,左側結腸の漿膜下および腫瘍近傍の腸間膜に嚢腫様気腫性変化を認めた.腫瘍は粘液癌で,se,ly3,v0,n0,ow(-),aw(-),ew(-),stage IIであった.腸間膜の嚢腫様気腫内にも癌細胞が認められた.大腸癌を合併した腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:以下,PCIと略す)の報告は少ない.PCIの成因には大腸癌による腸閉塞状態が関与したと思われた.
著者
会見 忠則
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

毒きのこ等難栽培性きのこ栽培のための基盤技術開発のために,ツキヨタケの人工栽培を確立すると共に,その毒成分であるイルジンSが,子実体で濃縮されると同時に,抗線虫活性を有し,自然界での生存戦略に寄与していた.ニガクリタケの人工栽培では,菌糸蔓延後,放置したままでは,原基形成までしかできないが,ガス交換により,子実体を発生させることができた.その他に,鳥取大学農学部及び同附属菌類きのこ遺伝資源研究センター保有の42種62株(腐生菌20種40株,毒きのこ4種11株,食毒不明22種22株)を用いた栽培試験を行い,22菌株で,良好な菌糸蔓延が観察でき,その内,1菌株で,子実体が発生させることができた.
著者
石井 正子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、フィリピン南部の紛争アクターのうち、1)モロイスラム解放戦線(MILF)、2)モロ民族解放戦線(MNLF)EC15派、3)MNLFミスワリ派の3つに注目し、主に関係者へのインタビュー調査を通じて、その動向を分析した。MNLFと政府との和平合意の行方が混迷するなか、MILFは支持者を増やし、MNLFは分裂弱体化している実態が理解できた。一方、MILFも政府との和平交渉が進まないなか、支持者の裾野は広げつつも、内部に意見相違があることが分かった。これらの研究調査により、紛争が長期化する原因について理解を深めた。
著者
竹内 和航 若林 靖史 山崎 恭平 堀込 実岐 黒河内 典夫
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1466-1471, 2011

症例は58歳, 女性. 2004年(52歳時)ころより, ときどき動悸発作があり, 数回, ホルター心電図などで精査されたが, 異常は認められなかった. 2010年4月(58歳時)に動悸が24時間継続するため受診したところ, 心電図で心拍数202/分の心室頻拍(ventricular tachycardia; VT)を認めた. 同期下電気的除細動にて洞調律復帰としたうえで, 精査加療目的に入院となった. 入院中に行った前斜角筋リンパ節生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫と多核巨細胞の組織像を認めた. また, 心臓超音波では心室中隔基部の菲薄化と左室収縮不全, 心尖部心室瘤とその内部の血栓を認めた. 胸部X線では両側肺門部リンパ節腫脹を認めた. <sup>99m</sup>TCシンチグラフィでは心室瘤に一致して取込み欠損, ガドリニウム造影MRIでは心筋中層の遅延造影を認めた. 1臓器にサルコイドーシスに特徴的な組織像を認め, かつ心臓病変を強く示唆する臨床所見も満たし, 心サルコイドーシスの診断となった. アミオダロン内服中の心室頻拍誘発試験で非臨床的VTではあるものの, 約11秒間のVTが誘発された. 植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)植え込み術を施行し, プレドニゾロン内服も追加し, その後, 良好な経過を得ている.<BR>心サルコイドーシスでは, 心尖部に心室瘤を合併するのは稀である. また, 本例ではVTの起源は心室瘤周囲とは断定できず, 複数の起源であることも考えられた. よって, 治療としてカテーテルアブレーションではなく, ICD植え込み術による治療を選択した.
著者
東京市商工課 編
出版者
東京市商工課
巻号頁・発行日
vol.青果物之部, 1926
著者
飯泉 仁
出版者
東京大学
雑誌
東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 (ISSN:13448420)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.59-60, 2002-03-29

平成12年度共同利用研究集会「北海道, 東北沿岸の海草藻場ワークショップ」(2001年3月7日~9日, 研究代表者:相澤啓子)講演要旨Workshop of the studies on the seagrass beds in Hokkaido and Tohoku areas(Abstracts of scientific symposia held at Otsuchi Marine Research Center in 2000)