著者
勝木 渥
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.44-47, 1986

この保留扱いになった私の論文は,私の二直線電流間の力を特殊相対性理論の立場から導き出すことを試みた論文に対する染谷氏の批判に反論するものであった.先の私の試みは,論文の中で自ら指摘しておいたとおり,「厳密な正確さ」には欠けていたが,青野氏・平山氏の指摘のとおりに修正すれば(たとえば,もとの論文の式(22)の2倍から青野氏の指摘によるクーロン力を差し引く)「厳密に正確な」ものとなる.私は染谷氏の批判を,オーソドックスなロレンツ変換をふまえた立場からの物理学的に正しい批判である,とは考えない.青野氏・平山氏の教示によって,私の取扱いは「厳密に正確であって,かつ面白い」取扱いになりえたのだと思う.討論期間中に染谷氏と討論したが,私の所論を変更すべき理由は何もないと私は考えるので,以下には1984年8月14日に受理された保留論文をそのまま書き,さらに,討論参加のさい提出した補足(1984.12.11受理)を付け加える.私の見解はこれらの中に明解に述べられていると思うからである.
著者
村瀬 敏之 大槻 公一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

サルモネラに感染した鶏は本菌に汚染された鶏卵を産出する可能性がある。産卵直後では卵黄よりも、菌の増殖には適当な環境ではない卵白内に菌が存在する場合が多いといわれているため、鶏卵内のサルモネラは、卵黄膜を介して卵黄内に侵入することによって増殖を開始すると考えられる。本研究では実験的汚染モデル卵を用いて、卵内におけるサルモネラの動態を各種血清型間で比較し、抗サルモネラ卵黄抗体の存在がサルモネラの動態に及ぼす影響を検討した。SPF鶏卵の卵黄膜上にサルモネラ(SE並びに血清型インファンティス(SI)及びモンテビデオ(SM))の生菌を100個接種し、25℃で6日間インキュべートしたところ、卵黄内への侵入率及び卵黄内菌数は血清型間で有意な差を認めなかった。また、本菌が卵白内を卵黄に向かって運動することはまれであるが、卵黄の近傍に存在することは増殖に好都合であることが示唆された。SM自然感染を認めるコマーシャル産卵鶏が産出した卵の抗サルモネラ卵黄抗体を検討したところ、断餌による換羽の誘導に伴い感染した鶏が増加した可能性が示唆された。供試卵からサルモネラは検出されなかった。不活化SEワクチンを接種したコマーシャル採卵鶏が産出した卵とSPF卵を用いて、汚染モデルによりSEの卵内動態を比較した。卵黄内への侵入性には両卵のあいだに差が認められなかった。しかし、卵黄にSEを直接接種し24時間後の生菌数は、SPF卵に比べワクチン接種鶏から得られた卵において有意に少なかった。したがって、卵黄内のSEの増殖が卵黄抗体により阻害される可能性が示唆された。
著者
荒木 仲
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.80-81, 1964-02-25

東京女子医科大学々会第122回例会 昭和38年12月12日(木) 東京女子医科大学本部講堂
著者
山下 祐介
出版者
弘前大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究では「創発性」の概念をめぐって、次のような形でその明瞭化を試みた。まず理論研究として、社会学における「創発」概念の取り扱いについて、おもにG.H.Meadの理論に依拠しながら吟味を行った。人間的な意識発生のプロセスそのものに、そもそも創発性の契機が内存していること、またそうした個人の中からわき出てくる創発性が、社会の創発性にどのようにしてつながっていくのかを検討していった。またこうした理論的吟味と並行しながら、実態調査として、いくつかのネットワーク型組織を調査した。(1)長崎県雲仙普賢岳噴火災害・阪神淡路大震災のそれぞれの災害における災害ボランティアの活動から、非日常時のネットワーク組織を、(2)過疎地域・都市地域での地域づくりグループの活動から、日常時のネットワーク組織を、という形で、ネットワーク団体の形成・発展・解消の過程を比較検討していった。以上の研究を通じて、「創発性」概念が、社会を考察する上できわめて重要な位置を占めていることを確認した。と同時に、この「創発性」の社会学を、これまで社会学が主に手がけてきた「共同性」の社会学と接続していく必要であるとの感触もえた。とくに問題解決プロセスの中で、社会の「創発性」および「共同性」がいかに位置づけられるか、に注目すべきである。両概念の接続により、社会学の理論研究および実証研究のさらなる進展が見込まれるが、本研究ではこの点の指摘にとどまった。
著者
梶本 裕之 川上 直樹 前田 太郎 舘 暲
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.120-128, 2001-01

経皮電流刺激により皮膚感覚を提示する触覚ディスプレイを提案する。過去の多くの皮膚感覚ディスプレイでは言語報告によって表される種々の感覚(圧覚、振動覚、手触り等)を表現するTop-downの設計法がとられてきたが、それらの感覚は各種感覚受容器の活動を組み合わせた結果であるため、こうして設計されたディスプレイはある限られた感覚を提示するにとどまっていた。これに対して我々の方針は、感覚神経をその種類別に刺激するというものである。種類別刺激が可能であれば、それらを組み合わせることであらゆる感覚を生成することができるだろう。これらの刺激を、視覚との類似性から「触原色」と呼ぶことにする。刺激手段として皮膚表面からの電気刺激を用いる。電気刺激自体の歴史は古いが上記のような原色作成の試みはなく、多くが単なる特殊感覚のad-hocな生成に終わっている。本論文では受容器選択的刺激のための二つの方法を提案する。一つはアレー状電極を用い、各電極の重み付け変化で刺激深度を変化させる手法である。もう一つはこれまでの経皮電気刺激が陰極電流を刺激として用いていたのに対し、陽極電流を使うことで神経軸索の方向に選択的な刺激を行う手法である。
著者
図子 夏彦 森 文彦 菅野 直敏
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 : BMFSA
巻号頁・発行日
no.24, pp.123-126, 2011-10-29

A psychological experiment of two conspicuous objects extraction from a shortly presented color image by human, was executed using a display with the touch panel. Our results are as follows: (1) Subjects touched the center of the conspicuous object. (2) Large object was more conspicuous than small object. (3) An individual difference in response time and touched location was not so large. (4) The individual touched frequency for an image including three or more objects was about equal.
著者
柴草 良悦
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.341-345, 1973-11-25

生長休止期である1972年12月12日に採取した24年生トドマツ葉の生長抑制物質を調べた。その結果, アベナ伸長試験で強い抑制作用を有する生長抑制物質のひとつは, 薄層クロマトグラフィー, ガスクロマトグラフィーによって, アプサイシン酸であると試験的に同定された。
著者
内田 隆文 岩下 志乃
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.47-50, 2011-03-08

本研究では,Web画像閲覧時のユーザの視線の動きを測定し,1)ユーザの閲覧経験,2)Webページへの興味度,3)レイアウトの違いの3点において視行動特性に違いがあるかどうかを分析する.被験者は用意されたWebページ画像から提示された課題を探索する視覚探索課題を与えられ,その間の注視点計測を行う.被験者がWebページ画像を過去に閲覧したことがあるかどうかと,そのWebページに対する興味度をアンケートで調査し,注視点移動の特徴との関連性を分析する.また,レイアウトの違いによる特徴を確認する.その結果,閲覧有無や興味度により探索率には変化があり探索時間には変化が無いこと,シンプルなレイアウトは探索時間が短くなることが分かった.
著者
田邊 平學
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.45, no.542, pp.159-171, 1931-02-25

本文は昭和5年12月12日學會主催の伊豆地方震災に關する講演會の席上「震害調査の感想」と題して講演したものゝ要旨を補足したるもので、内容は筆者が今回の震災地に於て特に注意して調査したる木造建築物に於ける筋違の効果に關して之を 1. 緒言 2. 開放的構造による被害 3. 筋違の効果 4. 筋違の使用上注意を要すべき諸點 5. 結語 の5項に分ちて述べ、結語に於ては特に今囘の震災調査の結果痛感したる所に基き耐震的効果の確實に認めらるゝ構造手法に對しては之を法規の力を用ひて全國的に強制すべき事を強調するものである。
著者
濱田 和明 浦辺 幸夫 山中 悠紀
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.89-93, 2012 (Released:2012-03-14)
参考文献数
20

The aim of the present study was to investigate whether personal hamstring muscular activation increased by landing with the trunk bent forward. First, 14 healthy female university students were instructed to perform normal drop landing from a 40 cm-high box on both legs. Second, subjects were directed to perform drop landing with the trunk bent forward. Using images obtained from a high-speed video camera, the upper center of mass was calculated in the sagittal plane for determining the differences in these landings. For 0.1 second after toe contact, the muscular activation of quadriceps femoris and hamstring muscles was analyzed using an electromyogram (EMG), and these findings were compared between the 2 types of landings. There was no significant difference in the activation of quadriceps femoris, but the activation tended to decrease during landing with the trunk bent forward. However, the activation of hamstring muscles increased significantly during landing with the trunk bent forward compared with that during normal landing. During landing with the trunk bent forward, the activation of hamstring muscles increased, and the activation of quadriceps femoris tended to decrease. Because contraction of hamstring muscles decreases tension in the anterior cruciate ligament, the findings of this study may help in the prevention of anterior cruciate ligament (ACL) injury.
著者
捧 隆二 中村 聡史 田中 克己
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-7, 2012-12-05

デジタルカメラの低価格化に伴い,日常的に大量の写真を撮影する人々が増えてきている.それに伴い,個人の写真集合の中から写真を検索するニーズも増加している.既存の写真ブラウザは時間・位置・人物情報を用いて写真を検索することができるが,ユーザは自身の属する社会的コミュニティのいずれかに属する写真が欲しいというニーズを持つこともある.そこで,本研究はコミュニティをベースとした個人画像の検索を実現することを目的とする.本稿ではまず,個人の写真集合の中から個人間の社会的関係性の強弱を推定する.そして,その社会的関係性に基づき,人間関係をネットワーク化し,それをさらにクラスタリングすることで,社会的コミュニティの抽出を試みている.More and more people take many photos routinely with appearance of digital camera. And the need to search for photos from personal photos has been increasing. Existing photo browsers can search for photos using the time-position and human information. But The user may want to search a photo related one of their own social communities. Therefore, this study aimed to realize personal image retrieval based on the community. In this paper, we estimate the strength of social relationships between individuals in a set of personal photos. Based on the social relationships, we network relationship, cluster the network, and find the social communities.
著者
市村 哲 福島 敏行 梁 超
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.1-6, 2010-05-13

本稿では,写真共有と Twitter 投稿によるコミュニケーションが可能なデジタルフォトフレームシステム 「TwiPhoto」 を提案する.ユーザは,携帯電話またはデジカメで撮った写真や写真に対するコメントを本システムの画像掲示板に自由にアップロードできる.投稿した写真やコメントは,Twitter にも並行して投稿され,自分の Twitter ホームに掲載される.フォトフレームを起動すると,自分が Twitter でフォローしている友人らの新規投稿写真を自動的に取得して,画面上でスライドショー表示を見ることができる.このとき写真についているコメントが写真の上に重畳して流れる.さらに,見ている写真に対して携帯電話を利用してコメントを追加投稿することも可能である.TwiPhoto 開発の背景,システムデザイン,実装,評価について主に述べる.In this paper, TwiPhoto, a digital photo frame enabling online communication through sharing photos and twitter comments, is proposed. You can upload comments and photos taken by digital camera or mobile phone to the bulletin board system on the Internet. The uploaded comments and photos are also posted into Twitter. When you start photo frame, the photo frame automatically downloads comments and photos that were uploaded by your friends that you are following in Twitter, and shows the downloaded comments and photos in a slide show manner. You may add comments on the photo displayed on your photo frame by using a cell phone. System designs, implementation issues and evaluation are described.