著者
猪俣 健 青山 和夫
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族学研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.370-392, 1996-12

本稿の目的は,古典期マヤ社会に中心地論を適用し,市場経済の未発達な先産業社会においても,経費の極小化という経済合理性が,集落等の空間配置に大きな影響を与え得ることを示すことである。そのため,ホンジュラス,ラ・エントラーダ地域における調査から得られた古典期マヤ・センターに関するデータの分析を通し,中心地論の理論的モデルに近い経済空間構造が存在したことを論ずる。食料のような嵩張る生活必需品を政治組織の財政基盤としながら,効率的な輸送手段を持たなかった古典期マヤ社会では,移動と輸送におけるコストを極小化することが非常に重要であり,規則的な中心地分布は,その点で最も合理的であったと考えられる。また,人口密度やセンターの規模の違いにもかかわらず,各地のマヤ・センターの間隔がほぼ一貫していることは,各センターの領域が人力による食料等の移動距離により強く規定されていた可能性を示唆する。
著者
鈴木 範男 DAVID L. Gar GARBERS david L. GARBERS Davi
出版者
金沢大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

精子活性化ペプチド(SAP)は構造と活性の特異性から次ぎの5種類に分けられる。SAP-I Gly-Phe-Asp-Leu-Asn-Gly-Gly-Gly-Val-GlySAP-IIA Cys-Val-Thr-Gly-Ala-Pro-Gly-Cys-Val-Gly-Gly-Gly-Arg-Leu-NH_2SAP-IIB Lys-Leu-Cys-Pro-Gly-Gly-Asn-Cys-ValSAP-III Asp-Ser-Asp-Ser-Ala-Gln-Asn-Leu-Ile-GlySAP-IV Gly-Cys-Pro-Trp-Gly-Gly-Ala-Val-CysSAP-V Gly-Cys-Glu-Gly-Leu-Phe-His-Gly-Met-Gly-Asn-CysSAP-Iの場合SAP-Iとその誘導体はより大きな前駆体タンパク質として卵巣内の栄養細胞で合成され,processingを受け成熟卵母細胞の周囲のゼリー層付加されるものと考えられる。SAPが精子細胞膜上の特異的受容体に結合すると,細胞膜上のリン酸化型グアニル酸シクラーゼが付活化され,直ちに脱リン酸化され,不活性化される。この脱リン酸化に伴って膜結合性グアニル酸シクラーゼのSDS電気泳動上の見かけの分子量が低下する。バフンウニ精子の膜結合性グアニル酸シクラーゼは構成アミノ酸1125残基のタンパク質として合成されるものと考えられる。この酸素の成熟タンパク質のリン酸化型は131kDaで脱リン酸化型は128kDaである。リン酸化型グアニル酸シクラーゼは約24molのリン酸を含み,脱リン酸化型は約4molのリン酸を含む。これらのリン酸はホスフォセリンとして存在するものと考えられる。バフンウニ精巣からクローニングされたグアニル酸シクラーゼcDNAの塩基配列から予測されるタンパク質の一次構造の解析及び他の膜結合性グアニル酸シクラーゼの一次構造との類似性から,バフンウニ精子の膜結合性グアニル酸シクラーゼは単一の膜貫通領域で分子がほぼ等分の細胞外,細胞内領域に分けられ,細胞内領域にはキナーゼ様領域と触媒領域が存在するものと推定される。キナーゼ様領域には9残基のセリンが,触媒領域には15残基のセリンが存在する。グアニル酸シクラーゼの脱リン酸化,不活性化及びSDS電気泳動上の見かけの低分子化が連動した現象であることを着目し,プロテインホスファターゼの阻害剤存在下で精子ホモジェネートにSAP-Iを加え低分子化を指標として脱リン酸化(不活性化)に関与するプロテインホスファターゼの性質を検討した結果12μMのカリキュリンAが低分子化を約30%抑制し,かつグアニル酸シクラーゼ活性を高いレベルに維持する作用があることを見いだした。オカダ酸,ミクロシスチン-LRはSAP-Iによって誘起されるグアニル酸シクラーゼの低分子化及びそれに伴う不活性化には顕著な効果を示さなかった。酸素活性の測定及びSAP-I架橋実験の結果からグアニル酸シクラーゼ及びSAP-I結合タンパク質は精子尾部に局在していることが明かにされたが,精子尾部に存在するCa^<2+>非依存性プロテインホスファターゼは分子量の違いから3種類(250kDa,43kDa,30kDa),オカダ酸に対する感受性の違いから2種類存在することが本研究で明かにされたが,これだけでは上記のホモジェネートを用いた実験結果を説明することができないことから,グアニル酸シクラーゼの脱リン酸化を特異的に起こすプロテインホスファターゼの検索をするために基質となるグアニル酸シクラーゼ(部分精製の脱リン酸化型酵素)をcAMP依存性プロテインキナーゼの触媒サブユニットと[r-^<32>P]ATPによる再リン酸化を試みたが成功しなかった。膜結合性グアニル酸シクラーゼを特異的にリン酸化する精子細胞内の内在性キナーゼを検索する過程で,バフンウニ精子の1%CHAPS可溶化画分中にセリン残基が特異的にリン酸化される48kDaタンパク質を見いだした。[r-^<32>P]ATPでリン酸化される精子ホモジェネート中の48kDaタンパク質は反応液中に生理的濃度のcAMP,cGMPを加えることによって特異的に脱リン酸化された。精製の結果この48kDaタンパク室は等量の39kDaタンパク質と会合しており,native状態では400kDaの大きさのタンパク質として存在していることが明らかになった。48kDaタンパク質に対する抗体を作成し,これを用いて,λgt11-バフンウニ精巣cDNAライブラリーよりイムノスクリーニングした結果3.3kbのcDNAクローンが得られた。このcDANの塩基配列はマウス脳皮質に局在するDN38mRNAと60%のホモロジーがあった。

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1932年04月21日, 1932-04-21

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1932年06月18日, 1932-06-18
著者
戸板 律子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.19, pp.32-45, 2012-07-21

『世界一おかしなシャンソン史』は、ユーモア・シャンソンのグループであるシャンソン・プリュス・ビフリュオレによる、シャンソンの歴史を題材にしたショウである。シャンソン史というスケールの大きなテーマが、いかにして笑いのあるエンタテインメントになっているのか。まずその演目を史実と対照させてみると、シャンソンの変遷の大きな流れをおさえながら、周知のトピックだけでなく興味深い細部にも光を当てていることがわかる。次に笑いがどのように組み込まれているかをみると、グループの持つ様々な音楽パロディの手法と幅広いレパートリー、並びにデビュー当初から積み重ねてきた、音楽と笑いを融合した舞台構成の工夫が活かされていることがわかる。こうして、出演者はメンバーの3人のみながらバラエティ豊かな舞台表現となっており、笑い・ユーモアによって、シャンソンというフランスが誇ることのできる文化を、教養主義でも懐古趣味でもなく再発見できるものとなっている。
著者
浦 和男
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.19, pp.18-31, 2012-07-21

現在の笑い研究は、今という時間に視座を置く共時的な分析が中心を占めている。しかし、昭和3年に柳田國男が指摘したように、笑いを知るためには、日本人が何を笑ってきたのか、という時間軸上の流れを追う、通時的な分析も同時に行われる必要がある。それによって、日本人の伝統的な笑い、ユーモアが明らかになり、笑い、ユーモアとは何かを明らかにする手立てが用意されることになる。社会相、文化相は、これまでに十分な考察が行われてきたが、笑い相とも呼ぶことができる面の分析は、まだまだ不完全である。本稿では、明治期以降の近代的な笑いが熟成すると考えることができる昭和初期の笑い相について、昭和3年に出版された「現代ユウモア全集」などを通じて分析を施し、近代日本の形成と共に熟成した近代日本の笑い、ユーモアの姿を解明する。その笑い、ユーモアは、伝統的な日本の笑い、ユーモアと共通するものであることも論じる。
著者
Teruaki Mukaiyama Shu Kobayashi Hiromi Uchiro Isamu Shiina
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.129-132, 1990 (Released:2006-05-08)
被引用文献数
31 83 76

Highly enantioselective aldol reaction of silyl enol ethers with aldehydes is performed by the use of a catalytic amount of chiral diamine coordinated tin(II) triflate according to a slow addition procedure.
著者
花屋 雅貴 稲富 猛 西垣 正勝 佐藤 文明 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.35, pp.117-122, 1997-04-24
被引用文献数
1

プロトコルの仕様記述言語LOTOS[1]を用いた応用としてテスト系列の生成、ソフトウェアへの応用など様々な研究がなされている。近年高速なネットワークの研究、開発によりプロトコルはより高速な動作を求められている。そのためプロトコルをハードウェアで実装することがしばしば行われている。そこで本稿ではLOTOSからハードウェア記述言語VHDL[2]への変換方針を提案する。これによりプロトコルのハードウェアによる実装の際、より早いプロトタイプの作成及び計算機上での動作確認が可能になると思われる。また、LOTOSからVHDLへの変換のために「同期ゲート」、「セレクタ」ハードウェアモジュールを導入する。FDT(Formal Description Techniques) LOTOS is applied to generating test sequences, implementing software and so on. Nowadays high speed networks are researched and developed, so protocols are asked for higher speed behavior. Therefore protocols ate implemented hardware in order to satisfy this demand. Now this paper proposes translating FDT LOTOS into HDL(Hardware Description Language) VHDL. We think that it is possible for this proposal to make a prototype quickly and to confirm the behavior on computers. And we introduce「synchronism gate」and「selector」which are made as hardware module in order to translate LOTOS into VHDL.
著者
Miyazaki Takamichi Futaki Sugiko Suemori Hirofumi Taniguchi Yukimasa Yamada Masashi Kawasaki Miwa Hayashi Maria Kumagai Hideaki Nakatsuji Norio Sekiguchi Kiyotoshi Kawase Eihachiro
出版者
Nature Publishing Group
雑誌
Nature communications (ISSN:20411723)
巻号頁・発行日
vol.3, 2012-12-04
被引用文献数
287

細胞接着タンパクを用い、 安全・高効率なヒトES / iPS細胞の培養法を開発 : 幹細胞実用化に必要な品質保証・大量生産に向けて前進. 京都大学プレスリリース. 2012-12-05.
著者
今井 浩三 豊田 実 佐藤 裕信 篠村 恭久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.362-367, 2006-02-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10

遺伝子のメチル化は, シトシンとりわけCpG配列に特異的に起こるDNA修飾である. 遺伝子のメチル化は遺伝子変異, 欠失とならび, 癌抑制遺伝子不活化の第三の機構として重要である. 異常メチル化により, 細胞周期調節遺伝子やアポトーシス関連遺伝子, DNA修復酵素など様々な遺伝子が不活化を受ける. メチル化の網羅的解析から, 一部の腫瘍ではCpG island methylator phenotype (CIMP) を示し, 癌においてメチル化の制御機構が破綻していることが示唆される. メチル化の標的遺伝子が明らかになるにつれ, 異常メチル化を腫瘍マーカーや抗癌剤感受性の指標として用いる試みもなされている. また, メチル化を阻害することにより不活化されている遺伝子を再発現させ, 癌細胞に分化やアポトーシスを誘導することが可能になりつつある.