著者
佐藤 忠弘 新谷 昌人 今西 祐一 大橋 正健 福田 洋一 田村 良明
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は科研費の最後の年度であり、神岡超電導重力計(SG)の性能の向上、特に冷凍機関係の性能向上を図るため、筑波大学研究基盤総合センター低温部門の池田博講師に、また、従来も共同研究をしてきたJSPSの外国人特別研究員(水沢勤務)Severine Rosat博士の2名に研究協力者として参加してもらった。スマトラ・アンダマン地震(Mw=9.0-9.3)の信号は世界の多くのSGで明瞭に捉えられた。神岡、松代を含む世界13ケ所のSG記録を使い、地球自由振動_0S_0モード(地球の半径が変化するモード)の解析結果を出版した。従来の研究で、このモードの地球の扁平度、回転の影響(緯度依存性)は知られていたが、緯度のみのならず、経度方向にも変化すること、また、その変化が3D-地震波トモグラフィーを使ったモデル計算から予測される分布と矛盾がないものであることが分かった。これは、世界初である。神岡と松代の解析結果は観測誤差の範囲で一致しており、解析の信頼度を測る目安になった。本科研費で実施した一連の観測・研究の大きな成果と言える。観測された_0S_0の振幅変化幅は全地球で2%程度の小さなものである。しかし、本研究の結果も示すように、振幅変化は地球の横方向の構造変化に敏感で、地球内部構造の研究にとって重要と言える。SGは絶対重力計を使い0.1%以上の精度で検定されている。これが、このような微小な現象が議論できる基礎になっている。しかし、SG観測点の数は、国際観測網で使われている地震計の数に比べ圧倒的に少ない。一方、地震計の振幅精度は数%程度で、これを0.1%台に向上できれば、地球内部構造の研究に大いに寄与すると言える。地震計検定の精度向上を目指し、本研究のレーザ歪計グループが開発したレーザ地震計とSGとの比較観測を、本年度、神岡で開始した。重力観測への大気圧変動、海洋変動の影響についての研究でも、大きな進展がみられた。なお、絶対重力計FG5によるSGの検定を3回(江刺1回、神岡2回)実施した。
著者
田代英哉
雑誌
乳癌の臨
巻号頁・発行日
vol.14, pp.251-254, 1999
被引用文献数
4
著者
HORTON William・B
出版者
早稲田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

第2次世界大戦の終戦日は、インドネシアにとって独立戦争という新たな戦いの始まりの日であり、インドネシアで半生を送った熊本県出身の復帰邦人アブドラ・ラフマン・イチキ(市来竜男)にとっては、祖国日本と決別し第2の祖国インドネシアの独立戦争に本格的に身を投じた時期でもあった。その後、市来は1949年1月9日オランダ軍の銃弾に倒れ、東部ジャワ島ダンピット村で42年の人生の幕を閉じた。当研究の目的は、民間人市来が、なぜ戦後の早い時期からオランダから追跡されなければならなかったのか、なぜインドネシア国軍との連携が図れたのかを解明することであった。調査は、市来および独立に関わった日本人に関する戦前から戦後に至るインドネシア及び和蘭の史・資料を収集し読み解くことが中心となり、オランダ国立公文書館三館所蔵の公文書収集調査、早稲田大学中央図書館で当時の文献資料収集調査を行った。公文書および当時の文献から、戦前インドネシアに渡った日本人市来が、「異国」で身につけたのは単にインドネシア語という言語だけではなく、人類学的な意味の「文化」をも身につけ、将に身も心も「インドネシア人」アブドラ・ラフマン・イチキとして独立を希求していたことが理解できた。その長けた言語能力を高く評価した日本軍は、インドネシア防衛義勇軍の教科書の翻訳および訓練に係わらせていくが、一方、市来は軍事訓練を通じインドネシアの独立達成への道を見出し、後日インドネシア国軍と変容していく防衛義勇軍と深くかかわったことが理解できた。民間人でありながら、その言語能力のため日本軍上層部とも深く係わり、そのため戦後戦犯裁判に向けオランダが、日本軍部を追及していく中、市来の情報も収集していったようだ。戦争に関する研究は、その時代に生きた人々をとかく単一的に扱われることが多いが、当研究を通じ、戦前からの邦人移民にとっては、単に国籍のある国が祖国というわけではなく、戦争を契機に身の振り方、ナショナル・アイデンティティーが高まることを詳らかにできたことに意義がある。戦争を通じての邦人移民の多様な身の処し方は、米国の日系邦人の研究では幾分明らかにされてはいるものの、アジアの邦人移民に関しては今後さらなる研究が期待され、そのことは、現在の政治化した言説にも見られる単純な2項率からなる戦争の歴史観を再構することに大いに貢献すると考えられる。
著者
池上 博司 藤澤 智巳 楽木 宏実 熊原 雄一 荻原 俊男
出版者
日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.365-368, 1997-05-25
参考文献数
8
被引用文献数
3
著者
Escandon Arturo
出版者
関西大学
雑誌
関西大学外国語教育フォーラム (ISSN:13472925)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.83-100, 2007-03

ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZDP)とポストヴィゴツキー学派アプローチ(社会文化理論と活動理論)は、生活的概念と科学的概念の間の密接な関係についてより良い理解をもたらす。日本の高等教育の第2言語プログラムで、生活的概念の習得は主にコミュニケーションクラスで、一方、科学的概念の習得は文法クラスで起こる。最近接発達領域を用いた教育では、状況的な問題と科目領域の中心概念グループの生徒の取り組みめ間で「両方向移動」が必要とされる。この論文では、(生活的概念から科学的概念への)「ボトムアップ移動」を強化するための、コミュニケーションと文法クラスの両方において「欠落した移動」と呼ばれる活動を提案する。
著者
Yohei Kawano Masashi Nagata Takafumi Kohno Akihiro Ichimiya Tomomi Iwakiri Manabu Okumura Kazuhiko Arimori
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.400-407, 2012-03-01 (Released:2012-03-01)
参考文献数
40
被引用文献数
17 19 7

Caffeine is thought to increase the antitumor effect of cisplatin or DNA-damaging agents because it is known that caffeine inhibits DNA repair. Caffeine-assisted chemotherapy has been used in the treatment of osteosarcomas. In addition, there are several reports about combination chemotherapy with caffeine for certain malignancies other than osteosarcomas. However, there are no reports that show the utility of combination chemotherapy with caffeine for hepatocellular carcinoma (HCC). We examined the combined effects of caffeine and cisplatin in human HCC cell lines, and screened for a more effective administration method of caffeine in vitro. Human HCC cell lines (HepG2, HLF, HuH-7, and Li-7) were exposed to caffeine (0—0.5 mM) and cisplatin (0—1.2 μg/mL) for 72 h, either alone or in combination. Cell numbers were measured by WST-8 assay, and cell apoptosis was determined by annexin V-fluorescein isothiocyanate (FITC)/propidium iodide (PI) binding assay. As a result, caffeine increased the antitumor effect of cisplatin on cell proliferation and cell apoptosis in the HCC cell lines. Moreover, this effect was dependent on the amount of exposure to caffeine. These results suggest that caffeine-assisted chemotherapy is useful for HCC treatment.
著者
世取山 守 伊藤 功 高島 大典 正山 征洋 西岡 五夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.611-614, 1980-06-25

Cannabinoids (CN) of CBDA stock, Tochishi No. 1 stock and crossed stock were determined on a high-pressure liquid chromatograph equipped with a LiChrosorb RP-18 column (25 cm×4 mm) by elution with a mixture of methanol and 0.02 N sulphuric acid (4 : 1). The CBDA stock was found to contain cannabidiolic acid (CBDA) and cannabichromenic acid (CBCA). Tochishi No. 1 stock was detected to have thtrahydrocannabinolic acid (THCA), CBCA and a small amount of CBDA. F_1 was obtained by crossing CBDA stock (female) and Tochishi No. 1 stock (male). All 79 F_1 specimens were found to contain CBDA, THCA and CBCA. Therefore F_1 was designated the median type. F_2 was then obtained by crossing F_1 and out of 199 F_2 specimens, 58,40 and 101 stocks were designated as CBDA stock type, Tochishi No. 1 stock type and the median type by CN analysis, respectively. F_3 was also gained by crossing CBDA stock type of F_2 and all 166 F_3 specimens were CBDA stock type. F_4,which was obtained by crossing F_3,was also CBDA stock type. In addition, the fibers of F_4 were found to be better than those of the original CBDA stock, and F_4 contained a negligible amount of THCA.

1 0 0 0 季刊邦楽

著者
邦楽社 [編]
出版者
邦楽社
巻号頁・発行日
1974
出版者
京都大学経済学会
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.180, no.1, pp.163-170, 2007-07
著者
難波雄哉
雑誌
日形会誌
巻号頁・発行日
vol.4, pp.175-180, 1984
被引用文献数
3
著者
片岡 眞吾 中野 和久 伊藤 佳恵
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集 第14回バイオフィリアリハビリテーション学会予稿集 (ISSN:18848699)
巻号頁・発行日
pp.15, 2010 (Released:2010-12-30)

創造的ビジネスは地域社会を活性化する.さらに、活性化した地域社会は多くの創造的ビジネスを開発する.すなわち、地域社会の市民、行政、企業が共有する問題の解決が、健全な地域社会と新たな産業を開発できると考える.なぜならば、創造的ビジネスは今日の産業社会を特徴づける社会ネットワーク型産業社会の問題解決に貢献するからだ.東三河地域の新たなビジネス創出における産官学連携の実践活動を紹介し、ビジネスの創造的役割と健全な地域社会の相互関係を考察する.
著者
税所 哲郎
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第24回全国大会
巻号頁・発行日
pp.112-117, 2009 (Released:2010-02-26)

A national animation industrial base has been installed in Hangzhou national, new high technological development district of Hangzhou City in China and Chechiang province that is the conserve capital. An industrial garden is animation, cartoons, and promotes the digital contents industry that centers on the game. Moreover, it is a region where promotion and industrial-government-academic cooperation etc. of the personnel training that relates to the digital contents industry are positively done. Hangzhou in Zhejiang province is a region that a lot of universities and the enterprises, etc. in eminent China accumulated for the digital contents industry. This region is a typical industrial cluster in China that was highly overcrowded of intellectual energy. In this thesis, the digital contents industry in Hangzhou that is one of the industrial clusters in China is considered based on author site investigation.
著者
齋藤 美絵子 嘉数 彰彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.132, 2008 (Released:2008-06-16)

近年、映画やテレビドラマのロケ誘致が地域経済に与える影響について注目され、地域を広くアピールできイメージアップにもつながるとして、全国各地でロケ誘致合戦を繰り広げている。また、ロケを誘致・支援するフィルムコミッションの設立も盛んで、その団体数は全国で100を超え増加の一途を辿っている。 本研究では、このロケ誘致における効果的なプロモーションコンテンツとはどのようなものかを探り、提案する。また、ロケ誘致に有効と考えられるプロモーションコンテンツの制作を産官学連携事業として取組むメリットも明らかにしたい。また、制作したプロモーションコンテンツはロケ誘致を目的とするに留まらず、観光振興に有効であるものを目指す。
著者
大武 美保子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第22回全国大会(2008)
巻号頁・発行日
pp.233, 2008 (Released:2009-07-31)

高齢化社会が急速に進む今日、認知症の発症を防ぎ進行を抑制する科学的手法と、これを少ないコストで効果的に実施する社会システムの双方が求められている。そこで、2007年7月に、東京大学と柏市、柏市民、企業の民産官学連携により、認知症予防回復支援サービスを開発し、高齢者を中心とするヒトの認知脳機能を解明する研究拠点「ほのぼの研究所」を開設した。会話支援システムを用いて認知症予防回復を目指す「ふれあい共想法」プログラムを開催し、記憶課題や会話計測、脳活動計測などにより、その有効性を実証している。本稿では、研究拠点の開設と、共想法における記憶課題の解析結果について報告する。