著者
江口 佳澄 佐々木 晶子 中坪 孝之
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.119-128, 2005-12-25
参考文献数
24
被引用文献数
6

クマツヅラ科の多年生草本,アレチハナガサVerbena brasiliensis Vell.は南アメリカ原産の外来種で,近年全国的に増加傾向にある.河畔域の生態系に対する本種の影響を予測するための基礎として,広島県太田川中流域の氾濫原に成立した群落を対象に,フェノロジー,成長・繁殖様式,種子発芽特性,他の植物に村する影響について,2004年に調査を行った.本種の前年に花をつけた枝の先端部分は春までに枯死したが,春期に株もとから新たな茎葉を伸長させると同時に,前年から残る枝の節から新しい枝を伸長させ,前年の主茎が倒伏すると,新枝が新たな主茎となって開花した.また,接地して砂に被われた節から不定根を伸ばして定着する様子も観察された.秋期の洪水は調査地内の植生に大きな影響を与えたが,本種は,洪水によって倒伏した茎からすみやかに枝葉を伸長させ,短期間に開花に至ることが可能であった.種子発芽には光要求性が認められ,群落内の土壌シードバンク中には多数のアレチハナガサ種子が含まれていた.秋期の増水後には一斉発芽した実生が多数観察された.本種の被度と他の植物の被度との間には負の相関が認められ,またレタス種子を用いた検定により,弱いながら他感物質の存在が示唆された.これらの性質を総合すると,今後,河川流域においてアレチハナガサの勢力が拡大する可能性があり,早期の実態調査と対策が必要と考えられる.
著者
嶋田 典司 矢島 聡 渡邊 幸雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.15-21, 1988-03-18
被引用文献数
3

水生シダであるオオサンショウモを用いて下水二次処理水及び富栄養化された湖沼の水から栄養塩を除去することを目的に基礎的な実験を行い,以下の結果を得た.1)合成培養液を用いた室内実験から,オオサンショウモはpH4から8の広い範囲で生育が可能であることがわかり,植物体が2倍になる時間は4.5日であった.N源ではNO_3-NよりもNH_4-Nをよく吸収し,生育も良好であった.N,Pの吸収量は新鮮重1gあたりNとし23.5〜5mg,Pとして1〜1.5mgであった.2)下水二次処理水を用いた栽培実験では栽培期間中にNO_2-Nが18ppmになったが,オオサンショウモには障害は発生しなかった.処理水中のPが0.1ppmと低濃度の場合でもオオサンショウモの生育は可能であったが,Pを1ppm添加することにより,Nの吸収が増し,添加したPもほぼ吸収しつくした.3)手賀沼の水を用いた実験ではオオサンショウモの生育は10日で約4倍になり,N,Pの濃度低下も顕著であった.以上の結果から,富栄養化された水からの栄養塩の除去にオオサンショウモの利用はきわめて有効であることがわかった.
著者
小武内 清貴
出版者
岡山県立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は曲げ損傷を受けた炭素繊維強化熱可塑複合材料(以下CFRTP)の修繕性を明らかにすることである.強化材を平織炭素繊維布,母材を PA6 とするCFRTP を作製し, 4 点曲げを行うことによって曲げ負荷に伴う CFRTP の損傷形態を調査した.その結果,作製した CFRTP では 2.0%程度の曲げひずみを与えた時に圧縮側で初期層間はく離が発生した. また 2.5%程度の曲げひずみを与えた時,試験片の圧縮側に局所的な座屈の発生が確認できた.本研究では 2.0%の曲げひずみ負荷を与えた試験片を軽損傷材,2.5%の曲げひずみ負荷を与えた試験片を重損傷材とし,これらの損傷材のパッチ貼付に伴う曲げ特性回復様相を調査した.その結果,圧縮側に適切な枚数のパッチを貼付することにより,軽損傷材,重損傷材共に処女材の曲げ特性と同程度まで回復させることが可能であった.次に,ニードルパンチ処理が CFRTP の曲げ特性に与える影響を調査した.その結果,ニードルパンチ処理によって層間強度が向上し,曲げ負荷初期に発生する層間はく離を抑制できることがわかった.そこで損傷材の修繕にパッチ貼付とニードルパンチ処理を併用したところ,修繕材の曲げ特性はパッチ貼付のみによって修繕したもののそれよりも向上した.
著者
織田 秀実
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.10, pp.31-39c, 1974-12-14

1972年秋,富士川胡の一つ,河口湖に,従来,北アメリカ東部と中央ヨーロッパでしか記録されていなかった炭水産コケムシpectinatella magnifica(LEIDY)の群体塊が出現した(MAWATARI, 1973)。ところが1973年には富士五湖の他の一つ,精進湖にもこの群体塊が多数出現した。9月初め岸辺の水中の岩・に大小様々の群体塊が毬(まり)状に発達し,分泌した寒天質塊の表面を多数の群体が多角模様をなしておおっていた。大きな群体塊は岩から剥れて分厚い円盤状(直径約60 cm)となって水面に浮上していた。11月初めには岩に囲まれた静かな水面に畳一畳ほどもあるけ大な群体塊となって浮いていた。長さでは2.8mに達する細長いものもあった。個々のポリプ体は1.5mmほどで,(Cristatella mucedo CUVIER(アユミコケムシ)を思わせる。口上突起と目の周辺に赤い色素があるのはこの種の著しい特徴である。触手冠の両腕の先端部および包体の肛門側に乳白色の塊があるが,これらはKRAEPELIN(1887)がいう上皮線(epidermal gland)からの分泌物である。スタトブラストは丸味を帯びた角形で,長径は約1mm,川縁部から錨形をした軸が11〜22本伸びでている。群体から放出されたスタトブラストは必ず水面に浮上し,数週間は寒天質層に包されている。精進湖は冬期結氷するが,越冬し水面に浮遊するスタトブラストは,現地で,5月下旬に発芽していた。8月に幼生が出現した。幼生は卵形で直径1〜2mm, 1〜5個の芽を有するが,通常は4個。外分の表面にある繊毛の運動で,芽のある方を下にして,数時間浮遊した後,ものに付着して変態した。このコケムシの群体塊がボール状に発達し,しかも表面が個々の群体によって多角模様をなしていることから和名として"オオマリコケムジ"という名称を提案したい。 今まで日本にいなかったこのコケムシが河口湖や精進湖に突如出現するようになった原因はまだ判明していない。国際的に人や物資の交流が盛んになった今日,偶然の機会に,ものに付着したスタトブラストがこれらの湖に持たらされたのであろう。また渡り鳥によるスタトブラストの"空輸"も考慮されよう。1974年の夏には石川県の柴山潟にもこの群体塊が多量に出現した。今後,このコケムシの分布の推移に注目しておかなければならない。(第10回動物分類学今大会にて講演)
著者
馬渡 静夫
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.9, pp.41-44,図1枚, 1973-10

1972年10月4日富士五湖の一つである河口湖にPectinatella magnifica(LEIDY)の多数の寒天質群体が浮游し,汀にうち上げられていることを確認した。地元では9月初め頃より多数浮き出して「淡水水母」と誤認されていたものである。本種は日本産のカンテンコケムシPectinatella gelatinosa OKAに群体などは似ているが,その体芽の周辺に碇型の棘を10数本有することで容易に区別される。もともとアメリカ東部の特産として知られ,1900年初順に中部ヨーロッパに運ばれた歴史があるが,今回の日本での出現も,近年の日米間の交流の急増と関係が深いものと思われる。この記録は東洋地区では初めてのものであり,アメリカでの発見から約120年後の出来事である。(第9回動物分類学会大会にて講演)
著者
湖城 重仁
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.109-111, 1968

The distribution of marine-algae in Fukaya Canal, which connects Ago Bay directly to the Pacific Ocean, and in its vicinity was studied. It was found that the vegetation with respect to the zonation and the number of species change gradually through the canal in the sublittoral zone, but in the littoral zone they change remarkably, especially at the canal exit.
著者
鏡味 國彦
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部論叢 (ISSN:0485215X)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.11-16, 1988-03-20
著者
鴻巣 隼雄
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部論叢 (ISSN:0485215X)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.3-4, 1974-09-10
著者
岡野 節子 岩崎 ひろ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.69-71, 1998
参考文献数
4
著者
松森 晶子
出版者
日本語学会
雑誌
国語学 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.93-108,158, 2000-06

琉球の多型アクセントの諸体系には,型の生産性の片寄りと体系の不均衡が観察されることを,沖永良部島と徳之島のいくつかの方言を例にして示し,この原因は,服部(1979)の仮説を一部取り入れ類別語彙2拍語に1・2/3・4・5(板)/3・4・5(息)という合流の仕方を認める松森(1998)の説により,説明できることを示す。さらに,これら琉球の多型アクセント体系全般を通じて,類別語彙3拍語が生産的な3つの型に所属し,しかもその3つの型に所属する類別語彙の種類が諸方言間で対応することを確認する。このことから,琉球祖語に存在したと推定される3音節語の3つのアクセント型の,各々に属する語彙群のリスト(試案)を提示,これらの語彙群を,各々「形」類,「鏡」類,「刀」類と呼んだ。また,本土の類別語彙3拍語に対応する語彙の,琉球における合流の仕方は,1・2/4・5(鏡)/4・5・6・7(刀)であることを論じ,このように琉球では,類別語彙の2拍語のみならず,その3拍語も,特殊な類の分裂と合流を遂げたことを論じる。