著者
北橋 忠宏 福永 邦雄 小島 篤博 長田 典子
出版者
関西学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

現在の物体認識では、認識中の対象物に人間が触れることなど論外である。それは認識システムが対象を外観的特徴に基づき認識しているため、対象物が手影になることや外見が変更されることを排除する必要があるからである。これに対し人間は、人の動作・行動とそれに関与する事物との強い関連を知り、人の行動を観察することで事物や機能・用途を予測し認識できる。この方策を物体認識に導入し、新しい物体認識方式を提案した。提案システムは、(1)系列画像の解析部、(2)2種類の辞書:行為・行動に関する辞書と物体に関する辞書、(3)推論機構、から構成される。(1)では、系列画像の背景を消去し変化領域を従来手法により求め、その中の肌色領域の抽出により顔や手を求める。それらの位置・動きから人物の見掛けの動作を求める。同時に人体以外の変化領域を見出し、両者の時間経過を求めるとともに、それらの相互関係を求める。(2)の行為・行動辞書には行為・行動の特徴と通常関連する物体の項目を設けた。物体辞書は従来の外観的特徴を排し、用途や機能などを新たな特徴に掲げた。見出し語も、従来の事物名称ではなく、用途・機能による概念分類(例えば、可搬物、可食物)が用られる。これら2種類の知識はそれぞれ概念階層にまとめられる。(3)2種類の辞書は共通する項目をもち、これらにより関連付けられ、この関連性を基に(1)で認識した人物動作から関連する物体を辞書の探索によって推測し、(1)で抽出した人体以外の変化領域を人体動作と関連付け、認識のための推論機構の基礎をなしている。また、最近(1)に隠れマルコフモデルを導入し行為・行動認識で良好な結果を得た。人の後姿から扱っている物の認識とか、ものまねやしぐさの認識ができそうである。
著者
宮地 尚子
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.549-551, 2007-07-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。研究会報告
著者
大野木 碧 内田 渉 山田 直治 礒田 佳徳
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

近年,ブログや口コミサイトなどのCGMに含まれる評判を参考に,施設を検索するユーザが増加している.モバイル端末を使って施設検索を行う場合,施設ごとに記述された評判を,候補の施設全てに対して確認するのはユーザにとって負担が大きい.そこで近接した施設の類似する評判を集約して地図上に提示し,ユーザが選択した評判に基づいて該当する施設を検索できるシステムを提案する.さらに本システムの有効性について述べる.
著者
宮本 健作 中島 誠 山田 恒夫 吉田 光雄
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

1.喃語様発声と負の強化:九官鳥の幼鳥がヒトのことばを模倣学習する過程で出現する喃語様発声(模倣原音)に対して大きな拍手音または叱声を与えると、その発声回数は徐々に減少し、結局そのトリの模倣は完成しない。一方、トリの発声ごとに愛称を呼ぶか餌を与えるかすると、模倣原音は加速的に増加し、物まねの完成が促進される。この成績は幼児の言語習得に関する貴重な教訓を示唆する。2.実験的騒音性難聴の形成:九官鳥は騒音負荷に対する受傷耐性が著しく高く、哺乳類では騒音負荷の有効刺激としてよく知られた高音圧のホワイトノイズまたは純音はまったく効果はみられなかった。種々試みた結果、閉鎖空間における陸上競技用ピストル音の暴露によって一過性の騒音性難聴が認められた。3.聴力損失の指標:動物の頭皮上ならびに内耳前庭窓近傍から記録した脳幹聴覚誘発電位(BAEP)および蝸牛神経複合活動電位(AP)は一過性騒音難聴の形成とその回復過程を知る客観的指標としてきわめて有効であることを確認した。4.騒音性難聴条件下の模倣発声:爆発音負荷直後、BAEPおよびAP波形が消失してから振幅が完全に回復するまでの10日間における発声行動の音圧および発声持続時間などにはとくに顕著な変化は認められなかった。難聴児にみられる聴覚フィードバックの障害効果と著しく異なった。5.模倣発声行動の動機づけ要因:飼育者の音声のようにある種の社会的意味をもつと考えられる音声は物まね発声を誘発させる効果があること、さらに飼育者の音声が感覚性強化刺激になることが明らかになった。6.弁別オペラント行動からみた九官鳥の聴力曲線:行動聴力曲線は他種のトリに比べ、ゆるやかなカーブを描き、可聴範囲は110Hzから12kHzまでの幅広い周波数帯域を含むことが認められた。騒音性難聴が模倣発声に及ぼす効果の有無については今後の検討課題であるが、ヒトと異なり、強大音に対する受傷耐性が高い。
著者
奥 幸一郎 森山 友幸 小熊 光輝 井手 治 龍 勝利 柴戸 靖志
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.28, pp.50-55, 2009-03

長ナス「筑陽」の促成栽培において暖房用燃料消費量を削減しつつ、収量および品質を維持できる温度管理技術を確立することを目的として、高昼温低夜温管理とその開始時期について検討した。その結果、主枝摘芯前の11月上旬から高昼温低夜温管理すると慣行温度管理より主枝の生育が抑制され、総収量が少なくなった。主枝摘芯開始後の12月上旬から高昼温低夜温管理すると慣行温度管理と比較して、主枝の生育は同等であり、総収量も同等となり、燃料消費量は慣行温度管理の約40%を削減することが可能であった。以上のことから、長ナス「筑陽」の促成栽培において、収量及び品質を維持しつつ、暖房用燃料消費量を削減するためには、主枝摘芯開始後から高昼温低夜温管理を開始することが適当であることが明らかとなった。
著者
杉村 美紀 杉本 和弘 苑 復傑 羅 京洙 LRONG Lim 杉本 和弘 苑 復傑 羅 京洙 LRONG Lim 我妻 鉄也
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、アジア及びオセアニアにおける留学生の国際移動と教育文化交流の動向と課題を、国境を越えて展開されるトランスナショナル・プログラムに注目して海外調査をもとに実証的分析を行った。その結果、今日の留学生移動は、各国政府の政策に加え、教育機関及び留学生個人の戦略性に富んだ国際交流活動に影響を受けており、しかもその移動ルートは、欧米への移動にとどまらず、アジア域内あるいは中東やアフリカからアジアへの移動の活発化により、重層化・多様化していることが明らかとなった。
著者
熊倉 伸宏
出版者
日本精神分析学会
雑誌
精神分析研究 (ISSN:05824443)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.87-99, 1999-04-25
被引用文献数
1
著者
横田 雅弘 坪井 健 白土 悟 太田 浩
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

平成16年度は、アジア太平洋諸国7ヶ国で留学生政策に関する調査を行い、75人にインタビューした。その記録は、中間報告書「アジア太平洋諸国の留学交流戦略の実態分析と中国の動向」として平成17年3月にまとめた。この成果については、独自に立ち上げたホームページにおいても全文を掲載している。アドレスは以下の通りである。http://www.george24.com/~yoko39/publications.htm研究成果の発表としては、平成17年5月の異文化間教育学会年次大会でポスターセッションを行ったほか、平成17年7月のJAFSA(国際教育交流協議会)サマーセミナー基調講演、平成17年12月の早稲田大学21世紀COEプログラム第4回国際公開シンポジウム、平成18年3月のCIES比較国際教育学会50周年記念大会(ホノルル)、平成18年6月の中央教育審議会での参考意見提供、平成18年8月JAFSAサマーセミナーの分科会等で発表した。平成17年から18年にかけて、全国四年制大学に対して国際化と留学生政策に関する質問紙調査を行なった。50.5%という高い回収率を得て、その結果を最終報告書「岐路に立つ日本の大学〜全国四年制大学の国際化と留学交流に関する調査報告〜」としてまとめた。データからは、国際化のビジョンやミッションを持っている大学が極めて少ないこと、国際部門の専門職育成に熱心ではないこと、国立大学が国際化に熱心であり公立大学はあまり関心をもっていないこと、オフショア・プログラムがアジア諸国に比べて全く低調であること、留学生を日本社会の高度人材として捉えていないこと、受入れと送出し国の関係が大きく変化していることなどが判明した。激動するアジアの留学交流の渦の中で、日本はどのような視座でこれを見極め、どのような政策をとっていくべきなのかに関して、何がしかの参考資料を提供できたと考える。
著者
鵜飼 尚代 田尻 紀子
出版者
名古屋外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、発光素子への応用に偏っている窒化インジウムガリウム(以下、InGaN)結晶薄膜を、光検出素子用材料として特徴づけ、かつ、高速高感度素子の試作研究を行うことである。試作研究では、Metal-Semiconductor-Metal構造(MSM構造)の受光部1mm×1mmの大面積素子で、10Vで100 pA以下の暗電流、0.1A/W以上の受光感度、および、10ns台のパルス応答を確認した。透明サファイア基板という点、及び、窒化ガリウム(以下、GaN)層上のInGaN薄膜を光感受層とする点、の2つの特徴を活かして、波長400-500nm帯の可視光検出器としての得失を明らかにすることができた。即ち、表面入射と裏面入射の相違を調べ、電極直下部の光電流への寄与を明らにできた。この知見を基にInGaN/GaN 2層構造の特異な電圧依存性を解明し、ショットキーダイオード形素子において、バイアス極性による350nmと400nmの2色弁別検出を実証できた。また、下地GaN層の厚さとバイアス電圧の制御により、紫外線に感応しない青色用狭帯域光検出器を実現できた。ここで用いたInGaNは厚さ30nm以下の薄膜であり、ピエゾ効果に基づく内蔵電界を有効に利用した。膜厚を増せば感度は大きく増大するが、暗電流も増大する。これは、歪み緩和による結晶性の変化に依ると解釈できる。なお、高速応答性に関連して深い準位を評価し、DLTS法によりGaN層に深さ約0.5eVの電子トラップ準位の存在を確認したが、光パルス信号に対する反応の遅い電流成分(光持続電流)を解消するには至らなかった。今後は、InGaN層の内蔵電界の利用を中心に本研究を発展させたい。
著者
中園 明信
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

15年度年度も昨年度に引き続き、北部九州における磯魚幼稚魚の出現をモニタリングした。15年度も夏から秋にかけて従来見ることの出来なかった多くの暖海性稚魚の出現が見られた。主なものを上げるとコスジイシモチ、ホンソメワケベラ、ナガサキスズメダイ、ニザダイ等である。14年度との大きな違いは14年度に多数出現したイトフエフキが極端に少なかったことである。それに反して、ホンソメワケベラやナガサキスズメダイの数は比較的多かった。イトフエフキは14年度同様の出現を期待していたが、期待に反して少なかったのは14年から15年にかけての冬季が例年になく水温が低かったために産卵親魚群が死滅または分布域が後退したのが原因ではないかと推察された。すなわち、14年から15年にかけての冬季には、例年12℃までしか下がらない沿岸の水温が寒波の襲来で約1週間9℃まで低下した。しかし、寒海性の稚魚の出現は見られなかった。15年度の観察では、水温13℃まで下がった12月中旬まではソラスズメダイはじめ多くの磯魚幼魚が生息していたが、その御数回寒波が来ており、荒天のため観察が出来ていない。しかし、データ・ロガーで水温を記録中であり、本報告書を提出後であっても、調査を行う予定である。また、沖合い60Kmにあり対馬暖流の影響下にある沖ノ島においては、14年の寒波襲来時も水温は13℃以上で、多くの暖海性魚類が生息しており、それらが越冬していることを確認している。以上の3年に亘る観察研究の結果から考えて、水温13℃が暖海性魚類幼稚後が越冬できるかどうかの限界水温になっていると考えられるので、長期的気候変動と磯魚の分布変動との関係を調べるには、水温13℃に注目する必要があるであろう。