著者
江崎 保男 馬場 隆 堀田 昌伸
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.67-79, 2007

1996年~1999年の繁殖期に長野県北東部のブナ林において,個体識別した森林性ホオジロ類であるクロジ個体群の繁殖生態,特になわばりと行動圏について調査した。成鳥雄は若鳥雄よりも有意に早く渡来し,雌は最初の雄よりも6~10日遅れて渡来した。1999年には12羽の雄が出現し10羽が定着した。これら定着個体はすべて雌を獲得し繁殖した。雄間の闘争行動は5月初めから5月15日まで高い頻度で観察されたが,その後急激に減少した。1999年のソングエリアは雄間の闘争が激しかった5月15日以前には,一部の隣接雄間でかなり重複していたが,5月16日以降ほぼ完全に分離し,調査地全域に隙間なく分布していた。1999年に定着した雄10羽のうち6羽は1998年以前より調査地内のほぼ同じ場所で定着・繁殖していた個体であり,クロジの雄がなわばりへの強い帰還性をもつことが明らかになった。ソングエリアとは異なり,かれらの行動圏は繁殖期をとおして大きく重複していた。1999年に調査地内で23個の巣を発見した。雄を特定できた17巣のすべてで,雄親は繁殖地内に定着した10雄のいずれかであった。つがい数より多い巣が発見されたが,雄が特定された17巣のうち16巣では雌親も特定された。雄のなわばり内に複数の巣が発見された場合には,いずれも最初の営巣に失敗した同一つがいが再営巣した結果であった。また,雄親が特定できなかった6巣についても,上記のつがいの再営巣あるいは,調査地に隣接するペアのものと考えて矛盾がなかった。このことから,クロジが社会的な一夫一妻であることが示唆された。
著者
渡辺 孝司
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.28, no.309, pp.529-534, 1979-06-15
被引用文献数
1

Yield behavior of low-carbon steel sheets (0.07% C) has been examined under the strain rate of 10^<-4> to 10^<-1>/sec at room temperature using an Instron tensile machine. Stress-strain curves have been recorded by using a transient converter (NF, E-5001:8 bits×1024 wards) , since the response of a X-Y, T recorder is not sufficient for the measurements under high strain rates. The experimental results by the transient converter show that the upper and lower yield points appear clearly before the crosshead speed reaches to a given value of high strain rate. The transient converter is found most desirable in order to observe the yield behavior under high strain rates, The results also show another break point of the strain rate dependence of yield stress at the strain rate of 〜3×10-3/sec, which is different from M. J. Manjoin (1944)'s strain rate i.e. 〜10^<-1>/sec. The strain rate dependences of yield stress, yield point elongation, and tensile strength in the range of high strain rate above 〜3×10^<-3>/sec are larger than those at lower strain rates. The yield stress is much more sensitive to the strain rate as compared with the tensile strength.
著者
真喜屋 清 塚本 増久 真鍋 英夫 岩田 康
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.325-330, 1988-09-01

最近大糸状虫人体寄生例の報告が増加の傾向を示しているが, 昨年報告した北九州市で最初の肺大糸状虫症に引き続いて同市内で再び大糸状虫の肺寄生例を経験した. 患者は市内八幡西区に住む56才の女性. 昭和62年6月に胸部の異常陰影を指摘され, 重症筋無力症を伴う縦隔腫瘍の診断で胸腺摘出術を受けた際, 偶然左肺下葉に小結節を発見・切除されたが, 肺組織の懐死層を含むこの肉芽腫瘤内に寄生虫の断端像を認めた. 断端の径は400×310μmで, 角皮最外層には縦走隆起がなく最内層内側に隆起がある. 側索は狭小で筋層の高さに達し, 筋細胞はpolymyarian typeである. 以上の形態的特徴から, 大糸状虫Diofilaria immitis未成熟虫と同定された. 本症例は開胸手術中に偶然発見されたもので, 無症状の大糸状虫症は報告された例数よりも実際にはさらに多いということをうかがわせる(1988年5月16日 受付)
著者
小林 繁
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

精神障害をもつ人の学習・文化支援においては、地域での生活支援や就労支援と連携しながら豊かな人と人との関係をどう作り上げていくかが重要である。それは、様々なプログラムを通して言葉の回復を中心とした豊かで多様なコミュニケーションの力を引き出し・創造していく課題であるということができる。そのためには、当事者へのエンパワーメントの支援が不可欠であり、同時に安心できる居場所などを提供していく取り組みが求められるのである。
著者
坂本 貴彦 黒澤 博身 岩田 祐輔 村田 明
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

以前におこなった研究結果(Miura T, Sakamoto T, et. al. JTCVS: 133:29-36,2007)を踏まえて、軽度低体温〜常温体外循環中の脳循環生理を把握し現在汎用されている体外循環法の脳組織に及ぼす影響に関してpreliminaryな慢性実験を施行した。【対象と方法】Yorkshire pig(生後4-5週目、N=6、8.4-14.0kg)を用い、気管内挿管下に実験を開始、近赤外線分光器(NIRS: NIRO300,浜松ホトニクス)を前額面に装着した。全身麻酔下に、右開胸にて心臓に到達し、大動脈送血、右房脱血にて体外循環を確立した。脳循環生理に大きな影響を及ぼすと考えられる潅流因子の中で、臨床上汎用されている軽度低体温下でのalpha-stat strategyの脳組織に及ぼす影響を中心に実験をすすめた。軽度低体温(34℃)体外循環を90分間、Hct値30%、alpha-stat管理下に施行した。実験終了後、体外循環から離脱しカニューレを抜去し閉創をおこない、その後循環呼吸管理をおこない、人工呼吸器からの離脱をはかった。一週間経過観察をおこない、その間に毎日、実験内容を知らされていない獣医による行動評価をおこなった。行動評価にはNeurological Deficit Score(NDS)およびOverall Performance Categories(OPC)を用い、また一週間目に動物を犠牲死せしめ脳組織の顕微鏡的観察をおこなった。病理組織的診断は実験内容を知らされていない病理医がおこない、細胞レベルの虚血の有無を点数化し実験のendpointとした。【結果】NIRSは特別異常な経過を示さなかった。NDS, OPCともに一週間正常値を示し、豚は外見上異常行動を認めなかった。しかしながら脳組織Neocortex, Hippocampusを中心に虚血性変化を認めた。【考察・結論】Hct30%、軽度低体温下の小児体外循環において、現在多くの施設で汎用されているalpha-statstrategyでは組織レベルの脳障害を惹起している可能性が示された。行動評価が正常範囲内であることから、臨床上問題とならない軽微なものである可能性が高いが、脳高次機能の点では疑問が残り、良好な脳循環を確保しやすいpH-stat strategyの導入がこれを解決することが期待される。今後、血液希釈の程度との相互作用についての慢性実験の重要性が示唆された。
著者
小川 智弘 星野 俊一
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.323-328, 2005-05-25
参考文献数
40
被引用文献数
2
著者
大村 益夫 波多野 節子 白川 豊 芹川 哲世 藤石 貴代 熊木 勉 布袋 敏博
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

3年間にわたる調査と研究を以下のような形でまとめた。1.成果報告論文集各分担者がこれまで行なってきた研究・調査活動をまとめて論文を執筆し、成果報告論文集を作成した。報告炉論文集の目次は、以下の通りである。(1)洪命憙が東京で通った二つの学校-東洋商業学校と大成中学-:波田野節子(2)1920年代廉想渉小説と日本-再渡日前の4篇を中心に:白川豊(3)田栄澤論-解放後作品と基督教-:芹川哲世(4)京城帝国大学と朝鮮人文学者-資料の整理を中心に-:布袋敏博(5)李箱の小説における「わたし」-日本語遺稿と関連して-:藤石貴代(6)兪鎮午の「金講師とT教授」について:白川春子(7)尹東柱の文学に対する評価をめぐって-1940年代における抒情詩からの視角-:熊木勉(8)金昌傑研究試論:大村益夫2.『毎日新報文学関係記事索引(1939.1〜1945.12)』『毎日新報』は、姉妹紙の日本語新聞『京城日報』とともに、植民地末期文学の研究において不可欠の一次資料である。同紙のマイクロフイルムをもとにして『毎日新報文学関係記事索引(1939.1〜1945.12)』を作成した。これにより、植民地末期の朝鮮文壇の動き、朝鮮人文学者たちの行動が相当に明らかになった。朝鮮人作家および作品の個別研究を集積することによって朝鮮近代文学の日本との関連様相を明らかにしていくという当初の目的は、ある程度まで達成しえたといえる。しかしながら、扱うべき作家はこの他にも数多く残っている。本研究では、朝鮮人文学者たちの日本における足跡調査と資料収集を行なってきたが、当時の資料は日ごと失われつつあり、また当時を知る生証人たちも年を追っていなくなっていっている。研究の継続が必要かっ急務である。
著者
長山 勝 山之内 浩司 藤澤 健司 林 英司 鎌田 伸之 布袋屋 智朗 中野 孝三郎
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

完全合成無蛋白培地PF86-1は組成中に血清および細胞成長因子等の蛋白成分を一切含有しない特徴を有し、多くの口腔扁平上皮癌細胞株が継代培養されてきたが、一方で継代培養が不可能な細胞株も存在する。これは増殖に必須な因子の欠乏が原因の一つと考えられる。そこで癌の問質や周囲組織の細胞が産生するサイトカインに着目し、無蛋白培養下における口腔扁平上皮癌細胞株の増殖に及ぼすこれらのサイトカインの影響を検討した。その結果、無蛋白培養下の口腔扁平上皮癌細胞株の増殖にIL-1αがオートクラインまたはパラクライン機構を介して関与している可能性が示唆された。さらに我々は新規完全合成無蛋白培地PFM-7を開発し、口腔粘膜上皮細胞の増殖に対する影響を検討したところ、この培地は従来の増殖因子を添加した培地と比較して、形態、増殖因子に対する反応、各種増殖因子およびその受容体の発現を変化させることなく口腔粘膜上皮細胞の増殖を支持した。これを用いて、同一患者由来の癌細胞と口腔粘膜上皮細胞を同一条件で培養することにより、両細胞の生物学的性状の詳細な比較検討が可能となった。そこで完全合成無蛋白培地中で継代培養している同一患者から分離培養した口腔扁平上皮癌細胞と口腔粘膜上皮細胞のmRNAからcDNAを調整し、癌細胞で発現の上昇あるいは抑制の見られる遺伝子をサブトラクションライブラリー法を用いてクローニングした。これらのうち、正常細胞に特異的に発現している遺伝子は全長430bpのcDNAで、S100蛋白との相同性を持っていた。さらに同遺伝子の発現をノーザンブロッティングにより検討したところ、多くの扁平上皮癌細胞でその発現の低下が認められた。同遺伝子の機能についても解析した。
著者
因 京子 松村 瑞子 西山 猛 チョ ミギョン
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

映画を用いる教材と教師用リソース、日本人学生にも用いることのできる観察と分析の技能養成のための教材および教師用リソース、ドラマを用いた教室活動案を作成した。ストーリーマンガに基づく教材と教材開発の方法論の議論を含む大学院生向け集中講義を海外と日本で行い、受講者、外国人を含む教師および教師志望者を対象に、使用可能性についての判断を調査した。開発した教材や教材開発の方法論等についての招待講演を海外において2回、国内で1回行なった。