著者
山田 聰
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.401-407, 2006-06-05
被引用文献数
3

しばらく前までは「がん」とは不治の病であり,本人への告知すらためらわれる大変な病であった.現在でもがんにょる死亡者数は増え続けているものの,新しい診断装置や治療法の研究が進展するにつれ,早期発見できれば多くのがんは治るものと考えられるようになってきた.その中でも従来の医療機器に比べればはるかに大型の加速器を用いて陽子や炭素イオンを高いエネルギーに加速してがんに照射する粒子線治療法が優れた臨床成果を残しつつある・放射線療法は患者に負担の少ない治療法と言われる一方で,長い間放射線ではがんが治ることは少ないとも言われてきた.また,わが国では頭髪が抜け落ちるなどという副作用も必要以上に心配されてきた.本稿ではこのような放射線療法に対する固定観念を一変する炭素線治療法を中心に現状を概観する.
著者
武藤 巧 丸山 敏毅 巽 敏隆
出版者
千葉工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

複数のK^-中間子が原子核内に束縛された状態(Multi-Antikaonic Nuclei,MKN)の性質を,相対論的平均場理論にカイラル対称性を具現するK中間子ダイナミクスを取り入れた理論的枠組に基づいて検討した。特に,前年度の結果を発展させ,媒質中のK中間子の性質に重要な寄与を与えると考えられる,A(1405)(A^*)の効果,及び陽子(p),中性子(n)小さな斥力をもたらすrange term (Second-Order Effect,SOE)をK^-N散乱実験と矛盾しないように取り入れ,A^*がMKNの構造に与える効果を明らかにした。結果は,A^*-poleの存在によってK^-p間の引力が大きくなり,SOEによってMKNの中心付近に局在するK^-中間子に陽子がより強く引きつけられる。一方,中性子はrange termからの斥力効果のために,陽子よりも外側に分布が広がる。このため,束縛されるK^-中間子の個数が十分に大きい場合,核子及びK^-中間子の密度が最大で3,5ρ0(ρ0は対称核物質の飽和密度)に達する高密度物質が得られ,また,外側の領域では中性子スキン構造が現れることによって陽子数と中性子数が異なる非対称核物質の性質に関する情報が得られることを示した。結果は国内外の学会を通じて口頭発表を行った。また,学術雑誌に発表,または執筆中である。課題として,MKNの存在と上記の性質を実験的に検証するための具体的な方法を確立すること,MKNのエネルギー,崩壊幅に影響を及ぼすと考えられるK^^-+N→π+A,π+Σ等の非弾性過程との結合効果,ハイペロンがMKN中に混在することによって,K^-中間子,核子,ハイペロンから構成される,更に深い束縛状態が得られる可能性を,相対論的平均場理論を拡張することによって検討することが挙げられる。
著者
速水 格
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.150, pp.476-490, 1988-06-30
被引用文献数
3

三畳紀以降半深海の泥相に多いワタゾコツキヒガイ属(Propeamussium)は, ツキヒガイ属(Amusium)と見かけの上で内肋を共有するが, 系統的には全く異なり, 古生代後期に栄えたPernopectinidaeの特徴をとどめる「生きた化石」として注目される分類群である。PropeamussiumのほかPolynemamussium, CyclopectenがPropeamussiidaeの標徴を共有する。今回, 西太平洋地域の現生および化石イタヤガイ上科の数種について, 内肋の巨視的・微視的特徴を観察し, その機能的・分類学的意味を考察した。Amusiumを含むイタヤガイ科の内肋は, 腹縁近くの外層で外表の放射肋に応じて形成され, 本来は腹縁の噛み合わせを確実にする補助的役割を果たしている。これに対して, Propeamussiumの内肋は, 交差板構造の内層の中に繊維状構造を示すレンズ状のコアを伴って形成され, その末端部で付加成長する。このコアは発生的には, 右殻では稜柱層直下の"中層"から, 左殻では外層から分化したと考えられる。内肋の末端は両殻の間で対置し, 殻を閉じた時に互いに接するようにできている。おそらく, 遊泳のための強力な閉殻筋の緊縮が薄質の殻に与える破壊力を和らげるバットレスの役割を果たしていると考えることができる。
著者
森川 正章 鷲尾 健司
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

微生物が固体表面に付着して形成する高次構造体をバイオフィルムと呼ぶ。バイオフィルムでは細胞が高密度に存在するため、細胞間コミュニケーションが頻繁に起こり、個々の細胞が培養液中に浮遊した状態とは異なる挙動を示す。本研究課題では、環境微生物がバイオフィルム形成に伴って発現するユニークな特徴を発見し、その分子機構を解析した。さらに、バイオフィルム形成によって獲得するストレス耐性を各種環境汚染物質分解細菌に適用し、地球にやさしい持続的環境修復技術の基盤開発に成功した。
著者
本山 悌一
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1197-1204, 1981-08-01

ヒト卵巣癌由来の培養細胞, KuramochiとCKSの2株のin vitroにおける形態学的および生化学的待性を明らかにし, 次いでMitomycin Cに対する感受性の定量的な解析を試みた.2株は, いずれも典型的な上皮様配列を示した.未分化癌由来のKuramochi株は, 細胞表面に微絨毛を持ち, 比較的発達した接着装置を有するが, 分泌穎粒や分泌空胞は認められなかつた.染色体は50にモードを有する高2倍体であつた.集団倍加時間は約26時間であつた.漿液性撃胞康癌由来のCKS株は, 分泌空胞を有し, 徴絨毛も認められるが, 発達した接着装置は認められなかつた.染色体は37にモードを有する低2倍体であつた.集団倍加持問は約34時間であつた.2株ともAFP, HCG, CEAなどの生化学的マーカーは有しなかつた.Mitomycin C2時間処理の90%致死量値は, Kuramochi株では0.42μg/ml, CKS株では1.13μg/mlであり, Kuramchi株の方がMitomycin Cに対して感受性が高かつた.しかし, 対照として用いた胃印環細胞癌由来のKATO-III株に比べると2株ともはるかに感受性が低く, 卵巣癌がMitomycin Cに対して低抗性であることが示唆された.
著者
太田 浩一 菊池 孝信
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

マイクロアレイ法による炎症関連遺伝子の検索1)ラットの足底にリポポリサッカリド(LPS)を投与し、投与後2,6,12,24時間めに、虹彩・毛様体組織(各時間8匹16眼)を切り出し、total RNAを抽出した。2)total RNA中のpoly(A)+mRNAより、2本鎖cDNAを合成し、gel matrix上のDNAオリゴヌクレオチドプローブ(UniSet Rat I Expression Bioarray chip ; Motorola Life Sciences)をハイブリダイズさせ、洗浄、streptavidin-Cy5による染色を行う。Axon GenePix Scannerでスキャン後、発現量を解析(CodeLink ; Motorola社)解析した。3)9,911遺伝子中、1,930遺伝子(約20%)の発現 がいずれかの時間において2倍以上に増加、または0.5倍以下に減少した。4)いずれかの時間において3、5、10倍以上の増減した遺伝子数はそれぞれ、(991,748),(402,327),(140,95)であった。5)増減遺伝子数は6時間、24時間後に多く、経時的な発現変化のクラスター解析中である。6)既報同様、その遺伝子発現が確認されている炎症性サイトカイン(interleukin(IL)-1beta, IL-6)ケモカイン(RANTES)、iNOS等に関しては、別個体のmRNAを抽出し、リアルタイムRT-PCRを行い、マイクロアレイの結果と同様、2ないし6時間後の発現の著増(正常眼に比し、20から500倍)が確認された。新たにimmediate early genes(Jun B,c-Fos,and c-Jun)の発現が明らかとなり、特にJunBの発現は免疫組織化学染色にて確認された。
著者
富山 英紀 下竹 孝志 柳原 潤 岩井 直躬 吉野 英二
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.708-711, 1996

胸腰部脊髄破裂を合併した左横隔膜ヘルこア (Bochdalek) を経験した. 症例は在胎37週, 体重2199g で出生した女児で, 出生前に胎児超音波検査で水頭症を指摘されていた. 出生時に, さらに胸腰部脊髄破裂が診断された. 生後26時間より呼吸困難を来し, 胸腹部単純 X 線像で左先天性横隔膜ヘルニアと診断された. 生後2日目に経腹的に修復術を施行した. 更に, 生後7日目と11日目に皮弁による脊髄破裂修復術及び V-P shunt 術を施行した. 術後経過は順調で生後15日目に抜管し, 経口栄養(母乳)に移行出来た. 本症例では脊髄破裂を合併していたため, 術後の腹臥位での呼吸管理, 脊髄破裂修復術に用いる皮弁形成に配慮した皮膚切開を要した.
著者
梅澤 一夫 池田 洋子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

1)NF-κB阻害剤DHMEQの抗癌活性と接着因子発現阻害NF-κBの阻害剤は抗炎症剤、抗癌剤として期待され、私達はepoxyquinomicinの構造をもとにNF-κB阻害剤DHMEQをデザイン・合成した。前年度DHMEQがNF-κB活性化シグナルを核移行阻害という比較的下流で阻害していることがわかったので、今年度、恒常的にNF-κBが活性化しているヒト膀胱癌由来KU-19-19細胞を用いてEMSAを行ったところ、DHMEQは処理後2-6時間で阻害作用を示し、さらに今年度KU-19-19細胞でもNF-κBの核移行を阻害していることがわかった。さらにDHMEQはNF-κBが恒常的に活性化しているヒト前立腺癌JCA-1細胞においてもNF-κBを阻害することがわかった。またJCA-1腫瘍の増殖をヌードマウスで腹腔内投与により顕著に抑制することがわかった(Cancer Res.63,107-110,2003)。一方、NF-κBは血管内皮細胞の機能にも動脈硬化や転移の原因として作用している。DHMEQをヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に作用させると、NF-κBの活性化を阻害し、ICAM-1,VCAM-1,E-selectinなどの接着因子発現を阻害した。さらにDHMEQはHUVECと初代培養ヒト白血球およびHUVECと固形癌細胞や白血病細胞の接着をshear stress(流れ)条件下でも阻害した。以上のことからDHMEQは動物実験で抗癌硬化を示し、さらに動脈硬化や転移への抑制効果が期待される。2)放線菌由来アポトーシス誘導物質IC101の生合成経路二次代謝産物生合成の研究は、遺伝子レベルの研究への発展や、新しい生理活性物質の発見に有用である。アポトーシス誘導物質IC101は異常アミノ酸を含む環状ヘキサデプシペプチド構造を有し、生産菌からどのようにIC101がつくられるのか興味深い。そこで13Cラベルアミノ酸等を用い、IC101の生合成経路の解析を行った。面白いことにC5 side chainはイソプレンの形をしているがLeuが取り込まれ、前駆体になっていることがわかった(J.Nat.Prod.65,1953-1955,2002)。
著者
文屋 優
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.351-353, 2002

完全学校5日制度実施により授業日数で16日,授業時数で26時間ほど,3年間の総単位数も6単位減少した。理科総合A,B,理科基礎,I,IIの組み合わせでカリキュラム編成が普通科も,専門学科の編成も難しくなった。一方で本を読まない,読めない生徒が増加している。こんな中での授業の工夫や教材の精選,課題学習,長期休業中の学習習慣の維持,読書のすすめ等を列挙した。最後に土・日曜における余暇のあり方,ボランテア,社会体験等に関して記述した。
著者
川端 寛樹 田島 朋子 田島 朋子
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1)国内分離のライム病病原体であるボレリア・ガリニゲノムからマダニ唾液腺へのボレリア接着因子として、機能未同定の遺伝子を複数検出した。表層抗原であるBB0616ホモログは、マダニ唾液腺への接着に関与していると思われる。一方、その機能ドメイン、接着リガンドなどは未同定である。2)国内分離ボレリアのマダニ中腸への接着性についても検討を行った。ボレリアの中腸組織への接着は、未吸血マダニ中腸組織で見出された。また、接着阻害実験に用いた細胞間マトリックスの一部は、その接着を阻害した。他方、これまで知られているglycosaminoglycansへの結合能は本ボレリアでは見出されなかったが、ボレリアのマダニ中腸組織への結合を阻害した。今後、これらボレリアの接着因子の同定を試みている。
著者
佐原 恒一郎
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.22, pp.32-33, 2006-08-26

特別支援教育において,音楽の授業,とりわけ合奏は児童生徒にとって自己実現を図るなどで有効な題材である。しかし,鍵盤楽器を操作できる生徒がメロディを担当し,多くの児童生徒はタンバリンなどの打楽器を担当することが多いのが実情である。本研究では,その理由として教員の知識不足があるとの仮説に立ち,アンケートにより実証し,併せてメディア教材を提案するものである。
著者
鷲尾 誠一 高橋 智 上山 恭平 番匠谷 勝之 菊井 翔太郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.72, no.723, pp.2710-2716, 2006-11-25
被引用文献数
1

A new idea has been proposed to deaerate liquid flowing in a channel on an on-line basis, utilizing a near-vacuum cavity formed on the wall downstream of the point of separation in most vigorous cavitation. The idea has been materialized such a concrete method as connecting a vacuum pump to the cavity formed in a cylindrical constriction and sucking out gas coming out successively from the surrounding liquid. When the method was tested in a hydraulic unit with 25 L of oil in the tank, the gas solubility in the oil was lowered by 40% in 30 minutes. The two experimental factors such as a flow rate through the constriction and air dissolution from atmosphere were examined in the same test unit in terms of their effects on the method's capacity, showing that a larger flow rate results in a better deaseration capacity and a float covering the free surface of oil in a tank works to improve the capacity by preventing air dissolution into the oil. When the critical flow rate at which an incipient cavity emerged on the entrance edge of the cylindrical constriction was measured for oils with different air solubilities, it turned out a 60% reduction of gas solubility increased it by 33%. Moreover oil cloudy with cavitation bubbles after a start of deaeration became more and more translucent as the deaeration proceeded.
著者
三嶋 雄二
出版者
(財)癌研究会
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

抗体医薬は、副作用が少なくがんの治療効果を高める反面、治療費が高額になる傾向があり、医療経済学の観点から、効果の期待のできない患者に対する投与は避けることが重要である。そのためには治療効果を正確に予測する技術が必要とされている。本課題では、各種抗体医薬の効果予測技術を確立することを目的とし、顕微鏡下で生きたがん細胞の抗体医薬に対する感受性を評価する方法を確立することで、迅速かつ被験者への負担の少ない診断法を開発した。
著者
中谷 武嗣 山岡 哲二
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

心筋梗塞に対するインジェクタブルゲル注入療法が注目されているが、梗塞部位リモデリングの抑制のために最適なゲル化材料の特性は明らかとなっていない。ポリアルギン酸など非分解性のインジェクタブルハイドロゲルを心筋梗塞部位へ注入することで心機能が回復することが報告されているが、長期にわたって残留するこれらの材料が最適とは考えにくい。本プロジェクトでは、さらに、炎症性が小さくてかつ分解することにより長期炎症を回避できるゲルの開発と評価を進めた。低炎症性を期待して生体内に存在するタンパク質の高次構造を模倣した自己組織化ペプチドを検討し、さらには、αヒドロキシ酸を主成分とするインジェクタブルゲルも開発し、それらの、感温性およびゲル化挙動について詳細に検討するとともに、皮下埋入試験による炎症誘起性の評価とその治癒能力について検討した。心筋梗塞モデルラットは、左冠動脈を結紮して作製した。結紮してから4週間後に心臓機能の指標である左室短縮率(% FS)を超音波エコー装置にて計測し、% FSが25%以下のものを心筋梗塞であると判断した。その後、30Gの注射針を用いて生分解性ハイドロゲルを心筋梗塞部位へ100μl注入した(n=4)。コントロール群としてアルギン酸ゲル(n=5)、または生理食塩水(n=5)を用いた。注入から4週間後に、% FSの測定ならびに摘出した心臓の組織学的評価により治療効果を検討した。生分解性ハイドロゲル注入群では、% FSは1か月間で、生理食塩水の場合と比較して有意に改善しており、、開発した生分解性ハイドロゲルは梗塞部位への注入により心機能を有意に改善できる。さらに、炎症系細胞密度は、アルギン酸注入群より有意に減少しており、新たなハイドロゲル群は高い% FSの回復と低い炎症性が達成される有用なシステムであることが示唆された。
著者
鎌形 洋一
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本課題は、生物的メタン生成を高圧下で起こす事が可能か否かを検証することによって、海洋ならびに陸地地下圏において今なお起きつつあると推定される生物学的メタンの成因解明をめざすものである。本研究ではまず生物的メタン生成を高圧下で起こす事が可能か否かを検討した。本研究において、地下圏に広く存在する典型的な高温性メタン生成古細菌である Methanothermobacter thermautotrophicus の高圧培養を試みた。その結果温度 55°C, 圧力 5MPa, 10MPa, 15MPa の条件で生育しメタン生成を行うことを捉えた。また、地下圏に広く存在する酢酸を炭素源として酢酸酸化水素生成型微生物と水素資化性メタン生成古細菌の共生高圧培養を試みた。その結果、上述のメタン生成古細菌単独の培養と同様に、5MPa, 10MPa, 15MPaの条件で生育しメタン生成を行うことを明らかにした。メタン生成古細菌のみならず酢酸酸化共生微生物もこうした圧力に耐えられることから、深部地下圏において微生物間共生によってメタン生成が起こりうることを初めて明らかにした。