著者
番原 睦則
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

組合せテストは,ソフトウェアの信頼性・安全性を高めるためのソフトウェア検証手法の 1つである.本研究では,組合せテストのテストケース生成の性能向上を目指し,SAT ソルバー,制約ソルバー,解集合ソルバーを用いたテストケース自動生成ツールに関する研究開発を行った.提案手法を実装した 3つのツールは,組合せデザイン・ハンドブック等に記載されているベンチマークに対して,様々な既存手法で得られた既知の最良値を更新することに成功した.
著者
富田 文明 高橋 裕信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.p650-659, 1990-05-15
被引用文献数
8

すべてのステレオシステムは,正しいカメラパラメータが得られていると仮定している.実際,これらのパラメータは既知のテストパターンを用いて事前に計算することができ,これをカメラキャリブレーションという.しかし,事前にキャリブレーションを行ったとしても,距離測定精度の観点からはまだ不十分であるこれは,キャリブレーションには必ず誤差が存在するし,また,キャリブレーション後にいくつかのパラメータが変化してしまうからである.たとえその誤差が微小であったとしても,対応点を求める場合にも,また距離を計算する場合にも,その影響は大きいのである.かと言って,検測するたびにテストパターンを撮影し,キャリブレーションをやり直すことは,特に,偏咳運動によって注視点を変えるステレオカメラや移動ロボットに搭載されるステレオカメラにとっては非現実的である.したがって,未知の観測データから現在のカメラパラメータを自律的に計算するセルフキャリブレーションは,現実のステレオシステムには必要不可欠のものである.本論文では,ステレオ画像の境界線表現に基づいてセルフキャリブレーションを行う方法を提案し,その実験結果を報告する.
著者
福田 勝吉
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.68, pp.23-26, 2004-11

私は平成7年3月に基礎工学類、平成9年3月に理工学研究科を卒業し、現在は自動車部品メーカーでソフトウェア技術者として勤めています。社会人8年目ですが入社2年目に転職の経験があります。仮にも新卒で決意入社した会社を2年で辞めたという ...
著者
小川 正 熊田 孝〓
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

未知の問題に直面したとき、我々は試行錯誤をすることにより知識を獲得し適切に問題を解決することができる。しかしその過程における神経メカニズムについては十分に知られていない。この問題を調べるため、我々は試行錯誤を伴う視覚探索課題を開発し、前頭前野外側部(the lateral prefrontal cortex, LPFC)から単一神経細胞記録を行った。試行錯誤を伴う視覚探索課題において、サルは6つの異なる色刺激の中から1つの色刺激を選択しなければならない。選択された色刺激が、実験者が事前に決めた目標色であれば報酬(ジュース)が得られる。目標刺激の色は試行ブロックが変わるごとにランダムに変更されるが、サルには目標刺激の色、更新タイミングに関する情報が一切与えられない。このため、報酬のフィードバックにもとづいて試行錯誤により目標となる色刺激を探索する必要がある。サルは目標刺激の色が変更された後、通常、数試行にわたって目標以外の色刺激を選択するが、一度でも目標である色刺激を選択するとステップ状の正答率変化を示し、それ以後は90%程度の高い正答率を維持した。このようなステップ状の正答率変化は、知識ベースの学習であることを示唆する。学習が成立する前(試行錯誤期間)では異なる色刺激を次々に選択することが必要であるが、学習が成立した後(メンテナンス期間)では同一の色刺激を選択し続けることが必要となり、2つの期間で行動選択の方略が根本的に異なると考えられる。実際、試行錯誤期間とメンテナンス期間でLPFニューロンの神経活動を比較したところ、試行錯誤期間において特異的な活動を示し2つの期間を区別するニューロン群を見出した。このことから、LPFがオブザーバー的な役割を果たし、2つの期間で異なる方略を使い分けるための神経機構の形成に役立っている可能性が考えられた。
著者
椎名 亮輔
出版者
同志社女子大学
雑誌
総合文化研究所紀要 (ISSN:09100105)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.93-107, 2002-03-31

The strategy of Luc Ferrari (1929 -), a French contemporary composer, in bewildering his listeners, consists among other things, of scattering autobiographical references in his work. As Philippe Lejeune points out, in reading an autobiography we must make contract with the author : we must acknowledge that the author really exists, and that it was he who realized these texts. Here we encounter the reality that extends behind the artistic work itself. With Ferrari, through his autobiography, we are led to an extra-musical world. His interest in the extra-musical world had already begun with his early "concrete" works in the 50's. The "musique concrete" is constructed with sound material from the real environment, material that the composer records, manipulates and fixes directly on disk or tape. Although manipulated in this way, the sounds keep their original character : the listeners easily understand which sounds he uses, so that the sounds do not remain a merely physically but are carriers of some meaning. Ferrari takes advantage of the variety of meanings, carried in this way by the auto-biographical, or the "concrete" character of the sounds. But this is not all : our tendency to listen to music as absolute music - to listen only to the sounds without reading the literal explanation in the case of lieder, operas or program music - is of no use, because our attention is immediately disturbed by the pornographic photos on the jacket of his LP disk, Cellule 75,for example. If Mikel Dufrenne is right saying that before the appiarance of writing the arts had their origin in the memory, and that the mother of arts is at the same time the goddess of memory (Mnemosyne, mother of Muses), the position of Ferrari is very significant because he continuously tries to bring the maximum of the senses to the sound works, despising the written level : surcharging the meaning of sounds, written texts, photos, films, radio dramas, installations... as if he returned to the origin of the music, memory. As for memory, according to the research of Paul Ricoeur, the Greeks distinguished two kinds : mneme, simple remembering, and anamnesis, recollection, i. e. spiritual movement for recollecting. The Greeks were conscious of the fact that it is us who make the memory, not the memory which returns to us, a fact on which, in the domain of neuro-psychology, Israel Rosenfield is insisting today. And in the artistic domain, we can say that there are authors who create so to say "new memory" for us, who appreciate it and experience it as if we lived this memory, as "our" autobiography. Among others it is Luc Ferrari and his music which bring us this kind of artistic experience, out of the traditional esthetic criteria.
著者
二宮 敬虔 久保田 孝 橋本 樹明 川口 淳一郎 丸家 誠 澤井 秀次郎
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

月や惑星などへの探査機の自律的着陸誘導法について,安全・確実に着陸するために必要なセンサ情報処理,カメラ画像に基づく地形認識,それらの情報に基づいた探査機誘導制御則に関する検討を行った.また,計算機上に天体の表面地形モデル(太陽光の反射特性も含む)と探査機モデル(ダイナミクス・制御則,センサモデルなどを含む)を構築し,探査機の自律着陸を計算機上で模擬できるグラフィカル着陸シミュレータを開発した.以下に得られた知見をまとめる.1.グローバルマッピング移動ステレオ法と輪郭・影情報を用いる手法により,3次元構造を復元する手法を確立した.2.惑星モデルの構築惑星形状や表面のクレータなどのモデル化を行い,さまざま惑星モデルを生成可能にした.また,太陽光の反射特性を考慮し,任意の位置から撮像した画像を生成する機能を実現した.3.着陸誘導制御アルゴリズム複雑な表面地形に対しても特徴点抽出が可能な手法を構築した.また,距離センサおよび画像情報を用いて,探査機の相対位置姿勢検出などがロバストに行われるアルゴリズムを考案した.4.地形認識画像情報から定性的な地形認識を行う手法を確立し,障害物回避,目標地点への高精度誘導着陸手法を構築した.本研究により,ロバストで高精度な自律着陸航法誘導システムが構築可能となり,今後の惑星科学の発展に大きく貢献できることが期待される.
著者
梶村 幸市 塩山 司 山森 徹雄 伊藤 創造 細川 貢 島崎 伸子 有住 達也 石橋 寛二 石沢 均
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.946-951, 1996-10-01
被引用文献数
13 12

チタンインプラントが顎骨内でより早期に安定することを目的として,チタン表面に対する種々の改良が試みられている.しかし,強度と化学的安定性からみて,いまだ問題点が多い.本研究は著者らが開発したチタン表面の新しい処理方法の有用性について組織学的に検討したものである.この新しい表面処理が埋入初期の骨形成に有用であることが示され,インプラントの臨床をより確実にするための一助になるものと期待される.
著者
大久保 朝直 藤原 恭司
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.957-966, 1996-12-01
被引用文献数
14

ソフトな表面を持つ円筒をエッジ部分に取り付けた防音壁の遮音性能について検討を行った。まず, 断面が水車のような形状の円筒を用いて, ソフトな表面を持つ円筒の実現を試みた。検討の結果, 水車型円筒は近似的にソフトな表面を実現することが確認された。次に, この水車型円筒を半無限障壁に取り付け, 円筒の有無による障壁の遮音性能の差を測定した。結果によると, 遮音性能が低下してしまう帯域もあるものの, 水車型円筒表面付近の音圧が極小になる帯域では遮音性能が非常に大きく向上することが確認された。
著者
森信 繁 宮本 和明 福田 浩
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

1) 難治性うつ病の病態解明に関するBDNF遺伝子メチル化の解析対象は電気けいれん治療を受けた難治性うつ病群15例であり、治療前後での解析を行った。解析方法は、MassARRAYシステム(SEQUENOM)を用いた定量的メチル化解析法である。Exon 1のプロモーター領域にあるCpGアイランド内のメチル化の解析では、特に本治療によって特徴的に変化する部位は検出されなかった。Exon 4プロモーター及びexon 4内のCpGメチル化の解析でも、特に本治療によって特徴的に変化する部位は検出されなかった。Exon 1プロモーター領域のCpGアイランド内のメチル化の解析結果から、難治性うつ病群と未治療うつ病群を比較すると、難治群で低メチル化であるCpG32や難治群で高メチル化であるCpG4, 71などでのメチル化の程度の違いから、難治性うつ病群と未治療うつ病群は、異なったクラスターに分類される可能性が示唆された。2) 難治性うつ病の病態解明に関する拡散テンソル画像を用いた研究対象は難治性うつ患者8例・健康対照者6例であり、3テスラMRI装置(GE社製Signa Excite HD3.0T)を用い、頭部の拡散テンソル画像を撮像した。得られたデータからfractional anisotropy(以下FA)画像の作成を行った。患者群の前頭前野白質のFA値は健康対照群と比較して、AC-PC線20mm頭側の断面で、有意な減少が見られた。難治性うつ病群で前頭前野白質のFA低値がみられたことから、同部での微細脳構造の異常が示唆され、うつ病症状との関連が考えられる。今回の研究結果は、うつ病の難治化にBDNF遺伝子のメチル化の変化や前頭前野の白質構造の変化が関与していることを示唆していると思われる。
著者
楳田 洋太郎 田久 修
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、直交変調構成の包絡線パルス幅変調(EPWM)スイッチング動作型送信機について、実験的に初めて電力増幅器を用いた変調精度評価を行った。また、直交変調型EPWM送信機の実質的な電力効率の指標として、復調後信号点における振幅の大きさを表す実効復調電力効率を提案した。さらに、周波数可変で、電力損失、変調精度劣化を抑えつつ、量子化雑音による帯域外輻射を低減するため、180°ハイブリッド電力合成を用いた電力増幅器挿入型トランスバーサルフィルタを提案した
著者
サラウッディンムハモド サリム ザビル アハメッド アシル 白鳥 則郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.291, pp.71-76, 2001-09-07

リンクの利用効率(link efficiency)と公平性(fairness)は、ネットワークの性能において重要な指標となる。それらの性能向上のためには、輻輳を通知する適切な手段が必要となる。ECN(Explicit Congestion Notification)を用いることで、輻輳を素早く検出することによって、TCP/IPネットワークの性能を向上させることが可能となることが明らかにされている。本稿では、FIM(Fair In-time Marking)というECNに関する新しい手法を提案する。FIMを用いることによって、素早く輻輳を検出するだけでなく、全コネクションに対して公平なサービスを保証することができる。インターネットの利用者が急増し、公平なサービスを強く望まれているなか、本手法は重要な意味を持つ。シミュレーションによって、FIMは利用効率に影響を与えず、従来のECNに関する手法と比べて最も優れた公平性を提供することを示す。