著者
笠谷 和比古
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.35-47, 2000-10-31

本論文では豊臣秀吉没後の慶長四(一五九九)年閏三月に発生した加藤清正ら豊臣七武将による石田三成襲撃事件の顛末を取り上げ、ことに同事件を事実関係の究明の観点から検討する。関ヶ原合戦の端緒をなすこの著名な事件の経緯をめぐっては、豊臣武将たちの襲撃計画を事前に察知した石田三成は大阪から伏見に逃れ、そして伏見にある徳川家康の屋敷に入ってその保護を求め、家康もまたこれを受け入れて豊臣武将たちによる三成の身柄引き渡し要求を拒絶し、三成を近江佐和山の領址に逼塞させることで問題を解決に導いたという認識が示されてきた。これはただにドラマ・時代劇の筋立てだけであるのみならず、権威ある多くの歴史研究の論著においてもそのようなものとして論述されてきた。しかしながらこれは事実誤認であり、伏見に逃れ来った三成が身を守るために入ったのは家康の屋敷ではなく、伏見城の中にある彼自身の屋敷であった。関ヶ原合戦に関する多くの研究論著において繰り返し論述され、われわれにとって常識ともなっているこの事件が、事実関係という最も根本的なところで何故にこのような誤認が生じていたのか。また数多くの歴史研究者がこの問題に言及しながら何故にこのような基礎的な誤認に気がつかなかったのであろうか。本論文はこの事件の事実関係を解明するとともに、われわれの認識を束縛し、誤認に導いていく危険を常に孕んでいるところの歴史認識のメカニズムについて分析を施していく。
著者
掘越 紀香
出版者
白梅学園大学
巻号頁・発行日
2017-03-15

2016年度
著者
木下 修一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.15-21, 2009-01-15

多様な昆虫の世界で色情報がどのように生成され,利用されているか概説する.ここでは特に,微細構造が関係した発色現象に着目した.微細構造が生み出す「構造色」の例として,タマムシ,コガネムシ,モルフォチョウなどの多層膜構造,マエモンジャコウアゲハなどのフォトニック結晶,さらに,イトトンボに見られる乱雑な構造がつくる色について詳述する.また,色素による発色も単に色素だけではなく,ミクロな構造が深く関係していることをモンシロチョウの白,キチョウの黄色,アゲハチョウの黒などの例をあげて説明する.これらの色情報は,メスやオスに対するアピールであったり,捕食者に対する警戒や隠ぺいなどさまざまに利用されている.
著者
吉田 圭一郎 岩下 広和 飯島 慈裕 岡 秀一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.516-526, 2006-09-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
35
被引用文献数
3 9 4

本研究では父島気象観測所で観測された78年分(戦前: 1907~1943年,占領期間: 1951~1959年,返還後: 1969~2000年)の月別気温および降水量データを用いて小笠原諸島における水文気候環境の長期的な変化を解析した.占領期間および返還後の年平均気温は戦前と比較して0.4~0.6°C 高く,年平均気温の上昇率は0.75°C/100yrであった.また,返還後の年降水量は戦前に比べて約20%減少した.修正したソーンスウェイト法により算出した月別の可能蒸発量と水収支から,年平均の水不足量(WD)が戦前に比べ返還後には増加したことがわかった.また,返還後は夏季において水不足となる月が継続する期間が長くなった.これらのことから小笠原諸島における20世紀中の水文気候環境は乾燥化の傾向にあり,特に夏季に乾燥の度合いが強まり,また長期化することにより夏季乾燥期が顕在化した.
著者
Ken Usui Toshiki Iwasaki Takeshi Yamazaki Junshi Ito
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.2022-023, (Released:2022-06-02)

We conducted numerical simulations on a case of local “Karakkaze” wind on 23 March 2009. On this day, an aircraft crashed on landing at Narita Airport in the eastern Kanto Plain in Japan in the early morning when surface winds were significantly strengthened. Numerical simulations were used to elucidate the characteristics and mechanism of the strong wind over the Kanto Plain. This strong wind was identified as the Karakkaze wind, which occurs in the lee of the convex mountain range northwest of the Kanto Plain. The vertical shear associated with the Karakkaze wind could cause strong turbulence near the surface. The results of a sensitivity experiment suggest that the presence of the mountain convexity is essential for the development of the Karakkaze wind. Backward trajectory analyses reveal the area where the Karakkaze wind originated upstream of the mountain range. The horizontal wind speed in this area is even weaker than in the northern area. However, unlike in the northern area, the air with large momentum descends from altitudes much higher than the height of the dividing streamline owing to the mountain convexity, thereby driving strong surface winds in the leeward area.
著者
松岡 心平
出版者
桧書店
雑誌
観世
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.26-34, 2017-09
著者
松岡 心平
出版者
桧書店
雑誌
観世
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.34-40, 2017-08

4 0 0 0 松虫

著者
インセクタ・マツムラナ 編
出版者
北方出版社
巻号頁・発行日
1946

4 0 0 0 虫・自然

著者
昆虫研究会
出版者
昆虫研究会
巻号頁・発行日
1946

4 0 0 0 OA 北蝦夷余誌

著者
松浦武四郎
出版者
巻号頁・発行日
1860

4 0 0 0 OA 陸軍衛生紀事

著者
前原等 編
出版者
前原等
巻号頁・発行日
1893
著者
木原 信敏
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.460-470, 1967-07-01 (Released:2011-03-14)

最近, 家庭用VTRとして各種の特長のある機械が市販されるようになつてきたが, まだ本当の家庭において用いる機械としては, 充分にその性能または形態, 価格, その他について満足はされていないと思われる.将来は, 必ず大衆化されるこの種VTRは, このままの姿ではなく, より使い良く, より高性能になるべきであり, その改良すべき点およびその手段について解説している.
著者
林 美都子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2019 (Released:2019-10-28)

近年、艦隊や刀、細胞などさまざまなモノが擬人化され人気を博しているが、記銘語を擬人化することにより、記憶は改善されるのであろうか。大学生30名を対象に、漢字2文字の36単語を用いて実験を行った。記銘語の読み方を説明する「読み方説明文」条件、記銘語を本来の意味で用いて短い物語を作成する「物語作文」条件、記銘語を擬人化して短い物語を作成する「擬人化作文」条件を設け、それぞれに12単語ずつ割り振った。練習試行の後、1単語20秒で作文を求め、ディストラクター課題を実施した後、約5分間の自由再生テストを実施した。その結果、擬人化作文の再生数が最も多く、次いで物語作文であり、読み方説明文条件は最も少なかった(F(2,58)=45.41, p<.05; Mse=2.55, p<.05)。記憶の精緻化方略の一種として記銘語を用いて物語を作成する物語法により記憶成績が改善することはよく知られているが、本研究の結果、擬人化方略はこの物語法を上回る効果をもたらすことが示された。
著者
五十里 彰 古田 巧 遠藤 智史
出版者
岐阜薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

低マグネシウム(Mg)血症は薬物療法において重大な障害になるが、その発症機序は大部分が不明であり、有効な治療法は全く開発されていない。Mg輸送体の分子実体が未解明であったことが、Mg代謝疾患と創薬研究の遅延を招いたと考えられる。申請者は低Mg血症におけるMgチャネルの発現異常機構を検討し、薬剤性および遺伝性低Mg血症の発症機序を分子レベルで解明した。さらに、低Mg血症の治療につながる化合物の同定に成功した。本研究により、低Mg血症の回避に向けた薬剤の開発基盤が構築された。