著者
田中 一彦
出版者
大阪市立大学
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.963-976, 2000

0. はじめに : 推理小説とは一種の物語の形式のことであるといってよい。つまり, 推理小説とは「謎解き」の形式をした物語のことなのである。その「謎」は多岐にわたる。推理小説における代表的な「謎」には「犯人あて」と言われるものがある。たとえば, あるところで殺人などの犯罪が発生する。その物語の探偵はさまざまな手がかりを元にしてその犯人を推理していく。このような探偵の論理的な謎解きのプロセスを楽しむのが推理小説を読む醍醐味の一つである。これに加えて, 推理小説を読む最高の楽しみは物語中の探偵とともに読者自身も論理的に謎を解いていくことにある。……
著者
鎌谷 美希 伊藤 資浩 宮崎 由樹 河原 純一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.350-359, 2021 (Released:2021-12-25)
参考文献数
27
被引用文献数
4

Pre-COVID-19 epidemic studies found that wearing a sanitary mask negatively impacted perceived facial attractiveness. In particular, people demonstrated more negative explicit or implicit attitudes toward wearers of sanitary masks when the masks were black rather than white. The present study examined whether changes in social behavior in response to the COVID-19 epidemic, including the prevalent use of sanitary masks, might alter explicit and/or implicit attitudes toward wearers of black sanitary masks. We measured explicit (Study 1) and implicit attitudes (Study 3) and facial attractiveness (Study 2) of males wearing black or white sanitary masks. The results revealed that attitudes toward wearers of black sanitary masks were more positive than those measured pre-epidemic. Regardless of mask color, explicit attractiveness rating scores for low-attractiveness faces tended to increase after the epidemic. However, no such improvement was observed for high- and middle-attractiveness faces. There was also no change in implicit attitudes measured by the implicit association test. These results suggest that the COVID-19 epidemic has reduced explicit negative attitudes toward wearers of black sanitary masks.
著者
岩田,重雄
出版者
日本計量史学会
雑誌
計量史研究
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, 1979-01-25

Tracing the changes of mass standard by statistical calculation on the basis of the weights, nominal gold and silver coins, and metrological conversion tables in modern Japan, the author has obtained the following results : There had been no great change in mass standard in modern Japan, its mean value during 298 years from 1573 to 1870 being 3.736×10^<-3>kg per \"momme\". Since the beginning of 19th century, mass standard has been rising enormously, and especially, its mean value during 37 years from 1834 to 1870 reached 3.756×10^<-3>kg. In 1871, the \"Regulation of New Coins\" was enacted and 1 \"momme\" was determined at 3.756521×10^<-3> kg, but it was not universally observed. The mean value during 20 years from 1871 was 3.750×10^<-3>kg. This value was adopted in the \"Law of Weights and Measures\" in 1891, and continued till the Shaku-Kan system was abolished.
著者
田口 修
出版者
日本福祉大学全学教育センター
雑誌
日本福祉大学全学教育センター紀要 = The Journal of Inter-Departmental Education Center, Nihon Fukushi University (ISSN:2434706X)
巻号頁・発行日
no.8, pp.101-108, 2020-03-31

講義『リハビリテーション介護』において, 精神障害を理解し当事者の思いを知るために, 浦河べてるの家制作のビデオ鑑賞を行った. 提出された感想レポートについてKH Coder を用いてテキストマイニングによる分析を行った. 階層的クラスター分析では, 「弱さを認め葛藤を諦める」「幻聴や被害妄想の七年間」「仲間と共感の大切さ」「病気や症状の理解」「親に相談することの難しさ」「辛さ苦しみを学ぶ」以上の6 つのクラスターが示された. 対応分析では, 作業療法学専攻が「幻聴や被害妄想の七年間」「病気や症状の理解」と関連し, 基礎知識として統合失調症の理解に関心を向ける一方, 介護学専攻では「仲間と共感の大切さ」「辛さ苦しみを学ぶ」こととの関連を示し, 臨床実践に関心を寄せることが伺われた.
著者
吉田 誠 阿部 貴晃 菊地 デイル万次郎 木下 千尋 中村 乙水
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.95, 2022 (Released:2022-04-11)
参考文献数
106

飛翔および遊泳する動物にとって、移動時のエネルギーコストを低く抑えることは重要である。移動コストは、ある地点から別地点に到達するまでに必要な運動コストと、移動中に体内の恒常性維持のため消費される代謝コストからなる。代謝コストは移動時間に比例して増加するため、運動コストと代謝コストの間には移動時間を介したトレードオフが生じる。温度環境に応じて代謝コストが変動する外温動物の場合、自身の適温範囲外に滞在できる時間は限られ、こうした制約(体内と体外における環境差)も動物の移動範囲を規定する要因となる。近年、バイオロギングやバイオメカニクス分野の発展により、野外で暮らす動物の移動コストが、動物自身の形態や移動様式により巧妙に低減されている様子がわかってきた。多くの水生動物に見られる抵抗の少ない形状や、流体中における特徴的な移動方法は、個体が移動する際に生じる抵抗を抑え、運動コストを低減する。野外で観察される様々な動物の移動パターンは、運動コストと代謝コストの和(cost of transport)を最少化するような理論的予測とよく一致する。本稿ならびに本特集で紹介してきた、エネルギーコストを指標として、動物の行動を捉え直す試みは、動物の形態や、様々な時空間スケールで繰り広げられる個体の移動様式を統一的に理解し、変わりゆく環境下に置かれる動物個体群の将来を予測する有用なアプローチとなるだろう。
著者
米倉 崇晃 杉山 宗隆
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.59-65, 2021 (Released:2022-04-08)
参考文献数
41

植物の葉序には,規則的で美しい,様々なパターンが見られるが,その多様性は限定的で,多くはいくつかのタイプに集中している.葉序パターンについての研究は,古くから形態学的な解析を中心に行われ,多くの記載が積み重ねられてきた.現在では葉序パターンは,葉原基が自身の近傍における新たな葉原基の形成を阻害し,それによって葉原基間の位置関係が規定されることで自発的に生成すると考えられており,こうした阻害作用を基礎とする数理モデルを用いたコンピュータシミュレーションで、主要な葉序パターンの再現も確認されている.さらに近年の分子生物学実験により,この阻害作用の実体がオーキシンの奪い合いであることも示され,葉序パターン生成機構の枠組みはかなりの程度明らかになっている.この枠組みを前提にすれば,個々の葉序パターンについて,形態的特徴の解析から当該パターンの決定要因を探ることも可能と考えられる.本稿では,この新しいアプローチの提案を主題とし,まず葉序パターンの形態特徴量とその測定法について述べ,葉序パターン生成機構の数理モデルについて概説した後で,形態特徴量から数理モデルのパラメータを推定する方法について論じる.
著者
堀 裕子
出版者
日本女子大学文化学会
雑誌
文化学研究 (ISSN:13411454)
巻号頁・発行日
no.12, pp.171-183, 2003
巻号頁・発行日
vol.第49號 (昭和21年8月16日), 1946
著者
大谷 道輝
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.3, pp.447-452, 2022-03-20 (Released:2022-03-22)
参考文献数
10

皮膚外用薬には軟膏やクリームに加え,ローション,ゲル,貼付剤,スプレー剤など多くの基剤・剤形があり,疾患や部位などに応じて最適な基剤・剤形を選ぶことが重要である.そのため,選択では,基剤・剤形の特徴を理解することが不可欠である.基剤・剤形以外でも,添加物は副作用に影響するため注意が必要である.皮膚外用薬はアドヒアランスが悪い剤形であり,十分な治療効果を発揮するには,患者に基剤・剤形について情報提供を行い,患者の生活様式や嗜好も考慮して選択すべきである.

4 0 0 0 運動年鑑

著者
朝日新聞社 編
出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
vol.昭和5年度, 1930