著者
須藤 靖明 筒井 智樹 中坊 真 吉川 美由紀 吉川 慎 井上 寛之
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.291-309, 2006-10-31
被引用文献数
5

So far the ground deformation associated with a magma supply system of Aso Volcano had not been discussed because any clear signals in ground deformations and volcanic earthquake activity had been hardly observed near the Nakadake active crater during its activity enhancement cycles. In this article, however, the deflation source and magma supply system is investigated by the long-term geodetic surveys. The secular subsidence is observed in the Kusasenri area about 3km west of the Nakadake active crater from the 1951's levelling survey in compiled levelling surveys along the Bouchuu-line since 1937. While the ground deformation near the active crater has been obscure. The source of this deflation near the Kusasenri area is estimated on the basis of the spherical pressure source model through the non-linear least square method with using recent survey data which include the Bouchuu-line and an extended survey route. The deflation source is located beneath the Kusasenri area at about 5km depth. However, recent volume changes at the spherical deflation source are smaller than before 1959. The location of the deflation source coincides with the low P- and S-wave velocity body in the 3D seismic velocity structure. This fact supports a hypothesis that the low seismic wave velocity body represents a magma reservoir. Therefore this magma reservoir beneath the Kusasenri area must be connected to the Nakadake active crater. We inferred a rigid conduit in the magma supply system from the obscure ground deformation in the vicinity of the Nakadake crater.
著者
田中優美 伊藤久祥
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.167-169, 2011-03-02

Twitterは、独自のゆるいつながりが特徴のコミュニケーションサービス<br />である。Twitter上においては、あるユーザにとって個人的に不快な<br />つぶやきがあった場合に発言者との関係を絶つ対処方法が提供されている。<br />しかし、この方法は、本サービスの特徴である他のユーザとのつながりを<br />破棄する形になってしまう。<br />本研究では、ユーザが不快と判断したつぶやきを見づらくすることで、<br />Twitter独自のつながりを保持したまま不快を受け流す手法を提案する。<br />タイムライン上の任意のユーザのつぶやきを見づらくするWebシステムを<br />試作し、その上でどのような見づらさが不快を受け流すのに適切であるか<br />検討し、評価を行う。
著者
永川 栄泰 鈴木 隆司 金城 康人 宮崎 則幸 関口 正之 櫻井 昇 伊瀬 洋昭
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.467-472, 2011 (Released:2011-11-29)
参考文献数
13
被引用文献数
8 10

2011年3月11日の東日本大震災に伴い,福島第一原子力発電所の事故が発生した。この事故後から東京都内(世田谷区深沢)で大気浮遊塵,農畜水産物,浄水の放射能濃度及びγ線の空間線量率のモニタリングを行ってきた。5月31日までの測定結果を基に132Te,131I,132I,134Cs,137Csの5核種による内部被ばく線量及び空間線量率による外部被ばく線量を試算した。その結果,測定開始から1年間の積算線量は425.1μSvとなり,ICRPの定める一般公衆の年間被ばく限度(1mSv)を超えないものと推定された。
著者
Tadashi KIHO Shigeyuki USUI Kazuyuki HIRANO Koichi AIZAWA Takahiro INAKUMA
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (ISSN:09168451)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.200-205, 2004 (Released:2004-01-24)
参考文献数
31
被引用文献数
70

A water-soluble and low-molecular-weight fraction (SB) was obtained from tomato paste. The effects of SB on the formation of advanced glycation end-products (AGE) in protein glycation were studied by the methods of specific fluorescence, ELISA and a Western blot analysis, using the anti-AGE antibody after incubating protein with sugar. The results suggest that SB had strong inhibitory activity, in comparison with aminoguanidine as a positive control, and that the inhibitory mechanism of SB differed from that of aminoguanidine to involve trapping of reactive dicarbonyl intermediates in the early stage of glycation. SB contained an antioxidant, rutin, which showed potent inhibitory activity. The results also suggest that rutin chiefly contributed to inhibiting the formation of AGE, and that other compounds in SB may also have been related to the activity.
著者
姜 暻來
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.75-102, 2012-09-30

近年、韓国では、児童を対象とする凶悪な性暴力犯罪に対処するため、2000年に性犯罪者の身上公開制度(インターネットでの性犯罪者の個人情報の公開及び閲覧制度)、2005年に電子監視制度(性犯罪者へのGPS機能を搭載した電子足輪の装着)、さらに、2008年には、性的倒錯(小児性的嗜好及び加虐性愛)等の性的性癖がある者を治療監護対象者とする新たな対策を次々と導入してきた。しかし、その後にも児童を対象する凶悪な性暴力犯罪が発生したため、化学的去勢(chemical castration)を主な内容とする「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」を2010年に制定し、2011年7月から施行している。これは、性犯罪者に対する薬物治療を通して性衝動を抑制することで、再犯を防止することを内容とする制裁手段の一つであるが、身体に直接影響を与えるために人権侵害等の問題等が指摘されている。そこで本稿では、化学的去勢の意義と効果、「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」の概要等に対して分析を加え、韓国の化学的去勢に関して論議されている問題点について論じることにした。
出版者
衆議院事務局
巻号頁・発行日
vol.第67囘 下巻, 1935
著者
神保 恵理子 桃井 真里子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.215-219, 2015 (Released:2015-11-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorders ; ASD) は遺伝性要因が強い疾患である. 発症には, 多数の遺伝子の関与と共に, 遺伝子×環境性要因によるエピゲノム形成が示唆される. 罹患者の約40%にゲノム異常や遺伝子変異が検出されていることから, 今後の分子遺伝学的研究の進展は, 発症機序などの解明に不可欠である. これまでの解析から, ASD候補遺伝子はシナプス恒常性に関与するものが多い. 筆者らは, ASD特異的変異が惹起するシナプス機能性蛋白のloss-of-functionに加え, gain-of-functionの存在を示してきた. ASD, さらに合併疾患にも関与する共通分子機構の解明, 治療へと繋がることを期待したい.
著者
二木 立
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.12-21, 2009-04-25 (Released:2018-02-01)

小泉政権の医療改革の新しさは,医療分野に新自由主義的改革方針を部分的にせよ初めて閣議決定したことである。それにより政権・体制内の医療改革シナリオが2つに分裂し,激しい論争が戦わされたが,最終的には「骨太の方針2001」に含まれていた3つの新自由主義的医療改革の全面実施は挫折した。他面,小泉政権は1980年代以降続けられてきた「世界一」厳しい医療費抑制政策をいっそう強め,その結果日本は,2004年には医療費水準は主要先進国中最低だが,患者負担は最高の国になった。安倍政権は大枠では小泉政権の医療費抑制政策を継承したが,ごく部分的にせよ,行き過ぎた医療費抑制政策の見直しも行った。さらに,政権・体制内での新自由主義派の影響力は急速に低下した。日本の医療制度の2つの柱を維持しつつ,医療の質を引き上げるためには公的医療費の総枠拡大が不可欠であり,そのための主財源としては社会保険料の引き上げが現実的である。
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 谷口 正智 菊地 勘 長谷川 毅 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 中井 滋 長沼 俊秀 三浦 健一郎 和田 篤志 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.473-536, 2023 (Released:2023-12-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2022年末時点における年次調査は,4,521施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,464施設(98.7%),患者調査票に関しては4,276施設(94.6%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は近年増加速度が低下していたが,2022年末の施設調査結果による透析患者数は347,474人と,この調査で初めて前年に比較して減少した.人口百万人あたりの患者数は2,781人であった.患者調査結果による平均年齢は69.87歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.5%),次いで慢性糸球体腎炎(24.0%),第3位は腎硬化症であった(13.4%).2022年の施設調査結果による透析導入患者数は39,683人であり,2021年から828人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.42歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く38.7%で,昨年より1.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.7%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.0%)を上回った.2022年の施設調査結果による年間死亡患者数は38,464人であり,前年に比較して大きく増加した.このことが全患者数の減少につながっている可能性がある.年齢調整がされていない年間粗死亡率も,過去最高の11.0%であった.主要死因は感染症(22.6%),心不全(21.0%),悪性腫瘍(7.6%)の順で,2022年は感染症が最も多かった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2022年末の施設調査票による患者数は191,492人で,維持透析患者全体の55.1%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,531人で2017年から増加傾向にある.PD患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDFとの併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2022年末の在宅HD患者数は827人であり,2021年末から79人増加した.2022年は,新規調査として腎性貧血を行い,引き続き,新型コロナウイルス感染症,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.2022年末の現況報告では,2018年以来行っていなかった腹膜透析の章も再開した.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
小松 賢志
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.940-945, 1998-12-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
4

核融合実験炉建設計画に際して,トリチウム人体影響の推定が社会的な大きな関心を集めている。トリチウムによる人体影響を推定するには,原爆被爆者などγ線による人体障害とトリチウム生物実験により求められたRBEから推定しなければならない。現在までにトリチウムRBEに関しては膨大なデータが集積されているが,このうち発癌についてはRBE=2が妥当と思われる。これによれば, 1.4×108Bq (3.7mCi)のトリチウム摂取により1万人に1人の発癌リスクの増加が予想される。一方,体外被曝のγ線と異なり,トリチウムは水素同位体として生体構成成分と結合し,長期間にわたって被曝を続ける可能性がある。特にトリチウムのDNA結合能は遺伝子損傷に直結する可能性を含んでいる。しかし,細胞内に存在するDNA修復機構によりDNA損傷の大部分が修復されるために, DNA結合型トリチウムによるリスクの増加は体外被曝γ線のわずか2倍程度と見なされること,また実験室内モデルエコシステム実験によれば,トリチウムは生物濃縮されないことが推論された。一方,トリチウムの低線量率効果としては賀田効果とホルミーシス効果が知られている。賀田効果が生じる実験条件は試験管内の作用に限られているが,ホルミーシス効果は多くの生物系で報告されており,そのリスク推定における重要性から,実験値の信頼性やその作用機序など低線量率効果について,今後さらに検討する必要がある。
著者
橋本 佳明 二村 梓
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.652-655, 2010 (Released:2013-07-31)
参考文献数
11

目的:喫煙習慣の有無によりアレルギー性鼻炎(以下鼻炎と略す)の有病率が異なるかどうかを検討した.対象:職域健診受診男性9,733名,女性3,071名.方法:生活習慣および常用薬剤情報は自記式アンケート調査で得た.有病率の比較はカイ2乗検定で,オッズ比はロジスティック回帰分析で求めた.成績:男性の鼻炎有病率は10.5%で,喫煙状態別では,非喫煙者14.5%,過去喫煙者10.6%,少量喫煙者(1~19本/日)9.7%,中等量喫煙者(20~39本/日)5.8%,多量喫煙者(40本以上/日)3.7%であった.重回帰分析により鼻炎と関連していた年齢で調整して,非喫煙者に対する鼻炎有病率のオッズ比を求めたところ,過去喫煙者0.76,少量喫煙者0.64,中等量喫煙者0.38,多量喫煙者0.25でいずれも有意に低値であった.一方,女性の鼻炎有病率は14.7%で,男性と比較し有意に高率であったが,非喫煙者では差が認められなかった.結語:鼻炎有病率は喫煙量が多いほど低率であることが判明した.また,鼻炎有病率は男性と比較し女性の方が高率であったが,この原因は喫煙量の違いによるものであると考えられた.